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こぼれ話・その1
しおりを挟む☆本編からのこぼれ話になります。落ちはないです。ゆるーい脳と心でお読みください。
タイトル『プリンのストラップの裏話』ートモセ視点ー
「とも兄、風呂は?」
ダンスレッスンを終えて実家に帰宅。そのまま二段ベッドの下段に飛び込み爆睡していたところ、弟の光喜に起こされる。
「・・・んー・・・」
まぶたをこすりながら起き上がってベッドの上に座る。
「疲れてるのわかるけどさー、そのまま寝るなよ? とも兄てガサツだよなー」
やれやれとため息をつきながら風呂上がりの光喜がタオルで自分の頭を拭く。
「うっさい」
ゲシッと脚を伸ばして光喜の尻を蹴る。ムッとされた。
兄弟ゲンカが始まりそうな雰囲気のところ、オレのスマホが鳴った。
見ると、
「あ、マネージャーの宮本さんだ」
ラインの内容を見るなり「げっ」と声が漏れる。
3日前に頼まれていたことの催促だった。
「やべーすっかり忘れてた! プリンなんて描けないって!」
ボスッと布団に倒れこむ。
「とも兄! 風呂!」
またオレが寝るんだと思ったのか、覗きこんでくる光喜。
「・・・」
「聞いてる? とも兄。さっさと風呂入れよ」
フンッとそっぽ向いて机に向かう光喜を慌てて呼び止める。
「絵、オレより描くの上手かったよな? 悪いけどプリンの絵描いてくんない?」
良い案とばかりに二段ベッドから出る。
はぁ? という顔で光喜がオレを見る。
「オレが好きなとろりプリンの会社からCMの仕事もらえたんだけど、コラボ企画でプリンのストラップを付けるとかで。宮本さんからプリンの絵を描いてくれって頼まれててすっかり忘れてた・・・」
「はぁ? そんなのとも兄が描かなきゃ意味ないじゃん」
ごもっとも。
「そこをなんとか。絵とか苦手だし、めんどくさいし、頼むよー光喜くーん」
「キモ。つーか、アイドルがそんなんでいいの? めんどくさいとかって。ファンが聞いたらがっくりだわ」
げんなりする光喜にグサッとガラスのハートにトゲトゲの矢が刺さる。
口から見えない血を拭いながら、負けじと光喜を拝む。
「頼む光喜。オレより絶対光喜の方がマシだから」
「マシってなんだよ。とも兄より上手いわ!」
負けん気に火がついたのか、引き出しから真っ白な紙を引っ張りだしてサラッとペンを走らせる。
「ほら! これでどうだ!」
「さんきゅー! 助かる」
受け取った紙を見ると、とろりプリンを意識して描いたのか、カップに入ったちょっといびつなプリンが描かれていた。
上手いとはお世辞にも言えないけど、やっぱりオレが描くよりはこれはこれで味があっていいかもしれない。
「色付きって言われてるんだった。塗ってい?」
「勝手にすれば」
宿題をやる。と言って光喜は机にかじりつく。
オレは描いてくれたプリンの絵を適当に色ペンで塗って完成させた。
おわり。
タイトル『プリンのストラップの後悔』ートモセ視点ー
夢から覚め、起き上がるなりガッツポーズをして喜ぶ。
剣道大会で拾ったプリンのストラップ、アキのだったーーーーーーーッ!!!
さっきまで夢の中で会ってたアキを思い出し、嬉しすぎてニヤニヤが止まらない。
大事に持ってると言ってたけど、あきらかに動揺してた。
ストラップを失くしたことを隠した理由はわかんないけど、これでオレが拾ったのがアキのだという確信が高まった。
いや、ほぼ断定だ!
オレがデザインしたプリンのストラップをアキが肌身離さず大事に持っていてくれたことに嬉しすぎる。
「朝から幸せすぎる~」
「うわ、キモ。朝からなにその顔」
二段ベッドの上段から下りてきた弟の光喜が、オレの顔を見るなりげんなりした顔をする。
「ふっ。おはよう、光喜くん」
ディスられても今のオレにはまったく効きません。
「うわー、朝からなんなの」
鳥肌が立ったと言って腕をさする光喜を見て、ふとあることを思い出し、あっ!! と大声が出る。
びっくりした光喜が反射的にこっちを見た。
「次はなんなんだよ! とも兄」
いいかげんにしろと顔に書いてある光喜の顔をマジマジと見ながら、さっきまで幸せな気持ちが一気にどん底へと突き落とされる。
「最悪だー」
「はぁ?! 意味わかんないんだけど」
アキが大事に肌身離さず持ってたプリンのストラップは光喜が描いた絵だったという事実を、今思い出した。
ふら~・・・ボスッと布団に倒れこむ。
あの時、めんどくさがって光喜に描かせたことをめちゃくちゃ後悔ッ!
「次は絶対、自分で描く!」
おわり。
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