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「振り返ってみれば」
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全然寝れないッ!
トモセくんの部屋のベッドで目をギンギンにしたまま天井を見つめ続けてもう一時間くらいは経っていると思う。
クリスマスイベントに参加したら、帰りに本物のトモセくんに会えて・・・あれよあれよという間に事務所のシェアハウスに!
時間も遅いからってトモセくんの部屋に泊らせてもらうことになったけど・・・。
寝れるわけないよぉぉぉー!!
たまにしか寝泊りしてないから大丈夫とか言われたけど、トモセくんのベッドなのは変わらないよぉぉ!
推しのベッドッッ!!
スンッと掛け布団を嗅ぐと柔軟剤の優しい香りがする。
枕やベッドも新品に近い硬さがして、確かにあまり使ってないのがわかる。
だけど、まったく使ってないわけじゃないと思うし、来年はここに住むって言ってた。(妄想が膨らむ)
わぁぁぁ!!!
せっかく貸してくれたんだから変なこと考えてないで寝ようぉ!!
ギュッと目をつぶるけど、次はこのシェアハウスにラブずのメンバーが暮らしていることをどうしても想像してしまい・・・。
やっぱり、目がギンギンに冴えてしまう。
心臓もずっとドキドキしてる。
カーテンの隙間から月明かりが漏れ、薄暗い部屋を慣れた夜目で見渡す。
たまにしか使ってないというトモセくんの部屋はとっても殺風景で、勉強机とテーブル、ベッドくらいしかない。
暗くて色までは見えないラグマットを見つめ、さっきまでトモセくんがこの部屋にいたことを改めて思い返すけど、まだ信じられない気持ちでいっぱいだ。
夢の中のトモセくんじゃない。
いつもテレビや雑誌で見てる、アイドルのトモセくん。
はぁぁぁとため息が漏れる。
やっぱり生のトモセくんは全然違う。
コンサート会場で見る遠目のトモセくんとは違う、至近距離の推しの存在はボクにとって本当に神々しいものがある。
顔ちっちゃい、肌キレイ、スタイル良い、やたら良い匂いがする。
しかも、なんかいろいろ言ってくれたような・・・。緊張しすぎて記憶が曖昧だよぉ。
思い出したらいてもたってもいられず、布団の中で悶えまくる。
なにより、トモセくんもボクと同じ夢を見ていた。
信じられない!
信じられないけど・・・本当はうすうす気づきかけていた。もしかして? なんて思ってて。だから、今日のクリスマスイベントには少しだけの期待というか、確証になるようなものがあるかもしれないと思っていた。
そう思うようになったのは・・・
11月の終わり頃、浜村さんと一緒に裏庭でお弁当を食べてる時だった。
クリスマスイベントに誘ってくれた浜村さんと、うちわをおそろいにしようという計画の打ち合わせを兼ねてのお昼休み。
「じゃーん! 作ってみたんだけどこれでどう??」
自信作とばかりに手作りのうちわをボクに披露する浜村さん。
「うん、いいと思うよ。浜村さんらしさがあって」
「でしょー!!」
満面の笑みを浮かべる浜村さん。
うん、浜村さんらしい派手なうちわだ。
とろりプリンの写真をうちわのど真ん中に貼って文字やシールなどでデコっている。
「ともよんの大好きなとろりプリンの写真をうちわに貼ろうってちょー良い案だよぉ! これは絶対ともよんも気に入ってくれるはずッ!!」
自分のうちわを自画自賛しながら鼻息を荒くする浜村さんに和む。
「それに、今回も投げキッスとキュンサインしてってお願いしちゃったー!」
きゃぁーと喜びながらうちわに貼り付けてある文字をアピールする。
「夏のコンサートでともよんがしてくれたんだよね」
「そーなの! まさかともよんがふたつも叶えてくれるなんて思わなくてッ! もぉぉぉー」
その時のことを思い出して体をクネクネさせて喜ぶ。
「浜村さんのうちわだったんだね。でもトモセくん、投げキッスとかもともとしないのにチャレンジャーだったね」
「そこはほら! ファンとして他の子と同じじゃつまらないじゃない。それに、やってくれたら私のうちわを見てくれたってすぐわかる!」
「確かに」
「ふふふ。それに、あのあと別の会場のコンサートで他のファンがうちわでお願いしてもともよんやってくれなかったらしいの! 私にだけ! すごくない?!」
きゃぁぁーとベンチに座りながら足をバタバタさせて興奮マックス。
スカートが短いからパンツが見えないか、なぜかボクがハラハラしてしまう。(娘を持つ母親の気分だ)
「よかったね」
「クリスマスイベントも私にだけプリーズ!!」
意気込む浜村さんに仏の顔を貼り付ける。
いいなーなんてこれっぽっちも思ってません。
夢の中でトモセくんと約束したけど、コンサート会場ではまったくうちわに書いてあることをやってもらえなかったなんて内心ふてくされてなんていません。
しょせん、夢は夢。なんてやさぐれてなんて・・・。
はぁ、とやりきれない気持ちをため息と一緒に押し出して、スマホをチェックする。
とろりぷりんの写真をうちわに貼るという案は夢の中でトモセくんにお願いされたから。と言っても、やっぱり夢なわけで。
本当にトモセくんが喜んでくれるか実はちょっと心配だ。見た瞬間、げってドン引きされたら即死できる。浜村さんにも恥かかせちゃうことに。
「あれ?」
どうしたの? と浜村さんが覗き込んでくる。
「ジュンのSNSもチェックしてるんだー。えらーい」
「トモセくんと仲いいから、ときどきトモセくんとの画像をアップしてくれるんだよね」
「なにそれ?! 今までともよんだけチェックしてた! 私も今日からジュンのSNSチェックしよぉー。フォローもしとこッ!」
慌ててスマホを取り出して夢中になる浜村さんの横で、ジュンくんがアップしたばかりの画像にドキッとする。
画像と一緒に、
『トモが作った柿ジャム』と書いてある。
二瓶。その中に光沢感のあるオレンジ色のジャムが詰まっている。ラベルが貼られていないのが手作りっぽい。
偶然?
まさか・・・と思いながらスクロールしていくと『次は柿ジャムで作ったパイ』と書いてある文と、そのパイの画像があった。
美味しそうなパイがふたつに切られて、その中に柿ジャムが入っている。
日付を見るとさっき更新されたばかりだ。
ごくん、と唾を飲み込む。
夢の中で、母さんの田舎からたくさん柿が送られてきたからジャムにしたと話した。それをパイに包んで焼いたらすごく美味しかったことも。
トモセくんは、
「へぇー! 柿ジャムなんて珍しいねー。美味しそう」
「美味しかったよ。けっこう甘くなるからパイによく合うよ」
「・・・オレでも作れるかなー?」
「へ?」
「アキが美味しいって思ったもの、オレも食べてみたいなーって」
「よ、よかったらレシピ教えようか?」
「マジで?! やったー、勉強の気分転換に作ってみるよ。あーでも、普段作ったりしないからジュンに手伝ってもらおうかなー」
なんて、会話した記憶が。
ごくん、とまた唾を飲み込む。
まさか本当にボクが作ったレシピで作ったってこと? でもそしたら、トモセくんがボクと同じ夢を見たことにならない?
へ? それって・・・。
ドキドキと心臓が早打ちしかけたところで、頭を左右に強く振って否定する。
きっとただの偶然だ、きっとそうだ。前にもドラマの出演についてまさかと思ったことがあったけど、美紀姉から借りてすでに読んでた漫画だったし、ドラマ化の話も全然聞かない。
「雨野くん? どうかしたの」
「へ?」
振り向くと浜村さんがきょとんとしている。
「べ、別になんでもないよぉ」
へらっと笑ってごまかすけど、心臓がドキドキして落ち着かない。
「そーだ、妹から聞いたんだけど、妹がハマってるBL漫画、ドラマ化するんだって」
「へ?」
「主演じゃなくてもいいから、ラブずのメンバーが出演してくれたら嬉しいよねー。ここはやっぱりともよんに! でも、受験中だから無理かなー」
「そ、そうだね。さすがにドラマ出演は大変なんじゃないかなぁ」
「だよねー。なんか、来年の1月としか決まってないみたい。1月じゃ入試試験とかあってめちゃくちゃ大事な時期かー。ともよん頑張って欲しいー」
「・・・だね」
いろいろ話しかけてくる浜村さんの言葉が耳に入ってこない。
漫画? ドラマ化? 1月?
トモセくんが話してくれたことと被るけどきっと気のせいだ。こうゆう話はよくある。
そうだ、気のせいだ。
トモセくんと同じ夢を見てるなんて、そんなことありえない。
否定するボクを翻弄するかのように、ジュンくんはそのあともSNSにトモセくんが作ったパンケーキやオムレット、プリンなどなど・・・。ボクが夢の中でトモセくんに教えた料理が更新されていった。
ボクが考えたトマトハンバーグまで画像付きで更新された時は口から泡をふきそうになった。
料理しないアイドルだったトモセくんは今ではすっかり料理好きアイドルに。
「うわぁ!」
驚きすぎて思わずスマホをベッドに投げつけた。
浜村さんが言ってたドラマ化するBL漫画が気になって、まさかと思いながらも検索したところ、いつかトモセくんが言ってた『こんな恋心はおかしい?!』だった。漫画家さんも真夜中チップスさんだ。
「あ、ありえない・・・こんな偶然てある?!」
独り言が自分の部屋に響く。
投げつけたスマホを拾って内容を見ると、まだ出演者は明かしていなかった。だけど、ツイッターではすでに誰が主演かと予測をたててるファンが。
今人気の俳優さんやアイドルグループの名前が上がる中、トモセくんの名前も。雑誌でセクシーだと騒がられてからトモセくんの人気が上がってきたからだと思う。
夢ではトモセくんの役は主人公の友達だったはず。
ごくりと喉が鳴る。
もし本当に役に選ばれていたら・・・ボクは本物のトモセくんと会話を? そう意識したら急に心臓が痛くなってきた。
慌てて頭を振って否定するけど、ジュンくんの料理画像を思うと強く否定しきれない自分もいる。
その時、あずくんからラインが。
『クリスマスイベント行くんでしょ? その日に重大発表があるってリーダーがツイッターで呟いてるよ』
「へ?!」
慌ててラブずメンバーのリーダーことルイのツイッターを見ると書いてあった。しかも、『オレもすげー楽しみ』と客観的だ。
勝手に疑っちゃうけど、まさかのまさか、この重大発表がドラマ出演のことだったり?! なんて・・・。
「でもでも、脇役で重大発表はさすがに大げさすぎじゃ・・・って、ジュンくんが主人公だってトモセくん言ってた!!」
つい声が大きく出てびっくり。
口で手を塞ぎながら姉たちが駆け寄ってこないかドアをチェックするけど、とりあえず大丈夫そうでホッと胸をなでおろす。
ダブル出演なら重大発表としてファンに報告するならありえそうだ。そしたら・・・。
胸騒ぎがして喉がカラカラする。
楽しみにしていたクリスマスイベントだったけど、こんな展開になるなんて。
自分で推理した謎を解く日になるなんて・・・という心境になってしまった。
おかしなことはまだ続いた。
12月に入って高校受験中のあずくんと文化祭以来会うことに。
「へ? 今なんて?」
「なんで聞いてないんだよ」
ムスッとしながらココアを一口飲むあずくん。
「ご、ごめんね。ここのカフェ、雰囲気が良いからついつい見回しちゃって」
「・・・だと思った。アキこうゆうカフェ好きだもんね」
「連れてきてくれてありがとう、あずくん」
「だけど、ボクの話そっちのけってどうなの?」
「だよね、ごめんね」
両手を合わせてあずくんの機嫌をとる。
「実はちょっと怪しいことがあって」
「怪しいこと?」
「夏休みに行ったラブずのコンサートチケットを用意してくれた姉ちゃんのマネからなんだけど」
うん、と相づちをうつ。
聞きそびれた話を最初からしてくれるあずくん。次は聞き逃さないように機嫌を悪くしないようにと真っすぐ視線を合わせて話を聞く。
「ラブずのジュンくんが僕に会いたがってるって」
「・・・へ?!」
「会ってくれるならカイもトモセも呼ぶとか言うんだよ。怪しくない? しかも、アイドル仲間の友達もよかったら一緒にとかって何企んでるんだって話だよね」
フンッと鼻息を荒くして腕を組んだ。
「なんで会いたがってるの?」
「モデルのエミリの弟がラブずファンだから利用しようと企んでるのかも。こうやってすぐ利用されるから頼みたくなかったんだよね。姉ちゃんに言うなって釘さしといたけど」
「利用って・・・」
「マネの後輩が言ってきたからその人が利用してるか、誰か他の関係者の人間にチケットのことバレて揺すられてるかはわかんないけど、そうゆう腹黒い人間て芸能関係にいるんだよねーやだやだ」
「じゃぁ、ラブずは関係ないってこと?」
「ラブずのメンバーと本当に会えるわけないじゃん! 甘い罠だよ!」
「甘い罠かぁ~」
「ほんと、胸糞悪い話だよ」
ぷんぷんと怒るあずくん。
ジュンくんの名前が出てきたことに違和感がしてしょうがない。あずくんの推しはカイくんだからカイくんの名前だけ出せばいいはずなのに。トモセくんの名前まで出てた。
料理画像にドラマ化もあって勝手に今の話もなにか関連があるんじゃないかってつい疑ってしまう。
トモセくんにあずくんからチケットを貰ったことを話しことがあるから余計気にしちゃうのかも。
ボクもあずくんに相談したいけど、まだトモセくんの夢を見てることを知ったらすごく心配しそう。(また病院行こうとか言いそう)それに、受験中のあずくんにこれ以上悩みを増やすなんて悪いし迷惑になっちゃうかもしれない。
そのあともジュンくんの匂わせ画像の投稿は続いた。
気になるのは現実のトモセくんだけど、トモセくんのSNSはいたっていつも通り。ボクがハラハラするような画像もコメントも一切ない。
一度、夢の中でジュンくんのSNSについて話題に出してみたけど全然チェックしてないと言ってた。それよりいろいろ口出ししてきて自分を子ども扱いしてくると愚痴っていた。(微笑ましい)
でも本当に現実のトモセくんはジュンくんのSNSを気にかけてもいない気がする。ある投稿で、ジュンくんがトモセくんの愚痴がストレートに書いてあった時があってファンのみんなはトモセくんの反応を楽しみにしていたけどまったくツッコミがなくて肩透かしだった。
あとで知ったけど、ジュンくんはそれを知ってるからあんなに大胆にトモセくんの愚痴を書いたんだと・・・。
お互いのことよく知ってるみたいで本当に仲が良いんだなぁと微笑ましい反面、マジ恋のボクとしてはちょっと焼いちゃったり。(ファンでも焼く)
一番ヒヤッとしたのは、ジュンくんがとろりプリンのストラップを撮った画像を投稿した時。
コメントに「拾った」と書いてあって・・・。剣道大会の時に他校の女子たちがジュンくんに似た人がいたと騒いでたことを思い出し、なぜかすごく腑に落ちた。
もう否定しきれないところまできた、クリスマスイベント前日に思わぬトラブルが。
「へ?! 熱があるの?! 浜村さん」
『ご、ごめんねぇ~雨野ぐぅん。高熱でぇ。もしかしたらインフルがもぉ』
すごい鼻声の浜村さんと受話器越しで会話をする。
「インフルはヤバいね。クリスマスイベントは残念だけどしっかり治してね」
『あ~いぎだがったぁぁ。せめて雨野ぐんは行っでぇ。チケット渡すがらぁぁ。誰が誘っで私のぶんまで楽しんでほじぃぃ。あど、でぎればともよんのグッズぅぅ~』
泣いてるようにも聞こえる声がなんだか痛々しい。
とにかく浜村さんをなだめて通話を切った。そのあと、さっそくチケットを取りに浜村さんちに食べやすいプリンを持って行った。
誰を誘おうか悩みながら家に帰宅すると、
「アーキ! 買い物行きたいんだけどつきあってくれない?」
ひょっこりとリビングから顔を出す希愛(のあ)ちゃん。
希愛ちゃんは四女でボクの一個上だ。父さんと一緒にイギリスで暮らしているけど3日前からこっちに帰ってきている。
年が近いこともあって姉の中で一番仲が良くてイギリスにいるときも毎日のようにメールをしていた。とにかく友達のようになんでも相談したり話せたり。ボクにとって大好きな姉だ。
もちろん、希愛ちゃんもアイドルオタクで、イギリスに行った理由が推しのためなのだ。一緒にラブずのファンをしていたけどある日突然イギリスのバンドのひとりに沼りだし、たまたま父さんがイギリスに転勤が決まったことをきっかけに推しを追いかけて行ってしまったすごいバイタリティのある希愛ちゃん。
そんな希愛ちゃんにちょうどいいと思い、浜村さんのことを話したら明日のクリスマスイベントを二つ返事でオッケーしてくれた。
ついでにトモセくんのことと今気にかけてることを希愛ちゃんに全部ぶちまけたかったけど、さすがに勇気が出せず・・・クリスマスイベントに挑んだ。が、まさか勇気の無さを後悔することになるなんて。
イベント中に、重大発表が漫画のドラマ化にジュンくんとトモセくんがダブル出演が決定したと発表された時に希愛ちゃんに話しておけばよかった。
トモセくんの部屋で、希愛ちゃんから鬼のような数のラインをもらいながらそう思った。
トモセくんの部屋のベッドで目をギンギンにしたまま天井を見つめ続けてもう一時間くらいは経っていると思う。
クリスマスイベントに参加したら、帰りに本物のトモセくんに会えて・・・あれよあれよという間に事務所のシェアハウスに!
時間も遅いからってトモセくんの部屋に泊らせてもらうことになったけど・・・。
寝れるわけないよぉぉぉー!!
たまにしか寝泊りしてないから大丈夫とか言われたけど、トモセくんのベッドなのは変わらないよぉぉ!
推しのベッドッッ!!
スンッと掛け布団を嗅ぐと柔軟剤の優しい香りがする。
枕やベッドも新品に近い硬さがして、確かにあまり使ってないのがわかる。
だけど、まったく使ってないわけじゃないと思うし、来年はここに住むって言ってた。(妄想が膨らむ)
わぁぁぁ!!!
せっかく貸してくれたんだから変なこと考えてないで寝ようぉ!!
ギュッと目をつぶるけど、次はこのシェアハウスにラブずのメンバーが暮らしていることをどうしても想像してしまい・・・。
やっぱり、目がギンギンに冴えてしまう。
心臓もずっとドキドキしてる。
カーテンの隙間から月明かりが漏れ、薄暗い部屋を慣れた夜目で見渡す。
たまにしか使ってないというトモセくんの部屋はとっても殺風景で、勉強机とテーブル、ベッドくらいしかない。
暗くて色までは見えないラグマットを見つめ、さっきまでトモセくんがこの部屋にいたことを改めて思い返すけど、まだ信じられない気持ちでいっぱいだ。
夢の中のトモセくんじゃない。
いつもテレビや雑誌で見てる、アイドルのトモセくん。
はぁぁぁとため息が漏れる。
やっぱり生のトモセくんは全然違う。
コンサート会場で見る遠目のトモセくんとは違う、至近距離の推しの存在はボクにとって本当に神々しいものがある。
顔ちっちゃい、肌キレイ、スタイル良い、やたら良い匂いがする。
しかも、なんかいろいろ言ってくれたような・・・。緊張しすぎて記憶が曖昧だよぉ。
思い出したらいてもたってもいられず、布団の中で悶えまくる。
なにより、トモセくんもボクと同じ夢を見ていた。
信じられない!
信じられないけど・・・本当はうすうす気づきかけていた。もしかして? なんて思ってて。だから、今日のクリスマスイベントには少しだけの期待というか、確証になるようなものがあるかもしれないと思っていた。
そう思うようになったのは・・・
11月の終わり頃、浜村さんと一緒に裏庭でお弁当を食べてる時だった。
クリスマスイベントに誘ってくれた浜村さんと、うちわをおそろいにしようという計画の打ち合わせを兼ねてのお昼休み。
「じゃーん! 作ってみたんだけどこれでどう??」
自信作とばかりに手作りのうちわをボクに披露する浜村さん。
「うん、いいと思うよ。浜村さんらしさがあって」
「でしょー!!」
満面の笑みを浮かべる浜村さん。
うん、浜村さんらしい派手なうちわだ。
とろりプリンの写真をうちわのど真ん中に貼って文字やシールなどでデコっている。
「ともよんの大好きなとろりプリンの写真をうちわに貼ろうってちょー良い案だよぉ! これは絶対ともよんも気に入ってくれるはずッ!!」
自分のうちわを自画自賛しながら鼻息を荒くする浜村さんに和む。
「それに、今回も投げキッスとキュンサインしてってお願いしちゃったー!」
きゃぁーと喜びながらうちわに貼り付けてある文字をアピールする。
「夏のコンサートでともよんがしてくれたんだよね」
「そーなの! まさかともよんがふたつも叶えてくれるなんて思わなくてッ! もぉぉぉー」
その時のことを思い出して体をクネクネさせて喜ぶ。
「浜村さんのうちわだったんだね。でもトモセくん、投げキッスとかもともとしないのにチャレンジャーだったね」
「そこはほら! ファンとして他の子と同じじゃつまらないじゃない。それに、やってくれたら私のうちわを見てくれたってすぐわかる!」
「確かに」
「ふふふ。それに、あのあと別の会場のコンサートで他のファンがうちわでお願いしてもともよんやってくれなかったらしいの! 私にだけ! すごくない?!」
きゃぁぁーとベンチに座りながら足をバタバタさせて興奮マックス。
スカートが短いからパンツが見えないか、なぜかボクがハラハラしてしまう。(娘を持つ母親の気分だ)
「よかったね」
「クリスマスイベントも私にだけプリーズ!!」
意気込む浜村さんに仏の顔を貼り付ける。
いいなーなんてこれっぽっちも思ってません。
夢の中でトモセくんと約束したけど、コンサート会場ではまったくうちわに書いてあることをやってもらえなかったなんて内心ふてくされてなんていません。
しょせん、夢は夢。なんてやさぐれてなんて・・・。
はぁ、とやりきれない気持ちをため息と一緒に押し出して、スマホをチェックする。
とろりぷりんの写真をうちわに貼るという案は夢の中でトモセくんにお願いされたから。と言っても、やっぱり夢なわけで。
本当にトモセくんが喜んでくれるか実はちょっと心配だ。見た瞬間、げってドン引きされたら即死できる。浜村さんにも恥かかせちゃうことに。
「あれ?」
どうしたの? と浜村さんが覗き込んでくる。
「ジュンのSNSもチェックしてるんだー。えらーい」
「トモセくんと仲いいから、ときどきトモセくんとの画像をアップしてくれるんだよね」
「なにそれ?! 今までともよんだけチェックしてた! 私も今日からジュンのSNSチェックしよぉー。フォローもしとこッ!」
慌ててスマホを取り出して夢中になる浜村さんの横で、ジュンくんがアップしたばかりの画像にドキッとする。
画像と一緒に、
『トモが作った柿ジャム』と書いてある。
二瓶。その中に光沢感のあるオレンジ色のジャムが詰まっている。ラベルが貼られていないのが手作りっぽい。
偶然?
まさか・・・と思いながらスクロールしていくと『次は柿ジャムで作ったパイ』と書いてある文と、そのパイの画像があった。
美味しそうなパイがふたつに切られて、その中に柿ジャムが入っている。
日付を見るとさっき更新されたばかりだ。
ごくん、と唾を飲み込む。
夢の中で、母さんの田舎からたくさん柿が送られてきたからジャムにしたと話した。それをパイに包んで焼いたらすごく美味しかったことも。
トモセくんは、
「へぇー! 柿ジャムなんて珍しいねー。美味しそう」
「美味しかったよ。けっこう甘くなるからパイによく合うよ」
「・・・オレでも作れるかなー?」
「へ?」
「アキが美味しいって思ったもの、オレも食べてみたいなーって」
「よ、よかったらレシピ教えようか?」
「マジで?! やったー、勉強の気分転換に作ってみるよ。あーでも、普段作ったりしないからジュンに手伝ってもらおうかなー」
なんて、会話した記憶が。
ごくん、とまた唾を飲み込む。
まさか本当にボクが作ったレシピで作ったってこと? でもそしたら、トモセくんがボクと同じ夢を見たことにならない?
へ? それって・・・。
ドキドキと心臓が早打ちしかけたところで、頭を左右に強く振って否定する。
きっとただの偶然だ、きっとそうだ。前にもドラマの出演についてまさかと思ったことがあったけど、美紀姉から借りてすでに読んでた漫画だったし、ドラマ化の話も全然聞かない。
「雨野くん? どうかしたの」
「へ?」
振り向くと浜村さんがきょとんとしている。
「べ、別になんでもないよぉ」
へらっと笑ってごまかすけど、心臓がドキドキして落ち着かない。
「そーだ、妹から聞いたんだけど、妹がハマってるBL漫画、ドラマ化するんだって」
「へ?」
「主演じゃなくてもいいから、ラブずのメンバーが出演してくれたら嬉しいよねー。ここはやっぱりともよんに! でも、受験中だから無理かなー」
「そ、そうだね。さすがにドラマ出演は大変なんじゃないかなぁ」
「だよねー。なんか、来年の1月としか決まってないみたい。1月じゃ入試試験とかあってめちゃくちゃ大事な時期かー。ともよん頑張って欲しいー」
「・・・だね」
いろいろ話しかけてくる浜村さんの言葉が耳に入ってこない。
漫画? ドラマ化? 1月?
トモセくんが話してくれたことと被るけどきっと気のせいだ。こうゆう話はよくある。
そうだ、気のせいだ。
トモセくんと同じ夢を見てるなんて、そんなことありえない。
否定するボクを翻弄するかのように、ジュンくんはそのあともSNSにトモセくんが作ったパンケーキやオムレット、プリンなどなど・・・。ボクが夢の中でトモセくんに教えた料理が更新されていった。
ボクが考えたトマトハンバーグまで画像付きで更新された時は口から泡をふきそうになった。
料理しないアイドルだったトモセくんは今ではすっかり料理好きアイドルに。
「うわぁ!」
驚きすぎて思わずスマホをベッドに投げつけた。
浜村さんが言ってたドラマ化するBL漫画が気になって、まさかと思いながらも検索したところ、いつかトモセくんが言ってた『こんな恋心はおかしい?!』だった。漫画家さんも真夜中チップスさんだ。
「あ、ありえない・・・こんな偶然てある?!」
独り言が自分の部屋に響く。
投げつけたスマホを拾って内容を見ると、まだ出演者は明かしていなかった。だけど、ツイッターではすでに誰が主演かと予測をたててるファンが。
今人気の俳優さんやアイドルグループの名前が上がる中、トモセくんの名前も。雑誌でセクシーだと騒がられてからトモセくんの人気が上がってきたからだと思う。
夢ではトモセくんの役は主人公の友達だったはず。
ごくりと喉が鳴る。
もし本当に役に選ばれていたら・・・ボクは本物のトモセくんと会話を? そう意識したら急に心臓が痛くなってきた。
慌てて頭を振って否定するけど、ジュンくんの料理画像を思うと強く否定しきれない自分もいる。
その時、あずくんからラインが。
『クリスマスイベント行くんでしょ? その日に重大発表があるってリーダーがツイッターで呟いてるよ』
「へ?!」
慌ててラブずメンバーのリーダーことルイのツイッターを見ると書いてあった。しかも、『オレもすげー楽しみ』と客観的だ。
勝手に疑っちゃうけど、まさかのまさか、この重大発表がドラマ出演のことだったり?! なんて・・・。
「でもでも、脇役で重大発表はさすがに大げさすぎじゃ・・・って、ジュンくんが主人公だってトモセくん言ってた!!」
つい声が大きく出てびっくり。
口で手を塞ぎながら姉たちが駆け寄ってこないかドアをチェックするけど、とりあえず大丈夫そうでホッと胸をなでおろす。
ダブル出演なら重大発表としてファンに報告するならありえそうだ。そしたら・・・。
胸騒ぎがして喉がカラカラする。
楽しみにしていたクリスマスイベントだったけど、こんな展開になるなんて。
自分で推理した謎を解く日になるなんて・・・という心境になってしまった。
おかしなことはまだ続いた。
12月に入って高校受験中のあずくんと文化祭以来会うことに。
「へ? 今なんて?」
「なんで聞いてないんだよ」
ムスッとしながらココアを一口飲むあずくん。
「ご、ごめんね。ここのカフェ、雰囲気が良いからついつい見回しちゃって」
「・・・だと思った。アキこうゆうカフェ好きだもんね」
「連れてきてくれてありがとう、あずくん」
「だけど、ボクの話そっちのけってどうなの?」
「だよね、ごめんね」
両手を合わせてあずくんの機嫌をとる。
「実はちょっと怪しいことがあって」
「怪しいこと?」
「夏休みに行ったラブずのコンサートチケットを用意してくれた姉ちゃんのマネからなんだけど」
うん、と相づちをうつ。
聞きそびれた話を最初からしてくれるあずくん。次は聞き逃さないように機嫌を悪くしないようにと真っすぐ視線を合わせて話を聞く。
「ラブずのジュンくんが僕に会いたがってるって」
「・・・へ?!」
「会ってくれるならカイもトモセも呼ぶとか言うんだよ。怪しくない? しかも、アイドル仲間の友達もよかったら一緒にとかって何企んでるんだって話だよね」
フンッと鼻息を荒くして腕を組んだ。
「なんで会いたがってるの?」
「モデルのエミリの弟がラブずファンだから利用しようと企んでるのかも。こうやってすぐ利用されるから頼みたくなかったんだよね。姉ちゃんに言うなって釘さしといたけど」
「利用って・・・」
「マネの後輩が言ってきたからその人が利用してるか、誰か他の関係者の人間にチケットのことバレて揺すられてるかはわかんないけど、そうゆう腹黒い人間て芸能関係にいるんだよねーやだやだ」
「じゃぁ、ラブずは関係ないってこと?」
「ラブずのメンバーと本当に会えるわけないじゃん! 甘い罠だよ!」
「甘い罠かぁ~」
「ほんと、胸糞悪い話だよ」
ぷんぷんと怒るあずくん。
ジュンくんの名前が出てきたことに違和感がしてしょうがない。あずくんの推しはカイくんだからカイくんの名前だけ出せばいいはずなのに。トモセくんの名前まで出てた。
料理画像にドラマ化もあって勝手に今の話もなにか関連があるんじゃないかってつい疑ってしまう。
トモセくんにあずくんからチケットを貰ったことを話しことがあるから余計気にしちゃうのかも。
ボクもあずくんに相談したいけど、まだトモセくんの夢を見てることを知ったらすごく心配しそう。(また病院行こうとか言いそう)それに、受験中のあずくんにこれ以上悩みを増やすなんて悪いし迷惑になっちゃうかもしれない。
そのあともジュンくんの匂わせ画像の投稿は続いた。
気になるのは現実のトモセくんだけど、トモセくんのSNSはいたっていつも通り。ボクがハラハラするような画像もコメントも一切ない。
一度、夢の中でジュンくんのSNSについて話題に出してみたけど全然チェックしてないと言ってた。それよりいろいろ口出ししてきて自分を子ども扱いしてくると愚痴っていた。(微笑ましい)
でも本当に現実のトモセくんはジュンくんのSNSを気にかけてもいない気がする。ある投稿で、ジュンくんがトモセくんの愚痴がストレートに書いてあった時があってファンのみんなはトモセくんの反応を楽しみにしていたけどまったくツッコミがなくて肩透かしだった。
あとで知ったけど、ジュンくんはそれを知ってるからあんなに大胆にトモセくんの愚痴を書いたんだと・・・。
お互いのことよく知ってるみたいで本当に仲が良いんだなぁと微笑ましい反面、マジ恋のボクとしてはちょっと焼いちゃったり。(ファンでも焼く)
一番ヒヤッとしたのは、ジュンくんがとろりプリンのストラップを撮った画像を投稿した時。
コメントに「拾った」と書いてあって・・・。剣道大会の時に他校の女子たちがジュンくんに似た人がいたと騒いでたことを思い出し、なぜかすごく腑に落ちた。
もう否定しきれないところまできた、クリスマスイベント前日に思わぬトラブルが。
「へ?! 熱があるの?! 浜村さん」
『ご、ごめんねぇ~雨野ぐぅん。高熱でぇ。もしかしたらインフルがもぉ』
すごい鼻声の浜村さんと受話器越しで会話をする。
「インフルはヤバいね。クリスマスイベントは残念だけどしっかり治してね」
『あ~いぎだがったぁぁ。せめて雨野ぐんは行っでぇ。チケット渡すがらぁぁ。誰が誘っで私のぶんまで楽しんでほじぃぃ。あど、でぎればともよんのグッズぅぅ~』
泣いてるようにも聞こえる声がなんだか痛々しい。
とにかく浜村さんをなだめて通話を切った。そのあと、さっそくチケットを取りに浜村さんちに食べやすいプリンを持って行った。
誰を誘おうか悩みながら家に帰宅すると、
「アーキ! 買い物行きたいんだけどつきあってくれない?」
ひょっこりとリビングから顔を出す希愛(のあ)ちゃん。
希愛ちゃんは四女でボクの一個上だ。父さんと一緒にイギリスで暮らしているけど3日前からこっちに帰ってきている。
年が近いこともあって姉の中で一番仲が良くてイギリスにいるときも毎日のようにメールをしていた。とにかく友達のようになんでも相談したり話せたり。ボクにとって大好きな姉だ。
もちろん、希愛ちゃんもアイドルオタクで、イギリスに行った理由が推しのためなのだ。一緒にラブずのファンをしていたけどある日突然イギリスのバンドのひとりに沼りだし、たまたま父さんがイギリスに転勤が決まったことをきっかけに推しを追いかけて行ってしまったすごいバイタリティのある希愛ちゃん。
そんな希愛ちゃんにちょうどいいと思い、浜村さんのことを話したら明日のクリスマスイベントを二つ返事でオッケーしてくれた。
ついでにトモセくんのことと今気にかけてることを希愛ちゃんに全部ぶちまけたかったけど、さすがに勇気が出せず・・・クリスマスイベントに挑んだ。が、まさか勇気の無さを後悔することになるなんて。
イベント中に、重大発表が漫画のドラマ化にジュンくんとトモセくんがダブル出演が決定したと発表された時に希愛ちゃんに話しておけばよかった。
トモセくんの部屋で、希愛ちゃんから鬼のような数のラインをもらいながらそう思った。
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