ボクの推しアイドルに会える方法

たっぷりチョコ

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「アイドルやってます」-トモセ視点ー

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『応援してます! ずっとずっと』

 アキがそう言ってくれるから、頑張れるんだよ?
 
 どこにいるの?

 今すぐ会いたい、て言ったら、夢から出てきて会いに来てくれる?



ー3ヵ月前ー


「トーモ! 早いな。一番のりじゃん」
 床に座って脚を広げながらストレッチをしていると、ジュンが声をかけてきた。
「メンバーで未だにDKやってるのオレだけだもん。ジュンは仕事後?」
「1本だけ。つーか、すねんなよ」
 肘で小突いてからかってくるジュン。
「すねてない」
「みんなもそのうちくるよ。合同練習はうちのリーダーがうるさいから」
「だねー」

 木山知世。(きやまともせ)
 今年高3の大学受験生。
 男子校に通いながら男性アイドルやってます。
 中1の時、いとこのあすかちゃんに勝手にオーディションに応募されたのがきっかけで「ラブ→ず」のメンバーとして活動することになって5年。
 多忙すぎてストレスで爆発して引退の危機まで追い込まれたこともあったけど、いろいろあってなんとか今もアイドルを続けている。
 一生アイドルをやっていく気はなく、時期になったら素直に引退してカフェのオーナーになれたら・・・と。
 将来はそこが目標。
 だから今は、めちゃくちゃ忙しいけど大学に進学すると決めている。
 
 ラブず(ラブ→ず)は10人いて、その中で一番最年少なのはオレ。
 一番年上なのはリーダーでもあるルイとミツルで、確か24。
 メンバーとは仲いいし、みんなオレのこと可愛がってくれるから大好き。
 と、いいたいところだけど、ひとりだけ例外な奴もいたりする。
 ラブずの中で一番人気で仕事も多い、カイ。(ギャラも高い)
 オレのこと弟みたいにかいわがってるとかインタビューでは答えてるみたいだけど、嘘がすぎる。
 どーみても人のことバカにしてる態度ばかりだ。
 クール担当だけど全然真逆だし、よくしゃべってうるさいし、女好きで・・・と、カイのことになると悪口しか出てこない。
 メンバーの中で唯一の天敵。
 それ以外はめちゃくちゃ仲良しで大好き。

 ジュンはメンバー内で歳が近いこともあって一番仲が良い。
 みんなそれぞれ担当のキャラがあるんだけど、ジュンはヤンキー担当。
 実はアイドルになる前、本当にヤンキーをやっていたから納得。
 ちなみに、キャラ決めは適当で、ほとんどみんなでお互いの印象だけで決めた。ジュンのヤンキーは偶然の産物・・・なのかな。(てか、目がね。目がもう普通の人とは違うんだよ)
 中学時代は相当荒れていたらしい。(この話はまた・・・)
 でも、今のジュンは全然怖くないし、(怒らせると怖いけど)よく笑うし、親思いだし、とにかくめちゃくちゃ甘いもの好き。
 一時期、ふたりしてパンケーキにハマっていろんな店を回ったことがあった。
 アイドル以外にもタレントとしても人気がある。もちろん、オレより人気がある期待の星。


 事務所内にある練習室に次々とメンバーが到着する。
 隣でジュンがストレッチを終えると、スマホを持ってきて画面を見ながらオレに話をふってきた。
「そーいえば、昨日の生の歌番でトモが軽くミスったじゃん?」
 ジュンに言われ、ビクッと肩がすくむ。
「・・・その話なし。オレの中でなかったことにしたいのに」
「なんで? SNSでバズってるぜ? ツイッターなんかトレンド入りしてた。マジうける」
「・・・え?」
「ともよんのテンパりかたマジかわいい~。ジュンに謝ってるやりとり、仲いいのがわかって癒される。尊い、エモい。天使・・・」
「も、もういい!」
 コメントを読みあげるジュンをストップさせる。
 ジュンは「もういいの?」という顔でオレに視線を送りながらどこか楽しそうだ。

「マジ恥ずい! 昨日は本当にやらかした。あのあとめちゃくちゃ反省した」
「収録後もひとりで顔真っ赤にしてたもんな~。どしたん? 珍しいじゃん。トモが立ち位置ミスるなんて」
「勉強のしすぎ! ということにしといて」
「へいへい。ま、事実そうなんじゃね? あんま根詰めなよ」
「・・・わかってる」
「でもさー、なんだかんだいってすぐ持ち直してたし、相変わらずのキレッキレのダンスっぷりだったじゃん! いいよなー、練習してるけど俺、あそこの動き苦手で・・・て、聞いてる? 俺、話してるんだけど」
 床に寝転がりながらジュンがジトッとオレを睨む。
「え、あ、ごめん。ボーとしてた?」
「してた。睡眠ちゃんととってる? しっかりしろよ」
「うん、わかってる」

 ジュンの話を聞いていて、ふと何かを思い出した気がした。
 だけど、それがなんだったのか・・・。

 自分のスマホを眺め、昨日やらからしたことがバズっていることは知らなかった。
 ジュンから初めて聞いたはずなのに、なぜかその前から知っていたような・・・不思議な違和感がするも、それがよくわからない。
  いつもなら引きずる案件だけど、バズったせいなのか、気持ちが軽い。

 腕を組んで考えようとするも、ダンス指導の講師が来たからそんな暇が一瞬でなくなった。

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