ボクの推しアイドルに会える方法

たっぷりチョコ

文字の大きさ
上 下
12 / 57

「恋人ごっこ1/2」

しおりを挟む
 夢の中のトモセくんにはもう遠慮はしないと決めてから・・・1ヵ月。

「コンサートチケット当たりますよーに」
 ポチッとボタンを押す。
 1ヵ月前からコツコツと買って貯めたパンについてくる応募コードで、スマホを使ってラヴずのコンサートチケットを応募する。
 これで10回目の応募。
 こんなにやっても当選しない時はまったくしない。ちなみに、ファンクラブでも優先応募に参戦するけどことごとく落ちる。
 人気が出るのはファンとして嬉しいけど、日に日に当選率が下がっていくのは困りごとだ。

 ため息をつきながらリビングのテレビを観ると、トモセくんが映った。
 毎週やってるバラエティ番組にラヴずがレギュラーとして出演している。ラヴずのメンバーが毎回ふたりほど入れ替わりで出るからSNSでチェックするのはかかせない。
 今回は最年少で癒し系担当のトモセくんと、可愛い系担当のアイくん。
 アイくんは美紀姉の推しだ。だからさっきからアイくんにカメラが回ると、
「きゃーアイくん! 今日も可愛い! マジ天使マジ天使ぃー!」
 いつものクールはどこへ行ったとツッコミをいれたくなるくらいのテンションでうちわを持って応援するんだよね。
 弟ながら、さすがに引いた目で見たり。

「美紀姉も夏のコンサート応募した?」
「あ、私その日大学のサークルで合宿やるから無理になった。当選したらお土産よろしく。アイくんグッズコンプリ!」
「アイくん人気あるからなぁって、きっと今回も落選するよ」
「そうなの?」
「前回も落ちたし、前々回も。最近運が悪いみたい」
「そうゆう気持ちがダメなんじゃない?」
「・・・そうなのかなぁ」
 はぁとため息。

 テレビ画面に映るトモセくんを観ながら、いっそ夢の中でコンサートをやってほしいなんて思ってみたり。
 遠慮しないと決めてから、夢の中のトモセくんに前ほど緊張はしなくなったし、敬語は抜けないけど普通に話せるようにもなった。
 やりたいこともやってきた。
 夢の中でボクが作った手料理を食べてもらったり。美味しいと言ってくれたけど、なんていうか、味はしない。でも、見た目は美味しそうに見えるし、口に入れると脳が美味しいと感じる。不思議な感覚。
 ダンスはあれから何度も一緒に踊ってもらってる。
 起きたら忘れてることが多いけど、その代わり、そのダンスを練習するとわりと早く習得できるようになった。なんていうか、体が覚えているっていうか。これも不思議な感覚。
 他にも生歌聞いたり、じゃんけんしたり・・・。
 
 ボクの願望のせいか、トモセくんも心なしかアイドルっぽくない、普通の男子高生みたいな笑顔をする時が増えた。(キュンキュンする)
 ちょっと距離をとりつつも・・・友達。みたいな関係になれてる気がする。ボク的には。
 でも、さすがにコンサートのチケットが取れそうもないから、コンサートと同じことを夢の中でやってなんて、さすがに図々しいお願いだ。
 それとも、やっぱり夢だから叶っちゃうのかなぁ。

 ボンヤリしててテレビの内容を全然頭に入れていなかった。
「この企画好きー。私も応募しようかなー」
 美紀姉がテレビ観ながらうっとりする。
「何が?」
「何がって全然観てなかったでしょ。それでもトモセくんのファンなの?!」
「そこまで言う?! ちょっと考えごとしてただけなのに」
「アイドルと恋人ごっこするっていう企画。私これ好きなんだよねー」
 またうっとりしながらテレビを見つめる美紀姉。

「恋人ごっこ・・・」
 テレビを観ると、ちょうどアイくんが企画に応募したファンの女の子と一緒に遊園地デートをしてるところだった。
「私だったらアイくんと映画館行ってーカップルシートにしてーポップコーンを食べさせあいするのぉ!」
 自分で言って照れまくる美紀姉は、隣にいるボクの背中を容赦なく叩きまくる。(痛すぎる)

 ほんと、アイくんのことになるとキャラが崩壊する。

 身の危険を感じて早々にリビングを出たら、ちょうど空いてたからお風呂に入って自分の部屋に戻った。
 明日も早いからといって、勉強を少しして布団に入ることに。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

腐男子ですが何か?

みーやん
BL
俺は田中玲央。何処にでもいる一般人。 ただ少し趣味が特殊で男と男がイチャコラしているのをみるのが大好きだってこと以外はね。 そんな俺は中学一年生の頃から密かに企んでいた計画がある。青藍学園。そう全寮制男子校へ入学することだ。しかし定番ながら学費がバカみたい高額だ。そこで特待生を狙うべく勉強に励んだ。 幸いにも俺にはすこぶる頭のいい姉がいたため、中学一年生からの成績は常にトップ。そのまま三年間走り切ったのだ。 そしてついに高校入試の試験。 見事特待生と首席をもぎとったのだ。 「さぁ!ここからが俺の人生の始まりだ! って。え? 首席って…めっちゃ目立つくねぇ?! やっちまったぁ!!」 この作品はごく普通の顔をした一般人に思えた田中玲央が実は隠れ美少年だということを知らずに腐男子を隠しながら学園生活を送る物語である。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

灰かぶり君

渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。 お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。 「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」 「……禿げる」 テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに? ※重複投稿作品※

俺の推し♂が路頭に迷っていたので

木野 章
BL
️アフターストーリーは中途半端ですが、本編は完結しております(何処かでまた書き直すつもりです) どこにでも居る冴えない男 左江内 巨輝(さえない おおき)は 地下アイドルグループ『wedge stone』のメンバーである琥珀の熱烈なファンであった。 しかしある日、グループのメンバー数人が大炎上してしまい、その流れで解散となってしまった… 推しを失ってしまった左江内は抜け殻のように日々を過ごしていたのだが…???

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...