ボクの推しアイドルに会える方法

たっぷりチョコ

文字の大きさ
上 下
2 / 57

ボクの日常 1/3

しおりを挟む
 「ゔ・・・うわぁぁぁー」
 トモセくんの抱き枕をぎゅっと抱きしめながら、声にならない声をあげる。
 
 また夢の中でトモセくんに会ってしまったぁぁぁー!!!
 添い寝! 添い寝ってぇぇぇー!!

 うわぁぁぁぁぁぁー。

 目が覚めたばっかりなのに、興奮しすぎてベッドの上でゴロゴロとのたうちまわる。

 スクッと起き上がり、ベッドの上に座って枕元に飾ってある一枚の色紙を手に取る。
「これもすべて、きみのおかげだよ!! うちにお嫁にきてくれてありがとぉぉぉー」
 ぎゅーっっと熱いハグ。
 
 ハッと我に返り、スマホを手に取るとすっかり活動時間を過ぎていることに気づき慌ててベッドから降りる。
「まずい、急いで着替えなきゃ」
 夢の余韻に浸る暇もない朝。ボクは慌ててTシャツを脱いで制服でもあるYシャツに着替え、紺色のズボンと靴下を履く。
 そして、壁に掛けられている等身大のトモセくんのタペストリーに頬を寄せ、いつもの朝のあいさつを。
「おはよう、トモセくん。朝ごはん作ってくるね」

 推し部屋でもある自分の部屋をあとにし、慌てて階段を下りる。

 話せば長くなるけど、ボクはいわゆるアイドルオタクだ。それも生まれつきの生粋。
 普通の赤ちゃんが教育テレビを観て世の中を知っていく中で、ボクだけはアイドルを観て世の中を知った。(育った)
 ボクは性別上男だけど、生まれつきハマっているのは男性アイドルだ。思春期の頃は強がって女性アイドルに興味を持つフリをしてみたけど、全然ときめかなかった。
 だからといって、ボクがゲイというわけじゃない。同じクラスのかわいい女子がいればときめくし、淡い恋だってしたこともある。(両想いになったことはないけど)

 そして今、ボクがめちゃくちゃ沼にハマりにハマっているのが、10代20代に大人気の男性アイドルグループ『ラヴ→ず』略して、『ラヴず』
 当時、女性アイドルグループばかり輩出していた某大手事務所が異例の男性アイドルグループの全国オーディションをして選ばれた10人。
 その中に最年少として当時13歳だった木山知世(きやまともせ)くん。今は絶賛受験中の高3。
 やわらかそうな焦げ茶色の髪に整った顔立ち、二重の丸い瞳が子犬を連想させる愛嬌さ。
 細身の体系は普通だけど、それが逆に親近感が沸いて親しみやすい雰囲気が出ている。
 同じクラスにいそうな・・・。
 無理無理、トモセくんが同じクラスにいたら勉強どころじゃなくなるよぉ。
 想像しただけで赤面しちゃう。

 生きてるだけでいろんなことがある毎日。生きがいがあるだけで、それだけで毎日頑張れる。
 ボクにとってそれがトモセくん。ボクの推しアイドル。

 洗面所で顔を洗って、リビングへ向かい、キッチンの前に立って水色のエプロンを身に着け「よしっ」と気合を入れる。
 慌ただしい日常の始まりだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

腐男子ですが何か?

みーやん
BL
俺は田中玲央。何処にでもいる一般人。 ただ少し趣味が特殊で男と男がイチャコラしているのをみるのが大好きだってこと以外はね。 そんな俺は中学一年生の頃から密かに企んでいた計画がある。青藍学園。そう全寮制男子校へ入学することだ。しかし定番ながら学費がバカみたい高額だ。そこで特待生を狙うべく勉強に励んだ。 幸いにも俺にはすこぶる頭のいい姉がいたため、中学一年生からの成績は常にトップ。そのまま三年間走り切ったのだ。 そしてついに高校入試の試験。 見事特待生と首席をもぎとったのだ。 「さぁ!ここからが俺の人生の始まりだ! って。え? 首席って…めっちゃ目立つくねぇ?! やっちまったぁ!!」 この作品はごく普通の顔をした一般人に思えた田中玲央が実は隠れ美少年だということを知らずに腐男子を隠しながら学園生活を送る物語である。

バズる間取り

福澤ゆき
BL
元人気子役&アイドルだった伊織は成長すると「劣化した」と叩かれて人気が急落し、世間から忘れられかけていた。ある日、「事故物件に住む」というネットTVの企画の仕事が舞い込んでくる。仕事を選べない伊織は事故物件に住むことになるが、配信中に本当に怪奇現象が起こったことにより、一気にバズり、再び注目を浴びることに。 自称視える隣人イケメン大学生狗飼に「これ以上住まない方がいい」と忠告を受けるが、伊織は芸能界生き残りをかけて、この企画を続行する。やがて怪異はエスカレートしていき…… すでに完結済みの話のため一気に投稿させていただきますmm

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

灰かぶり君

渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。 お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。 「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」 「……禿げる」 テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに? ※重複投稿作品※

それはきっと、気の迷い。

葉津緒
BL
王道転入生に親友扱いされている、気弱な平凡脇役くんが主人公。嫌われ後、総狙われ? 主人公→睦実(ムツミ) 王道転入生→珠紀(タマキ) 全寮制王道学園/美形×平凡/コメディ?

俺の推し♂が路頭に迷っていたので

木野 章
BL
️アフターストーリーは中途半端ですが、本編は完結しております(何処かでまた書き直すつもりです) どこにでも居る冴えない男 左江内 巨輝(さえない おおき)は 地下アイドルグループ『wedge stone』のメンバーである琥珀の熱烈なファンであった。 しかしある日、グループのメンバー数人が大炎上してしまい、その流れで解散となってしまった… 推しを失ってしまった左江内は抜け殻のように日々を過ごしていたのだが…???

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

いとしの生徒会長さま

もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……! しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

処理中です...