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初めてのオトモダチ

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 あれから十分ほど経って、彼女の手足はすっかり壁に飲み込まれてしまっていた。
「これでよしっと。こうすれば、どんなに暴れても逃げられることはないでしょ」
 壁から抜け出すには手足を千切るしかないし、手足が千切れていてはたとえ壁から抜け出せても逃げることはできない。
 二段構えの、まさに完璧な逃亡対策の完成と言うわけだ。
 あとは、彼女のために必要なスキルを覚えてっと……。
 なんて自己満足に浸りながらスキルを習得していると、微かな声を上げて彼女はゆっくりと目を覚ました。
「うぅ、んっ……」
「あ、起きた。調子はどう? けっこう強く殴られてたみたいだけど、気分が悪かったりしない?」
 出来るだけフレンドリーに声を掛けてみると、彼女は状況が飲み込めないのか目を白黒させて辺りを見渡している。
「ここ、どこなの? 私は確か、ゴブリンに殴られて気絶して……。もしかしてここ、ゴブリンの巣なの? だったら、あなたも攫われてきたの?」
「凄く混乱してるみたいね。順番に説明してあげるから、まずは一度落ち着いてもらえると助かるな」
「あ、うん。ごめんなさい。でも、落ち着いてる場合じゃないでしょ。ここがゴブリンの巣なんだったら、早く逃げないと」
「大丈夫。ここはゴブリンの巣じゃないし、命の危険はないから。まぁ、別の危険はあるかもだけど」
「どういうこと? ともかく、まずはこの拘束をなんとかしたいわね」
 どうやらまだ壁に埋められていることに気付いていないらしく、彼女はなんとか手足を動かそうと必死に身体をねじっている。
「それは無理じゃない? けっこうしっかり埋めたつもりだし、そんなに暴れると最悪関節が外れちゃうよ」
「はぁ? 埋めたってどういう……。って、なにこれ!?」
 やっと自分が壁に埋められていることに気付いたのか、彼女は驚きを隠せない表情を浮かべてる。
 そんな彼女を落ち着かせようと、私は努めて軽いテンションで話しかけてみた。
「とりあえず、まずは自己紹介から始めましょ。私の名前はユイカって言うんだけど、あなたのお名前も教えてもらっていいかな?」
「……ターニャ」
 相変わらず逃げ出そうと必死にもがきながらも、彼女――ターニャは私の質問に答えてくれる。
「ターニャちゃんか、いい名前だね」
「そりゃどうも。それで、そろそろちゃんと説明してくれると助かるんだけど」
 やがて身動きが取れないことにやっと諦めたターニャは、私に向けて鋭い視線を向ける。
 敵意アリアリのその視線を受けて、その怖さに私の背筋はゾワッと震える。
「そんな怖い顔しないでよ。別に私は、ターニャちゃんに危害を加えるつもりはないんだから。ただ、ちょーっと私の計画の手伝いをしてほしいだけ」
「計画? 手伝い? なにそれ?」
 言っている意味が分からず首を傾げるターニャに、私はにっこり笑顔を向ける。
「そう、お手伝い。ターニャちゃんには、ここで私と一緒にモンスターの子どもをたくさん産んで欲しいんだ」
「は、はぁっ!? 意味分かんない! モンスターを産むとか、本気で言ってんの!?」
 まるで異常者を見たような反応に苦笑いを浮かべながら、私は彼女に力強く頷く。
「もちろん、本気に決まってるでしょ。それに大丈夫。最初は辛いかもしれないけど、すぐに気持ちよくて癖になっちゃうから」
 ゴブリンに代わる代わる犯された快感を思い出して頬を赤く染めながら、私はいかにモンスターとのセックスが気持ちいいかを力説する。
 一度でもアレを体験すれば、きっともう普通のセックスでは満足できなくなるだろう。
 まぁ、私は普通のセックスを体験したことはないんだけど。
 そんな風に語っている間にもターニャの表情はどんどん青ざめていってる気がするけど、まぁ気にしないでおこう。
「……と言うわけで、あなたにもその快感を味わわせてあげる。そのついでに、ちょっとダンジョンのモンスターを増やしてくれると嬉しいな」
「なにが「快感を味わわせてあげる」よ! 悪いけど、遠慮させてもらうわ!」
 ここまできっぱり拒否されてしまうと、なんだか私が悪いことをしているような気がする。
 確かに無理やり連れてきたのは悪かったと思ってるけど、でも彼女だって一度モンスターとのセックスを体験すれば考えも変わるはずだ。
「じゃあ、まずは一回ヤってみよっか」
「人の話聞いてたっ!? 嫌だって言ってるでしょ!」
「嫌よ嫌よも好きのうちってね。それじゃ、サクッと下準備だけしちゃいましょう」
 なんだかもう面倒くさくなってきた私は、身動きが取れないことを良いことに彼女の身体へ近づくと、「おりゃっ」と軽い掛け声で身に着けていた服を破る。
「っ!? キャアアアァァッ!!」
 いきなり肌を晒された彼女が叫ぶのを無視して、私は右手をそっと彼女の下腹部へと触れる。
 そのままさっき覚えたスキルである『苗床作成』を発動して彼女の下腹部に魔力を流すと、そこには花をモチーフにしたハート型の刻印が刻まれた。
「よし、あなたの苗床化も完了っと。これで、ターニャちゃんもモンスターを産むことができるよ。やったね」
「んなっ!? ふざけないで! 私は、絶対モンスターなんか妊娠しないんだから!」
 なんだかフラグのような言葉を放つターニャに満面の笑みを浮かべながら、私はもういつ我慢の限界を迎えてもおかしくない状態のゴブリンを彼女に向けてけしかけるのだった。
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