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狩る者と狩られる者
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すっと息を潜め、私は目の前の兎へと鋭い視線を向ける。
まだ私の存在に気付いた様子はないものの、やはり野生の勘なのか兎はキョロキョロと辺りを見渡しながら森の奥へと駆けていく。
そして私も、せっかく見つけた獲物を逃がすまいと気配を消しながらその後を追いかけていく。
そのまま、森の中で追いかけっこをすること十数分。
獲物は茂みを抜けて近くにあった洞窟へと向かっていった。
「こんな所に洞窟なんてあったっけ? 最近、新しくできたのかな?」
この辺りは狩り以外で来ないから、地理にはあまり詳しくない。
だけど、こんな大きな洞窟があれば見落とすはずはないのだけど。
「っと、考えるのは狩りが終わった後。まずは、今日のご飯を手に入れないと」
兎には悪いけど、私にだって生活が懸かっている。
「所詮この世は弱肉強食。恨むなら、私に目を付けられた自分の不運を呪ってね」
心の中で手を合わせながら、私は手に持った弓に矢をつがえる。
その瞬間、世界は私と獲物の二人だけになった。
ピンッと張り詰めた空気の中で、私はただ目の前の獲物を射抜くことだけに集中する。
弓を引き絞り矢の先端をただ一心に獲物の頭部へと向けて、私は一度だけ深く息を吸う。
「フッ!」
一瞬の後、微かに漏れる息とともに弦から解き放たれた矢は、そのまま真っ直ぐに獲物へ向けて飛んでいく。
微かに甲高い風切り音を響かせながら飛ぶ矢は寸分違わず獲物の頭部へ突き刺さり、兎は短い断末魔とともに地面へと倒れ伏した。
「よしっ……」
それを見て、私は思わず小さなガッツポーズを決める。
だけど、まだ油断はできない。
角兎は他のウサギに比べて知能が高く、死んだふりをして相手を油断させる場合がある。
あれだけしっかり頭を撃ち抜いていれば大丈夫だろうけど、念には念を入れるべきだ。
弓に新たな矢をつがえながら、私は慎重に茂みから身体を出していく。
ゆっくりと兎へ向けて歩いていくと、やがてその身体のすぐ近くまで接近した。
「……良かった。ちゃんと死んでるみたい」
つま先で軽く突いて確認しても、兎はピクリとも動かない。
どうやらちゃんと絶命している兎の姿に、私はやっと肩の力を抜いて息を吐いた。
「これで、今日の晩ご飯は心配ないね。それじゃ、サクッと運びますか」
持ってきた縄で兎の手足を縛りながら、私は今日の兎料理に思いを馳せる。
久しぶりのご馳走に思わず口の中には唾液が溢れ、私は作業をしながら鼻歌まで口ずさんでしまう。
だから、だろうか。
すっかり気を抜いていた私は、新手の存在に気付くのに遅れてしまった。
「ギャッギャギャッ!」
耳障りな鳴き声に振り替えると、そこにはすでに棍棒を振り上げたゴブリンの姿があった。
「しまっ……!? くぅっ!」
振り下ろされたそれを避けることはできず、とっさにガードした腕を棍棒が殴る。
その衝撃で手に持った弓を取り落としてしまった私は、ともかく距離を取ろうとバックステップでゴブリンから離れる。
「なんで、こんな所にゴブリンが居るのよ!? この森、モンスターは居ないはずなのに。それに、いったいどこから現れたの?」
いくら油断していたからと言っても、あんなに接近されるまで気付かないなんてありえない。
まるで空間からいきなり湧いてきたようなゴブリンの出現に、私は驚きを隠せずにいた。
「とはいえ、いつまでも驚いてるわけにはいかないわよね。ともかく今は、この場を切り抜けることが最優先かな」
せっかく仕留めた兎はもったいないけど、それも全て命あっての物種だ。
兎の回収は諦めて、私は逃げ道を探すために腰に差したナイフへ手を掛ける。
その瞬間、強烈な衝撃が私の後頭部を襲う。
いつの間にか背後に現れていたゴブリンの攻撃だと気付いた時には、全てが手遅れだった。
「んぐっ!? な、んで……」
その衝撃は私の意識を刈り取るには充分で、なす術なく地面に倒れる私を見てゴブリンたちは楽しそうに笑っていた。
────
「よし、タイミングはバッチリだったみたいね」
ゴブリンの攻撃で相手が意識を失うのを見届けて、私も洞窟の入り口まで転移した。
その間にもゴブリンたちは慣れた手つきで彼女の両手足を縄で縛っていて、これでいつ彼女が意識を取り戻しても逃げられることはないだろう。
「ご苦労様。それじゃさっそく、この子を繁殖部屋まで連れていくわよ。お楽しみは彼女が目を覚ましたらいっぱいさせてあげるから、もうひと頑張りよろしくね」
「グギャギャギャッ!」
私の言葉に嬉しそうに反応したゴブリンが彼女を抱きかかえ、それを確認した私は全員そろって繁殖部屋へと転移する。
そこでは残り二匹のゴブリンも待ちきれない様子で待機していて、命令していなければすぐにでも彼女へ襲い掛かってしまいそうだ。
「まだ駄目だからね。下準備が全部終わったらたくさんセックスできるから、もう少しだけ我慢してね」
今にも飛び掛かってきそうなゴブリンたちに向けて、落ち着かせるように待ての合図を送る。
そうやって彼らの性欲を抑えながら、私はダンジョンの一部を変化させて彼女の身体を拘束していくのだった。
まだ私の存在に気付いた様子はないものの、やはり野生の勘なのか兎はキョロキョロと辺りを見渡しながら森の奥へと駆けていく。
そして私も、せっかく見つけた獲物を逃がすまいと気配を消しながらその後を追いかけていく。
そのまま、森の中で追いかけっこをすること十数分。
獲物は茂みを抜けて近くにあった洞窟へと向かっていった。
「こんな所に洞窟なんてあったっけ? 最近、新しくできたのかな?」
この辺りは狩り以外で来ないから、地理にはあまり詳しくない。
だけど、こんな大きな洞窟があれば見落とすはずはないのだけど。
「っと、考えるのは狩りが終わった後。まずは、今日のご飯を手に入れないと」
兎には悪いけど、私にだって生活が懸かっている。
「所詮この世は弱肉強食。恨むなら、私に目を付けられた自分の不運を呪ってね」
心の中で手を合わせながら、私は手に持った弓に矢をつがえる。
その瞬間、世界は私と獲物の二人だけになった。
ピンッと張り詰めた空気の中で、私はただ目の前の獲物を射抜くことだけに集中する。
弓を引き絞り矢の先端をただ一心に獲物の頭部へと向けて、私は一度だけ深く息を吸う。
「フッ!」
一瞬の後、微かに漏れる息とともに弦から解き放たれた矢は、そのまま真っ直ぐに獲物へ向けて飛んでいく。
微かに甲高い風切り音を響かせながら飛ぶ矢は寸分違わず獲物の頭部へ突き刺さり、兎は短い断末魔とともに地面へと倒れ伏した。
「よしっ……」
それを見て、私は思わず小さなガッツポーズを決める。
だけど、まだ油断はできない。
角兎は他のウサギに比べて知能が高く、死んだふりをして相手を油断させる場合がある。
あれだけしっかり頭を撃ち抜いていれば大丈夫だろうけど、念には念を入れるべきだ。
弓に新たな矢をつがえながら、私は慎重に茂みから身体を出していく。
ゆっくりと兎へ向けて歩いていくと、やがてその身体のすぐ近くまで接近した。
「……良かった。ちゃんと死んでるみたい」
つま先で軽く突いて確認しても、兎はピクリとも動かない。
どうやらちゃんと絶命している兎の姿に、私はやっと肩の力を抜いて息を吐いた。
「これで、今日の晩ご飯は心配ないね。それじゃ、サクッと運びますか」
持ってきた縄で兎の手足を縛りながら、私は今日の兎料理に思いを馳せる。
久しぶりのご馳走に思わず口の中には唾液が溢れ、私は作業をしながら鼻歌まで口ずさんでしまう。
だから、だろうか。
すっかり気を抜いていた私は、新手の存在に気付くのに遅れてしまった。
「ギャッギャギャッ!」
耳障りな鳴き声に振り替えると、そこにはすでに棍棒を振り上げたゴブリンの姿があった。
「しまっ……!? くぅっ!」
振り下ろされたそれを避けることはできず、とっさにガードした腕を棍棒が殴る。
その衝撃で手に持った弓を取り落としてしまった私は、ともかく距離を取ろうとバックステップでゴブリンから離れる。
「なんで、こんな所にゴブリンが居るのよ!? この森、モンスターは居ないはずなのに。それに、いったいどこから現れたの?」
いくら油断していたからと言っても、あんなに接近されるまで気付かないなんてありえない。
まるで空間からいきなり湧いてきたようなゴブリンの出現に、私は驚きを隠せずにいた。
「とはいえ、いつまでも驚いてるわけにはいかないわよね。ともかく今は、この場を切り抜けることが最優先かな」
せっかく仕留めた兎はもったいないけど、それも全て命あっての物種だ。
兎の回収は諦めて、私は逃げ道を探すために腰に差したナイフへ手を掛ける。
その瞬間、強烈な衝撃が私の後頭部を襲う。
いつの間にか背後に現れていたゴブリンの攻撃だと気付いた時には、全てが手遅れだった。
「んぐっ!? な、んで……」
その衝撃は私の意識を刈り取るには充分で、なす術なく地面に倒れる私を見てゴブリンたちは楽しそうに笑っていた。
────
「よし、タイミングはバッチリだったみたいね」
ゴブリンの攻撃で相手が意識を失うのを見届けて、私も洞窟の入り口まで転移した。
その間にもゴブリンたちは慣れた手つきで彼女の両手足を縄で縛っていて、これでいつ彼女が意識を取り戻しても逃げられることはないだろう。
「ご苦労様。それじゃさっそく、この子を繁殖部屋まで連れていくわよ。お楽しみは彼女が目を覚ましたらいっぱいさせてあげるから、もうひと頑張りよろしくね」
「グギャギャギャッ!」
私の言葉に嬉しそうに反応したゴブリンが彼女を抱きかかえ、それを確認した私は全員そろって繁殖部屋へと転移する。
そこでは残り二匹のゴブリンも待ちきれない様子で待機していて、命令していなければすぐにでも彼女へ襲い掛かってしまいそうだ。
「まだ駄目だからね。下準備が全部終わったらたくさんセックスできるから、もう少しだけ我慢してね」
今にも飛び掛かってきそうなゴブリンたちに向けて、落ち着かせるように待ての合図を送る。
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