駄菓子屋継いだらロリハーレム

樋川カイト

文字の大きさ
上 下
115 / 125

第百八話

しおりを挟む
「それで、優希ちゃんのことをどうやってみんなに伝えるんですか?」

 疲れて眠ってしまった優希を眺めていると、今まで黙っていた杏里ちゃんが嫌な現実を突き付けてきた。

「えっと、どうしようか……」

 まだエルナちゃんのことも伝えてないのに、更に優希ことまで伝えないといけない。

「みんな、怒るかな?」

「どうでしょう? 唯香ちゃんはいろいろ言うかもしれないけど、美海ちゃんは喜びそうです」

 確かに、二人とも怒りそうにないな。

 そう考えると、なんだか悩んでいるのが馬鹿らしくなってきた。

「ちなみに、杏里ちゃんは怒ってないよね」

「怒ってませんよ。もう三人も居るんですから、今更一人増えたところで怒ったりしません」

 でも、私のこともちゃんと構ってくださいね。

 なんて殊勝なセリフを言ってくれる杏里ちゃんに、なんだか申し訳なくなってくる。

「例えば、更にもう一人増えたりとかしても、杏里ちゃんは怒らない?」



 そんな俺の突然の発言に、杏里ちゃんはキョトンとした表情で俺の顔を見ている。

 それはそうだろう。

 だけど言ってしまったからには後戻りできる訳もなく、俺は杏里ちゃんに向かってエルナちゃんの存在を伝えてみる事にした。

「実は、もう一人の女の子にも手を出しちゃったんだよね。それで、みんなにどう伝えようか迷ってたんだけど……」

 恐る恐る杏里ちゃんの顔を確認すると、その表情は未だに状況を飲み込めていないようだった。

「えっと……、つまり優希ちゃん以外にも新しい恋人が居るってことですか?」

「うん、そうなるね。しかも、その相手は杏里ちゃん良く知ってる子なんだ」

「それって、もしかして……」

 どうやら、杏里ちゃんはその相手が誰なのかに気付いたらしい。

「……エルナちゃん、ですか?」

「うん。実はそうなんだ」

 杏里ちゃんの言葉を肯定すると、彼女はなんだか微妙な表情を浮かべていた。



「やっぱり、ショックだった? 自分の友達が恋人に抱かれていたなんて」

「えっと、そうじゃないんです。なんだか、拍子抜けしちゃって」

「拍子抜け?」

「はい。最初はその子ともちゃんと仲良くなれるか心配だったけど、エルナちゃんならその心配もないなぁって」

「あ、そう……」

 なんと言うか、どうしてこの子はこんなに普通に恋人の浮気を許しているんだろう。

 普通だったら、少しは怒っても良いんじゃないだろうか?

 いや、すでに三人の恋人がいることを知っているからかもしれないけど……。

「まぁ、良いか。別に怒られたいわけでもないし」

 結局そう結論をつけると、俺はキョトンと俺を見つめている杏里ちゃんの頭を撫でた。

「あれ? ボク、寝ちゃってた……」

 そうやっていると、優希が目を擦りながら起きあがる。

「おはよう、優希」

「おあおう……」

 まだ寝ぼけているのか呂律が回らない優希に苦笑を浮かべながら、彼女を手招きして近くに呼ぶ。

 そして俺は、優希にも他の恋人たちについての話を始めた。

 きっと優希なら、許してくれると信じて。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

処理中です...