109 / 125
第百二話
しおりを挟む
「すごかったよ、杏里ちゃん。なんかね、すごかった!」
「はうぅ、恥ずかしいです……」
数分後、回復した俺はアホみたいな感想を告げる優希とそれに恥ずかしがる杏里ちゃんをぼんやりと眺めていた。
最後の方はすっかり忘れてたけど、そう言えば優希が見てたんだったな。
けっこう激しくヤっちゃったけど、これが普通だと思われたらどうしよう。
「……まぁ、そのうちなんとかなるか」
むしろ、これでしばらく優希がセックスから興味を失ってくれれば御の字だ。
なんて考えていた俺だったが、優希の次の言葉に耳を疑う事となった。
「なんかね、ボクもやってみたくなっちゃった」
「ふえっ……?」
「おい、優希。なにを言ってんだよ」
突然の発言に固まる杏里ちゃんを押しのけて優希に詰め寄ると、彼女は屈託のない笑顔で俺を見つめてくる。
「だって、なんだか楽しそうだったんだもん」
「それにしたって、お前……。そう言うのは、お前にはまだ早い」
決して、小学生がやっていいことじゃない。
……俺が言っても説得力はないだろうが、間違ったことは言ってないぞ。
「なんでぇっ!? 杏里ちゃんは兄ちゃんとやってるじゃん」
「それは……、杏里ちゃんは俺が大好きだから特別だよ。なっ?」
「えっ? はいっ! 私はお兄さんのこと大好きですっ!」
突然話を振ったのに満面の笑みで返してくれる杏里ちゃん。
愛い奴じゃ、ナデナデしてあげよう。
頭を撫でると、杏里ちゃんはデレッと顔を綻ばせる。
「ともかく、そう言うのは好きな奴ができた時の為に取っておけ」
「でも、ぼくだって兄ちゃんのこと好きだよ」
「んなっ!?」
ボーイッシュな幼女に正面からまっすぐ向けられた好意が、俺の心をズバッと突き刺す。
そうか、優希は俺のことが好きなのか……。
だったら、なんの問題もないな……。
「って、駄目に決まってるだろ。だいたい、なんで俺なんかのことが好きなんだよ」
俺と優希はまだ、今日出会ったばかりなんだぞ!
それなのに俺のことを好きになるなんて、あまりにもチョロすぎるだろ。
「だって、兄ちゃん優しいし、頼りになるし、なんでも知ってるし。……あと、一緒に居て楽しい」
「……それは、友達として好きって言うのとどう違うんだ?」
「……分かんない」
俺の質問に、優希は首を傾げてしまった。
「分からないなら、駄目だ。そんな曖昧な気持ちには、俺は答えられない」
少し厳しいかもしれないが、これが優希の為だ。
なんて格好つけて諭してみると、優希の方が小刻みに震えている。
そして彼女の膝に落ちたのは、一粒の涙だった。
「お、おい……、なにも泣くことないだろ」
「グス……。だって兄ちゃん、ヒック……。ボクのこと嫌いなんでしょ……」
「誰もそんなこと言ってないだろ」
「言ったもんっ! ボクのことが嫌いだから、杏里ちゃんみたいにセックスしてくれないんだもんっ!」
なんだ、その理論……。
訳が分からずおろおろとしていると、どこからか視線を感じる。
それに気付いて顔を向けてみると、杏里ちゃんが非難の視線で俺を見つめていた。
「杏里ちゃん……?」
「酷いです、お兄さん。女の子を泣かせるなんて」
「俺が悪いの?」
尋ねても、フイッと顔を逸らされてしまった。
……ああ、もうっ!
「分かったよ。優希、セックスしよう。俺はお前が大好きだから、セックスでもなんでもしてやるよ!」
「……ホント?」
「ああ、本当だ。ほら、こっちにおいで」
「うん……」
そうして優希は、涙を拭きながら俺の元へと近寄ってきた。
「はうぅ、恥ずかしいです……」
数分後、回復した俺はアホみたいな感想を告げる優希とそれに恥ずかしがる杏里ちゃんをぼんやりと眺めていた。
最後の方はすっかり忘れてたけど、そう言えば優希が見てたんだったな。
けっこう激しくヤっちゃったけど、これが普通だと思われたらどうしよう。
「……まぁ、そのうちなんとかなるか」
むしろ、これでしばらく優希がセックスから興味を失ってくれれば御の字だ。
なんて考えていた俺だったが、優希の次の言葉に耳を疑う事となった。
「なんかね、ボクもやってみたくなっちゃった」
「ふえっ……?」
「おい、優希。なにを言ってんだよ」
突然の発言に固まる杏里ちゃんを押しのけて優希に詰め寄ると、彼女は屈託のない笑顔で俺を見つめてくる。
「だって、なんだか楽しそうだったんだもん」
「それにしたって、お前……。そう言うのは、お前にはまだ早い」
決して、小学生がやっていいことじゃない。
……俺が言っても説得力はないだろうが、間違ったことは言ってないぞ。
「なんでぇっ!? 杏里ちゃんは兄ちゃんとやってるじゃん」
「それは……、杏里ちゃんは俺が大好きだから特別だよ。なっ?」
「えっ? はいっ! 私はお兄さんのこと大好きですっ!」
突然話を振ったのに満面の笑みで返してくれる杏里ちゃん。
愛い奴じゃ、ナデナデしてあげよう。
頭を撫でると、杏里ちゃんはデレッと顔を綻ばせる。
「ともかく、そう言うのは好きな奴ができた時の為に取っておけ」
「でも、ぼくだって兄ちゃんのこと好きだよ」
「んなっ!?」
ボーイッシュな幼女に正面からまっすぐ向けられた好意が、俺の心をズバッと突き刺す。
そうか、優希は俺のことが好きなのか……。
だったら、なんの問題もないな……。
「って、駄目に決まってるだろ。だいたい、なんで俺なんかのことが好きなんだよ」
俺と優希はまだ、今日出会ったばかりなんだぞ!
それなのに俺のことを好きになるなんて、あまりにもチョロすぎるだろ。
「だって、兄ちゃん優しいし、頼りになるし、なんでも知ってるし。……あと、一緒に居て楽しい」
「……それは、友達として好きって言うのとどう違うんだ?」
「……分かんない」
俺の質問に、優希は首を傾げてしまった。
「分からないなら、駄目だ。そんな曖昧な気持ちには、俺は答えられない」
少し厳しいかもしれないが、これが優希の為だ。
なんて格好つけて諭してみると、優希の方が小刻みに震えている。
そして彼女の膝に落ちたのは、一粒の涙だった。
「お、おい……、なにも泣くことないだろ」
「グス……。だって兄ちゃん、ヒック……。ボクのこと嫌いなんでしょ……」
「誰もそんなこと言ってないだろ」
「言ったもんっ! ボクのことが嫌いだから、杏里ちゃんみたいにセックスしてくれないんだもんっ!」
なんだ、その理論……。
訳が分からずおろおろとしていると、どこからか視線を感じる。
それに気付いて顔を向けてみると、杏里ちゃんが非難の視線で俺を見つめていた。
「杏里ちゃん……?」
「酷いです、お兄さん。女の子を泣かせるなんて」
「俺が悪いの?」
尋ねても、フイッと顔を逸らされてしまった。
……ああ、もうっ!
「分かったよ。優希、セックスしよう。俺はお前が大好きだから、セックスでもなんでもしてやるよ!」
「……ホント?」
「ああ、本当だ。ほら、こっちにおいで」
「うん……」
そうして優希は、涙を拭きながら俺の元へと近寄ってきた。
0
お気に入りに追加
95
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ!
コバひろ
大衆娯楽
格闘技を通して、男と女がリングで戦うことの意味、ジェンダー論を描きたく思います。また、それによる両者の苦悩、家族愛、宿命。
性差とは何か?

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる