駄菓子屋継いだらロリハーレム

樋川カイト

文字の大きさ
上 下
94 / 125

第八十七話

しおりを挟む
「急に降ってきたな。優希は大丈夫か?」

「うん、大丈夫。でもびしょびしょだよ」

 そう言ってシャツの首元をパタパタと揺らす優希の姿は、やけに色っぽい。

 って、俺はなにを考えてるんだっ!

 ロリだけじゃなくてショタにまで手を出したら、いよいよ人間として終わりだぞ。

 いや、ロリに手を出している段階ですでに終わってはいると思うんだけど……

 とは言え、流石に今はそれどころじゃない。

 早く乾かさないと、お互い風邪を引いてしまう。

「優希の家って、ここから近いのか?」

「ううん。あっちの川を渡ってちょっと行った所」

「そっか……」

 じゃあ、俺の家の方が近いか。



 頭の中で地図を確認してみるけど、たぶん間違いないだろう。

「じゃあ、俺の家に行こうか」

「えっ?」

「ほら。早く服を乾かさないと、風邪引いちゃうかもしれないからさ」

 突然の提案に驚く優希にそう言いながら、俺は屋根の外の様子を確認する。

 相変わらず雨は降り続いているけど、さっきまでよりは弱まっている。

「今がチャンスだ。行くよ」

「あっ、待ってよ!」

 走り出した俺を慌てて追いかけるように、優希も走ってくる。

 置いていかないように調節しながら走ると、やがて優希は俺の隣に並んでいた。

「もう少しだけど、大丈夫?」

「余裕だよ」

 少し息切れしながら尋ねる俺とは違い、優希は本当に余裕そうだ。

 そうやって俺の家に着いた時には、俺だけが肩で息をしていた。

「はぁ、はぁ……」

「兄ちゃん、大丈夫?」

「うん、何とか」



 いつの間にか気安い感じの呼び方になっているけど、それを突っ込む元気もない。

 そもそも、そっちの方が親しみやすいから文句はないんだけど。

「それにしても、兄ちゃんってこのお店の人だったんだ」

 キョロキョロと店の中を珍しそうに見回しながら、優希はそう話しかけてくる。

「ああ、そうだよ。優希は来たことある?」

 店番中に見た記憶はないはずだけど、男の子はあまり注意してみていなかったから見逃しただけかもしれない。

「ううん、来たことはないよ」

 どうやら、俺が見逃してたわけではないらしい。

「……くしゅんっ」

 と、ここで優希が小さくくしゃみをする。

「すっかり身体が冷えちゃったし、風呂に入ろうか」

「ホントっ!? やった!」

 どうやら風呂が好きらしく、小さく飛び上がってガッツポーズする優希。

「あっ、でも着替えがないよ」

「大丈夫。乾燥機にかければすぐ乾くさ」



 家電には金を惜しまなかったから、うちには最新型の乾燥機もあるのだ。

 少し自慢だったが、優希は別になんとも思わなかったらしい。

「じゃあ大丈夫だね。おっふろ、おっふろー」

 とだけ言うと、すぐに興味を無くしてしまった。

 もう少し食いついてくれよ。

 少しだけがっかりしていると、突然優希の動きが止まる。

「ねぇ、兄ちゃん。一緒に入ろうよ」

 そしてそのまま俺の方を振り向くと、満面の笑顔を浮かべながらそう提案してきた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ!

コバひろ
大衆娯楽
格闘技を通して、男と女がリングで戦うことの意味、ジェンダー論を描きたく思います。また、それによる両者の苦悩、家族愛、宿命。 性差とは何か?

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

処理中です...