68 / 125
第六十二話
しおりを挟む
「やぁ。さすが時間ぴったりだね」
今日の為にオシャレをしたんだろう。
普段よりも着飾った印象のある杏里ちゃんの姿は、なんだか新鮮だった。
ちゃんと、俺のリクエスト通りにミニスカートを履いて来てくれているし。
杏里ちゃんのファッションチェックはこれくらいにして、約束の時間ぴったりに現れた杏里ちゃんの頭を撫でる。
そのまま挨拶をすると、杏里ちゃんはくすぐったそうにしながらも嬉しそうに身体を揺らしている。
そうしてひとしきり満足した俺が解放すると、杏里ちゃんはなにかを思い出したようだ。
「そう言えば、さっきの子……」
「え? 知り合いなの?」
「はい。たぶん、同じ学校の、お友達です」
へぇ、杏里ちゃんってちゃんと友達が居たんだ。
失礼な話かもしれないけど、ちゃんと自分で友達が作れるのか心配だったから安心した。
まぁ、きっとモイちゃんの方から話しかけたんだろうけど。
自分から話しかけるの、苦手そうだもんなぁ。
そんな事をぼんやりと考えていると、杏里ちゃんがジト目で俺の方を見ている。
「……さっきから、失礼なこと考えてませんか?」
「えっ!? そんなことないよ」
杏里ちゃんとは思えない鋭い洞察力に、思わずちょっと動揺してしまう。
できるだけ表に出ないように気を付けていたけど、もしかしたらばれてしまったかもしれない。
これは、急いで話を逸らさないと。
「ところで、今日の予定なんだけど」
「……はい」
まだ納得いっていないのか曖昧な返事を返してくる杏里ちゃんだけど、とりあえず話は聞いてくれるみたいだ。
「最近二人っきりで会うことなかったから、今日は杏里ちゃんとデートをしようと思って呼んだんだ」
「デート、ですか?」
小さく首を傾げながら、杏里ちゃんは聞き返してくる。
「でも、私だけじゃなんだかズルい気がします」
ああ、この子はそう言うことを気にする子だったな。
ここは、安心させてあげなくちゃ。
「大丈夫。他の二人とも、機会を作ってデートしようと思ってるから。杏里ちゃんが一番最初だっただけだよ」
そう言うと、杏里ちゃんはほっとした様に胸を撫で下ろしていた。
普通は、こういうことを言うと怒られるんじゃないのかな?
そんな小さな違和感はあるけど、これ以上文句を言うと罰が当たってしまう。
だから、小さい声で「お兄さんと、デート」なんて可愛い事を言っている杏里ちゃんの耳元に顔を寄せる。
「ところで、今日のデートの事でお願いがあるんだけど」
「お願いって、なんですか?」
俺の考えている事が分からないんだろう。
キョトンとした顔で俺を見つめてくる杏里ちゃんに微笑みかけながら、俺はその肩を抱いて店の中へと連れて行った。
さて、これからお楽しみの始まりだ……。
今日の為にオシャレをしたんだろう。
普段よりも着飾った印象のある杏里ちゃんの姿は、なんだか新鮮だった。
ちゃんと、俺のリクエスト通りにミニスカートを履いて来てくれているし。
杏里ちゃんのファッションチェックはこれくらいにして、約束の時間ぴったりに現れた杏里ちゃんの頭を撫でる。
そのまま挨拶をすると、杏里ちゃんはくすぐったそうにしながらも嬉しそうに身体を揺らしている。
そうしてひとしきり満足した俺が解放すると、杏里ちゃんはなにかを思い出したようだ。
「そう言えば、さっきの子……」
「え? 知り合いなの?」
「はい。たぶん、同じ学校の、お友達です」
へぇ、杏里ちゃんってちゃんと友達が居たんだ。
失礼な話かもしれないけど、ちゃんと自分で友達が作れるのか心配だったから安心した。
まぁ、きっとモイちゃんの方から話しかけたんだろうけど。
自分から話しかけるの、苦手そうだもんなぁ。
そんな事をぼんやりと考えていると、杏里ちゃんがジト目で俺の方を見ている。
「……さっきから、失礼なこと考えてませんか?」
「えっ!? そんなことないよ」
杏里ちゃんとは思えない鋭い洞察力に、思わずちょっと動揺してしまう。
できるだけ表に出ないように気を付けていたけど、もしかしたらばれてしまったかもしれない。
これは、急いで話を逸らさないと。
「ところで、今日の予定なんだけど」
「……はい」
まだ納得いっていないのか曖昧な返事を返してくる杏里ちゃんだけど、とりあえず話は聞いてくれるみたいだ。
「最近二人っきりで会うことなかったから、今日は杏里ちゃんとデートをしようと思って呼んだんだ」
「デート、ですか?」
小さく首を傾げながら、杏里ちゃんは聞き返してくる。
「でも、私だけじゃなんだかズルい気がします」
ああ、この子はそう言うことを気にする子だったな。
ここは、安心させてあげなくちゃ。
「大丈夫。他の二人とも、機会を作ってデートしようと思ってるから。杏里ちゃんが一番最初だっただけだよ」
そう言うと、杏里ちゃんはほっとした様に胸を撫で下ろしていた。
普通は、こういうことを言うと怒られるんじゃないのかな?
そんな小さな違和感はあるけど、これ以上文句を言うと罰が当たってしまう。
だから、小さい声で「お兄さんと、デート」なんて可愛い事を言っている杏里ちゃんの耳元に顔を寄せる。
「ところで、今日のデートの事でお願いがあるんだけど」
「お願いって、なんですか?」
俺の考えている事が分からないんだろう。
キョトンとした顔で俺を見つめてくる杏里ちゃんに微笑みかけながら、俺はその肩を抱いて店の中へと連れて行った。
さて、これからお楽しみの始まりだ……。
10
お気に入りに追加
95
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ!
コバひろ
大衆娯楽
格闘技を通して、男と女がリングで戦うことの意味、ジェンダー論を描きたく思います。また、それによる両者の苦悩、家族愛、宿命。
性差とは何か?

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる