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第五十三話
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「条件って、いったい……?」
何を要求されるのか、俺の心は戦々恐々としていた。
遺産を使えば大抵の物なら買い与えられるけど、そんな事で満足してくれそうな雰囲気じゃない気がする。
最悪、ここから地獄に落とされることだってあり得るかもしれない。
異常な緊張感に苛まれながら唯香の次の言葉を待っていると、これは突然起こった。
なんと、唯香がおもむろに服を脱ぎ始めたのだ。
「お前ッ!? なにやってんだ!?」
本当に突然の出来事に俺は思わず叫び、美海ちゃんと杏里ちゃんは驚いて目を丸くしながら固まっている。
「なにって、だから条件を出してるんだよ」
「まずはその条件を説明しろよ」
抗議の最中でも唯香の動きは止まらずに、あっという間に上着を脱いでしまった。
パンツと一緒のピンク色の可愛らしいブラジャーが肌によく映えている。
と、そんな俺を見つめてくる三人の視線を感じて、慌てて真面目な表情に戻る。
「ともかく、まずは説明してくれ」
「あのね。アニキは三人の女の子に手を出して、そのうちの二人と恋人になったでしょ」
「うっ……」
痛い所を突かれて、思わずうなってしまう。
だけど、唯香は俺を責めたかったわけではないらしく言葉を続ける。
「だったら、アタシだけ仲間外れにされるのは納得いかない。だから、アタシもアニキの彼女にしてっ」
言っていて恥ずかしくなったんだろう。
顔を真っ赤にしながら、唯香は半ばヤケクソのように俺に向かって叫んでいた。
「えっと、そんなことで良いのか?」
「そんなことってなによっ! これでも結構勇気出して言ったんだよ」
「そうだよ、お兄ちゃん」
「そんな言い方、酷いですっ」
ポロッと零した俺の呟きに反応して、三人から一気に非難の声が起こった。
いったい、いつの間に三人ともこんなに仲良くなったんだ?
それからも絶え間なく向けられる説教を止める為に、俺は慌てて取り繕う羽目になった。
「分かったって。ともかく、それで良いんだな」
「うん……」
唯香は頷いたけど、俺はかなり悩んでいた。
俺が良くっても、二人が……。
チラッと二人の顔を見ると、俺がなにを言いたいのかが伝わったようだ。
顔を見合わせた後、二人同時に笑顔で頷き返してくれた。
「アニキ、駄目……?」
止めとばかりに、唯香は可愛く釘を傾げると上目遣いに見上げてくる。
そうなってしまっては、男として答えない訳にはいかないじゃないかっ!
「……分かった。それでみんな幸せになるなら、俺はそれで良いよ」
「やったぁっ!」
「良かったね、お姉ちゃん」
「おめでとうございますっ!」
無邪気に喜び合う三人を見て、俺は自分の選択が間違っていなかったことを確信したのだった。
何を要求されるのか、俺の心は戦々恐々としていた。
遺産を使えば大抵の物なら買い与えられるけど、そんな事で満足してくれそうな雰囲気じゃない気がする。
最悪、ここから地獄に落とされることだってあり得るかもしれない。
異常な緊張感に苛まれながら唯香の次の言葉を待っていると、これは突然起こった。
なんと、唯香がおもむろに服を脱ぎ始めたのだ。
「お前ッ!? なにやってんだ!?」
本当に突然の出来事に俺は思わず叫び、美海ちゃんと杏里ちゃんは驚いて目を丸くしながら固まっている。
「なにって、だから条件を出してるんだよ」
「まずはその条件を説明しろよ」
抗議の最中でも唯香の動きは止まらずに、あっという間に上着を脱いでしまった。
パンツと一緒のピンク色の可愛らしいブラジャーが肌によく映えている。
と、そんな俺を見つめてくる三人の視線を感じて、慌てて真面目な表情に戻る。
「ともかく、まずは説明してくれ」
「あのね。アニキは三人の女の子に手を出して、そのうちの二人と恋人になったでしょ」
「うっ……」
痛い所を突かれて、思わずうなってしまう。
だけど、唯香は俺を責めたかったわけではないらしく言葉を続ける。
「だったら、アタシだけ仲間外れにされるのは納得いかない。だから、アタシもアニキの彼女にしてっ」
言っていて恥ずかしくなったんだろう。
顔を真っ赤にしながら、唯香は半ばヤケクソのように俺に向かって叫んでいた。
「えっと、そんなことで良いのか?」
「そんなことってなによっ! これでも結構勇気出して言ったんだよ」
「そうだよ、お兄ちゃん」
「そんな言い方、酷いですっ」
ポロッと零した俺の呟きに反応して、三人から一気に非難の声が起こった。
いったい、いつの間に三人ともこんなに仲良くなったんだ?
それからも絶え間なく向けられる説教を止める為に、俺は慌てて取り繕う羽目になった。
「分かったって。ともかく、それで良いんだな」
「うん……」
唯香は頷いたけど、俺はかなり悩んでいた。
俺が良くっても、二人が……。
チラッと二人の顔を見ると、俺がなにを言いたいのかが伝わったようだ。
顔を見合わせた後、二人同時に笑顔で頷き返してくれた。
「アニキ、駄目……?」
止めとばかりに、唯香は可愛く釘を傾げると上目遣いに見上げてくる。
そうなってしまっては、男として答えない訳にはいかないじゃないかっ!
「……分かった。それでみんな幸せになるなら、俺はそれで良いよ」
「やったぁっ!」
「良かったね、お姉ちゃん」
「おめでとうございますっ!」
無邪気に喜び合う三人を見て、俺は自分の選択が間違っていなかったことを確信したのだった。
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