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第三十話
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「あうぅ……。恥ずかしいよぉ」
あの後、意識を取り戻してからずっとこの調子だ。
よっぽど自分を見失ったのが恥ずかしかったようだ。
「結構可愛かったけどな」
「言うなぁっ! ああ、アニキにからかわれるなんて一生の不覚だよ」
お前、俺をなんだと思ってたんだ。
「いやいや、アタシはアニキの事大好きだよ。アイ・ラブ・ユー」
怒っている事が顔に出たのか、唯香は取り繕うように俺の腕に絡み付いてくる。
「そうだよな。最後に精液注がれながら告白するくらいだもんな」
「あうぅ……」
せっかく立ち直りかけていたのに、止めを刺してしまったかもしれない。
少し悪いと思いながらも、良く考えればほとんどコイツの自業自得だ。
誘ってきたのもコイツだし、告白したのだってコイツだ。
「……そう言えば、答えは?」
「ん?」
「だから、告白の答えだよ。アタシはアニキのことが大好きだけど、アニキはアタシのことどう思ってるの?」
言いながら不安になってきたのか、唯香はだんだん縋るような表情になっていく。
「あのね、アタシいろいろ調べたんだよ。親戚でも、三親等以上だったら結婚できるって。アタシ、普段は姪って事になってるけど、実は結婚だってできるんだよ」
「結婚って。いくらなんでも話が早すぎるだろ」
「じゃあ、彼女とか?」
なんだか吹っ切れてしまった唯香は、さっきまでよりもグイグイ迫ってくる。
そりゃあ俺だって唯香のことは好きだし、大切だ。
だけどだからこそ、俺なんかで本当に良いのかと考えてしまう。
……あと、唯香の両親が怖い。
あの人たち、唯香のことを溺愛してるからな。
俺が唯香に手を出したなんて知られたら、どうなることか……。
想像して、身体が震えてしまう。
「ねぇ、アニキ。……もしかして、もう好きな人がいるとか?」
「いや、好きな人と言うか……」
もういっそ、全てを話してしまった方が良いかも知れない。
だけど、本当に喋ってしまっても良いんだろうか?
唯香のことだから、知ったとしても悪いようにはしないだろうけど……。
「……なんちゃって。冗談だよ」
いつの間にか無言で考え込んでしまっていた俺は、唯香の言葉でハッと我に返った。
「は? 唯香、なにを言って……」
「だから、全部冗談。あ、アニキのことを好きなのは本当だけど、彼女とか結婚とかの話は冗談だよ」
いきなりそんなことする訳ないじゃん。
と言ってケタケタ笑う唯香は、だけどやっぱり無理をしているように見えた。
「そろそろ帰らないと。じゃあ、また来るね」
「唯香……」
身支度を整えて部屋を出ていこうとする唯香の背中に、俺は声がかけられない。
だけど、このままじゃ絶対に駄目だ。
「いつか、絶対話すから。ちょっと待っててくれ」
「……うん、待ってる。それじゃ、バイバーイ!」
振り返って手を振る唯香に、俺の気持ちが届いたのかどうかは分からなかった。
だけど、俺の心にはちゃんとその決意が刻み込まれたのだった。
あの後、意識を取り戻してからずっとこの調子だ。
よっぽど自分を見失ったのが恥ずかしかったようだ。
「結構可愛かったけどな」
「言うなぁっ! ああ、アニキにからかわれるなんて一生の不覚だよ」
お前、俺をなんだと思ってたんだ。
「いやいや、アタシはアニキの事大好きだよ。アイ・ラブ・ユー」
怒っている事が顔に出たのか、唯香は取り繕うように俺の腕に絡み付いてくる。
「そうだよな。最後に精液注がれながら告白するくらいだもんな」
「あうぅ……」
せっかく立ち直りかけていたのに、止めを刺してしまったかもしれない。
少し悪いと思いながらも、良く考えればほとんどコイツの自業自得だ。
誘ってきたのもコイツだし、告白したのだってコイツだ。
「……そう言えば、答えは?」
「ん?」
「だから、告白の答えだよ。アタシはアニキのことが大好きだけど、アニキはアタシのことどう思ってるの?」
言いながら不安になってきたのか、唯香はだんだん縋るような表情になっていく。
「あのね、アタシいろいろ調べたんだよ。親戚でも、三親等以上だったら結婚できるって。アタシ、普段は姪って事になってるけど、実は結婚だってできるんだよ」
「結婚って。いくらなんでも話が早すぎるだろ」
「じゃあ、彼女とか?」
なんだか吹っ切れてしまった唯香は、さっきまでよりもグイグイ迫ってくる。
そりゃあ俺だって唯香のことは好きだし、大切だ。
だけどだからこそ、俺なんかで本当に良いのかと考えてしまう。
……あと、唯香の両親が怖い。
あの人たち、唯香のことを溺愛してるからな。
俺が唯香に手を出したなんて知られたら、どうなることか……。
想像して、身体が震えてしまう。
「ねぇ、アニキ。……もしかして、もう好きな人がいるとか?」
「いや、好きな人と言うか……」
もういっそ、全てを話してしまった方が良いかも知れない。
だけど、本当に喋ってしまっても良いんだろうか?
唯香のことだから、知ったとしても悪いようにはしないだろうけど……。
「……なんちゃって。冗談だよ」
いつの間にか無言で考え込んでしまっていた俺は、唯香の言葉でハッと我に返った。
「は? 唯香、なにを言って……」
「だから、全部冗談。あ、アニキのことを好きなのは本当だけど、彼女とか結婚とかの話は冗談だよ」
いきなりそんなことする訳ないじゃん。
と言ってケタケタ笑う唯香は、だけどやっぱり無理をしているように見えた。
「そろそろ帰らないと。じゃあ、また来るね」
「唯香……」
身支度を整えて部屋を出ていこうとする唯香の背中に、俺は声がかけられない。
だけど、このままじゃ絶対に駄目だ。
「いつか、絶対話すから。ちょっと待っててくれ」
「……うん、待ってる。それじゃ、バイバーイ!」
振り返って手を振る唯香に、俺の気持ちが届いたのかどうかは分からなかった。
だけど、俺の心にはちゃんとその決意が刻み込まれたのだった。
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