駄菓子屋継いだらロリハーレム

樋川カイト

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第十一話

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「ふわぁぁ……。暇だ……」

 世間はゴールデンウィーク真っ盛り。

 街は賑わい、観光地は人で溢れかえっていることだろう。

 そんな日に俺は一人、駄菓子屋の居間で寝転がっていた。

 本来なら、連休には駄菓子屋も大忙しだと思うだろう。

 ところがどっこい、人生とはそう上手くはいかない。

 どうやらこの辺りの家庭の両親は家族思いが多いらしい。

 子どもたちは軒並み家族旅行に出かけ、数少ない何処にも行かない子どもたちも、駄菓子屋に毎日は来ない。

 有体に言えば、客が来ないのだ。

 厳密には、ゴールデンウィーク初日の一昨日はまだ良かった。



 だけど昨日は、三人しか客が来なかった。

 しかも、一人は美海ちゃんだから実質二人だ。

 だから我が駄菓子屋は、本日休みを頂くことにしたのだ。

 したの、だが……。

「暇だ……」

 休んだからって、何もやることがない。

 美海ちゃんと遊ぼうにも、美海ちゃんたち家族は旅行中で居ない。

 他に知り合いも居ないし、だから後は寝るくらいしかやる事がないんだ。

「とは言っても、一日中寝てるだけじゃ駄目だよなぁ」

 正直、もう寝るのも飽きてきたところだ。

 ここらで、散歩にでも出るか。

 思い立ったが吉日。

 俺は財布とスマホだけを持って、飛び出すように外へと繰り出した。





 ――

 外に出たところで、別に目的地があった訳ではない。

 当てもなくブラブラと適当に歩いていたら、いつの間にかちょっと遠くまで来すぎてしまったかもしれない。

 街から少し離れた、自然豊かな公園。

 自然豊かなと言っても別にそれを狙っている訳ではなく、ただ単に整備が行き届いてないだけだ。

 まぁ、森の近くだから手入れも大変なんだろう。

 見た所、使っている人もほとんど居なそうだし。

 特に今日なんて、本当に誰も居ないだろう。

 すっかり汚れてしまっている、しばらく使われていないベンチに腰かけて一休みする。

「ふぅ、暑いな」

 五月とは言え、晴天の下を歩いていればそりゃあ暑い。

 途中にあった自販機で買った缶コーヒーを飲みながら、これからどうするかを考えてみる。

 これ以上歩いても、特になにも起きそうにない。

 かと言って、このまま帰ってもそれはそれでつまらない。

 欲を言えば後二時間くらいは、どうにかして時間を潰したいところだ。



 そこでふと、森への入り口を見つける。

 木の陰になって見えにくかったけど、確かにそこは道になっていた。

 遊歩道みたいだけど、いったいどこまで続いているんだろうか?

 一応の整備はされているみたいで、木陰になっているそこはとても涼しそうに見えた。

 ここに行ってみるのも面白そうだ。

 何の準備もしていないけど、これくらいなら軽く行けるだろう。

 駄目そうなら、その時は諦めて引き返せば良いだけだ。

「よし、行くか」

 立ち上がって、近くのゴミ箱に缶を捨てて歩き出す。

 そのまま真っ直ぐ遊歩道を歩いて、俺は森の中に足を踏み入れた。



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