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第72話

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「ねぇ、いったいどこまで行くつもりなの?」
 手を引かれたまましばらく歩いてみたけど、どうにも様子がおかしい気がした俺はもう一度遥花ちゃんに声を掛ける。
 しかし彼女は答えずにどんどんと歩いていき、握られた手を振り払う訳にもいかない俺はそんな遥花ちゃんについて行くしか選択肢がない。
 そうこうしているうちにだんだんと人気はなくなっていくし、気が付けば繁華街からは少し離れたところにまで来てしまっている。
 これからどうなってしまうのかと言う不安は少なからずあるけど、しかし俺はあくまでポジティブに今の状況を楽しんでもいた。
 例えるなら、少女漫画のヒロインがイケメンに連れられてどこかへ向かっているような、そんな気分だった。
 しかし、現実はそんなに甘いものではない。
 どうやら俺は、少女マンガではなくエロ漫画のヒロインだったようだ。
「よし、到着っ!」
 そう言って遥花ちゃんに連れてこられたのは、どう考えてもあまりよろしくない人たちが利用する溜まり場みたいな場所だった。
 廃ビルなのか資材置き場なのかは知らないけど、ともかく滅多に人なんてやってこないような寂れた場所。
 幸い俺たち以外に人は居なかったけど、それがむしろこの場所の不気味さを増す要因になっているような気がする。
 そんな場所に俺を連れてきた遥花ちゃんは、なんだか手馴れた動きで俺を奥へ押し込むと入り口を塞ぐように立ちはだかる。
 唯一の出入り口であるそこを抑えられてしまえば、もう俺に逃げ出す術など残されてはいない。
 まぁ、逃げ出す気なんて最初からないんだけど。
「えっと、遥花ちゃん。どうしてこんな所に俺を連れて来たの……?」
「ふふっ。どうしてだろうね?」
 柔らかく微笑んではいるけど、その瞳は獲物を見据える肉食獣の光に満ちていた。
「駄目なんだよ、悠太くん。いくらクラスメイトだからって、女の子に簡単についていっちゃ」
 そうしてゆっくりと近寄ってくる遥花ちゃんに怯えるような仕草で後ずさりしても、背中はすぐに壁へぶつかってしまう。
「ほら、逃げられないよ。……残念だったね」
「お、俺を、どうするつもり……?」
 あえて気弱で初心な振りをしてみると、遥花ちゃんはすっかり本性を現した。
「大丈夫だよ。大人しくしてたら、痛くはしないから。むしろ、気持ち良くなっちゃうかもね」
 まるでテンプレのようなそのセリフに思わず笑ってしまいそうになりながらも、すんでのところでそれを抑えて怯えた表情を浮かべる俺。
 それに気を良くした遥花ちゃんは、壁を背に立ち竦む俺を正面からふんわりと抱きしめてきた。
 そうすると彼女の柔らかい感触が身体中に広がって、その幸せな感覚に思わず表情が緩んでしまった。
「あれ? 笑ってるの? 余裕だね」
「いや、そんな事ないよ……」
 今の俺は、あくまで哀れな被害者だ。
 蛇に睨まれた蛙、狼の前に差し出された哀れな子羊でなくてはならない。
 だからこそ努めて怯えた演技をしているのだけど、身体は俺の意思に反して正直に反応してしまう。
 甘く勃起し始めたちんぽは俺のズボンを押し上げて膨らみ、それは密着している遥花ちゃんの太ももをそっと押し返す。
 その感触に気付いた彼女は、一瞬の沈黙の後に微笑みを深めて俺を見つめる。
「女にこんな事されて興奮するなんて、悠太くんっていやらしいんだね」
「い、いやらしくなんてないよっ!」
 嘘です、本当はすっごくいやらしい人間です。
 心の中で謝りながらもあくまで被害者を装っていると、急にしゃがみ込んだ遥花ちゃんは俺のズボンを手早く下ろし始めた。
 慣れた手つきでベルトを外され、パンツごと一気にズボンをずり下ろされる俺。
 そうすると、勃起しているちんぽは勢いよく彼女の目の前にさらけ出されてしまった。
「うわっ、すっごく大きい……。悠太くんって顔だけじゃなくてこっちもイケメンなんだね」
 ちんぽがイケメンっていう意味は良く分からないけど、しかし褒められれば素直に嬉しい。
 その気持ちを表すようにちんぽがピクッと震え、それを見た遥花ちゃんは嬉しそうに目を細める。
「もうこんなにしてるって事は、期待してるんだよね……。それじゃ、触ってあげるから大人しくしててね」
 そう言った遥花ちゃんの指が俺のちんぽに触れると、すべすべして少しひんやりした感触に、背筋がゾゾッと小さく震えた。
「ふふ、すごく熱くなってるよ……。ほら、こうされると気持ち良いでしょ?」
 シュッシュッと微かな音を立てながら遥花ちゃんの指が動くと、その柔らかい刺激を感じたちんぽからは透明な汁がじわりと漏れ出してくる。
 その液体をすくい取るように指に絡めて、遥花ちゃんは更に力を込めてちんぽを扱いていく。
「くっ…、うぅ……」
「ほら、ほら……。ここが気持ち良いの? それとも、こっち?」
 すっかり調子に乗った遥花ちゃんの問いかけに応えられないでいると、彼女は空いている手をそっと俺に向かって伸ばしてきた。
 その手は真っ直ぐに俺の睾丸へと指を這わせて、柔らかい指遣いでコロコロと刺激を与える。
「なんだか物足りなさそうだし、こっちも弄ってあげるね。ほぉら、気持ち良いでしょ?」
 今まで感じた事のない快感と、急所を握られていると言う恐怖がせめぎ合い、そのなんとも言えない快感は俺の精神を少しずつ蝕んでいく。
「は、遥花ちゃん……。もう……」
 俺の精神はすっかり快感に支配されてしまい、このまま刺激され続ければあっさりと精を吐き出してしまうだろう。
 しかし、遥花ちゃんはそんなに甘くはなかった。
「はい、お預け」
 俺の様子を注意深く観察していた彼女は、上り詰めていく俺を焦らすように唐突に全ての刺激を取り上げてしまう。
 そうするとちんぽは名残惜しそうにピクピクと震え、先端からは我慢汁が小さな滴となって溢れ出してくる。
「ねぇ、遥花ちゃん。意地悪しないでよ」
「意地悪なんてしてないよ。私は、悠太くんが辛そうだったからこれ以上は可哀想だと思っただけだもん」
 なんて白々しく答えた遥花ちゃんは、ニヤついた表情で俺を見上げてくる。
「ねぇ、どうしたの? 何もしてないのにそんなに辛そうにして。……私に、どうして欲しいの?」
 すでに快感の虜になっている俺は、震える声で彼女の問いに答えた。
「もっと、気持ち良くして欲しい……」
「うん、良く言えました。……ちゅっ」
 にっこりと微笑んだ遥花ちゃんは、そう言って俺のちんぽにそっとキスを落とした。
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