逆転世界で俺はビッチに成り下がる

樋川カイト

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第3話

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 ハーレム王になる為に俺がはじめに取り掛かったのは、自分の周りにいる可愛い女の子の選定である。
 クラス内だけを見ても、色々なタイプの女子が居る。
 可愛い子からタイプじゃない子、更にははっきりブスな女の子まで、選り取り見取りだ。
 いや、この場合は玉石混交と言ったほうが正しいのか?
 まぁ、良く分からんからどっちでもいいや。
 ともかくまずは、周りにいる女の子の中から可愛くてチョロそうな標的を見つけるところから始める事にした。
 だけど、初めから妥協はしたくない。
 なんたって、童貞喪失は人生の一大イベントだからな。
 間違っても、そこらにいる適当な子で済ませたりはしたくない。
 ……別にそれでも良い気がしてきた。
 最初から高望みするのは良くないし、性的に経験値を積んでおいた方が本命の女の子を満足させてあげられそうだ。
 と考えるのは、今日一日クラス内の女子を眺め続けた俺の結論だ。
 正直言って、やっぱりどこの世界でも可愛い子はガードが固い。
 正確には、グループ内で牽制し合っている印象だ。
 この世界の女子にとって処女卒業はどうにかしてしておきたいものらしいが、同時に友人に先を越されるのが悔しいようだ。
 俺も元の世界で経験があるのだが、モテない女子ほど自分を磨くより相手を邪魔する事に命を懸けている。
 哀しいかな、モテない人間の思考回路などみんな同じという訳だ。
 まぁ、そう言う訳でクラス内の女子にいきなり手を出すのは難しいかもしれない。
 可愛い子は、軒並みガードが固いんだよこんちくしょう。
 ちなみにこれは最近になって気付いたんだが、この世界でモテる女子の条件も変わっているらしい。
 男が華奢で弱々しい、もとい女々しい、じゃなくって……、守ってあげたくなる感じが好まれるのとは逆に、女はスレンダーでサバサバした感じの性格がモテるらしい。
 いわゆる、男っぽい方が良いんだとか(中田中談)
 つまりおっぱいやお尻が大きく可愛らしいって感じの女の子より、キリッとスラッとしたバリバリのキャリアウーマンみたいな子がモテる、と。
 俺はどっちも好きだけど、どちらかと言うとおっぱいもお尻も大きい方が良いので、この世界では微妙に趣味が悪いみたいだ。
 いや、少なからず居るらしいけどね、そう言う男も。
 そのせいなのか、俺が「可愛いな」って思う女の子はみんな周りの牽制が激しい。
 友人に自分より早く彼氏が出来る事を阻止するために、あえて悪い言い方をすればお互いを監視しあっているのだ。
 いつもグループで居るから、話しかけ辛い事この上ない。
 まぁ俺も、中田中たちに休み時間ごとに捕まっていて自由行動ができないんだけど。
 ともかくそんなこんなで、ただ女の子を眺めるだけで放課後になってしまった。
 流石に下校時にまで男まみれは嫌だったので中田中たちの誘いは丁重にお断りして、俺は一人で帰路に着く。
 と言っても、真っ直ぐ家になんて帰らないんだが。
 クラスの女子が駄目なら、それ以外の女子を狙えばいい。
 女なんて街を歩けばごまんといるし、俺の美貌があれば(たぶん)どんな女でもイチコロだ。
 と考えて繁華街を歩いてみたんだが、これは普通に悪手だった。
 なぜって、ナンパが多い多い。
 他校の制服を着た高校生だったり、大学生風の女子だったり、はたまた中学生三人組だったり。
 ともかく数分歩くごとに声を掛けられる始末だ。
 いやぁ、イケメンってのもなかなか大変だなぁ(棒)。
 けっこう好みの子も居たし、本当なら相手してあげたいところだけど、出来れば童貞はじめて処女はじめてに捧げたい。
 だからこそ、ナンパしてくるようなビッチは願い下げだ。
 ごめんね、今度は遊んであげるからね。
 そうやって何度目かのナンパを断ってから、俺は少し休憩する事にした。
 ちょうど近くに喫茶店もあるし、そこで良いか。
 カランコロン、と軽い音を立てて純喫茶風の扉を開くと、中に居たウェイトレスさんが俺に駆け寄ってきた。
「いらっしゃいませ。おひとりです、か……?」
 そして俺の顔を見ると、そのまま固まってしまう。
「えっ? 長瀬、くん……?」
 名前を言われて気付いたけど、この顔には見覚えがある。
「確か、中根なかねかおるさんだったっけ?」
「うん。……覚えててくれたんだ」
 もちろん、覚えているに決まっている。
 クラスでも一、二を争う巨乳の持ち主で顔立ちも整っていて、友人との会話を聞く限り性格も良くてなおかつチョロそう。
 ついでに言えば、友人と話している会話を盗み聞きして彼女が処女であると言う情報も得ている。
 俺の中で、攻略対象にしたい女の子No.1に君臨する美少女ちゃんだ。
 そんな美少女ちゃんが、フリフリのウェイトレスとなって俺の目の前に現れたのだ。
 まさに、カモがねぎを背負ってきたと言っても過言ではない。
 そんな美少女ちゃん、もとい中根さんは、相変わらず呆然と俺を見つめている。
「長瀬くんは、どうしてここに?」
「どうしてって、コーヒーでも飲もうと思って」
 喫茶店に来る理由なんて、それくらいしかないだろう。
「あっ、そうだよね! えっと、こちらへどうぞ」
 馬鹿な質問をした事に気付いた中根さんは顔を赤くしながら俺を席へと案内して、メニューを渡すとそそくさと去って行った。
 去り際にスカートが捲れてパンツを見せてくれたのは、なにかのサービスかな?
 水色の縞々、ありがとうございます。
 それにしても、こんな所で中根さんに会えるなんてラッキーだ。
 今なら彼女の友人も居ないみたいだし、攻略を始めるなら絶好のタイミングではなかろうか。
 いつやるの? 今でしょ。
 なんて少し古いネタを考えていると、中根さんが注文を取りに来た。
「ご注文お決まりですか?」
 そうだね、君を。
 なんて言えるほど度胸のない俺は、無難にアイスコーヒーを注文する。
 そして再び去って行こうとする中根さんの背中に、俺は思い切って声を掛けた。
「ねぇ、中根さん。バイトっていつ終わる?」
 さぁ、ハーレム計画の始まりだ。
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