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一段落して少女と話そう
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「ありがとう、おかげで助かったわ。魔力切れのところを襲われて、本当に困ってたの」
あの後、すっかり顔色も良くなった少女は笑顔で頭を下げた。
彼女の身体からは完全に怪我がなくなり、ただ所々破れた服の隙間から白い肌が見え隠れしている。
「いや、どういたしまして。無事に助けられて良かったよ」
そんな男にとって非常に素敵な光景に慌てて目を逸らしながら、俺は小さく頷きながら答える。
そのせいで少し素っ気ない感じになってしまったけど、少女は特に気にした様子はなかった。
「それにしても、クラフトシステムだっけ? それってやっぱり、救世主様みたいね」
「……さっきからよく聞くけど、その救世主様ってのはなんなんだ?」
「ああ、人族にはあまり馴染みがないのかしら? 救世主様っていうのは、神様から授けられた力を持ってこの世の理の外から世界を救ってくれる方のことよ。特に私たちエルフの里は、古くからの言い伝えがあるの。『わずかな品をもちいて、幾千の糧を生み出さん。その者、まさしく神より力授かり、理の外より我らを救いし救世主なり』ってね」
古くさい言い伝えでしょ。
そう言いながら笑う少女だったけど、俺はそれよりも彼女の言葉の中にあった単語に気を取られてしまった。
「……なぁ、今エルフって言ったか? もしかして、君はエルフなのか?」
俺のそんな問いかけに、少女はあっさりとした口調で答える。
「ああ、そういえば自己紹介がまだだったわね。私は旅エルフのリリィ。よろしくね」
「俺の名前は……、シューゴだ。こちらこそよろしく」
一瞬だけ悩んだものの、俺は本名ではなくゲームでのプレイヤー名を答える。
俺にとってはもはやこっちの名前の方がしっくりくるし、なによりあからさまな日本人名では浮いてしまうかもしれない。
まぁ、シューゴという名前もあまり変わらないかもしれないけど、それでも少しはマシだろう。
そんな自分の言動へのツッコミは頭の隅に置いておいて、俺はさらに気になった単語について質問する。
「ところで、その旅エルフってのはなんなんだ? 普通のエルフと、なにか違うのか?」
「……旅エルフも知らないなんて、いったいどんな田舎に住んでたの?」
訝しむようにジト目でこちらを見つめてくるリリィに、俺はただ曖昧な微笑みを浮かべるしかない。
「いやぁ、面目ない。いろいろあって、知らないことの方が多いんだ。できれば、軽くで良いから教えてもらえると助かるんだけど」
誤魔化すような俺の言葉を黙って聞いていたリリィは、やがて諦めたように小さくため息を吐きながら口を開いた。
「……はぁ、分かったわ。危ないところを助けてもらった恩もあるし、しばらく私があなたの面倒をみてあげる」
呆れたように呟くリリィは、そう言いながら微笑んでくれた。
あの後、すっかり顔色も良くなった少女は笑顔で頭を下げた。
彼女の身体からは完全に怪我がなくなり、ただ所々破れた服の隙間から白い肌が見え隠れしている。
「いや、どういたしまして。無事に助けられて良かったよ」
そんな男にとって非常に素敵な光景に慌てて目を逸らしながら、俺は小さく頷きながら答える。
そのせいで少し素っ気ない感じになってしまったけど、少女は特に気にした様子はなかった。
「それにしても、クラフトシステムだっけ? それってやっぱり、救世主様みたいね」
「……さっきからよく聞くけど、その救世主様ってのはなんなんだ?」
「ああ、人族にはあまり馴染みがないのかしら? 救世主様っていうのは、神様から授けられた力を持ってこの世の理の外から世界を救ってくれる方のことよ。特に私たちエルフの里は、古くからの言い伝えがあるの。『わずかな品をもちいて、幾千の糧を生み出さん。その者、まさしく神より力授かり、理の外より我らを救いし救世主なり』ってね」
古くさい言い伝えでしょ。
そう言いながら笑う少女だったけど、俺はそれよりも彼女の言葉の中にあった単語に気を取られてしまった。
「……なぁ、今エルフって言ったか? もしかして、君はエルフなのか?」
俺のそんな問いかけに、少女はあっさりとした口調で答える。
「ああ、そういえば自己紹介がまだだったわね。私は旅エルフのリリィ。よろしくね」
「俺の名前は……、シューゴだ。こちらこそよろしく」
一瞬だけ悩んだものの、俺は本名ではなくゲームでのプレイヤー名を答える。
俺にとってはもはやこっちの名前の方がしっくりくるし、なによりあからさまな日本人名では浮いてしまうかもしれない。
まぁ、シューゴという名前もあまり変わらないかもしれないけど、それでも少しはマシだろう。
そんな自分の言動へのツッコミは頭の隅に置いておいて、俺はさらに気になった単語について質問する。
「ところで、その旅エルフってのはなんなんだ? 普通のエルフと、なにか違うのか?」
「……旅エルフも知らないなんて、いったいどんな田舎に住んでたの?」
訝しむようにジト目でこちらを見つめてくるリリィに、俺はただ曖昧な微笑みを浮かべるしかない。
「いやぁ、面目ない。いろいろあって、知らないことの方が多いんだ。できれば、軽くで良いから教えてもらえると助かるんだけど」
誤魔化すような俺の言葉を黙って聞いていたリリィは、やがて諦めたように小さくため息を吐きながら口を開いた。
「……はぁ、分かったわ。危ないところを助けてもらった恩もあるし、しばらく私があなたの面倒をみてあげる」
呆れたように呟くリリィは、そう言いながら微笑んでくれた。
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