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スキルを使って少女を救おう

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 スキルが発動すると同時に、俺を中心とした周りにある物全ての情報が浮かび上がるように俺の視界に映る。
 まるで俺自身がソナーになったように集まってくるその情報たちに、俺はうまくスキルを使えたことを確信した。
「よし! やっぱり、クラフト以外のスキルもちゃんと使えるみたいだ!」
 そうなれば話は早い。
 必要な材料を探すように周囲を見渡せば、少し離れた場所にそれは群生しているようだった。
 近寄って採取してみれば、確かに俺の求めている材料に間違いない。
 しかも、採取したてだからかかなり品質も良さそうだ。
「この薬草を使ってクラフトすれば、きっと質の良いポーションができるはずだ」
 そうと決まれば善は急げだ。
 さっそく頭の中にレシピを思い浮かべると、クラフトシステムを発動させる。
「クラフト、低級ポーション」
 スキル発動とともに薬草が光に消え、代わりに小瓶に入った緑色の液体が俺の手の中に現れる。
 淡い光を放つその液体は、品質の高さを物語っているようだった。
「よし、完成だ。……でも本当に効くのか、これ?」
 ゲームでは使うだけでHPが回復していたけど、それはあくまでゲームの中での話だ。
 異世界とはいえ現実であるこの世界で、そんなに便利なアイテムがはたして存在しているのだろうか?
「となれば、まずは試してみる必要があるよな……」
 幸いなことに、ここにはおあつらえ向きの実験台が居る。
 さっきから左腕の痛みもだんだん激しくなっている気がするし、もしこれで本当に治るのなら試してみる価値は大いにある。
 と言うわけで、さっそく俺は瓶のフタを開けると中身を一気に飲み干す。
 その瞬間、さっきまであんなに酷かった左腕の痛みが嘘のように消えてしまった。
 試しに左手を開いたり閉じたりして動かしてみても、違和感はまったくない。
 どうやら、ポーションは本当に効果があるみたいだ。
「それにしても、怖いくらいの効き目だな。……副作用とかって、ないよな?」
 まぁ、あったとしても死ぬようなことはないだろう。
「それよりも、早くあの子を治療してあげないと」
 急いでもう一本ポーションを作った俺は、座り込んだまま動くこともできない様子の少女に駆け寄っていく。
「ほら、これ飲んで! そうすれば、すぐに良くなるから!」
 その少女の口元にフタを開けた瓶を近づけると、ゆっくりと傾けながら中の液体を彼女の口へと流し込んでいく。
 口の端から少しこぼしながらもなんとか少女がポーションを飲み込むと、その効果はすぐに現れた。
 彼女の身体中にあった無数の傷が微かに光ると、まるで最初から傷なんてなかったかのようにあっさりと塞がる。
 同時に苦しそうだった少女の息遣いも収まってきて、不意に顔を上げた彼女と目が合った。
「あなた、もしかして救世主様……?」
 俺を見つめた少女の口から漏れたその呟きに、俺は思わず首を傾げてしまった。
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