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蛇足の章
過去が追いかけてくる_1
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ストーリー中盤ぐらいのイメージです
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この世界に来てから夜空が好きになった。
大半の文明が駆逐されて地上を照らす灯りが少ないからか、大半の文明が駆逐されて空を汚さないからか、この世界の星空は綺麗だ。
星空は何も語らない。
俺を責めることも、俺を慰めることも。
ただ、そこに変わらず有り続けてくれる。
そんな距離感が心地よかったんだ。
ユウキの、主人公の仲間達が増えていくほどに、俺は自分の居場所が無くなっていくように感じていた。
だからかな、そんな自分を慰めるために一人抜け出して夜空を見上げていた。
ぱんっ
乾いた炸裂音と、少し遅れて右肩に焼けるような痛みが走る。
「お父さんの、お母さんの、弟の、お祖母ちゃんの……クレイスターの……みんなの……仇!!!」
まだ年若い少女の声。
声の主は金髪ツインテールで胸が大きめの天上人の少女ラフィル・ストライス。
ユウキの……仲間の一人だ。
そのブラウンの瞳は憎悪に燃えている。
カリーヌ・スクレイアート15歳。
天上人である彼女の故郷は大型の異形の襲来により滅んでいる。
彼女を含め留学や仕事等で故郷を離れていた一部の人間だけが生き延びている。
ゲーム中では彼女の故郷の名前は開示されていなかったが、メインストーリーの中で仇である大型の異形を殺すことでカリーヌの心の傷は次第に癒されていく……だったかな。
金髪ツインテール、復讐に囚われていて、それが果たされたら自分の気持ちに気が付いて次第に主人公に惹かれていく。
カリーヌはそんな分かりやすいヒロインの1人だ。
そんな彼女が、俺の事を仇と叫び、銃口を向けている。
頭が冷え、タイジュとしての思考が加速していく。
どこで知った?
誰から聞いた?
他の誰かに話したのか?
拷問して情報を引き出すべきか?
他の誰かに気が付かれる前にすぐに処理すべきか?
「俺を殺して、みんなになんて説明するつもりだ?」
「し、知らないわよ!アンタを殺したら、きっとユウキはアタシを許さない。出ていくしかないじゃない!」
「こんな時でも単純馬鹿か」
「煩い煩い煩い!みんなを殺したくせにアタシに意見するな!」
あまりの無計画っぷりに開いた口が塞がらないとはこの事か。
「誰の指示……イヤ、誰に教えられた?」
「否定、しないんだ」
「ああ、俺がクレイスターを、そこに住み人間を皆殺しにした。質問に答えろ、誰の指示だ」
そう言葉にした瞬間、また炸裂音が鳴り響き、その弾丸は頬掠めた。
「畜生、当てろよ」そう思ってしまう自分に自嘲しながらもカリーヌに侮蔑の視線を向ける。
「下手糞。玉の無駄だ。弾丸代がもったいないから銃なんて捨てちまえ」
「わざと外したのよ。アンタを殺すのは、全部話して貰ってからよ」
「はんっ、理由なんてねーよ。空中都市クレイスター、堕とせると思ったから堕としただけだ。脱出艇を全て壊して回ったのも、1人も逃がさないためだ。お前、何を期待して聞いてんだ?お涙頂戴で適当な理由くっちゃべって俺が土下座して許しを請うとこでも見れると思ったか?悲劇のヒロインぶってんじゃねーよ!」
泣きだして、逃げ出したい。
そんな自分を奮い立たせようとすると口からは汚い言葉しか出てこなかった。
「このッ……!!」
怒りに燃える両眼を吊り上げ、鬼のような形相となったカリーヌは今度こそ俺の頭に照準を合わせたその瞬間、仄かな青い光と共に腰まである青い髪を夜風にたなびかせた少女が俺を庇うように両手を広げて現れた。
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この世界に来てから夜空が好きになった。
大半の文明が駆逐されて地上を照らす灯りが少ないからか、大半の文明が駆逐されて空を汚さないからか、この世界の星空は綺麗だ。
星空は何も語らない。
俺を責めることも、俺を慰めることも。
ただ、そこに変わらず有り続けてくれる。
そんな距離感が心地よかったんだ。
ユウキの、主人公の仲間達が増えていくほどに、俺は自分の居場所が無くなっていくように感じていた。
だからかな、そんな自分を慰めるために一人抜け出して夜空を見上げていた。
ぱんっ
乾いた炸裂音と、少し遅れて右肩に焼けるような痛みが走る。
「お父さんの、お母さんの、弟の、お祖母ちゃんの……クレイスターの……みんなの……仇!!!」
まだ年若い少女の声。
声の主は金髪ツインテールで胸が大きめの天上人の少女ラフィル・ストライス。
ユウキの……仲間の一人だ。
そのブラウンの瞳は憎悪に燃えている。
カリーヌ・スクレイアート15歳。
天上人である彼女の故郷は大型の異形の襲来により滅んでいる。
彼女を含め留学や仕事等で故郷を離れていた一部の人間だけが生き延びている。
ゲーム中では彼女の故郷の名前は開示されていなかったが、メインストーリーの中で仇である大型の異形を殺すことでカリーヌの心の傷は次第に癒されていく……だったかな。
金髪ツインテール、復讐に囚われていて、それが果たされたら自分の気持ちに気が付いて次第に主人公に惹かれていく。
カリーヌはそんな分かりやすいヒロインの1人だ。
そんな彼女が、俺の事を仇と叫び、銃口を向けている。
頭が冷え、タイジュとしての思考が加速していく。
どこで知った?
誰から聞いた?
他の誰かに話したのか?
拷問して情報を引き出すべきか?
他の誰かに気が付かれる前にすぐに処理すべきか?
「俺を殺して、みんなになんて説明するつもりだ?」
「し、知らないわよ!アンタを殺したら、きっとユウキはアタシを許さない。出ていくしかないじゃない!」
「こんな時でも単純馬鹿か」
「煩い煩い煩い!みんなを殺したくせにアタシに意見するな!」
あまりの無計画っぷりに開いた口が塞がらないとはこの事か。
「誰の指示……イヤ、誰に教えられた?」
「否定、しないんだ」
「ああ、俺がクレイスターを、そこに住み人間を皆殺しにした。質問に答えろ、誰の指示だ」
そう言葉にした瞬間、また炸裂音が鳴り響き、その弾丸は頬掠めた。
「畜生、当てろよ」そう思ってしまう自分に自嘲しながらもカリーヌに侮蔑の視線を向ける。
「下手糞。玉の無駄だ。弾丸代がもったいないから銃なんて捨てちまえ」
「わざと外したのよ。アンタを殺すのは、全部話して貰ってからよ」
「はんっ、理由なんてねーよ。空中都市クレイスター、堕とせると思ったから堕としただけだ。脱出艇を全て壊して回ったのも、1人も逃がさないためだ。お前、何を期待して聞いてんだ?お涙頂戴で適当な理由くっちゃべって俺が土下座して許しを請うとこでも見れると思ったか?悲劇のヒロインぶってんじゃねーよ!」
泣きだして、逃げ出したい。
そんな自分を奮い立たせようとすると口からは汚い言葉しか出てこなかった。
「このッ……!!」
怒りに燃える両眼を吊り上げ、鬼のような形相となったカリーヌは今度こそ俺の頭に照準を合わせたその瞬間、仄かな青い光と共に腰まである青い髪を夜風にたなびかせた少女が俺を庇うように両手を広げて現れた。
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