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初めましてから、やり直そう。
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椅子に座ると再び俺は両肘を机について司令官ポーズをとる。イオの奴は「まだそれやんの?」みたいな顔をするが、ザラは神妙な顔をしている。天然なのか付き合ってくれるてるだけなのか判断が難しいけど、付き合ってくれてる方だと恥ずかしいので、天然ということにしておこう。
とは言え我ながらさすがに恥ずかしくなってきたので、司令官ポーズは止めにすることにした。
よし。気合を入れなおして2人に顔を向ける。
「それでさ、俺達色々あったじゃん」
俺が頬をかきながら「色々」と口にした時点で、イオは少しビクっとして目をそらし、ザラも気まずそうに苦虫を噛み潰したような顔する。。
正直、アレを「色々」で済ませていいかわからん所もある。
たけど、痛くて泣き叫ぶのを無理やりってわけでも無かったし、俺も本気では抵抗できなかったうえ、最後は許容したみたいになってたからな。
俺はぼろぼろに泣いてた気もするが、あいつ等だってほんと酷い顔してた。もう二度とあいつらのあんな顔を見たくない。
だから、もうノーカンだノーカン。そもそも強い意志でノーカンにしとかないとこいつ等と向き合えないし、俺から踏み込んでかないと、たぶんしこりが残る。
「まぁお互い言葉も分からないところから始まってさ、俺もあんな事になって大混乱だったけど、理由があるんだろ?ちゃんと話をしよう。お前たちとは「初めまして」からやり直したい」
俺の言葉を受けて2人は驚いた顔をして、顔を見合わせてる。びっくりじゃないぞー。
「僕も、ムツキとちゃんと話したい。ちゃんと分かり合いたい」
「俺だって……俺だってお前と……」
ザラは言葉を口にするとその両の瞳からぽろぽろと涙を零す。イオは必死に手の甲で瞼を拭うが、最後まで言い切れず顔を両手で隠してしまった。
「もう、いいからさ、泣くなよ」
「ムツキ……ごめん……」
「うるせ、俺は泣いてねーからな」
素直なザラに比べて意固地なイオの反応に、ザラと一緒に吹き出してしまう。
「普段年上風吹かせてるのに何これ、ムツキもなんか言ってやって」
「ザラ君容赦無さすぎ……涙を見せたくない男もいるんだぜ……けど、これは……っぷ…くくく」
だめ、俺は思わず笑いだしてしまい、ザラもつられて笑い出す。
「うるへー!笑ってんじゃねー!」
顔を両手で覆ったまま叫ぶイオ。駄目、やっぱ普段の態度から想像出来ない姿すぎて可笑しい。
「ちゅん!!」
等々に俺の頭を定位置にしてるちゅん太が、一際大きな声で、鳴いた。
「あ、こいつはちゅん太な」
「ちゅんちゅん!」
なんか主張してくる。いや待てちゅん太。お前の紹介を忘れてたわけじゃないんだ。落ち着け。こら、突くんじゃない。
ほら、俺達シリアスな話してたからね?
「その小鳥、ちゅん太?青くなってるね。やっぱりその仔は女神の守護獣だったんだ。だからいったじゃないか。あの小鳥は守護獣だって」
「いやいや、俺はお前と違って女神に関する英才教育受けてないんだって。伝承に出てくる守護獣ってバカでかい肉食獣とかだったろ」
イオも復活したのか顔を隠すのを辞めていた。両目が赤くなって置かないのは触れないのが漢の優しさってやつだ。
そういえば2人の青という言葉に、あそこの体毛が青くなっていたことを思い出す。前髪を摘まんでそっと引張り視界に入れると、やはりというかなんというか、青い。
「はい待った。青って言ったな?ひょっとして俺の髪って今、全体的に青いのか?」
「うん、ムツキの髪も、目も、綺麗な青色になってるよ」
なんか綺麗ってワードに複雑な気持ちになる。「カッコイイ」になって欲しい微妙な男心をザラはわかって欲しい。そういう所だぞザラ君!
「あの後、ムツキが寝てる間に、髪や目の色が黒から青に変わっていったな。そもそも女神は最初から青い髪に青い瞳の美女!って聞いて超期待してたし、同期や先輩に「羨ましい死ね!」って言われながら送り出されたのに。最初のムツキは髪も目も青く無いしそもそも男で、むしろ騙されたって思ったぞ。女神なのに男とか詐欺。青少年の純朴な期待を返して欲しい」
「ええい煩い。どうせお前のはただのエロ心だろ!こっちだって案内人に「金髪銀髪の美女じゃなかったの?」みたいに言われたぞ。「ヤられた」って言って目の前で尻押さえられて煽られた俺の気持ちがお前らにわかるか!」
「良し。イオがムツキとするのは嫌なら今後は全部僕が引き受けるよ。これで解決だね」
コラマテザラ。お前は何を言っている。
「いやいやいやいや。お前だって最初は抵抗あったはずだろ!俺だって今ならムツキとは余裕で出来るし!ヤれるむしろ勃つ!」
「おいコラ!お前らヤる前提で話を進めてるんじゃねー!」
ザラはこれで解決!みたいに笑顔だが、俺とイオはヒートアップしてしまい肩で息をするはめになる。
いかん。また盛大に話が色々それた。
一個ずつだ。一個ずつ解決しなければ全てがスパゲッティのようにこんがらがってしまう。
とは言え我ながらさすがに恥ずかしくなってきたので、司令官ポーズは止めにすることにした。
よし。気合を入れなおして2人に顔を向ける。
「それでさ、俺達色々あったじゃん」
俺が頬をかきながら「色々」と口にした時点で、イオは少しビクっとして目をそらし、ザラも気まずそうに苦虫を噛み潰したような顔する。。
正直、アレを「色々」で済ませていいかわからん所もある。
たけど、痛くて泣き叫ぶのを無理やりってわけでも無かったし、俺も本気では抵抗できなかったうえ、最後は許容したみたいになってたからな。
俺はぼろぼろに泣いてた気もするが、あいつ等だってほんと酷い顔してた。もう二度とあいつらのあんな顔を見たくない。
だから、もうノーカンだノーカン。そもそも強い意志でノーカンにしとかないとこいつ等と向き合えないし、俺から踏み込んでかないと、たぶんしこりが残る。
「まぁお互い言葉も分からないところから始まってさ、俺もあんな事になって大混乱だったけど、理由があるんだろ?ちゃんと話をしよう。お前たちとは「初めまして」からやり直したい」
俺の言葉を受けて2人は驚いた顔をして、顔を見合わせてる。びっくりじゃないぞー。
「僕も、ムツキとちゃんと話したい。ちゃんと分かり合いたい」
「俺だって……俺だってお前と……」
ザラは言葉を口にするとその両の瞳からぽろぽろと涙を零す。イオは必死に手の甲で瞼を拭うが、最後まで言い切れず顔を両手で隠してしまった。
「もう、いいからさ、泣くなよ」
「ムツキ……ごめん……」
「うるせ、俺は泣いてねーからな」
素直なザラに比べて意固地なイオの反応に、ザラと一緒に吹き出してしまう。
「普段年上風吹かせてるのに何これ、ムツキもなんか言ってやって」
「ザラ君容赦無さすぎ……涙を見せたくない男もいるんだぜ……けど、これは……っぷ…くくく」
だめ、俺は思わず笑いだしてしまい、ザラもつられて笑い出す。
「うるへー!笑ってんじゃねー!」
顔を両手で覆ったまま叫ぶイオ。駄目、やっぱ普段の態度から想像出来ない姿すぎて可笑しい。
「ちゅん!!」
等々に俺の頭を定位置にしてるちゅん太が、一際大きな声で、鳴いた。
「あ、こいつはちゅん太な」
「ちゅんちゅん!」
なんか主張してくる。いや待てちゅん太。お前の紹介を忘れてたわけじゃないんだ。落ち着け。こら、突くんじゃない。
ほら、俺達シリアスな話してたからね?
「その小鳥、ちゅん太?青くなってるね。やっぱりその仔は女神の守護獣だったんだ。だからいったじゃないか。あの小鳥は守護獣だって」
「いやいや、俺はお前と違って女神に関する英才教育受けてないんだって。伝承に出てくる守護獣ってバカでかい肉食獣とかだったろ」
イオも復活したのか顔を隠すのを辞めていた。両目が赤くなって置かないのは触れないのが漢の優しさってやつだ。
そういえば2人の青という言葉に、あそこの体毛が青くなっていたことを思い出す。前髪を摘まんでそっと引張り視界に入れると、やはりというかなんというか、青い。
「はい待った。青って言ったな?ひょっとして俺の髪って今、全体的に青いのか?」
「うん、ムツキの髪も、目も、綺麗な青色になってるよ」
なんか綺麗ってワードに複雑な気持ちになる。「カッコイイ」になって欲しい微妙な男心をザラはわかって欲しい。そういう所だぞザラ君!
「あの後、ムツキが寝てる間に、髪や目の色が黒から青に変わっていったな。そもそも女神は最初から青い髪に青い瞳の美女!って聞いて超期待してたし、同期や先輩に「羨ましい死ね!」って言われながら送り出されたのに。最初のムツキは髪も目も青く無いしそもそも男で、むしろ騙されたって思ったぞ。女神なのに男とか詐欺。青少年の純朴な期待を返して欲しい」
「ええい煩い。どうせお前のはただのエロ心だろ!こっちだって案内人に「金髪銀髪の美女じゃなかったの?」みたいに言われたぞ。「ヤられた」って言って目の前で尻押さえられて煽られた俺の気持ちがお前らにわかるか!」
「良し。イオがムツキとするのは嫌なら今後は全部僕が引き受けるよ。これで解決だね」
コラマテザラ。お前は何を言っている。
「いやいやいやいや。お前だって最初は抵抗あったはずだろ!俺だって今ならムツキとは余裕で出来るし!ヤれるむしろ勃つ!」
「おいコラ!お前らヤる前提で話を進めてるんじゃねー!」
ザラはこれで解決!みたいに笑顔だが、俺とイオはヒートアップしてしまい肩で息をするはめになる。
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