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過ちは繰り返すもの
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ちゅんちゅんと雀が鳴いている。
身体を揺すられることも、声をかけられることも無い。
ゆっくりと瞼を開く。
この一ヵ月ですっかり見慣れた天蓋に一人で寝るには大きいすぎる寝台だ。
ただ、天蓋の白いカーテンの隙間から覗くの景色は一変してた。
立ち枯れた木々には薄い紅を含んだ白い花が無数に咲き誇っていた。
枯れていた草花もまた、青々と茂っている。
柔らかにそよぐ風に花弁が舞いちる。
ぱたぱたという羽音と共に枕元に一羽の雀が舞い降りる。
ちゅん太かと思いきや、この雀、青いぞ。
「おはよーさん。お前、ちゅん太か?」
朝の挨拶と共に訪ねてみると、当然ですとでも言うように「ちゅん!」と鳴いてくれる。
綺麗だけど、青い雀ってどうなの?ザラかイオに染められでもしたのか?
手を伸ばしてそっと撫でると、嬉しそうにすり寄ってくる。
うん、やっぱちゅん太は可愛いな。
掛け布団をそっと捲ると当然の如く服を着ていない。うん、肌の感触でそんな感じはしたんだ。
そして事件が二つ。
一つは身体の至る所に複数の薄く赤い痕。これはクレーム案件ですね。恥ずかしくてプールにいけないやつ。
そしてもう一つはあれだ。うん。下の毛が青い。
ウェイト。
待ちたまえよ君たち。
えー……。
草臥れリーマンに苦情案件でしょ。
脳内会議を繰り広げかけた所で外に人の気配を感じ、寝たふりモードへ速やかに移行する。
「うちの女神様はまだ起きないのか?」
「ムツキならまだ寝てるよ。今日で二日目だから、今までの記録を見るとそろそろ起きると思うんだけど」
最初の声は少し軽そうな男の声。これはイオだな。答えるように続く、少し幼さを感じる声はザラだ。こいつ等こんなしゃべり方なのか。とりあえず人の事を女神様とかいう頓珍漢なイオは後で一発殴るポイントゲットだぜ。
「あー、ムツキが起きたら俺達殺されるよな?結局無理やりって感じだったしさ」
「わからない。ムツキはあの時「いいよ」って笑っていってくれたじゃないか」
「王子様はお子様だな」
はい審議。新ワードいただきました。王子様ってどういうことだ。比喩じゃなくてマジ王子?
「僕は、ムツキを信じてるだけだ」
「ムツキと最初にあった時「男と出来るかわからない」って真っ青になってたヤツがよく言うぜ」
「それは一緒に過ごす時間が解決してくれたからね。イオティスこそ覚悟は出来たっていってたのに、今更死ぬのが恐くなったのかい?」
「そりゃ目があるならまだまだ生きたいさ。お前ってムツキいないと俺に容赦ないよな。敵国の騎士に用はないってか」
面白そうにザラを挑発してるけど、イオさん君も新ワードだよ。お前、騎士ってガラじゃないだろ。
「僕は廃嫡されてるから、君の国の事情に興味は無いよ。別に敵対したいわけじゃないけど、まだ出会って一月とちょっとだ。君と違って多方面に愛想を振りまく人間じゃないだけだよ」
ザラってば辛辣。なんか火花が飛び交ってるぞ。
イオも挑発してる感じだったけど実はこいつら仲悪いのか?
アト廃嫡って単語が聞こえたけどやっぱリアル王子……いや、リアル元王子なのか。これ以上険悪ムードになると出ていきにくいので馬鹿話でもしていて欲しいんだけど。
仕方ない、出るか。
掛け布団の中でも薄手の布を手繰り寄せ腰に巻き付ける。朝一で元気なアレを隠す。そう、俺は失敗を繰り返さない男。
よし出るぞと気合を入れるとちゅん太が頭の上に飛び乗ってくる。
そうか、お前も行くか。
「話は聞かせてもらった!」
ずさっと寝台の前に降り立ち仁王立ちになると、2人が同時に俺を見てくる。浮かぶ表情は、真剣で、2人とも静かに俺の言葉を待っている。
そして腰に巻いた布がハラりと落ち、露わになる元気な朝の象徴。
イオが噴出して、ザラが顔を赤くしてそっと目を逸らしてる。
うん、繰り返さないはずだったんだけどなぁ。
「見るなぁああああああああああああああああああああ!!」
俺はそう叫ぶと床に落ちた布を手繰り寄せ、なんとか下半身を隠そうとする。
ちゅん太は俺の叫び声にびっくりしたのか飛んで行ってしまう。
イオがそんな俺を見て、とうとう盛大に笑い出し、ザラに殴られて吹き飛ぶのが見えた。
ああ、人ってあんな吹き飛ぶんだナァ。
身体を揺すられることも、声をかけられることも無い。
ゆっくりと瞼を開く。
この一ヵ月ですっかり見慣れた天蓋に一人で寝るには大きいすぎる寝台だ。
ただ、天蓋の白いカーテンの隙間から覗くの景色は一変してた。
立ち枯れた木々には薄い紅を含んだ白い花が無数に咲き誇っていた。
枯れていた草花もまた、青々と茂っている。
柔らかにそよぐ風に花弁が舞いちる。
ぱたぱたという羽音と共に枕元に一羽の雀が舞い降りる。
ちゅん太かと思いきや、この雀、青いぞ。
「おはよーさん。お前、ちゅん太か?」
朝の挨拶と共に訪ねてみると、当然ですとでも言うように「ちゅん!」と鳴いてくれる。
綺麗だけど、青い雀ってどうなの?ザラかイオに染められでもしたのか?
手を伸ばしてそっと撫でると、嬉しそうにすり寄ってくる。
うん、やっぱちゅん太は可愛いな。
掛け布団をそっと捲ると当然の如く服を着ていない。うん、肌の感触でそんな感じはしたんだ。
そして事件が二つ。
一つは身体の至る所に複数の薄く赤い痕。これはクレーム案件ですね。恥ずかしくてプールにいけないやつ。
そしてもう一つはあれだ。うん。下の毛が青い。
ウェイト。
待ちたまえよ君たち。
えー……。
草臥れリーマンに苦情案件でしょ。
脳内会議を繰り広げかけた所で外に人の気配を感じ、寝たふりモードへ速やかに移行する。
「うちの女神様はまだ起きないのか?」
「ムツキならまだ寝てるよ。今日で二日目だから、今までの記録を見るとそろそろ起きると思うんだけど」
最初の声は少し軽そうな男の声。これはイオだな。答えるように続く、少し幼さを感じる声はザラだ。こいつ等こんなしゃべり方なのか。とりあえず人の事を女神様とかいう頓珍漢なイオは後で一発殴るポイントゲットだぜ。
「あー、ムツキが起きたら俺達殺されるよな?結局無理やりって感じだったしさ」
「わからない。ムツキはあの時「いいよ」って笑っていってくれたじゃないか」
「王子様はお子様だな」
はい審議。新ワードいただきました。王子様ってどういうことだ。比喩じゃなくてマジ王子?
「僕は、ムツキを信じてるだけだ」
「ムツキと最初にあった時「男と出来るかわからない」って真っ青になってたヤツがよく言うぜ」
「それは一緒に過ごす時間が解決してくれたからね。イオティスこそ覚悟は出来たっていってたのに、今更死ぬのが恐くなったのかい?」
「そりゃ目があるならまだまだ生きたいさ。お前ってムツキいないと俺に容赦ないよな。敵国の騎士に用はないってか」
面白そうにザラを挑発してるけど、イオさん君も新ワードだよ。お前、騎士ってガラじゃないだろ。
「僕は廃嫡されてるから、君の国の事情に興味は無いよ。別に敵対したいわけじゃないけど、まだ出会って一月とちょっとだ。君と違って多方面に愛想を振りまく人間じゃないだけだよ」
ザラってば辛辣。なんか火花が飛び交ってるぞ。
イオも挑発してる感じだったけど実はこいつら仲悪いのか?
アト廃嫡って単語が聞こえたけどやっぱリアル王子……いや、リアル元王子なのか。これ以上険悪ムードになると出ていきにくいので馬鹿話でもしていて欲しいんだけど。
仕方ない、出るか。
掛け布団の中でも薄手の布を手繰り寄せ腰に巻き付ける。朝一で元気なアレを隠す。そう、俺は失敗を繰り返さない男。
よし出るぞと気合を入れるとちゅん太が頭の上に飛び乗ってくる。
そうか、お前も行くか。
「話は聞かせてもらった!」
ずさっと寝台の前に降り立ち仁王立ちになると、2人が同時に俺を見てくる。浮かぶ表情は、真剣で、2人とも静かに俺の言葉を待っている。
そして腰に巻いた布がハラりと落ち、露わになる元気な朝の象徴。
イオが噴出して、ザラが顔を赤くしてそっと目を逸らしてる。
うん、繰り返さないはずだったんだけどなぁ。
「見るなぁああああああああああああああああああああ!!」
俺はそう叫ぶと床に落ちた布を手繰り寄せ、なんとか下半身を隠そうとする。
ちゅん太は俺の叫び声にびっくりしたのか飛んで行ってしまう。
イオがそんな俺を見て、とうとう盛大に笑い出し、ザラに殴られて吹き飛ぶのが見えた。
ああ、人ってあんな吹き飛ぶんだナァ。
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