星の涙、竜の慟哭

路傍 之石

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それはまるで這い寄る狂気のようで

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 気が付くと暗い空間にいた。

 浮遊感

 身体は無く、ただ暗闇の中で意識だけが目覚める。

 そうか。これが死後の世界か。

 どうなるんだろ、このまま消えるのかな。

 思い浮かぶのは最期の時。

 俺達は3人とも男で、なんであんなことになったのか今でも理解できない。

 裏切られたという感情よりもびっくりしたという感情が強い。

 痛かったかと言われればその逆で、むしろ、なんだ、その……ああ、もうそうだよ、なんであんな気持ち良かったのかが謎なんだよ!めちゃくちゃ良かったよ!正直ビビったよ!

 最初のキスも、その後の……あの打ち付けられた衝撃も、欲を中に吐き出された時の感触だって、思い出すだけで無いはずの身体が熱を帯びる錯覚に陥る。

 そういう経験値がゼロの俺が良かっただなんで世界の理が崩壊してるだろ。

 普通絶対痛いだろ!

 いや、まぁその最初ちょっとだけ痛かったけというか違和感あったけどね?それでも十分おかしいだろ。

 あんなの……あんなのズコバコ入んないって……。

 イオと俺のはとんとんなんだけど、ザラのが結構でかくてだな、ずるい俺によこせ。

 「そうよね。貴方にあんな事するなんて許せないわよね」

 はい?

 突如、目の前に女が現れる。

 ウェーブがかかった青く長い髪が暗闇に広がり、目の前に現れるのは一糸纏わぬ青い瞳の女。正直見た目は好みだけど恥じらいとチラリズムの美を学んでから出直してほしい。裸族、ダメ、絶対。

 「■の■■なのに貴方の言葉も理解できないなんて。あの2人、イオとザラだったかしら?きっと失敗作だったのよ」

 きっとそうね、と女は悪意の一欠けらも無く微笑む。

 「だから、貴方は気にしないでいいのよ。そうだわ!■してしまいましょう。そしたら次の■■が生まれるでしょうし、今度の貴方は男性体だから生まれる■■が女になるように調整するのもいいかもしれないわね。それを見届けて良い年ごろに育ったらまたやりなおしましょう」

 女はいい事おもいついちゃった見たいに手を合わせて言葉を続ける。

 寒気がした。

 思考の中に警鐘が鳴り響く。

 この女はダメだ。

 何を言った?あいつ等をどうすると……失敗作だと……

 確かにあいつ等はちょっとアレでなんだ、接触近いし、最期はあんな風になったけど、本気で抵抗しなかったのだって……結局俺なんだよ!そうだよ流されたんだよ!

 「ねぇ、どんな子が好み?背は高い方がいい?低い方がいい?瞳の色は?貴方は従順な子が好き?私は少しぐらい元気な子も好きよ」
 
 屈服させがいがあるものね、とほほ笑む。

 やめろ

 「そうだわ!あの星の人は増えすぎたから少し減らしましょう!私ながら名案ね。貴方もそう思うでしょ?」

 やめろ、ヤメロ!それ以上俺に話しかけるな!

 「人を潰して山を作って、川の流して!沢山花を咲かせましょう。私、花は好きよ。貴方も好きでしょ」

 女が、狂気がにじり寄り俺の心を侵そうとする。

 「きっと綺麗よ。だから沢山殺しましょうね」

 狂ってる。

 「綺麗な人だけとっときましょう。そうしたら■が綺麗な人だけ使って■■を作ってくれるはずよ!」

 ああ、楽しみねとくるくると回りながら女は歌うように続ける。

 「貴方の良いように、私の良いように■ならしてくれるわ」

 何も何も、聞きたくない。俺の中に入ってくるな。

 「ねぇ貴方貴方はそう願うだけでいいの。私の言葉が正しいと、貴方が肯定すればいいのよ。そうしたら全部、私が貴方の良いようにできるわ」

 俺にはどこにも逃げ場がなく、俺の意識は狂気に絡めとられた。
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