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The Last Moon ? 時にはそんなアンニュイ気分
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この世界に来てから、俺は自分の体調が回復したと思ってた。
あの満月の日なんて、これ以上ないぐらい体調が良かったが、翌朝には体調を崩して寝込んでしまった。
以外な事に、イオが超焦ってて笑えた。あいつはさ、飄々となんでもこなしそうなイメージだったからな。
以外と言えばザラだ。あいつは慌てることもなく俺のことを看病してくれて、その後ろで所在なさげにちらちら見てくるイオがさらに笑えて、そんな俺はザラに苦笑されてしまった。
その日の夜には体調が良くなったんだけど、翌日から俺の睡眠時間が目に見えて増えていった。
朝がどんどん起きれなくなり、昼間もふとした瞬間に眠り込みそうになる。
今日なんてザラとイオが凄い顔で俺のこと起こそうとしてて、とんな寝坊助さんだと思わず笑ったらなんか怒れた。
うん。
けど、今日はさ、起きたら燭台の灯りがともってたんだ。
つまり陽が落ちるまで起きなかったってこと。
あー……
このまま起きれなくなって死んじまうのかなー……
こっち来て、もっと生きてくチャンス手にできたんじゃないかって思ったんだけどな……
ああ、死にたくねぇな……
う、いかん
目から水が……
手の甲で水を拭い夜空を見上げる。
今夜はいつも通りの満月と、もう一つは下弦の月。
「俺、あの月が新月になったら死ぬんだ……」
思わず「あの葉が落ちたら」ならぬ「あの月が消えたら」プレイをしてみるが何も笑えない。
ああ、畜生。
駄目だ、目から水が止まらん。
自分が消えてなくなるんじゃないかという恐怖に押しつぶされそうだ。
満月に泣き顔を見られるのが恥ずかしくて、膝を抱え、顔を埋める。
流れ始めた涙は容易に止まらなく、息が苦しくなり嗚咽が漏れてしまう。
「ムツキ!」
そんな俺に気が付いたのか、ザラが駆け寄ってくる。
うう、聞こえちまったかな、羞恥心に顔が熱くなり、思わず膝を抱える腕に力が入る。
しかし抵抗も空しく、ザラの馬鹿時からで顔を無理やり上げさせられる。
思わず振り上げた手も、手首を掴まれてしまった。
くっそこの馬鹿力。
「ムツキ……」
観念して瞼を上げると心配そうに俺を見るザラを目が合う。
「見んなよ……」
言葉が通じないとわかっていても思わず言葉が零れてしまう。
「■■■■■■■」
ザラが何か言うとそのまま俺を抱きしめる。
また突然のことに抵抗するが、ザラの腕力に叶うはずもなく、それでも俺は暴れて泣き叫んだ。
駄々をこねる子供みたいに泣き叫んだ。
感情の制御が出来ない……
疲れ果てて大人しくなった俺の背中をザラがさすってくれる。
俺、超情けない……自分何歳だよ。
しかも人前でこれとか、羞恥プレイ?羞恥プレイなの?
密着した身体が感じるザラの体温に安心しているのか、どんどん気持ちが落ち着いてくる。
「ムツキ?」
動きを止めた俺に、ザラが心配そうに声をかけてくる。
顔は正面を向いたまま、俺の方を見ないでいてくれる。
もう大丈夫、という気持ちを込めて、ザラの背中をぽんぽんと叩く。
俺を抱く腕を緩めてザラが俺から離れた。
顔を見られたくなくて思わず俯いていると、ザラが来ている上着を脱いで俺に被せて、顔を隠してくれる。
気力も何もかも尽き果てて俯いたままでいると、ザラが俺の手を掴んで歩き出そうとする。
これ以上情けない姿を見られたくなくて、大人しくついていこうとするが、足に力が抜けてしまい座り込んでしまった。
な、情けなさ過ぎる。
そんな俺をザラが無言で抱え上げる。ほんとコイツ馬鹿力だな。
俺はもう何も言えないし、ザラも何も言わないでいてくれる。
ただ、沈黙と体温、それに歩くたびに感じる振動が心地よかった。
あの満月の日なんて、これ以上ないぐらい体調が良かったが、翌朝には体調を崩して寝込んでしまった。
以外な事に、イオが超焦ってて笑えた。あいつはさ、飄々となんでもこなしそうなイメージだったからな。
以外と言えばザラだ。あいつは慌てることもなく俺のことを看病してくれて、その後ろで所在なさげにちらちら見てくるイオがさらに笑えて、そんな俺はザラに苦笑されてしまった。
その日の夜には体調が良くなったんだけど、翌日から俺の睡眠時間が目に見えて増えていった。
朝がどんどん起きれなくなり、昼間もふとした瞬間に眠り込みそうになる。
今日なんてザラとイオが凄い顔で俺のこと起こそうとしてて、とんな寝坊助さんだと思わず笑ったらなんか怒れた。
うん。
けど、今日はさ、起きたら燭台の灯りがともってたんだ。
つまり陽が落ちるまで起きなかったってこと。
あー……
このまま起きれなくなって死んじまうのかなー……
こっち来て、もっと生きてくチャンス手にできたんじゃないかって思ったんだけどな……
ああ、死にたくねぇな……
う、いかん
目から水が……
手の甲で水を拭い夜空を見上げる。
今夜はいつも通りの満月と、もう一つは下弦の月。
「俺、あの月が新月になったら死ぬんだ……」
思わず「あの葉が落ちたら」ならぬ「あの月が消えたら」プレイをしてみるが何も笑えない。
ああ、畜生。
駄目だ、目から水が止まらん。
自分が消えてなくなるんじゃないかという恐怖に押しつぶされそうだ。
満月に泣き顔を見られるのが恥ずかしくて、膝を抱え、顔を埋める。
流れ始めた涙は容易に止まらなく、息が苦しくなり嗚咽が漏れてしまう。
「ムツキ!」
そんな俺に気が付いたのか、ザラが駆け寄ってくる。
うう、聞こえちまったかな、羞恥心に顔が熱くなり、思わず膝を抱える腕に力が入る。
しかし抵抗も空しく、ザラの馬鹿時からで顔を無理やり上げさせられる。
思わず振り上げた手も、手首を掴まれてしまった。
くっそこの馬鹿力。
「ムツキ……」
観念して瞼を上げると心配そうに俺を見るザラを目が合う。
「見んなよ……」
言葉が通じないとわかっていても思わず言葉が零れてしまう。
「■■■■■■■」
ザラが何か言うとそのまま俺を抱きしめる。
また突然のことに抵抗するが、ザラの腕力に叶うはずもなく、それでも俺は暴れて泣き叫んだ。
駄々をこねる子供みたいに泣き叫んだ。
感情の制御が出来ない……
疲れ果てて大人しくなった俺の背中をザラがさすってくれる。
俺、超情けない……自分何歳だよ。
しかも人前でこれとか、羞恥プレイ?羞恥プレイなの?
密着した身体が感じるザラの体温に安心しているのか、どんどん気持ちが落ち着いてくる。
「ムツキ?」
動きを止めた俺に、ザラが心配そうに声をかけてくる。
顔は正面を向いたまま、俺の方を見ないでいてくれる。
もう大丈夫、という気持ちを込めて、ザラの背中をぽんぽんと叩く。
俺を抱く腕を緩めてザラが俺から離れた。
顔を見られたくなくて思わず俯いていると、ザラが来ている上着を脱いで俺に被せて、顔を隠してくれる。
気力も何もかも尽き果てて俯いたままでいると、ザラが俺の手を掴んで歩き出そうとする。
これ以上情けない姿を見られたくなくて、大人しくついていこうとするが、足に力が抜けてしまい座り込んでしまった。
な、情けなさ過ぎる。
そんな俺をザラが無言で抱え上げる。ほんとコイツ馬鹿力だな。
俺はもう何も言えないし、ザラも何も言わないでいてくれる。
ただ、沈黙と体温、それに歩くたびに感じる振動が心地よかった。
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