星の涙、竜の慟哭

路傍 之石

文字の大きさ
上 下
2 / 18

これが智慧の実を食べた人間に与えられた罰なのか

しおりを挟む
 暖かい
 
 浮遊感

 薄っすらと浮かぶ意識に感じのはその2つ。

 次は、閉じた瞼に触れる柔らかな光。

 瞼は重くて開かない。

 ゆっくりと身体を伸ばすと、足の裏に仄かに暖かい滑らな感触。

 手を伸ばすと何かに触れた。その瞬間「カシャリ」と何かが割れ、続けて水が流れる音、自分の身体を覆う暖かなものが流れていく。

 ようやく瞼は開くが視界がぼやけてよく見えない。

 足音と、2つの人影、慌てたような気配がこちらに近づいてくる。

 流れ落ちる水と共に俺の意識は再び睡魔に沈もうとしている。

 ああ、噂のお世話してくれる人かな、ちゃんと挨拶しないと、

 そう思い歩を進めようとして態勢を崩す。

 ああ、顔面から地面に激突とか絶対痛いヤツじゃん。

 覚悟した瞬間、暖かな、力強い腕に抱きとめられ、俺は意識を手放した。

---

 ちゅんちゅんと雀が鳴いている。

 身体を揺すられながら何か声をかけられている。

 うーん、あとちょっと……

 体調を悪くしてからこんな快適な睡眠は久しぶりだったので、あとちょっと寝かせて欲しい。

 声が止んだかと思うと俺の髪を撫でるごつごつとした手の感触に現実に戻された。

 目を開けると、キングサイズの天蓋付き寝台で寝ていたらしく、天蓋の白いカーテンから柔らかな光が入り込んでいた。

 目の前には首をかしげたちっさな雀と2人の青年。
 一人は金髪に緑の瞳、幼さの残る顔立ち。可愛い系と女子受けが良さそうだ羨ましい。
 一人は銀髪に青い瞳、人懐っこそうな顔をしてるが若干チャラそう。少し長めの髪を後ろで纏めている。

「■■■■、■■■」

「■■■■■■■■。■■■■■■■」

 俺の頭を撫でてたのは銀髪チャラ男の方だ。

 2人と目が合うと、金髪君は柔らかい笑みを浮かべなら、銀髪チャラ男はニヤニヤしながら話しかけてくる。

 銀髪チャラ男は頭をぽんぽんしてきた。

 うわ

 思わず立ち上がって距離をとる。

 ベットの上で遊んじゃいけないと教育されてきた俺ですが、これは決して遊びではない。

 そう、戦略的撤退である。

 ちゅんっと一声鳴くと雀が俺の頭に飛び乗ってくる。愛い奴め。

「ま、待ってくれ、さっぱり言葉がわからない!ご都合主義的な翻訳アイテムを誰か!」 

 思わず叫ぶ。草臥れリーマンよ、これはサポートが足りないんじゃないか?

 といっても天からの声も無く空しく俺の声が響くだけで……あれ?

 2人の様子がおかしい。

 金髪君はぽかんっと口を開けてたが、顔を赤面させると後ろを向いてしまった。ちらりと見える耳まで真っ赤だ。

「■■■■■■■■■」

 銀髪君も一瞬茫然としたが、すぐにニヤニヤとしながら俺を指さして何か言ってくる。

 いや、あの指は俺というより、俺の下腹部当たり……より若干下かな、を指さして……

 あ……うん。

 俺はどうやら真っ裸で寝かされてたみたいで、当然寝起きとかナニがアレで元気な状態なわけで。

 そう、これは男の宿命。

 健全で健康な男の子の運命といっても差し支えない。いや、万民が認めるべきだ!

 銀髪チャラ男はニヤニヤしながら親指と人差指で「これぐらいかな?」みたいな感じでサイズを測ろうとしてくる。

「あ”ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 今度は俺が耳まで真っ赤にして叫ぶと、シーツを必死にかき寄せてかぶり、丸くなってしくしく泣いた。

 穴があったら入るから埋めてくれこんちくしょう!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...