10 / 22
第十話「太陽」
しおりを挟む
真夏の太陽が大地を焼き、いつの間にか農夫の娘に戻ったように日焼けしたルーナは、汗を流れるままにして鍬を振り下ろす。
ふーぅと息を吐き腰を伸ばすと、そこには等間隔に耕した跡のある農地が見渡せた。
「瘴気が見えれば浄化の成果も見れるのになあ」と、魔力の無いルーナは少し残念に思いながら再び鍬を振り上げた。
「ルーナ様、そろそろ昼食に致しましょうか」
オリガの呼び掛けに「はーい!」と返事をしたルーナは、左手で汗を拭う。そしてオリガの所まで小走りで戻ると、「オジサマは明後日に王都を出発するんですよね?」と上目遣いで訊いてみた。
「そうですね、お帰りが待ち遠しいですか?」
「うーん、そんな気もします」
そうはにかんで笑ったルーナは、オリガの目から見ても可愛らしい。
この娘はこれからどんどん美しくなっていくのだろうなと思ったら、ちょっと余計なお世話を焼きたくなった。
いや、もしかしたら余計なお世話では済まされない、大事なことかもしれない話である。
「ルーナ様は恋をした事がありますか?」
突然の意外な質問にルーナは思い切り慌てたようだ。
「こ、恋ですか? ないですっ! そんなのあるワケないですッ!」
真っ赤になって目を回しているルーナが愛らしくて、オリガはさらに突っ込んでみたくなる。
「じゃあソレイユ様なんてどうでしょうか? 今が男盛りで買い時ですよ」
「な、何でオジサマ!?」
「駄目ですか? やっぱり歳の差とかが気になります?」
さらに目を回すルーナは、もう自分でも何を言っているのか分からない。
「い、いえ、若い人は怖くて嫌なので、オジサマは安心出来るから良くて、でもお父さんなので、だけど本当のお父さんじゃなくてやっぱりオジサマで、だから駄目じゃないけど、恋とか全然知らないし、オジサマの事は好きですけど、それは私が娘のようだからで──」
オリガはとうとう吹き出してしまった。こんなに純情な娘も今時めずらしい。
「オリガさん、笑うなんて酷いです!」
「ごめんなさいね、でも揶揄った訳では無いのですよ?」
じゃあ何なのかと頬をぷくっと膨らまし、ルーナは非難の目をしてオリガを見た。だからと言ってべつに怒ったわけではない。むしろ照れ隠しのようなものだ。
なのに思いがけない程に真剣な眼差しが返ってきたものだから、微かに狼狽し口ごもってしまった。
「えっと……」
「ルーナ様、いい機会なので少し話を聞いて頂けますか?」
オリガが優しい口調でそう言うと、ルーナは緊張気味に「もちろんです」と返事をする。
真剣な様子のオリガに対して何故だか尻込みしそうになりながらも、真っ直ぐにその目を見た。
「ご存知のようにルーナ様は、未だブロッド侯爵が子息のダミアン殿と婚約中です。これは決して目を背ける事の出来ない事実であり、貴女の未来に暗い影を落とす現実です」
「はい……」
それはルーナにとって考えたくない未来であった。考えても自分ではどうする事もできない現実でもある。
国王陛下の命により結ばれた望まぬ婚約に、ただの農夫の娘が抗えるはずもない。
「しかしソレイユ様はブロッド侯爵から、必ず貴女を守ると約束なされた。この意味が分かりますか?」
オリガの口調は相変わらず優しい。ルーナの感情の波に寄り添いながらも導くように話を進めている。
だからルーナにとっては恐ろしい話題であるにも関わらず、視線を逸らす事なく話を続けられた。
「はい、分かります」
貴族社会に飲み込まれた自分を守る為、ソレイユがその貴族社会に、ひいては国王陛下にまで逆らおうとしてくれているのだ。
ルーナがオジサマと慕うそんな彼の覚悟を、疎かに思った事は一度もない。
「非常に困難な戦いになりますが、我々は必ず勝たねばなりません。それにはルーナ様もご一緒に戦う必要があります、ご自身の未来の為に」
その目を潤ませながらも強く頷くルーナの肩を、オリガは自らの手で優しく擦りながら言葉を続ける。
「ルーナ様が恋をするという事は、別の未来を掴もうとする気持ちの現れになるのです。もちろん恋に限りません。積極的に別の未来へと通じる大切なものを見つけて欲しいのですわ」
ルーナはオリガの話す内容を、まだ完全には理解しきれてはいなかった。
それでもこの話が、望まぬ自分の人生と訣別する為の覚悟を要求されている事は分かる。
「わ、私、やります! 自分の未来の為に頑張りますっ!」
興奮して決意を述べたルーナからは、まだソレイユとの恋に繋がりそうな気配は見えてこない。でもそれは構わなかった。
真意を覚悟を持って受け取ってくれたと感じたオリガは、柔らかに微笑む。
「そのお気持ちは、きっと我々の強い力となりますわ」
中天にあった太陽はいつの間にかに少し西へと傾いた。地上からは誰かの腹の鳴る音がグゥと聞こえる。
下をチラリと見た太陽はその音の主が少女と女性のどちらなのかを、詮索するのはよそうと思った。
◇*◇*◇*◇*◇
ちょうど同じ頃、王都に居たソレイユは窓から射し込んだ真昼の太陽の光で目を覚ます。
前日、大聖堂から王都の別邸へと戻った彼は、誰とも会わぬ様にして書斎に閉じ籠ってしまった。
顔色が悪く夢遊病者の様に呆然としており、そのただならぬ様子は家令を始め使用人たちを酷く心配させたらしい。
ソレイユに親身な彼らは、ただの使用人たちではなかった。
かつては軍での部下だった者たちが多く、各々の理由で退役した後もソレイユを慕って家人となっている。
ゆえにソレイユ自身も彼らへの特別な思い入れがあり、家族の様に大切にしていたのだ。
しかしその日だけは彼らへの配慮すらする余裕も無い有り様だった。
翌日に昼も大分過ぎてから、のっそりとダイニングに現れたソレイユは開口一番「腹が減った」と家令に言う。
ようやくいつも通りの様子に戻った主人に安心したのだろう、家令はその感情を隠すこともなく弾んだ声で「ただいまご用意致します」と喜んだ。
「ありがとう、ついでに湯浴みの準備もしておいてくれ。軍務で王宮まで行かねばならんのだ」
「畏まりました」
そう承った家令に「あ、それから」とソレイユが言うと、少し照れ臭そうにして「昨日は心配をかけた」と詫びたようだ。
そんな主人に対して家令は何も訊かずに、ただ左手を胸に当て右を後ろ手にして、綺麗な礼をするのだった。
王国軍北方司令官として軍服に身を包んでいたソレイユは、王宮にある王国軍参謀本部の執務室で書類仕事を片付けていた。
「これ全部、本当に今日中に終わらせないと駄目なの?」
机に山と積まれた書類を眺めながら、ソレイユは情けない声で事務官にと訊く。
「はい! ご領地の災害復興でお忙しいかとは存じますが、北方軍から届く書類の承認が滞っております故、なにとぞお願いします!」
「ですよねえ……」
現在隣国との友好は保たれている。しかし軍事的脅威は無くとも、北方司令官としての仕事は多岐にわたるのだ。要塞への補給や新兵の補充、犯罪者の取締りや魔獣討伐と数えればキリがない。
今は復興が国是とされてはいたが、その殆どの軍務を部下に丸投げして自領の復興に集中していたソレイユは肩身が狭かった。
(せめてもの罪滅ぼしだ、今日くらいは頑張るか!)
そう気合いを入れたソレイユであったのだが、その意気込みに反してなかなか仕事は捗らない。と言うのも……
「お初に御目に掛かります、ソレイユ司令閣下! 我々は東部軍所属の──」
「あ、とりあえず先に要件を言って。見ての通り、俺いま仕事が山積みなんだ」
「はっ! 要件は特にございません! ご挨拶に伺っただけであります!」
「あ、そう。ありがとう、じゃ今度また改めて……」
「どけっ、次は俺たちの番だ! ソレイユ司令閣下! 我々は中央軍所属──」
(マジかよ……)
と、まあこんな具合に次から次へ、ソレイユが珍しく本部に来ていると聞き付けた軍人たちが、挨拶にやって来るのである。
いや、挨拶と言うよりも一目見ようと来ていると言う方が正しいだろう。
この様な事態になったのはソレイユ自身にその原因がある。
彼はアンドラル王国において次期近衛騎士団長と噂されるほどの高名な剣士であり、勇者と共に魔人を屠った英雄でもあったからだ。つまり軍人たちからの人気が非常に高い。
(たく、見世物じゃないっての……)
そんな軍人たちに加えて、もっと厄介な客人が軍閥貴族の令嬢たちだ。
どこから聞き付けたのか知らないが、宮中にいた令嬢たちが押し寄せて来たのである。
「あの……何か?」
ソレイユが要件を訊いても、キャーともウーともつかない意味不明な奇声を小さく発して隠れてしまい埒があかない。
仕方なしに無視して仕事に向かうのだが、又候寄ってきては気を引いてくる。
(一体何なんだよ!)
この様な令嬢たちの来訪目的は、むろんソレイユとの結婚が目当てである。
常識的に考えても国の英雄かつ北方司令官。しかも大領地を有する辺境伯が、未だに独身だと言う事自体がおかしいのだ。
(まいったなあ……)
しかしソレイユは貴族であるにも関わらず、結婚というものに個人の幸福を求めるという変わった考えの持ち主であった。
それゆえ政略結婚が前提の縁談から逃げ回った結果、いつの間にか中年男になってしまったと言うわけである。
(こりゃ今日中に仕事が終わらないぞ!)
せっかく今までサボってきた罪滅ぼしにと、仕事を頑張ろうと思っていたソレイユであったが。
どうやらその罪業は重く、更なる苦労を要求された上での仕事となりそうだと溜め息をつくのであった。
ふーぅと息を吐き腰を伸ばすと、そこには等間隔に耕した跡のある農地が見渡せた。
「瘴気が見えれば浄化の成果も見れるのになあ」と、魔力の無いルーナは少し残念に思いながら再び鍬を振り上げた。
「ルーナ様、そろそろ昼食に致しましょうか」
オリガの呼び掛けに「はーい!」と返事をしたルーナは、左手で汗を拭う。そしてオリガの所まで小走りで戻ると、「オジサマは明後日に王都を出発するんですよね?」と上目遣いで訊いてみた。
「そうですね、お帰りが待ち遠しいですか?」
「うーん、そんな気もします」
そうはにかんで笑ったルーナは、オリガの目から見ても可愛らしい。
この娘はこれからどんどん美しくなっていくのだろうなと思ったら、ちょっと余計なお世話を焼きたくなった。
いや、もしかしたら余計なお世話では済まされない、大事なことかもしれない話である。
「ルーナ様は恋をした事がありますか?」
突然の意外な質問にルーナは思い切り慌てたようだ。
「こ、恋ですか? ないですっ! そんなのあるワケないですッ!」
真っ赤になって目を回しているルーナが愛らしくて、オリガはさらに突っ込んでみたくなる。
「じゃあソレイユ様なんてどうでしょうか? 今が男盛りで買い時ですよ」
「な、何でオジサマ!?」
「駄目ですか? やっぱり歳の差とかが気になります?」
さらに目を回すルーナは、もう自分でも何を言っているのか分からない。
「い、いえ、若い人は怖くて嫌なので、オジサマは安心出来るから良くて、でもお父さんなので、だけど本当のお父さんじゃなくてやっぱりオジサマで、だから駄目じゃないけど、恋とか全然知らないし、オジサマの事は好きですけど、それは私が娘のようだからで──」
オリガはとうとう吹き出してしまった。こんなに純情な娘も今時めずらしい。
「オリガさん、笑うなんて酷いです!」
「ごめんなさいね、でも揶揄った訳では無いのですよ?」
じゃあ何なのかと頬をぷくっと膨らまし、ルーナは非難の目をしてオリガを見た。だからと言ってべつに怒ったわけではない。むしろ照れ隠しのようなものだ。
なのに思いがけない程に真剣な眼差しが返ってきたものだから、微かに狼狽し口ごもってしまった。
「えっと……」
「ルーナ様、いい機会なので少し話を聞いて頂けますか?」
オリガが優しい口調でそう言うと、ルーナは緊張気味に「もちろんです」と返事をする。
真剣な様子のオリガに対して何故だか尻込みしそうになりながらも、真っ直ぐにその目を見た。
「ご存知のようにルーナ様は、未だブロッド侯爵が子息のダミアン殿と婚約中です。これは決して目を背ける事の出来ない事実であり、貴女の未来に暗い影を落とす現実です」
「はい……」
それはルーナにとって考えたくない未来であった。考えても自分ではどうする事もできない現実でもある。
国王陛下の命により結ばれた望まぬ婚約に、ただの農夫の娘が抗えるはずもない。
「しかしソレイユ様はブロッド侯爵から、必ず貴女を守ると約束なされた。この意味が分かりますか?」
オリガの口調は相変わらず優しい。ルーナの感情の波に寄り添いながらも導くように話を進めている。
だからルーナにとっては恐ろしい話題であるにも関わらず、視線を逸らす事なく話を続けられた。
「はい、分かります」
貴族社会に飲み込まれた自分を守る為、ソレイユがその貴族社会に、ひいては国王陛下にまで逆らおうとしてくれているのだ。
ルーナがオジサマと慕うそんな彼の覚悟を、疎かに思った事は一度もない。
「非常に困難な戦いになりますが、我々は必ず勝たねばなりません。それにはルーナ様もご一緒に戦う必要があります、ご自身の未来の為に」
その目を潤ませながらも強く頷くルーナの肩を、オリガは自らの手で優しく擦りながら言葉を続ける。
「ルーナ様が恋をするという事は、別の未来を掴もうとする気持ちの現れになるのです。もちろん恋に限りません。積極的に別の未来へと通じる大切なものを見つけて欲しいのですわ」
ルーナはオリガの話す内容を、まだ完全には理解しきれてはいなかった。
それでもこの話が、望まぬ自分の人生と訣別する為の覚悟を要求されている事は分かる。
「わ、私、やります! 自分の未来の為に頑張りますっ!」
興奮して決意を述べたルーナからは、まだソレイユとの恋に繋がりそうな気配は見えてこない。でもそれは構わなかった。
真意を覚悟を持って受け取ってくれたと感じたオリガは、柔らかに微笑む。
「そのお気持ちは、きっと我々の強い力となりますわ」
中天にあった太陽はいつの間にかに少し西へと傾いた。地上からは誰かの腹の鳴る音がグゥと聞こえる。
下をチラリと見た太陽はその音の主が少女と女性のどちらなのかを、詮索するのはよそうと思った。
◇*◇*◇*◇*◇
ちょうど同じ頃、王都に居たソレイユは窓から射し込んだ真昼の太陽の光で目を覚ます。
前日、大聖堂から王都の別邸へと戻った彼は、誰とも会わぬ様にして書斎に閉じ籠ってしまった。
顔色が悪く夢遊病者の様に呆然としており、そのただならぬ様子は家令を始め使用人たちを酷く心配させたらしい。
ソレイユに親身な彼らは、ただの使用人たちではなかった。
かつては軍での部下だった者たちが多く、各々の理由で退役した後もソレイユを慕って家人となっている。
ゆえにソレイユ自身も彼らへの特別な思い入れがあり、家族の様に大切にしていたのだ。
しかしその日だけは彼らへの配慮すらする余裕も無い有り様だった。
翌日に昼も大分過ぎてから、のっそりとダイニングに現れたソレイユは開口一番「腹が減った」と家令に言う。
ようやくいつも通りの様子に戻った主人に安心したのだろう、家令はその感情を隠すこともなく弾んだ声で「ただいまご用意致します」と喜んだ。
「ありがとう、ついでに湯浴みの準備もしておいてくれ。軍務で王宮まで行かねばならんのだ」
「畏まりました」
そう承った家令に「あ、それから」とソレイユが言うと、少し照れ臭そうにして「昨日は心配をかけた」と詫びたようだ。
そんな主人に対して家令は何も訊かずに、ただ左手を胸に当て右を後ろ手にして、綺麗な礼をするのだった。
王国軍北方司令官として軍服に身を包んでいたソレイユは、王宮にある王国軍参謀本部の執務室で書類仕事を片付けていた。
「これ全部、本当に今日中に終わらせないと駄目なの?」
机に山と積まれた書類を眺めながら、ソレイユは情けない声で事務官にと訊く。
「はい! ご領地の災害復興でお忙しいかとは存じますが、北方軍から届く書類の承認が滞っております故、なにとぞお願いします!」
「ですよねえ……」
現在隣国との友好は保たれている。しかし軍事的脅威は無くとも、北方司令官としての仕事は多岐にわたるのだ。要塞への補給や新兵の補充、犯罪者の取締りや魔獣討伐と数えればキリがない。
今は復興が国是とされてはいたが、その殆どの軍務を部下に丸投げして自領の復興に集中していたソレイユは肩身が狭かった。
(せめてもの罪滅ぼしだ、今日くらいは頑張るか!)
そう気合いを入れたソレイユであったのだが、その意気込みに反してなかなか仕事は捗らない。と言うのも……
「お初に御目に掛かります、ソレイユ司令閣下! 我々は東部軍所属の──」
「あ、とりあえず先に要件を言って。見ての通り、俺いま仕事が山積みなんだ」
「はっ! 要件は特にございません! ご挨拶に伺っただけであります!」
「あ、そう。ありがとう、じゃ今度また改めて……」
「どけっ、次は俺たちの番だ! ソレイユ司令閣下! 我々は中央軍所属──」
(マジかよ……)
と、まあこんな具合に次から次へ、ソレイユが珍しく本部に来ていると聞き付けた軍人たちが、挨拶にやって来るのである。
いや、挨拶と言うよりも一目見ようと来ていると言う方が正しいだろう。
この様な事態になったのはソレイユ自身にその原因がある。
彼はアンドラル王国において次期近衛騎士団長と噂されるほどの高名な剣士であり、勇者と共に魔人を屠った英雄でもあったからだ。つまり軍人たちからの人気が非常に高い。
(たく、見世物じゃないっての……)
そんな軍人たちに加えて、もっと厄介な客人が軍閥貴族の令嬢たちだ。
どこから聞き付けたのか知らないが、宮中にいた令嬢たちが押し寄せて来たのである。
「あの……何か?」
ソレイユが要件を訊いても、キャーともウーともつかない意味不明な奇声を小さく発して隠れてしまい埒があかない。
仕方なしに無視して仕事に向かうのだが、又候寄ってきては気を引いてくる。
(一体何なんだよ!)
この様な令嬢たちの来訪目的は、むろんソレイユとの結婚が目当てである。
常識的に考えても国の英雄かつ北方司令官。しかも大領地を有する辺境伯が、未だに独身だと言う事自体がおかしいのだ。
(まいったなあ……)
しかしソレイユは貴族であるにも関わらず、結婚というものに個人の幸福を求めるという変わった考えの持ち主であった。
それゆえ政略結婚が前提の縁談から逃げ回った結果、いつの間にか中年男になってしまったと言うわけである。
(こりゃ今日中に仕事が終わらないぞ!)
せっかく今までサボってきた罪滅ぼしにと、仕事を頑張ろうと思っていたソレイユであったが。
どうやらその罪業は重く、更なる苦労を要求された上での仕事となりそうだと溜め息をつくのであった。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

踏み台令嬢はへこたれない
三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。
石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。
ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。
そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。
真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる