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第八話「光明」
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「本当にルーナは瘴気に汚染されていないんだな?」
くどいほど確認を求めるソレイユに、魔法士たちは少し困った顔をしながら本当だと答えた。
「しかし有り得ぬ話ではないか?」
なおも言い募るソレイユを見かねたのだろう、ルーナはおずおずと言葉を挟んでその袖を引いた。
「あのぉオジサマ……私なら本当に大丈夫そうですから……」
目を真っ赤に泣き腫らしたルーナは、今度は頬までも赤くして恥ずかしそうに俯く。
過保護に扱われるのも恥ずかしかったのだが、それより子供の様に大泣きしてしまった自分の事が何より恥ずかしい。
(だけど沢山泣いたら、少しスッキリしちゃったな)
ルーナは心に溜まっていた様々な気持ちの澱が、涙で流されたように感じている。
もちろん消えてしまった訳ではないけども、それでも心が軽くなったのは事実で、人の心の不思議さを思わずにはいられなかった。
「ふむ」と腕組みをするソレイユは、まだ納得出来ないという顔をした。と、そこへ土壌の瘴気の消失を調べていたオリガが戻り、状況の報告をしたようだ。
「ルーナ様が鍬を入れた箇所の土壌の汚染は、間違いなく浄化されていました。土中深くまで調べてみましたが、瘴気がきれいさっぱり消えています」
ルーナが瘴気に汚染されていないのもそうだが、この現象も謎である。鍬を入れた箇所を中心にしておよそ両手を拡げた範囲が、円形に浄化されていたのだ。
魔人など魔族に類する生物は大気中の魔素を吸収して生きていた。その時に出る老廃物が瘴気であるのだが──
「うーん、瘴気は魔法でしか浄化できないはずだよなあ」
「では魔法の使えないはずのルーナ様が無意識に使ったと?」
ソレイユはオリガに返答しないまま、頭をボリボリと掻いた。
むろん結果だけをみれば朗報に違いない。それどころか奇跡ともいえる福音である。しかしその理由が分からないだけに、ソレイユは手放しで喜べなかった。
「よし、今日は屋敷に戻る事として、詳しい調査はまた明日に行う。ルーナもゆっくり休むんだぞ?」
微笑みで答えたルーナを見て、ソレイユはひとまず精神的に落ち着きを取り戻している事にホッとした。
翌朝早くに一人で庭へと出ていたソレイユは、朝の新鮮な空気を吸うことで眠気を払おうとしていた。
昨日のルーナに起きた出来事を考えていたら、いつの間にか朝になってしまった結果である。
昨夜ソレイユは屋敷に戻ってから、もう一度上級魔法士にルーナの汚染を調べさせ、お墨付きを貰っている。オリガは呆れ顔でいたが、心配なものは心配なのだ。
診断後の魔法士に土中瘴気の浄化についての心当たりも聞いてみたのだが、まったく見当がつかない様だった。
ただ魔法によるものでは無いとだけは断言した。何故ならルーナは魔素を魔法へと変換する魔力という器官を、その体内に持っていなかったからだ。
もしかして極々稀にある聖女への覚醒が、ルーナの身に起きたのかとも思ったがその線は消えたようである。
魔法でないのなら一体あの現象は何だというのか?──無理にでも考えるならば、ルーナが勇者の娘だからという事だろう。だがそれは血の系譜とは違う意味でだ。
ソレイユは伝説として聞いたことがあった。魔法でも特殊能力でもない、神から授けられた『恩寵』という力のことを。
その恩寵は神の意志の代償として授かる能力らしいのだが、詳しい事は何も伝わっていないし、本当にあるのかも分からない。
だがルーナの父親である勇者殿は、神のご意志で自分が選ばれたと言っていたのだ。
ならば娘から父親を奪った事への代償として、神がルーナに恩寵を授けたとも考えられはしないだろうか?
(まあ、伝説が本当であればだがな……)
ただソレイユとしては、そんな伝説は嘘であって欲しいと思っている。
(父親の死の代償など、喜んで受け取る様なルーナではないだろう)
むしろそんな恩寵を使う事となれば、父親の死を利用している様にも感じ、ルーナは苦しむに違いない。ならば恩寵などこの世に無いほうがましだ。
鳥の鋭い鳴き声がソレイユのそんな思考を遮った。途端深く息をつくとボリボリと頭を掻く。
(考え過ぎだな──)
伝説などを持ち出して、極端な思考に陥った自分に苦笑いをしたソレイユは、それを徹夜明けのせいにする。
そして朝食に遅れない様にと散歩を切り上げて、屋敷の中へと戻るのだった。
「今日は張り切って耕しますよ、農夫の娘の本領発揮です!」
一方ルーナはソレイユの心配を他所に、朝から元気一杯であった。それは無理に装った空元気なのではないのかと、かえって心配になるほどに。
「いいえ、無理なんかしていませんよ? 昨日、お医者様とオリガさんに言われたんです。泣くのは悪い事じゃないんだって」
「医者とオリガが?」
ソレイユは二人が魔法でも使ったんじゃないかと訝しむ。それくらい今朝のルーナは人が違った様に生き生きとしているのだ。
「はい。昨日泣いて分かりました。私、お父さんの事をすごく怒っていたんですね。私を置いて行ってしまって、すごく腹が立っていたみたい」
ルーナはずっと自分が恐れを抱き続けていた事を、ようやく自覚出来たと言った。
魔人と戦って多くの人の命を救った父親を怒って責めたりする事は、自分が自己中心的な酷い人間だと認める様で恐かったのだと。
だから我慢した。酷い人間になりたくはなかったから考えない様にした。そしたらいつか自分の暗い感情も消えると信じた。
──でも、消えなかった。
それなのに昨日、思わず大声で父親のことを大嫌いだと悪態をついてしまった時、不思議なほど心がスッと軽くなったのだ。
そう、何かが消えた──。
「それで私、気がついたんです。私の中にお父さんを怒っていた気持ちと応援したい気持ち、二つあったんだって。それは別々のもので、どっちも私の本当の気持ちだったんですね」
そう言い終わるとルーナは再び朝食をモリモリと食べ始めた。
ソレイユは正直呆気にとられている。人の心とはこんなにも一日で変わるものだろうかと。いや、心の傷はそう簡単には癒されはしまい。それは悲観的に思うからではなく、現実的にそうなのだ。
(しかし、昨日がルーナにとっての転換点になったのは間違いなさそうだ)
おそらくこれからもルーナの心の傷の修復は、浜辺の波の様に行きつ戻りつすることだろう。
それでも今そのスタートラインに立った彼女に、ソレイユは声援を送りたかった。
「そうか、じゃあ被災したみんなの為にも、沢山瘴気を浄化して貰おうかな」
「はい! 任せて下さいオジサマッ!」
ルーナの顔はキラキラと輝いて見えた。
◇*◇*◇*◇*◇
ここ二ヶ月での瘴気の浄化作業は、ルーナの活躍により飛躍的に捗っていた。
しかし問題が無い訳ではない。領内の農村各地からルーナによる浄化の要望が増え、順番を後に回された村々からは不満の声が続出したのだ。
それはルーナという娘が領内で有名になった証でもある。
噂が噂を呼んで今では農民たちの光明ともいえる希望の存在となっていたのだ。中には聖女だと勘違いする者までいた。
とはいえオリガは領内の広大な土地を浄化していく上で、ルーナの健康管理を厳としたスケジュールを立てている。故に決して無理をさせるつもりはない。
計算ではおよそ二年で領内を汚染している瘴気の浄化が完了する。長丁場ではあるが、魔法士だけでは十数年かかると計算されていた事を思えば夢のような話なのだ。
「ルーナ様ありがとうございます」「ルーナ様は命の恩人です」と、そんな風に行く先々の村で農夫たちから感謝されるようになると、ルーナはかえって居心地の悪さを感じるようになった。
「いえ、私のおかげとか無いですから! 全然無いですからッ」
そんな感じで顔を赤くして逃げ出してしまうのは、感謝される事に慣れていないせいもあるのだろう。
しかし一番の理由はルーナ自身が努力で身に付けた浄化の力ではないだけに、気が引けてしまっていたのだ。
だからと言って浄化の作業が辛い訳ではなく、ルーナは人の役に立てている事を心から喜んでもいた。
だがソレイユだけは、ルーナのこの謎の力を解明出来ずにいる事に不安を覚えていたようだ。
以前に寝不足の頭で考えた伝説にある『恩寵』という可能性も、やはり見過ごせなかった。
そんな伝説は事実であっては欲しくはないが、もし恩寵というものがルーナの父親の勇者殿と同じ類いのものならばと、考えた時の不安が消せない。
(勇者殿が役目を終えたと同時に死に至った様に、ルーナもまたその役目を終える時が来たら──)
ソレイユはその可能性が何よりも恐ろしかったのだ。
それゆえ一度、ルーナの謎の浄化能力について詳しく調べねばならないと思っており、近いうちに王都にある王立図書館と大聖堂へと赴くつもりでいるのであった。
くどいほど確認を求めるソレイユに、魔法士たちは少し困った顔をしながら本当だと答えた。
「しかし有り得ぬ話ではないか?」
なおも言い募るソレイユを見かねたのだろう、ルーナはおずおずと言葉を挟んでその袖を引いた。
「あのぉオジサマ……私なら本当に大丈夫そうですから……」
目を真っ赤に泣き腫らしたルーナは、今度は頬までも赤くして恥ずかしそうに俯く。
過保護に扱われるのも恥ずかしかったのだが、それより子供の様に大泣きしてしまった自分の事が何より恥ずかしい。
(だけど沢山泣いたら、少しスッキリしちゃったな)
ルーナは心に溜まっていた様々な気持ちの澱が、涙で流されたように感じている。
もちろん消えてしまった訳ではないけども、それでも心が軽くなったのは事実で、人の心の不思議さを思わずにはいられなかった。
「ふむ」と腕組みをするソレイユは、まだ納得出来ないという顔をした。と、そこへ土壌の瘴気の消失を調べていたオリガが戻り、状況の報告をしたようだ。
「ルーナ様が鍬を入れた箇所の土壌の汚染は、間違いなく浄化されていました。土中深くまで調べてみましたが、瘴気がきれいさっぱり消えています」
ルーナが瘴気に汚染されていないのもそうだが、この現象も謎である。鍬を入れた箇所を中心にしておよそ両手を拡げた範囲が、円形に浄化されていたのだ。
魔人など魔族に類する生物は大気中の魔素を吸収して生きていた。その時に出る老廃物が瘴気であるのだが──
「うーん、瘴気は魔法でしか浄化できないはずだよなあ」
「では魔法の使えないはずのルーナ様が無意識に使ったと?」
ソレイユはオリガに返答しないまま、頭をボリボリと掻いた。
むろん結果だけをみれば朗報に違いない。それどころか奇跡ともいえる福音である。しかしその理由が分からないだけに、ソレイユは手放しで喜べなかった。
「よし、今日は屋敷に戻る事として、詳しい調査はまた明日に行う。ルーナもゆっくり休むんだぞ?」
微笑みで答えたルーナを見て、ソレイユはひとまず精神的に落ち着きを取り戻している事にホッとした。
翌朝早くに一人で庭へと出ていたソレイユは、朝の新鮮な空気を吸うことで眠気を払おうとしていた。
昨日のルーナに起きた出来事を考えていたら、いつの間にか朝になってしまった結果である。
昨夜ソレイユは屋敷に戻ってから、もう一度上級魔法士にルーナの汚染を調べさせ、お墨付きを貰っている。オリガは呆れ顔でいたが、心配なものは心配なのだ。
診断後の魔法士に土中瘴気の浄化についての心当たりも聞いてみたのだが、まったく見当がつかない様だった。
ただ魔法によるものでは無いとだけは断言した。何故ならルーナは魔素を魔法へと変換する魔力という器官を、その体内に持っていなかったからだ。
もしかして極々稀にある聖女への覚醒が、ルーナの身に起きたのかとも思ったがその線は消えたようである。
魔法でないのなら一体あの現象は何だというのか?──無理にでも考えるならば、ルーナが勇者の娘だからという事だろう。だがそれは血の系譜とは違う意味でだ。
ソレイユは伝説として聞いたことがあった。魔法でも特殊能力でもない、神から授けられた『恩寵』という力のことを。
その恩寵は神の意志の代償として授かる能力らしいのだが、詳しい事は何も伝わっていないし、本当にあるのかも分からない。
だがルーナの父親である勇者殿は、神のご意志で自分が選ばれたと言っていたのだ。
ならば娘から父親を奪った事への代償として、神がルーナに恩寵を授けたとも考えられはしないだろうか?
(まあ、伝説が本当であればだがな……)
ただソレイユとしては、そんな伝説は嘘であって欲しいと思っている。
(父親の死の代償など、喜んで受け取る様なルーナではないだろう)
むしろそんな恩寵を使う事となれば、父親の死を利用している様にも感じ、ルーナは苦しむに違いない。ならば恩寵などこの世に無いほうがましだ。
鳥の鋭い鳴き声がソレイユのそんな思考を遮った。途端深く息をつくとボリボリと頭を掻く。
(考え過ぎだな──)
伝説などを持ち出して、極端な思考に陥った自分に苦笑いをしたソレイユは、それを徹夜明けのせいにする。
そして朝食に遅れない様にと散歩を切り上げて、屋敷の中へと戻るのだった。
「今日は張り切って耕しますよ、農夫の娘の本領発揮です!」
一方ルーナはソレイユの心配を他所に、朝から元気一杯であった。それは無理に装った空元気なのではないのかと、かえって心配になるほどに。
「いいえ、無理なんかしていませんよ? 昨日、お医者様とオリガさんに言われたんです。泣くのは悪い事じゃないんだって」
「医者とオリガが?」
ソレイユは二人が魔法でも使ったんじゃないかと訝しむ。それくらい今朝のルーナは人が違った様に生き生きとしているのだ。
「はい。昨日泣いて分かりました。私、お父さんの事をすごく怒っていたんですね。私を置いて行ってしまって、すごく腹が立っていたみたい」
ルーナはずっと自分が恐れを抱き続けていた事を、ようやく自覚出来たと言った。
魔人と戦って多くの人の命を救った父親を怒って責めたりする事は、自分が自己中心的な酷い人間だと認める様で恐かったのだと。
だから我慢した。酷い人間になりたくはなかったから考えない様にした。そしたらいつか自分の暗い感情も消えると信じた。
──でも、消えなかった。
それなのに昨日、思わず大声で父親のことを大嫌いだと悪態をついてしまった時、不思議なほど心がスッと軽くなったのだ。
そう、何かが消えた──。
「それで私、気がついたんです。私の中にお父さんを怒っていた気持ちと応援したい気持ち、二つあったんだって。それは別々のもので、どっちも私の本当の気持ちだったんですね」
そう言い終わるとルーナは再び朝食をモリモリと食べ始めた。
ソレイユは正直呆気にとられている。人の心とはこんなにも一日で変わるものだろうかと。いや、心の傷はそう簡単には癒されはしまい。それは悲観的に思うからではなく、現実的にそうなのだ。
(しかし、昨日がルーナにとっての転換点になったのは間違いなさそうだ)
おそらくこれからもルーナの心の傷の修復は、浜辺の波の様に行きつ戻りつすることだろう。
それでも今そのスタートラインに立った彼女に、ソレイユは声援を送りたかった。
「そうか、じゃあ被災したみんなの為にも、沢山瘴気を浄化して貰おうかな」
「はい! 任せて下さいオジサマッ!」
ルーナの顔はキラキラと輝いて見えた。
◇*◇*◇*◇*◇
ここ二ヶ月での瘴気の浄化作業は、ルーナの活躍により飛躍的に捗っていた。
しかし問題が無い訳ではない。領内の農村各地からルーナによる浄化の要望が増え、順番を後に回された村々からは不満の声が続出したのだ。
それはルーナという娘が領内で有名になった証でもある。
噂が噂を呼んで今では農民たちの光明ともいえる希望の存在となっていたのだ。中には聖女だと勘違いする者までいた。
とはいえオリガは領内の広大な土地を浄化していく上で、ルーナの健康管理を厳としたスケジュールを立てている。故に決して無理をさせるつもりはない。
計算ではおよそ二年で領内を汚染している瘴気の浄化が完了する。長丁場ではあるが、魔法士だけでは十数年かかると計算されていた事を思えば夢のような話なのだ。
「ルーナ様ありがとうございます」「ルーナ様は命の恩人です」と、そんな風に行く先々の村で農夫たちから感謝されるようになると、ルーナはかえって居心地の悪さを感じるようになった。
「いえ、私のおかげとか無いですから! 全然無いですからッ」
そんな感じで顔を赤くして逃げ出してしまうのは、感謝される事に慣れていないせいもあるのだろう。
しかし一番の理由はルーナ自身が努力で身に付けた浄化の力ではないだけに、気が引けてしまっていたのだ。
だからと言って浄化の作業が辛い訳ではなく、ルーナは人の役に立てている事を心から喜んでもいた。
だがソレイユだけは、ルーナのこの謎の力を解明出来ずにいる事に不安を覚えていたようだ。
以前に寝不足の頭で考えた伝説にある『恩寵』という可能性も、やはり見過ごせなかった。
そんな伝説は事実であっては欲しくはないが、もし恩寵というものがルーナの父親の勇者殿と同じ類いのものならばと、考えた時の不安が消せない。
(勇者殿が役目を終えたと同時に死に至った様に、ルーナもまたその役目を終える時が来たら──)
ソレイユはその可能性が何よりも恐ろしかったのだ。
それゆえ一度、ルーナの謎の浄化能力について詳しく調べねばならないと思っており、近いうちに王都にある王立図書館と大聖堂へと赴くつもりでいるのであった。
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