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10 再び母艦へ
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九式艦爆は三機無事に揃っている。護衛の任務は果たせたらしい。洋一は安堵する。
「イナズマ一番、一発命中だな。おめでとう」
編隊投下された爆弾は確かに艦の中央辺りに一発命中して、左右それぞれに至近弾といったところだった。少なくとも翔鸞と同程度の損害は与えたはずだった。
「ありがとうございます。綺羅様も二機撃墜確認しました。写真も撮ったはずです」
興奮冷めやらぬ内藤中尉が返礼をする。
「ああ、二番機と一緒に射撃したから共同撃墜二だな」
「え? いいんですか?」
自分で照準を合わせたわけではないので、洋一にはどうにも実感がなかった。果たして自分の弾は当たったのだろうか。
「いいって。二機墜としたからそれぞれ撃墜一だ。分けやすくしたのだからな」
「もしかして最後の一機を追わなかったのって」
「だって二分の一なんて半端じゃないか」
どうやら半端が嫌で見逃したらしい。
「もう少し離れたら集合場所に行くぞ。少年、覚えているかな」
「はい、南方にあるタマネギ型の雲です」
「よろしいよろしい」
まるで子供に読み書きを教えるような口調だった。
集合場所の雲の下にはすでに待っている一隊があった。別行動をしていた隊だろう。安堵しかけた洋一であったがすぐに顔が曇る。六機のはずなのに、三機しかいない。
「イカヅチ一番、やられたのか」
あれだけの大軍に紛れ込んで一発かましたのだ。無事に帰れると考える方がおかしい。
「ええまあ。いや、戦闘機隊はよくやってくれましたよ」
見ると九式艦爆は一機しか残っていない。
「空中衝突ですよ。操縦してたのが練習生でしたから」
たった一機だけとなったイカヅチ一番はさみしそうに云った。
「丹羽。無事だったかぁ」
同期の松岡の声だった。どこか様子がおかしい。
「ああ何とか。おい松岡、神谷はどうした」
十式艦戦も一機の姿が見えない。
「神谷が、神谷がやられちまった……」
別れたのはついさっきだというのに、同期がこの世から消えてしまっていた。
「気がついたら神谷の機体が燃えてたんだ。ほんといきなりだぜ。そして振り返ったら知らないうちにネコ野郎がいやがって……」
起こったことに頭が追いついていないようだった。
「成瀬一飛曹が墜としてくれなかったら、俺も食われていたかも」
今彼等が生きているのは、紙一重の差なのかもしれない。
「さあ、辛く楽しい時間は終わりだ。還ろう諸君」
あの戦いをそう締めくくると、綺羅は針路を翔鸞へと向けた。空は西から茜に染まり始めていた。
翔鸞に降り立つと、乗組員から練習生やらが出迎えてくれた。人の群れの中に朱音の顔を発見し、洋一は還ってきたことを実感した。
「うすらとんちきに、石を二つほどぶつけてきたよ」
綺羅のよく判らない云い方に周囲は首を捻ってはいたが、意味はなんとなく理解できた。一撃お見舞いしてきたらしい。だが未帰還機が三機あることに練習生たちは衝撃を受けても居るらしい。
「ご苦労だった諸君」
高山艦長は帰還した搭乗員一人一人と握手する。出撃に反対ではあったが、結果には責任を取るつもりなのだろう。
「報告します。北方二百海里にブランドル艦隊を発見。これに対し自衛戦闘を行いました」
あれは自衛戦闘だったのだろうか。洋一は反射的に首を捻りそうになるのをなんとか押さえる。向こうが先に撃ってきたとは云いがたかった気もするが、ああでもしないとあの中に潜り込めなかったのは事実だった。
「艦隊の規模は」
「正規空母四隻を中核とした二十隻前後の艦隊です」
正規空母四隻。艦長の口がゆがみ、周囲からもどよめきが上がる。
「うち空母二隻に投弾し、それぞれ一発は命中確認しました。その後敵戦闘機を計三機撃墜、こちらの損害は九式艦爆二機と十式艦戦が一機です」
あの大編隊に紛れてその損害で帰れたことが奇跡ではあった。
「艦爆隊で写真を撮っていたはずなので、それを分析すれば敵艦の詳細も判るでしょう」
洋一たちは必死だったのであれが何級だったのかまでは判らなかった。写真を見れば思い出せるだろう。とにかく煙突がでかくて弁当箱だったことだけは覚えている。
「ご苦労だった。直ちに舞鶴鎮守府に報告しよう」
少しだけ綺羅は首をかしげた。
「ああ、無線が直った。とにかくさっさと戻ってこいとのことだ。明日の昼には入港できる」
搭乗員たちに安堵の表情が広がる。特に練習生たちは還る手段を喪っていたために今後の去就にやきもきしていたところだった。
「搭乗員諸君、本当にご苦労であった。練習生諸君、協力に感謝する。今日はよく休みたまえ。解散」
ねぎらいの言葉をかけると、高山艦長は艦橋へと戻っていった。どうやら彼にはやるべきことが山積みらしい。
「さあお前ら、寝床は用意してやるからとっとと飯食って寝ろ」
教官の代わりに成瀬一飛曹が臨時の引率役となった。
身体が疲れているのに精神は高揚している妙な感じだった。周りの練習生たちも同じだった。何しろ訓練に来たのに戦争に放り込まれて、教官やら仲間が居なくなってしまったのだ。
「そう云うときはとにかく食え、たらふく食え」
食堂で配膳係はいつもより多く薩摩汁をよそってくれた。温かいものを腹に入れてようやく落ち着けた気がする。
寝る場所は有るのかと心配していたが、搭乗員の居室がちゃんとあてがわれた。もともと艦の半分が陸に訓練に上がっていて空いていた。ちなみに朱音ともう一人の女性技術訓練生は綺羅の隣の居室だと大盛り上がりだった。女性用居住区画はそこしかないらしい。いつもなら教官の眼を盗んで深夜のお喋りに興じるところだったが、消灯した途端に不思議なほど皆早く眠りに落ちてしまった。やはり皆、疲れていたのだろう。
それでも洋一はハンモックの中で眼を開けていた。闇と静寂に包まれると、忙しさのあまり向こうに押しのけてきた様々な感情が顔を出し始める。
とにかく、色々有りすぎた。本来訓練の一環で実戦部隊を訪問することからして、自分にとっては大事件のはずだった。なのにそれを上回る事態が自分たちを押し流した。急降下してくるスツーカ、爆発する艦、そして自分たちをかばって死んだ水口二飛曹。
でも恐怖だけではなかった。素晴らしい戦闘機と、そして何よりあの人に出逢えた。
紅宮綺羅。
不思議な人だ。人を惹きつけ、望むがままに生き、見たことのない世界を切り拓く。あの人についていけば、自分はどこまでも征け、何にでもなれる。そんな気がした。
今日自分が生き残れたのも、撃墜を果たせたのも、あの人のおかげだった。洋一は暗闇の中で自分の両手を伸ばした。操縦桿を握った右手と、引き金を引いた左手。
右手を左右に動かし、そして左手を握る。それだけであの振動が身体に蘇ってくる。二十㎜、あれは凄かった。魂を揺さぶられた。
今日で撃墜二ということになる。正直敵艦隊上空での共同撃墜はあまり実感がない。なので思い出すのは最初のドミトリー雷撃機であった。あの衝撃のたびにもたらされる圧倒的な力。あれが自分によって引き起こされたことなのだ。興奮しないわけがない。思い出しただけで眼が冴えてきた。
本当に一撃だった。十式艦戦と自分とであったなら、この世の全ての悪と闘える。そんな気すらしてきた。
悪ってなんだよ。洋一は自分の中の幼さに小さく笑った。まあでも、あれは自分を正直にさせてくれる。
そもそも戦闘機乗りを目指して飛科練に入ったのも、御国のためとか次男であるとか出世の可能性とかそんな小賢しい言い訳をひんむいてしまえば、そういう子供っぽい願望を叶えるためである。かっこいい戦闘機に乗って大暴れして大活躍したい。それの何が悪いんだ。
そしてそれは実際に出来てしまった。この艦を狙っていたドミトリー雷撃機は自分の一撃で破壊され、燃えて墜ちていった。この丹羽洋一の手で。敵は脱出することしか出来なかった。
ふと洋一の表情が固まる。ドミトリー雷撃機は三人乗りだ。しかしあのとき開いた落下傘は、二つだけだった。
その意味を理解していたつもりではあった。しかしあの光景を思い出すと、胃の辺りに云いようのない冷たさが走る。それでありながらあの機銃の衝撃と破壊は、どうしようもなく自分を恍惚とさせた。
二つの感覚が同時に洋一の心を揺らす。これは簡単に眠れるものではない。闇の中で彼は何度も瞬きを繰り返した。
「イナズマ一番、一発命中だな。おめでとう」
編隊投下された爆弾は確かに艦の中央辺りに一発命中して、左右それぞれに至近弾といったところだった。少なくとも翔鸞と同程度の損害は与えたはずだった。
「ありがとうございます。綺羅様も二機撃墜確認しました。写真も撮ったはずです」
興奮冷めやらぬ内藤中尉が返礼をする。
「ああ、二番機と一緒に射撃したから共同撃墜二だな」
「え? いいんですか?」
自分で照準を合わせたわけではないので、洋一にはどうにも実感がなかった。果たして自分の弾は当たったのだろうか。
「いいって。二機墜としたからそれぞれ撃墜一だ。分けやすくしたのだからな」
「もしかして最後の一機を追わなかったのって」
「だって二分の一なんて半端じゃないか」
どうやら半端が嫌で見逃したらしい。
「もう少し離れたら集合場所に行くぞ。少年、覚えているかな」
「はい、南方にあるタマネギ型の雲です」
「よろしいよろしい」
まるで子供に読み書きを教えるような口調だった。
集合場所の雲の下にはすでに待っている一隊があった。別行動をしていた隊だろう。安堵しかけた洋一であったがすぐに顔が曇る。六機のはずなのに、三機しかいない。
「イカヅチ一番、やられたのか」
あれだけの大軍に紛れ込んで一発かましたのだ。無事に帰れると考える方がおかしい。
「ええまあ。いや、戦闘機隊はよくやってくれましたよ」
見ると九式艦爆は一機しか残っていない。
「空中衝突ですよ。操縦してたのが練習生でしたから」
たった一機だけとなったイカヅチ一番はさみしそうに云った。
「丹羽。無事だったかぁ」
同期の松岡の声だった。どこか様子がおかしい。
「ああ何とか。おい松岡、神谷はどうした」
十式艦戦も一機の姿が見えない。
「神谷が、神谷がやられちまった……」
別れたのはついさっきだというのに、同期がこの世から消えてしまっていた。
「気がついたら神谷の機体が燃えてたんだ。ほんといきなりだぜ。そして振り返ったら知らないうちにネコ野郎がいやがって……」
起こったことに頭が追いついていないようだった。
「成瀬一飛曹が墜としてくれなかったら、俺も食われていたかも」
今彼等が生きているのは、紙一重の差なのかもしれない。
「さあ、辛く楽しい時間は終わりだ。還ろう諸君」
あの戦いをそう締めくくると、綺羅は針路を翔鸞へと向けた。空は西から茜に染まり始めていた。
翔鸞に降り立つと、乗組員から練習生やらが出迎えてくれた。人の群れの中に朱音の顔を発見し、洋一は還ってきたことを実感した。
「うすらとんちきに、石を二つほどぶつけてきたよ」
綺羅のよく判らない云い方に周囲は首を捻ってはいたが、意味はなんとなく理解できた。一撃お見舞いしてきたらしい。だが未帰還機が三機あることに練習生たちは衝撃を受けても居るらしい。
「ご苦労だった諸君」
高山艦長は帰還した搭乗員一人一人と握手する。出撃に反対ではあったが、結果には責任を取るつもりなのだろう。
「報告します。北方二百海里にブランドル艦隊を発見。これに対し自衛戦闘を行いました」
あれは自衛戦闘だったのだろうか。洋一は反射的に首を捻りそうになるのをなんとか押さえる。向こうが先に撃ってきたとは云いがたかった気もするが、ああでもしないとあの中に潜り込めなかったのは事実だった。
「艦隊の規模は」
「正規空母四隻を中核とした二十隻前後の艦隊です」
正規空母四隻。艦長の口がゆがみ、周囲からもどよめきが上がる。
「うち空母二隻に投弾し、それぞれ一発は命中確認しました。その後敵戦闘機を計三機撃墜、こちらの損害は九式艦爆二機と十式艦戦が一機です」
あの大編隊に紛れてその損害で帰れたことが奇跡ではあった。
「艦爆隊で写真を撮っていたはずなので、それを分析すれば敵艦の詳細も判るでしょう」
洋一たちは必死だったのであれが何級だったのかまでは判らなかった。写真を見れば思い出せるだろう。とにかく煙突がでかくて弁当箱だったことだけは覚えている。
「ご苦労だった。直ちに舞鶴鎮守府に報告しよう」
少しだけ綺羅は首をかしげた。
「ああ、無線が直った。とにかくさっさと戻ってこいとのことだ。明日の昼には入港できる」
搭乗員たちに安堵の表情が広がる。特に練習生たちは還る手段を喪っていたために今後の去就にやきもきしていたところだった。
「搭乗員諸君、本当にご苦労であった。練習生諸君、協力に感謝する。今日はよく休みたまえ。解散」
ねぎらいの言葉をかけると、高山艦長は艦橋へと戻っていった。どうやら彼にはやるべきことが山積みらしい。
「さあお前ら、寝床は用意してやるからとっとと飯食って寝ろ」
教官の代わりに成瀬一飛曹が臨時の引率役となった。
身体が疲れているのに精神は高揚している妙な感じだった。周りの練習生たちも同じだった。何しろ訓練に来たのに戦争に放り込まれて、教官やら仲間が居なくなってしまったのだ。
「そう云うときはとにかく食え、たらふく食え」
食堂で配膳係はいつもより多く薩摩汁をよそってくれた。温かいものを腹に入れてようやく落ち着けた気がする。
寝る場所は有るのかと心配していたが、搭乗員の居室がちゃんとあてがわれた。もともと艦の半分が陸に訓練に上がっていて空いていた。ちなみに朱音ともう一人の女性技術訓練生は綺羅の隣の居室だと大盛り上がりだった。女性用居住区画はそこしかないらしい。いつもなら教官の眼を盗んで深夜のお喋りに興じるところだったが、消灯した途端に不思議なほど皆早く眠りに落ちてしまった。やはり皆、疲れていたのだろう。
それでも洋一はハンモックの中で眼を開けていた。闇と静寂に包まれると、忙しさのあまり向こうに押しのけてきた様々な感情が顔を出し始める。
とにかく、色々有りすぎた。本来訓練の一環で実戦部隊を訪問することからして、自分にとっては大事件のはずだった。なのにそれを上回る事態が自分たちを押し流した。急降下してくるスツーカ、爆発する艦、そして自分たちをかばって死んだ水口二飛曹。
でも恐怖だけではなかった。素晴らしい戦闘機と、そして何よりあの人に出逢えた。
紅宮綺羅。
不思議な人だ。人を惹きつけ、望むがままに生き、見たことのない世界を切り拓く。あの人についていけば、自分はどこまでも征け、何にでもなれる。そんな気がした。
今日自分が生き残れたのも、撃墜を果たせたのも、あの人のおかげだった。洋一は暗闇の中で自分の両手を伸ばした。操縦桿を握った右手と、引き金を引いた左手。
右手を左右に動かし、そして左手を握る。それだけであの振動が身体に蘇ってくる。二十㎜、あれは凄かった。魂を揺さぶられた。
今日で撃墜二ということになる。正直敵艦隊上空での共同撃墜はあまり実感がない。なので思い出すのは最初のドミトリー雷撃機であった。あの衝撃のたびにもたらされる圧倒的な力。あれが自分によって引き起こされたことなのだ。興奮しないわけがない。思い出しただけで眼が冴えてきた。
本当に一撃だった。十式艦戦と自分とであったなら、この世の全ての悪と闘える。そんな気すらしてきた。
悪ってなんだよ。洋一は自分の中の幼さに小さく笑った。まあでも、あれは自分を正直にさせてくれる。
そもそも戦闘機乗りを目指して飛科練に入ったのも、御国のためとか次男であるとか出世の可能性とかそんな小賢しい言い訳をひんむいてしまえば、そういう子供っぽい願望を叶えるためである。かっこいい戦闘機に乗って大暴れして大活躍したい。それの何が悪いんだ。
そしてそれは実際に出来てしまった。この艦を狙っていたドミトリー雷撃機は自分の一撃で破壊され、燃えて墜ちていった。この丹羽洋一の手で。敵は脱出することしか出来なかった。
ふと洋一の表情が固まる。ドミトリー雷撃機は三人乗りだ。しかしあのとき開いた落下傘は、二つだけだった。
その意味を理解していたつもりではあった。しかしあの光景を思い出すと、胃の辺りに云いようのない冷たさが走る。それでありながらあの機銃の衝撃と破壊は、どうしようもなく自分を恍惚とさせた。
二つの感覚が同時に洋一の心を揺らす。これは簡単に眠れるものではない。闇の中で彼は何度も瞬きを繰り返した。
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