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夏の湖畔と惨劇の館
#4
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本日は今年一番の暑さになりそうなよく晴れた夏日。
強い日差しを浴びながら冷たい海と戯れるのは、夏のリモワでは遊びの定番です。
「今日も浜は人多いな」
「そうですねー、声までは聞こえませんけど沢山いるのが見えます!」
「彼らもこんな位置から見られてるとは思わないでしょうね」
私達は現在ビャンコ様が個人的に仲良くしているという魔獣の背の上にいます。
「だなぁ。最初はどうなるもんかと思ったけど、実際体感しちまうとビャンコさんとキーノスが当たり前に言うのも分かっちまうなぁ」
「でしょ? 絶対こっちのが楽だし早いし、楽しいでしょ?」
空を飛ぶマンタで、横幅は十メートルを超す巨大な魔獣です。
この移動手段になるまで一悶着ありましたが、思っていた以上に快適です。
「あ、あそこ! 大きな牛がいます!」
「おおお! 結構数いるな」
「食事中のようですね、しかしすごい眺めです」
初めての空の旅を皆様楽しんでいらっしゃいますね。
現在私達はシオ様の湖畔の別荘へ向かっている途中です。
日程の調整をした結果、お誘いを頂いてから一ヶ月程の今日決行となりました。
当初はカズロ様も参加予定でしたが、直前になって急ぎの仕事が出来てしまったと嘆いておりました。
「店長勿体ないことしたなぁ、来てればこの絶景見れたのに」
「カズロもだな。上から見るとこの辺結構森あるのによく害獣被害出ねぇな」
「騎士団とビャンコさんのお陰ですね」
「オレは何もしてないよ、元々友好的だから滅多に襲ってきたりしないよ」
マンタの上には布製のシートがひかれ、紅茶のセットが用意されています。
私は風の抵抗を弱める術を展開しているので、マンタの後方に座りタバコに火をつけ読書をしています。
青空の下での読書は気分を明るくしてくれますね。
王都から離れてしばらく、眼下にめぼしい物がなくなったのか、皆様が紅茶セットの周りへ戻って参りました。
私が皆様に紅茶の入ったグラスを配ったあと、これから行く別荘に関してミケーノ様が話題に出しました。
「シオの別荘相当広そうだよな」
「僕達全員で行ってもベッドが余るなんて! 誰かはソファかな~とか思ってました」
「元々家具の展示のために購入してますから、広さは探す条件にしてました。寝室のベッドも全部違うものですよ」
これから行く別荘は元々芸術関係のお仕事をなさっていた方が建てたもので、事前に見せていただいた間取り図を見る限りかなり大きなものでした。
特にリビングとアトリエが広く、既にテーブルセットを複数設置しているそうです。
寝室は三部屋あり、一階にはダブルベッドのある一部屋、二階の二部屋にはシングルベッドが複数あり、今回は全員二階で寝る予定です。
キッチンや浴室はそこまで広くないものの設備は充分に整っているそうで、今回の旅行では食器などは荷物に含まれておりません。
どうやら、かなり豪華な別荘に招待されたようです。
「先日家具の搬入の際に清掃は一通り済ませてはいますが、到着後換気をしたいですね」
「それオレやっちゃっていい? 幽霊探しも兼ねて」
「いえいえ、私もやりますよ」
「掃除も兼ねて精霊さん頼みにしちゃった方が早いんよね、すぐ終わるからダメかな?」
「それなら構いませんが、見学しても良いですか?」
「いいよ、面白いかは知らないけど」
ビャンコ様が進行方向を向きながら話します。
別荘に着いたあとは、私とミケーノ様はメインディッシュの材料の調達を、他の皆様は別荘での滞在の準備をなさる予定です。
「オレとキーノスは食料の確保だな、デムーロの湖だったら鮭が有名だから釣れると良いんだがなぁ」
「本当に良かったんですか? 釣りや狩猟なんて」
「どうせなら取りたてのもん食いたいしな、釣りなら得意だぞ」
「山の生活が長かったから問題ない」
先日の集まりでミケーノ様から敬語禁止を言い渡されております。
「キーちゃんなら大丈夫だよ、前に一週間山篭りした時食料係だったし」
「山篭りって……まぁ何にしても心強い事に代わりはねぇか」
「ミケーノとキーノスが良いなら構いませんが、一応燻製肉も荷物に入れてあるので無理をしなくても大丈夫ですよ」
「もし掃除でも何かあれば手伝うから言ってくれ」
今回の役割分担で食事はミケーノ様と私の担当になりましたが、私はお手伝いに近い立ち位置になると思います。
そうなりますと、私は移動中以外で出来ることがほぼありませんので、材料を森の中で採ってくるくらいは問題ありません。
それに狩猟のついでに薬草の採取もしてこようと考えていますので、私は少し楽しみにしています。
「食料もだが、まずは幽霊からだ」
「そうですね、でも夜にしましょう! 肝試しは夜って相場が決まってますからね、楽しみです!」
「オレ未だに意外なんだが、メルってこういうの好きなんだな。ホラーとかそういうの」
「はい! 湖畔の別荘なんてミステリーの王道ですからね、本当に楽しみにしてました!」
「ふふ、そう言って貰えると誘った甲斐があります」
別荘への到着は昼前を予定しております。
夜までは時間があります、肝試しの前にのんびりと過ごせる準備を完了させておきたいですね。
幽霊退治ではありますが、楽しい旅行になりそうで気分が高揚します。
───────
湖畔でミケーノ様が釣り上げた鮭で楽しい夕食を終え、夜も深けた頃。
私達は今、暗い別荘の中をロウソクの灯りを頼りに歩いています。
「なぁ、別に照明落とす必要はねぇと思うんだが……」
「雰囲気ですよ、やっぱ幽霊は暗くしないと出てきてくれないんですよ!」
普通に話すミケーノ様とは対照的に、メル様が小声で返します。
リビングと繋がっているアトリエは、吹き抜けの天井が二階まで繋がっておりかなり広いです。
その広いアトリエの中でもリビングと反対側の辺りで、ビャンコ様が異変を感じ取ったそうです。
「どうですか? 昼間の掃除の時はここに何かあったと言ってましたね」
「そだね……キーちゃんなんか分かる?」
「何かある、とだけ」
「あるんですか?」
「空気が少し違うのか、この辺りは何かある……とは思う」
違和感としか言えない物があります。
私は一つの可能性を考え、床板に足音を響かせます。
ーーコツンッ
特に変わりないですね。
「ちょっと、キーノスさん何してんですかっ」
「地下室でもあるのかと」
「地下室?」
「怪しいけど何もないなら、見えていないのかと」
私の推論を聞いたシオ様が私と同じように床板を鳴らして歩きます。
「特に変わりはないようですね」
「……となると、壁」
私はとりあえず近くの壁をノックしてみますが、特に音に特徴がありません。
そのまま横へノックをしながら移動していき、途中で音が変化しました。
まるで扉をノックするかのような音に、皆様の注目が集まります。
その時。
--ガツンッ
私の背後から眼前の壁に、空き瓶が飛んできたようです。
振り返ると、背後には何もありません。
「なっ……なんだよいきなり!」
「これが怪奇現象ですか!?」
驚くミケーノ様と、何故か楽しそうなメル様の声が聞こえます。
この壁は当たりのようですね。
「声は?」
「聞こえない、壁なんかある?」
見たところ普通の壁に見えますが、ビャンコ様が何かを感じ取ったのなら術に関わるものかもしれません。
試しに壁に少しだけ魔力を通してみたところ、薄く隠匿に使用する陣が浮き上がります。
「割るぞ」
一言断りを入れ、陣の出口から反転させるように魔力を通します。
陣が崩れるように光を失い、同時に壁の石膏も崩れて扉が現れました。
縦幅が五十センチ程の大きさで、床からは少し高い位置にあります。
棚のようですね。
「あ、聞こえた!」
ビャンコ様が小さく叫びます。
どうやら彼の耳にしか聞こえない声が聞こえるようです。
「みんな少し下がって」
ビャンコ様と入れ替わり、皆様と一緒に少し後ろへ下がります。
声は聞こえませんが、先程から肥料のようなキツい土のニオイがしています。
心配になりメル様を見ると、口元を抑えて暗い中でも分かるくらい顔が真っ青です。
もう少し扉から離れた方が良さそうです。
「これを」
私は一応準備していた解毒の飴を皆さんに一つずつお渡しします。
「とりあえず口にしてくれ。人体に影響はないし、一時的に耐性が持てる」
「何か問題ですか?」
「良くないな。俺が割ったのは扉の内側の物を隠す結界だったようだ」
それでも割らなければ何もできません。
「小声なら話しても大丈夫だ、今はあっちの交渉待ちだ」
「結界……ってなんだ?」
「あの扉を隠していたようだ」
「あ、あの……」
メル様が震える声を発します。
「なんですかアレ……」
「メル君大丈夫ですか? 顔が真っ青ですよ」
「すみません……その」
「しばらくこのまま我慢してくれ、あの人ならなんとかできると思うから」
皆小声でも喋らず、ビャンコ様が会話を終えるのを待ちます。
ビャンコ様は床に胡座で座り、扉へ向かい話しかけています。
ほのかにユリの香りがして、土のニオイが和らいでいくようです。
最初は楽しげな肝試しが本物の怪奇現象に打って変わったようです。
ビャンコ様ならなんとかしてくれるはずです。
しばらく事の成り行きを見守ることにしましょう。
強い日差しを浴びながら冷たい海と戯れるのは、夏のリモワでは遊びの定番です。
「今日も浜は人多いな」
「そうですねー、声までは聞こえませんけど沢山いるのが見えます!」
「彼らもこんな位置から見られてるとは思わないでしょうね」
私達は現在ビャンコ様が個人的に仲良くしているという魔獣の背の上にいます。
「だなぁ。最初はどうなるもんかと思ったけど、実際体感しちまうとビャンコさんとキーノスが当たり前に言うのも分かっちまうなぁ」
「でしょ? 絶対こっちのが楽だし早いし、楽しいでしょ?」
空を飛ぶマンタで、横幅は十メートルを超す巨大な魔獣です。
この移動手段になるまで一悶着ありましたが、思っていた以上に快適です。
「あ、あそこ! 大きな牛がいます!」
「おおお! 結構数いるな」
「食事中のようですね、しかしすごい眺めです」
初めての空の旅を皆様楽しんでいらっしゃいますね。
現在私達はシオ様の湖畔の別荘へ向かっている途中です。
日程の調整をした結果、お誘いを頂いてから一ヶ月程の今日決行となりました。
当初はカズロ様も参加予定でしたが、直前になって急ぎの仕事が出来てしまったと嘆いておりました。
「店長勿体ないことしたなぁ、来てればこの絶景見れたのに」
「カズロもだな。上から見るとこの辺結構森あるのによく害獣被害出ねぇな」
「騎士団とビャンコさんのお陰ですね」
「オレは何もしてないよ、元々友好的だから滅多に襲ってきたりしないよ」
マンタの上には布製のシートがひかれ、紅茶のセットが用意されています。
私は風の抵抗を弱める術を展開しているので、マンタの後方に座りタバコに火をつけ読書をしています。
青空の下での読書は気分を明るくしてくれますね。
王都から離れてしばらく、眼下にめぼしい物がなくなったのか、皆様が紅茶セットの周りへ戻って参りました。
私が皆様に紅茶の入ったグラスを配ったあと、これから行く別荘に関してミケーノ様が話題に出しました。
「シオの別荘相当広そうだよな」
「僕達全員で行ってもベッドが余るなんて! 誰かはソファかな~とか思ってました」
「元々家具の展示のために購入してますから、広さは探す条件にしてました。寝室のベッドも全部違うものですよ」
これから行く別荘は元々芸術関係のお仕事をなさっていた方が建てたもので、事前に見せていただいた間取り図を見る限りかなり大きなものでした。
特にリビングとアトリエが広く、既にテーブルセットを複数設置しているそうです。
寝室は三部屋あり、一階にはダブルベッドのある一部屋、二階の二部屋にはシングルベッドが複数あり、今回は全員二階で寝る予定です。
キッチンや浴室はそこまで広くないものの設備は充分に整っているそうで、今回の旅行では食器などは荷物に含まれておりません。
どうやら、かなり豪華な別荘に招待されたようです。
「先日家具の搬入の際に清掃は一通り済ませてはいますが、到着後換気をしたいですね」
「それオレやっちゃっていい? 幽霊探しも兼ねて」
「いえいえ、私もやりますよ」
「掃除も兼ねて精霊さん頼みにしちゃった方が早いんよね、すぐ終わるからダメかな?」
「それなら構いませんが、見学しても良いですか?」
「いいよ、面白いかは知らないけど」
ビャンコ様が進行方向を向きながら話します。
別荘に着いたあとは、私とミケーノ様はメインディッシュの材料の調達を、他の皆様は別荘での滞在の準備をなさる予定です。
「オレとキーノスは食料の確保だな、デムーロの湖だったら鮭が有名だから釣れると良いんだがなぁ」
「本当に良かったんですか? 釣りや狩猟なんて」
「どうせなら取りたてのもん食いたいしな、釣りなら得意だぞ」
「山の生活が長かったから問題ない」
先日の集まりでミケーノ様から敬語禁止を言い渡されております。
「キーちゃんなら大丈夫だよ、前に一週間山篭りした時食料係だったし」
「山篭りって……まぁ何にしても心強い事に代わりはねぇか」
「ミケーノとキーノスが良いなら構いませんが、一応燻製肉も荷物に入れてあるので無理をしなくても大丈夫ですよ」
「もし掃除でも何かあれば手伝うから言ってくれ」
今回の役割分担で食事はミケーノ様と私の担当になりましたが、私はお手伝いに近い立ち位置になると思います。
そうなりますと、私は移動中以外で出来ることがほぼありませんので、材料を森の中で採ってくるくらいは問題ありません。
それに狩猟のついでに薬草の採取もしてこようと考えていますので、私は少し楽しみにしています。
「食料もだが、まずは幽霊からだ」
「そうですね、でも夜にしましょう! 肝試しは夜って相場が決まってますからね、楽しみです!」
「オレ未だに意外なんだが、メルってこういうの好きなんだな。ホラーとかそういうの」
「はい! 湖畔の別荘なんてミステリーの王道ですからね、本当に楽しみにしてました!」
「ふふ、そう言って貰えると誘った甲斐があります」
別荘への到着は昼前を予定しております。
夜までは時間があります、肝試しの前にのんびりと過ごせる準備を完了させておきたいですね。
幽霊退治ではありますが、楽しい旅行になりそうで気分が高揚します。
───────
湖畔でミケーノ様が釣り上げた鮭で楽しい夕食を終え、夜も深けた頃。
私達は今、暗い別荘の中をロウソクの灯りを頼りに歩いています。
「なぁ、別に照明落とす必要はねぇと思うんだが……」
「雰囲気ですよ、やっぱ幽霊は暗くしないと出てきてくれないんですよ!」
普通に話すミケーノ様とは対照的に、メル様が小声で返します。
リビングと繋がっているアトリエは、吹き抜けの天井が二階まで繋がっておりかなり広いです。
その広いアトリエの中でもリビングと反対側の辺りで、ビャンコ様が異変を感じ取ったそうです。
「どうですか? 昼間の掃除の時はここに何かあったと言ってましたね」
「そだね……キーちゃんなんか分かる?」
「何かある、とだけ」
「あるんですか?」
「空気が少し違うのか、この辺りは何かある……とは思う」
違和感としか言えない物があります。
私は一つの可能性を考え、床板に足音を響かせます。
ーーコツンッ
特に変わりないですね。
「ちょっと、キーノスさん何してんですかっ」
「地下室でもあるのかと」
「地下室?」
「怪しいけど何もないなら、見えていないのかと」
私の推論を聞いたシオ様が私と同じように床板を鳴らして歩きます。
「特に変わりはないようですね」
「……となると、壁」
私はとりあえず近くの壁をノックしてみますが、特に音に特徴がありません。
そのまま横へノックをしながら移動していき、途中で音が変化しました。
まるで扉をノックするかのような音に、皆様の注目が集まります。
その時。
--ガツンッ
私の背後から眼前の壁に、空き瓶が飛んできたようです。
振り返ると、背後には何もありません。
「なっ……なんだよいきなり!」
「これが怪奇現象ですか!?」
驚くミケーノ様と、何故か楽しそうなメル様の声が聞こえます。
この壁は当たりのようですね。
「声は?」
「聞こえない、壁なんかある?」
見たところ普通の壁に見えますが、ビャンコ様が何かを感じ取ったのなら術に関わるものかもしれません。
試しに壁に少しだけ魔力を通してみたところ、薄く隠匿に使用する陣が浮き上がります。
「割るぞ」
一言断りを入れ、陣の出口から反転させるように魔力を通します。
陣が崩れるように光を失い、同時に壁の石膏も崩れて扉が現れました。
縦幅が五十センチ程の大きさで、床からは少し高い位置にあります。
棚のようですね。
「あ、聞こえた!」
ビャンコ様が小さく叫びます。
どうやら彼の耳にしか聞こえない声が聞こえるようです。
「みんな少し下がって」
ビャンコ様と入れ替わり、皆様と一緒に少し後ろへ下がります。
声は聞こえませんが、先程から肥料のようなキツい土のニオイがしています。
心配になりメル様を見ると、口元を抑えて暗い中でも分かるくらい顔が真っ青です。
もう少し扉から離れた方が良さそうです。
「これを」
私は一応準備していた解毒の飴を皆さんに一つずつお渡しします。
「とりあえず口にしてくれ。人体に影響はないし、一時的に耐性が持てる」
「何か問題ですか?」
「良くないな。俺が割ったのは扉の内側の物を隠す結界だったようだ」
それでも割らなければ何もできません。
「小声なら話しても大丈夫だ、今はあっちの交渉待ちだ」
「結界……ってなんだ?」
「あの扉を隠していたようだ」
「あ、あの……」
メル様が震える声を発します。
「なんですかアレ……」
「メル君大丈夫ですか? 顔が真っ青ですよ」
「すみません……その」
「しばらくこのまま我慢してくれ、あの人ならなんとかできると思うから」
皆小声でも喋らず、ビャンコ様が会話を終えるのを待ちます。
ビャンコ様は床に胡座で座り、扉へ向かい話しかけています。
ほのかにユリの香りがして、土のニオイが和らいでいくようです。
最初は楽しげな肝試しが本物の怪奇現象に打って変わったようです。
ビャンコ様ならなんとかしてくれるはずです。
しばらく事の成り行きを見守ることにしましょう。
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