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凍る道化の恋物語
#10
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太陽が一番高い位置にある時刻、飲食店で昼食を食べに訪れていたお客様が少なくなってきた頃。
最近のリモワでこの時間は長袖だと少し汗をかきますね。
本日はリモワでも特殊な花を取り扱っているという花屋に来ています。
先日市場で親しくして頂いている薬草問屋の方から教えていただいた花屋です。
食用はもちろん、薬効などを意識した品揃えが豊富との事です。
花屋の入口で私は分からないように胸いっぱいに息を吸い込みす。
花の香りで満ちた空気は、私を幸せな気持ちにしてくれます。
魅了のバラ、声のユリ、共感のスズラン……香とは違う新鮮な香りが、私の気分を和らげてくれます。
目当ての花の特徴は覚えていたので、店内を歩き探します。
たまに緑の香りも混ざり、その香り楽しんでいましたが……ふとここには似つかわしくない、ムスクの香りがします。
どなたかの香水でしょうか、花の香りと並ぶほどとは少し過剰かと思われます。
視線を花から周囲に移し、香りの元を探します。
……少し離れた位置に、ケータ様がいらっしゃいました。
関わりたくない相手ですが、目当ての花の前で唸っています。
進行方向を変え、店舗内の別の場所で彼がいなくなるまで待とうとしたその時。
「あの! 何かお探しですか?」
背後から店員の方に声を掛けられました。
「いえ、大丈夫です」
本屋での対応と同じ事を返します、不審者に見られたのでしょう。
「もしかしてお見舞いの品をお探しですか?でしたら……」
店員の方がいくつか商品を説明してくださいますが、知っている内容が多く反応が淡白になってしまいます。
早く店から出て行って欲しいのでしょうけど、欲しい商品の前に彼がいる間はそれもすぐに実行するのが躊躇われます。
そこへ状況を察してくれたかのように、ムスクの香りが近づいてきました。
「あの! その女性が喜ぶ花の話、俺にも教えてくれませんか?」
ケータ様が近くまで来ていて、店員の方に声をかけます。
店員の方は少し面食らったようですが、私はその隙に店員の方に会釈して目当ての花の前に移動します。
目当ての花に間違いなさそうです、それに別で探していた物も同じ場所にありました。
私は目当ての物をみつくろい、会計を済ませて早々に花屋をあとにしました。
店員の方とまだ会話しているケータ様に少し感謝を込め、入口近くで軽く会釈をしました。
───────
モウカハナが開店して三時間ほど経ちます。
カウンターには三名のお客様がいらっしゃいます。
ミケーノ様とギュンター様、それから久しぶりに来店なさったカズロ様です。
皆様それぞれ面識はあったようですが、一同に顔を会わせるのは初めてのようです。
しばらく無難に近況などの話をなさっていましたが、ミケーノ様がふと思い出したようにギュンター様に質問なさいました。
「前に言ってた騎士団長の娘さんと留学生、その後どうなったよ?」
「そういえばご報告してませんでしたね」
「騎士団長の娘さんって?」
「あの留学生、惚れちまって毎日絡んでんだと」
「え、大丈夫なの?」
「いえ、全く大丈夫ではありませんでした」
「だよね……すごいねケータ君、度胸あるというか」
「有名なのか?」
「知ってる人は知ってるくらいだけど、しつこく言い寄る男性に強烈なビンタでお返しするらしいって」
「留学生も平手で拒否されてたんだっけか?」
「拳になる前に一旦解決はしました」
「拳……」
イザッコと再会したのも最近の事ですので、聞く機会がありませんでしが。
ビャンコ様の「思春期の娘の父親」という比喩は、皮肉の混ざったものだったようですね。
「ミケーノはなんで知ってるの?」
「ここで相談受けてな、話半分の内に帰っちまったから心配してたんだよ」
「えっ、あれ半分だったんですか?」
「あぁ。あの二人なら今は結婚してリモワで店やってんぞ、ってそこ聞かないもんだから結構心配してたんだぞ」
「ごめん、どういう話なのそれ?」
ミケーノ様が先日のやりとりをカズロ様に説明なさいます。
「本にしたら売れそうな話だね」
「ケータさんも似たこと言ってました、小説みたいだって」
「で、どうなったんだ?」
「告白はしないって宣言しました」
「え? どういう事?」
「そうですね、簡単に説明します」
───────
滞在先の騎士団長の屋敷に帰宅後。
すぐにバーで聞いた話をケータに提案したが、どうにも渋い顔をしている。
「手伝いとかはまだいいが、花か……」
「毎日何かアピールをするんですよ」
「夜あいさつするくらいならいいけど、花を毎日は……キザすぎないか?」
「そのくらいの方がいいんですよ」
ケータさんはどうにも納得していない。
せっかく手に入れたアドバイスだが、無駄になりそうだ。
だが、今の状態は何とかしてもらわないと困る。
「とにかく、紳士に、真摯に、こまめに! です」
「今だって充分紳士だろう」
「いいえ、俺から見ても失礼なことばかりしています」
「それは愛ゆえだ、時には仕方がない」
「相思相愛になってから言ってください、いつも失礼では全然違いますよ」
「……努力はする」
彼がこれまでしてきたのは、気合いを入れた化粧やヘアセットで会いに行き「愛の言葉」をささやく事だ。
「君の瞳に溺れてるんだ」
「闇に溺れた凍てつく心が脈打つ音が聞こえないか?」
「狂い壊れた俺を救ってくれたのは舞い降りた俺の天使、君さ」
こんな言葉を吐きながらキザだから嫌だとは説得力がまるでない。
結局アドバイスは実行されなかったが、今の態度が問題であることを理解したようで。
しばらくは彼が居丈高にダリアさんに接することはなくなったため、しばらくは様子を見ることにしていた。
それが模擬戦のあった夜。
ケータさんが俺の部屋に訪れ、予想外の相談を聞かされた。
「なぁギュンター、前に毎日花をプレゼントするって話あっただろ?」
「あぁ、リモワの商人の方から紹介された方法ですね」
「あれ、やってみようかと思って」
「え!」
かなり嫌がっていたので、まさか自ら実行しようと言い出すとは思わなかった。
「今日の模擬戦は完全に負けたけど全然悔しくないんだ。俺がどれだけ未熟だったのかと思うと恥ずかしい」
「いや、手練れの相手でしたし仕方がないかと」
「俺の氷柱から出来た花弁に、俺の瞳は奪われたんだ」
「見とれてたんですね……」
少しくらい落ち込めばいいと思っていたが、予想外の反応だ。
「しかし、花はキザだからいやだと言っていませんでした?」
少し意地の悪い質問をしてみる。
今日のケータさんはいつもの調子ではないように思えたからだ。
「最後に花束をもらった時、全然キザだなんて思わなかった。あんな風に渡されたら女の人はうれしいだろうなと思ったんだ」
男性、しかも負けた相手からの花束でアドバイスを理解するとは皮肉だなと思った。
「それに紳士な態度がどういうのもの分かった」
「え、本当ですか?」
「最初から最後まで対戦相手の俺にすら丁寧に接してくれた彼が、かっこいいって思ったんだ」
「確かに紳士の振る舞いだったと思います」
「だから俺が、今までどれだけ失礼だったかもよくわかって……」
ここまで人が変わるとは。
ケータさんが恥ずかしそうにするなど、全く想像出来なかったため驚きを隠せない。
「まずは彼女に謝りたいんだ。それで俺がいい男になったら、今度こそ愛を囁くんだ」
「そうですね、それは素晴らしいことだと思います……!」
たった一回の模擬戦でここまで人が変わるとは思わなかった。
正直人の変化を目の当たりにして感動すら覚える。
「あの手品師がこれからの俺の目標だ!」
「ファンになったんですか」
「あんな風になりたい、きっとこの出会いは奇跡なんだ!」
ケータさんが真人間になるのはうれしいことだ。
が、何か方向性を間違えそうな予感がするのは……考えすぎだろうか。
───────
「それから毎朝一輪の花をダリアさんにプレゼントして、先日『ここにいる間に振り向かせる』と宣言をされたとダリアさんから聞きました」
「さっきから気になってんだが、模擬戦ってなんだ?」
ミケーノ様に指摘され、ハッと何かに気付いたような表情になります。
「えー……と、騎士団の演習、です」
話を聞きながら言うわけにも行かないので黙っていましたが……
模擬戦の対戦相手に関しては箝口令が出たはずです。
私は気付かれないようにカズロ様を見ます、カズロ様はご存知のはずです。
変化がないように見えますが、冷ややかな目元がいつもより更に冷たく見えます。
そのまま視線をギュンター様へ向けます。
「ギュンター君、途中から思ってたけど……僕の事は知ってるね?」
「あの、本当に……その」
「ん? どうした?」
「模擬戦の話は他言無用って言われてるんだよ」
「……申し訳ありません」
「言われたの模擬戦の少し後だし、その日の内に自慢してた人もいから意味ないんだけど。気をつけてね」
カズロ様が軽く注意をなさいました。
「え、じゃあオレ聞かない方が良いか?」
「いや別にもう良いよ」
「……なんか悪いな、オレが留学生のこと聞いたからだな」
「い、いえ、俺が完全に忘れてたんです! 本当にすみませんでした、軽率でした!」
「ここで良かったよ、騎士団の前でやったら本気で怒られるからね」
ギュンター様はとても反省したご様子で、慌ててお二人に謝罪と感謝をして……お会計を済ませて去っていきました。
「なんかいつも慌ただしいな、あいつ」
「いつもあんな感じなの?」
「そうだな。話してる内容が話して良い内容かどうかは分かんねぇけど、大体急いで帰ってくな」
「うーん……彼にはあぁ言ったけど、一応イザッコに報告するよ」
カズロ様がため息をつきます。
私もため息をつきたい気分です。
模擬戦の箝口令は意味をなしてなさそうですね。
最近のリモワでこの時間は長袖だと少し汗をかきますね。
本日はリモワでも特殊な花を取り扱っているという花屋に来ています。
先日市場で親しくして頂いている薬草問屋の方から教えていただいた花屋です。
食用はもちろん、薬効などを意識した品揃えが豊富との事です。
花屋の入口で私は分からないように胸いっぱいに息を吸い込みす。
花の香りで満ちた空気は、私を幸せな気持ちにしてくれます。
魅了のバラ、声のユリ、共感のスズラン……香とは違う新鮮な香りが、私の気分を和らげてくれます。
目当ての花の特徴は覚えていたので、店内を歩き探します。
たまに緑の香りも混ざり、その香り楽しんでいましたが……ふとここには似つかわしくない、ムスクの香りがします。
どなたかの香水でしょうか、花の香りと並ぶほどとは少し過剰かと思われます。
視線を花から周囲に移し、香りの元を探します。
……少し離れた位置に、ケータ様がいらっしゃいました。
関わりたくない相手ですが、目当ての花の前で唸っています。
進行方向を変え、店舗内の別の場所で彼がいなくなるまで待とうとしたその時。
「あの! 何かお探しですか?」
背後から店員の方に声を掛けられました。
「いえ、大丈夫です」
本屋での対応と同じ事を返します、不審者に見られたのでしょう。
「もしかしてお見舞いの品をお探しですか?でしたら……」
店員の方がいくつか商品を説明してくださいますが、知っている内容が多く反応が淡白になってしまいます。
早く店から出て行って欲しいのでしょうけど、欲しい商品の前に彼がいる間はそれもすぐに実行するのが躊躇われます。
そこへ状況を察してくれたかのように、ムスクの香りが近づいてきました。
「あの! その女性が喜ぶ花の話、俺にも教えてくれませんか?」
ケータ様が近くまで来ていて、店員の方に声をかけます。
店員の方は少し面食らったようですが、私はその隙に店員の方に会釈して目当ての花の前に移動します。
目当ての花に間違いなさそうです、それに別で探していた物も同じ場所にありました。
私は目当ての物をみつくろい、会計を済ませて早々に花屋をあとにしました。
店員の方とまだ会話しているケータ様に少し感謝を込め、入口近くで軽く会釈をしました。
───────
モウカハナが開店して三時間ほど経ちます。
カウンターには三名のお客様がいらっしゃいます。
ミケーノ様とギュンター様、それから久しぶりに来店なさったカズロ様です。
皆様それぞれ面識はあったようですが、一同に顔を会わせるのは初めてのようです。
しばらく無難に近況などの話をなさっていましたが、ミケーノ様がふと思い出したようにギュンター様に質問なさいました。
「前に言ってた騎士団長の娘さんと留学生、その後どうなったよ?」
「そういえばご報告してませんでしたね」
「騎士団長の娘さんって?」
「あの留学生、惚れちまって毎日絡んでんだと」
「え、大丈夫なの?」
「いえ、全く大丈夫ではありませんでした」
「だよね……すごいねケータ君、度胸あるというか」
「有名なのか?」
「知ってる人は知ってるくらいだけど、しつこく言い寄る男性に強烈なビンタでお返しするらしいって」
「留学生も平手で拒否されてたんだっけか?」
「拳になる前に一旦解決はしました」
「拳……」
イザッコと再会したのも最近の事ですので、聞く機会がありませんでしが。
ビャンコ様の「思春期の娘の父親」という比喩は、皮肉の混ざったものだったようですね。
「ミケーノはなんで知ってるの?」
「ここで相談受けてな、話半分の内に帰っちまったから心配してたんだよ」
「えっ、あれ半分だったんですか?」
「あぁ。あの二人なら今は結婚してリモワで店やってんぞ、ってそこ聞かないもんだから結構心配してたんだぞ」
「ごめん、どういう話なのそれ?」
ミケーノ様が先日のやりとりをカズロ様に説明なさいます。
「本にしたら売れそうな話だね」
「ケータさんも似たこと言ってました、小説みたいだって」
「で、どうなったんだ?」
「告白はしないって宣言しました」
「え? どういう事?」
「そうですね、簡単に説明します」
───────
滞在先の騎士団長の屋敷に帰宅後。
すぐにバーで聞いた話をケータに提案したが、どうにも渋い顔をしている。
「手伝いとかはまだいいが、花か……」
「毎日何かアピールをするんですよ」
「夜あいさつするくらいならいいけど、花を毎日は……キザすぎないか?」
「そのくらいの方がいいんですよ」
ケータさんはどうにも納得していない。
せっかく手に入れたアドバイスだが、無駄になりそうだ。
だが、今の状態は何とかしてもらわないと困る。
「とにかく、紳士に、真摯に、こまめに! です」
「今だって充分紳士だろう」
「いいえ、俺から見ても失礼なことばかりしています」
「それは愛ゆえだ、時には仕方がない」
「相思相愛になってから言ってください、いつも失礼では全然違いますよ」
「……努力はする」
彼がこれまでしてきたのは、気合いを入れた化粧やヘアセットで会いに行き「愛の言葉」をささやく事だ。
「君の瞳に溺れてるんだ」
「闇に溺れた凍てつく心が脈打つ音が聞こえないか?」
「狂い壊れた俺を救ってくれたのは舞い降りた俺の天使、君さ」
こんな言葉を吐きながらキザだから嫌だとは説得力がまるでない。
結局アドバイスは実行されなかったが、今の態度が問題であることを理解したようで。
しばらくは彼が居丈高にダリアさんに接することはなくなったため、しばらくは様子を見ることにしていた。
それが模擬戦のあった夜。
ケータさんが俺の部屋に訪れ、予想外の相談を聞かされた。
「なぁギュンター、前に毎日花をプレゼントするって話あっただろ?」
「あぁ、リモワの商人の方から紹介された方法ですね」
「あれ、やってみようかと思って」
「え!」
かなり嫌がっていたので、まさか自ら実行しようと言い出すとは思わなかった。
「今日の模擬戦は完全に負けたけど全然悔しくないんだ。俺がどれだけ未熟だったのかと思うと恥ずかしい」
「いや、手練れの相手でしたし仕方がないかと」
「俺の氷柱から出来た花弁に、俺の瞳は奪われたんだ」
「見とれてたんですね……」
少しくらい落ち込めばいいと思っていたが、予想外の反応だ。
「しかし、花はキザだからいやだと言っていませんでした?」
少し意地の悪い質問をしてみる。
今日のケータさんはいつもの調子ではないように思えたからだ。
「最後に花束をもらった時、全然キザだなんて思わなかった。あんな風に渡されたら女の人はうれしいだろうなと思ったんだ」
男性、しかも負けた相手からの花束でアドバイスを理解するとは皮肉だなと思った。
「それに紳士な態度がどういうのもの分かった」
「え、本当ですか?」
「最初から最後まで対戦相手の俺にすら丁寧に接してくれた彼が、かっこいいって思ったんだ」
「確かに紳士の振る舞いだったと思います」
「だから俺が、今までどれだけ失礼だったかもよくわかって……」
ここまで人が変わるとは。
ケータさんが恥ずかしそうにするなど、全く想像出来なかったため驚きを隠せない。
「まずは彼女に謝りたいんだ。それで俺がいい男になったら、今度こそ愛を囁くんだ」
「そうですね、それは素晴らしいことだと思います……!」
たった一回の模擬戦でここまで人が変わるとは思わなかった。
正直人の変化を目の当たりにして感動すら覚える。
「あの手品師がこれからの俺の目標だ!」
「ファンになったんですか」
「あんな風になりたい、きっとこの出会いは奇跡なんだ!」
ケータさんが真人間になるのはうれしいことだ。
が、何か方向性を間違えそうな予感がするのは……考えすぎだろうか。
───────
「それから毎朝一輪の花をダリアさんにプレゼントして、先日『ここにいる間に振り向かせる』と宣言をされたとダリアさんから聞きました」
「さっきから気になってんだが、模擬戦ってなんだ?」
ミケーノ様に指摘され、ハッと何かに気付いたような表情になります。
「えー……と、騎士団の演習、です」
話を聞きながら言うわけにも行かないので黙っていましたが……
模擬戦の対戦相手に関しては箝口令が出たはずです。
私は気付かれないようにカズロ様を見ます、カズロ様はご存知のはずです。
変化がないように見えますが、冷ややかな目元がいつもより更に冷たく見えます。
そのまま視線をギュンター様へ向けます。
「ギュンター君、途中から思ってたけど……僕の事は知ってるね?」
「あの、本当に……その」
「ん? どうした?」
「模擬戦の話は他言無用って言われてるんだよ」
「……申し訳ありません」
「言われたの模擬戦の少し後だし、その日の内に自慢してた人もいから意味ないんだけど。気をつけてね」
カズロ様が軽く注意をなさいました。
「え、じゃあオレ聞かない方が良いか?」
「いや別にもう良いよ」
「……なんか悪いな、オレが留学生のこと聞いたからだな」
「い、いえ、俺が完全に忘れてたんです! 本当にすみませんでした、軽率でした!」
「ここで良かったよ、騎士団の前でやったら本気で怒られるからね」
ギュンター様はとても反省したご様子で、慌ててお二人に謝罪と感謝をして……お会計を済ませて去っていきました。
「なんかいつも慌ただしいな、あいつ」
「いつもあんな感じなの?」
「そうだな。話してる内容が話して良い内容かどうかは分かんねぇけど、大体急いで帰ってくな」
「うーん……彼にはあぁ言ったけど、一応イザッコに報告するよ」
カズロ様がため息をつきます。
私もため息をつきたい気分です。
模擬戦の箝口令は意味をなしてなさそうですね。
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