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4章:ブルーフラワーズ
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「え、あの、魔道具?」
幸人が最初にカフェへ来た時のことを順序だてて思い出して、魔法らしいことをしたのは万華鏡秘密箱を渡したくらいだ。
あれは正直今理的には正しくひとさじの砂糖になっているのか腑に落ちていない。
「も、ですが、占いの方です」
あれは、能力を制限して使っていると今は思えますと、幸人は告げる。
「……あ、あー」
能力を使うことに躍起になっていたせいで、今理自身すっかり忘れていた。
自分が得意な魔法だと言って披露したタロットカード占い。本当はトランプでもトレーディングカードでもなんでもいい。
絵を挟んで、能力の幅を狭め、連想の段階で留めるための物。
無意識に探りたい事に対して能力を使ってしまわぬよう、祖父が教えてくれた方法だ。
確かあの時は初めてあった人に能力を披露せず、その場で出来る事をとやってみたという感じだった。
「お恥ずかしい。そうですね、占い」
「いえ、より精度高い方法で急ぎ探し出そうとしてくれたからのアレだと思うので」
幸人のフォローが痛い。しかし、占いがひとさじの砂糖というのは、確かに合っているのかもしれない。
今理はここにきてようやく、自分は正しい事ができていたのかもと思えてきた。
「……占ってみましょっか」
「そうしましょう」
どこまで導き出せるかはわからない。連想の出来具合で全く変わってくるが、やってみる価値はある。
今理は急ぎジュースを飲み干し片付け、幸人を伴いもう一度ホームセンター店内へ入った。
(あるとしたら……おもちゃコーナーか、文房具コーナーかな)
ここは能力を使わずただの予想で、まずは店の奥にあるおもちゃコーナーへ。
入口側の文房具コーナーの方は戻りの時に行った方がタイムロスが少ないからと、速足で向かっていく。
「あ! あったぁ!」
幸運なことに、カードゲームのコーナーの隅、トランプと一緒に雑な感じで陳列されたタロットカードを発見した。
埃をかぶっているのも気にせず、ともかくカウンターへ急ぎ、素早く会計を済ます。
残り時間はあと6時間程。余裕があるようで無い。連想を導き出すのが長引けばそれだけ時間は削られてしまう。
「机……机……!」
「も、もういいやここで!」
入口付近のキャンプグッズコーナーに展示されている大きな折り畳みテーブルへ今理は駆けだしていく。
店員の目を幸人にごまかしてもらいながら、買ったばかりのタロットカードをそこで広げた。
小アルカナを取り除き、全て裏面にして机の上でぐしゃぐしゃとかき混ぜ、
「青いバラ……
向かうべき場所!」
まずは一回目。
ランダムで三枚引き抜き、更に上下を直感で変えた後、表に返す。
導き出されたものは、
「愚者の正位置、隠者の逆位置、力の正位置……」
「えっと……どうやって見るんですか?」
「行くべき場所のヒントを三枚の結果で構成するというイメージで引きました。
……えっと愚者。これは、どんな意味でも捉えられるので後回し。多分他のものにくっついて意味合いを示すのかと。
次の隠者逆位置。おそらくですけど陰湿から転じて暗がりだとか、閉所だとします」
「暗がり……閉所……」
「次に力。勇気だとか名誉だとか、良い意味のカードではあるんですけど……何だろ」
意味と絵柄で考えてみても、ピンとくる気配がない。
「これはまた後回しですかね……引き続き俺は考えてみます」
「お願いします……あぁでも暗がりで閉所を絡めて愚者は恐らく、スタート地点という解釈でいいかもしれません。
灯台下暗し的な」
「……つまりは」
「カフェキュエンティン……?」
または、今理が手鏡を拾った祖父の隠居先の近く。祖父の家にも蔵や屋根裏はあるが、普通の物置場だ。
カフェキュエンティンには暗い閉所が一つだけ存在する。
「……魔道具倉庫だ」
幸人が最初にカフェへ来た時のことを順序だてて思い出して、魔法らしいことをしたのは万華鏡秘密箱を渡したくらいだ。
あれは正直今理的には正しくひとさじの砂糖になっているのか腑に落ちていない。
「も、ですが、占いの方です」
あれは、能力を制限して使っていると今は思えますと、幸人は告げる。
「……あ、あー」
能力を使うことに躍起になっていたせいで、今理自身すっかり忘れていた。
自分が得意な魔法だと言って披露したタロットカード占い。本当はトランプでもトレーディングカードでもなんでもいい。
絵を挟んで、能力の幅を狭め、連想の段階で留めるための物。
無意識に探りたい事に対して能力を使ってしまわぬよう、祖父が教えてくれた方法だ。
確かあの時は初めてあった人に能力を披露せず、その場で出来る事をとやってみたという感じだった。
「お恥ずかしい。そうですね、占い」
「いえ、より精度高い方法で急ぎ探し出そうとしてくれたからのアレだと思うので」
幸人のフォローが痛い。しかし、占いがひとさじの砂糖というのは、確かに合っているのかもしれない。
今理はここにきてようやく、自分は正しい事ができていたのかもと思えてきた。
「……占ってみましょっか」
「そうしましょう」
どこまで導き出せるかはわからない。連想の出来具合で全く変わってくるが、やってみる価値はある。
今理は急ぎジュースを飲み干し片付け、幸人を伴いもう一度ホームセンター店内へ入った。
(あるとしたら……おもちゃコーナーか、文房具コーナーかな)
ここは能力を使わずただの予想で、まずは店の奥にあるおもちゃコーナーへ。
入口側の文房具コーナーの方は戻りの時に行った方がタイムロスが少ないからと、速足で向かっていく。
「あ! あったぁ!」
幸運なことに、カードゲームのコーナーの隅、トランプと一緒に雑な感じで陳列されたタロットカードを発見した。
埃をかぶっているのも気にせず、ともかくカウンターへ急ぎ、素早く会計を済ます。
残り時間はあと6時間程。余裕があるようで無い。連想を導き出すのが長引けばそれだけ時間は削られてしまう。
「机……机……!」
「も、もういいやここで!」
入口付近のキャンプグッズコーナーに展示されている大きな折り畳みテーブルへ今理は駆けだしていく。
店員の目を幸人にごまかしてもらいながら、買ったばかりのタロットカードをそこで広げた。
小アルカナを取り除き、全て裏面にして机の上でぐしゃぐしゃとかき混ぜ、
「青いバラ……
向かうべき場所!」
まずは一回目。
ランダムで三枚引き抜き、更に上下を直感で変えた後、表に返す。
導き出されたものは、
「愚者の正位置、隠者の逆位置、力の正位置……」
「えっと……どうやって見るんですか?」
「行くべき場所のヒントを三枚の結果で構成するというイメージで引きました。
……えっと愚者。これは、どんな意味でも捉えられるので後回し。多分他のものにくっついて意味合いを示すのかと。
次の隠者逆位置。おそらくですけど陰湿から転じて暗がりだとか、閉所だとします」
「暗がり……閉所……」
「次に力。勇気だとか名誉だとか、良い意味のカードではあるんですけど……何だろ」
意味と絵柄で考えてみても、ピンとくる気配がない。
「これはまた後回しですかね……引き続き俺は考えてみます」
「お願いします……あぁでも暗がりで閉所を絡めて愚者は恐らく、スタート地点という解釈でいいかもしれません。
灯台下暗し的な」
「……つまりは」
「カフェキュエンティン……?」
または、今理が手鏡を拾った祖父の隠居先の近く。祖父の家にも蔵や屋根裏はあるが、普通の物置場だ。
カフェキュエンティンには暗い閉所が一つだけ存在する。
「……魔道具倉庫だ」
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