ゲームキャスターさくら

てんつゆ

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人形列車 月の色9

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月の魔術師 (ムーン・マジシャン)

攻撃 C
防御 C
速度 C
適正距離 中距離

特性 モードチェンジ


 
 これまでいろんなクラスで対戦をして、私に一番合っているのはこのクラスという事がわかりました。

 近距離相手でも遠距離相手でも距離を調整すれば互角に戦える中距離。
 能力は相手の出方に合わせて切り替える事が出来る対応型スキル。
 攻撃はダメージより誘導性と範囲を重視して、相手に当てる事を1番に。

 これが今の私の最適解!

 今回のフィールドは前と同じ壁が多めのステージですが、ダメージトラップの類は無く、勝つには直接攻撃を当てて体力を削るしか無さそうです。

 バトルフィールドに降り立つと、マリアさんがテーマパークで対戦した時と同じ姿で現れました。

「マリアの人形劇、第2幕かいえ~ん」
 
 マリアさんは早速手に持ったトランクケースを開き、中から人形を召喚します。
 もうトランクケースの中身は解ってるから普通に出した?
 ――――――いや、違うっ!
 さっきと同じだったら、わざわざデバイスを変える必要なんて無いはず!

「シュート!」

 私は杖の先から光の玉を複数召喚すると、それは後ろに向かって飛んでいき、超スピードで襲ってきた何かに当たり、玉が弾けてソレにダメージを与えました。

「やっぱり、複数いた!?」
「せいか~い、けど良く分かったわね」
「ゲーマーに同じハメ技は2回通用しません!」

 それにしても。1体動かすだけでも大変なのに、自分以外に2体の人形を自由に操作する事が出来るなんて、かなりの処理能力を持ってるみたいです。
 
 召喚したらオートで単純な攻撃をしてくれるアシストスキルだったら、何も考えずに召喚して戦えるのですが、人形の操作は全て自分。
 
 フィールドの人形の位置を全て把握して、全ての人形で最適な行動を実行する。
 単体ではそんなに強くはないので同時操作が必須にもかかわらず、慣れていないと人形どうしで相打ちをしてしまう可能性もあります。

 専用デバイスのサポートがあるとは言え、私が同じ事をするのはちょっと無理かも。
 
「それじゃあ続けましょう」

 マリアさんの3方向からの同時攻撃。
 正面のマリアさんが両手でトランクケースを持ちながら突撃してきて、左右からはマリアさんの操る人形が短剣を片手に突進してきます。

「シュート!」

 右側の人形に弾道誘導魔法「トラッキング・シューター」で射撃し。

「ウエイブ!」

 左側の人形には、杖の先端を地面でこすりながら発動する地を這う光の波「ムーン・ウェイブ」で牽制。

 ――――そして、前方には。

「ラウンド!」

 地面に杖を叩きつけ、叩きつけられた場所を中心に広がる衝撃波を出す「ラウンド・ムーン」でマリアさんを迎え撃つ!

「見えちゃった」

 マリアさんはトランクケースを大きく振りかぶり、私の攻撃にタイミングを合わせて振り下ろすと、攻撃同士が相殺して私の放った衝撃波が消滅。

 そしてマリアさんの攻撃は終わらず、そのままトランクケースが私を襲ってきます。

「くっ!?」

 なんとか杖でしのぎきると、左からムーン・ウエイブの波をジャンプで避けた人形の攻撃が。

「シュート!」

 なんとかマリアさんを押し返してから誘導魔法を放つと、魔法の弾は空中で人形に当たり地面へと落下しました。

「なんとかしのぎ………………ふぐぅ!?」

 背後からの突然の衝撃に私はガードする事が出来ず、大ダメージを受けてしまいます。

「さ、三体目!?」
「ふふ。お人形がだぁい好きなマリアが、二体だけなはずないでしょう?」
 
 それからマリアさんはダメージから復帰してよろよろと立ち上がった私を、人形3体と一緒に囲い込み。

「これで幕引き。 シャルマント・タンツェン!」

 必殺スキルを発動し、同時方向からの一斉攻撃。

「きゃあああ!?」

 景色が回る。
 前後左右。全ての方向からの衝撃が同時に来て防御が出来ない。  

 必殺スキルをまともに食らってしまった私はそのまま後方に吹き飛ばされ、フィールドの壁に激突しました。

「桜、大丈夫?」
「な、なんとか」

 耳元から聞こえてくるシャンティの声で、飛びそうになった意識をなんとか現実に引き止めます。

「…………月?」

 大の字になって倒れている私の目には黄色い月の色が映っていました。

「シャンティ。月はいつから出てますか?」
「えっと。ついさっきだから、まだ出てからほとんど経ってないかも」
「了解ですっ!」

 マリアさんが追撃してくる前に急いで立ち上がり、状況を確認。
 思ったより吹き飛ばされてしまっているみたいで、途中の壁もいくつか倒れてしまっています。
 前方の視界にはマリアさん1人だけ。
 という事はつまり人形は私を囲むように展開していて、もう1回必殺技をしかける気なはず。
 
 ―――――だったら!

「モードチェンジ!」

 杖を掲げてスキル発動!
 音声に反応した杖は変形を始め、先端が尖った形に姿を変えました。
 これにより攻撃パターンを追尾範囲型から収束直線型に変更。
 
 ―――――スキルを使われる前にこっちから仕掛ける!

「ライジング!」
 
 杖の先から収束型レーザー。ライジング・レイノスを照射。
 超スピードで進むレーザーはマリアさんを捉え、壁を巻き込みながら後方へと吹き飛ばします。

「やりました!」

 よしっ!
 これは大ダメージ確定です!

「はっずれ~。シャルマント・タンツェン!」
「……………え?」

 気を抜いた瞬間。

「―――――ぐふっ!?」

 三方向からの同時攻撃に再び吹き飛ばされ、体力ゲージもあと僅か。

「な、なんで!?」
 
 吹き飛ばしたはずのマリアさんの方を見ると、そこには人形が1体倒れているだけでした。

「位置変更? ううん、違う!」

 改めて私が吹き飛ばされた場所を見ると。
「ふふ。ど~れだっ」

 マリアさんが3人並んでいました。

「人形を使った疑似分身!?」

 つまり最初に私をふっ飛ばした時にすでに能力を使っていて、立ち上がった時に見たのはマリアさんに化けた人形だった?
 そして私が攻撃を当てて安心している間に死角から接近して、残った2体の人形と連携攻撃を。
 
 流石に数が3人に減っているからその分ダメージは少なくなっていましたが、次を耐える事が出来るかはかなり微妙なラインです。

 とりあえず人形を1体倒して、再び起き上がって来るまでのインターバル待ちの今の状況が攻め時っ!

 カチャリ。

 と杖を構えて狙いをつけましたが…………。

「くっ!?」

 どれが本物か分からないので、攻撃してもダメージを与えられる確率は3分の1。
 そもそも油断を誘う為にわざと当たったさっきと違って、攻撃を避けられる可能性だって…………。

「あらら? どうしたの? 早く攻撃してこないと駄目じゃない」

 マリアさんは自分から無理には攻撃してきません。

 ―――――そう。
 何故なら時間が経てば倒れた人形が復帰して、その人形もマリアさんの姿になったら本物に攻撃出来る確率が4分の1になってしまうのだから。

「シャンティ。チャージは?」
「えっと…………20%くらい」

 まだ20だけ……………。
 ううん。今は20%もあればじゅうぶん!
 出し惜しみしている余裕なんて全く無いっ!

 私はステップして後ろに数歩下がり、なるべく広い場所に移動。

「これが私の奥の手 (ワイルドカード)!」

 そして杖を構えて音声コードを入力。

「月の光よ収束し、世界を白き輝きに!」

 それからすぐに、杖から発射シークエンスを告げる音声が聞こえてきます。

「デバイスを月光砲モードに移行」

 杖が砲口の大きい形に変形。

「ムーンライトエナジー変換開始」

 そしてチャージしたエネルギーが圧縮され、全て杖の先端に収束。

「アーマー、レギンス、ロック」

 アーマーから噴出した杭が地面に突き刺さり体を固定。

「エネルギー変換完了。緊急冷却開始」

 杖の先端からエネルギー変換が終わって不要になったカプセルが飛び出し、同時にエネルギー変換で発生した熱をその場所から排熱。

「オールクリア」

 杖に付いているランプが赤からグリーンに変わり、排熱も完了。

「照らせ、月光!」

 私の中に残っている全魔力が杖の先端に吸い込まれ、収束された光が更に輝きを増し。そして―――――。

「月光砲!!!!」

 光が私の前、全てを包み込む。















月光砲


高火力
チャージ時間長い
使ったら魔力残量ゼロ
発射中移動不可

総評 火力は高いが成約多すぎの欠陥技

 
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