ゲームキャスターさくら

てんつゆ

文字の大きさ
上 下
116 / 128

人形列車 月の色6

しおりを挟む

 ―――――そして数分後。

「なんで戻って来てるのよ!」
 
 気付いたら忍さんの隣にいたのでした。

「望にそんな事いわれてもね~。そこはホワイトのぞみんに聞いてよ」
「にゃ~ん」

 お散歩に満足したホワイトのぞみんは、足元で毛づくろいをしています。
 かわいい猫の仕草にほんわかムードの2人ですが、そこに突然相手の攻撃が。
 
「わあああっ!? やられちゃう~!?」
「ちょっと! 望が戻ってきたから集中攻撃されちゃってるじゃない!」

 忍さんが岩陰から狙撃しようと覗いた瞬間、矢の連射が襲ってきて反撃は少し難しそうです。
 それにホワイトのぞみんも突然の出来事にビックリして、どこかに逃げ出しちゃいました。

「こうなったら強行突破よ!」 

 忍さんは銃を開いて、中に入っている火炎弾を投げ捨ててから徹甲弾をリロード。
 外しても爆発で範囲攻撃が出来る火炎弾と違って、徹甲弾は特殊効果無しの銃弾です。
 その代わり威力がとてつもなく高いので、命中させる事が出来たら火炎弾以上のダメージを与えて一気にゲームを決める事も。

「狙い撃ちぃ!!!!」 

 忍さんはダメージ覚悟で狙撃!
 銃弾は相手を捉える事には成功しましたが―――――。

「ミスった!?」

 ダメージを受けながらのエイムだったので、狙いが少しだけずれてしまいヘッドショットは失敗。
 ある程度のダメージは与える事は出来たけど、さっきの狙撃中にかなり体力を削られてしまったので、もう1回同じ事をやるのは無理そうです。

「忍ちゃんが外したせいで、大ピンチじゃん!?」
「あ、あれは仕方ないでしょ!」

 実際攻撃を受けながらの狙撃はプロゲーマーでも難しく、当てられただけでも凄いレベルなんですが、さっきの場面では一撃必殺しないと状況は変わらなかったのでかなり厳しい状態でした。
 
 そして、相手は少しずつ距離を詰めてきて、やられるのも時間の問題に。

 数秒後。
 ついには忍さん達は完全に包囲されて、相手の攻撃でバリケードにしている岩も崩れそうな状況になっちゃってます。

「さあ、これで貴方達も終わりよ!」 
「それはどうかしら?」
「なにっ!?」

 勝利を確認した相手に忍さん達は反撃に出ます。

「行くよっ! 忍ちゃん!」
「まかせた!」 
「にゃ~ん」
 
 はるか遠くの樹の上から猫の鳴き声が聞こえてきました。
 どうやら逃げたホワイトのぞみんが樹の上に登っているみたいです。

「望はホワイトのぞみんの気まぐれ効果発動ぅ!」

 猫ちゃんの行動は気まぐれ。
 ――――――そして、能力も気まぐれ!

「この効果で他のプレイヤーの位置とホワイトのぞみんの位置を入れ替えるっ!」

 ホワイトのぞみんが天高くジャンプして最高到達点になった瞬間、ホワイトのぞみんの位置と忍さんの位置が入れ替わりました。

「上からなら障害物を無視して攻撃出来る!」
「それはこっちも同じ!」

 アーチャーは上空で防御する事が出来ない忍さんに向かって矢を発射。
 忍さんは避ける素振りを見せず、銃を構えます。

 アーチャーの放った矢が忍さんに直撃すると思った瞬間。
 矢の勢いが無くなり、そのまま下へと落下していきました。

「ふっふ~。ここから先はあたしだけの距離!」

 ここは中距離クラスでは決して届かない遠距離クラスだけの場所。

「マジックガンナーのスキル。イーグルアイ発動! この効果で超・長距離でも精密狙撃が可能になる!」

 そしてスキルを発動してスコープのズーム倍率を上げる事によって狙いをより正確な物に。

「狙い撃ちっ!」

 空中から放たれた徹甲弾はターゲットを貫き、まずは1人撃破。

「やられた!?」

 そして、相方がやられて動揺している隙に。

「もっかいホワイトのぞみんの効果発動! 対戦相手の位置とホワイトのぞみんの位置を入れ替える!」

 アーチャーを最初に忍さんがいた位置。
 つまり、望さんの真横に転移。

「のぞみんアッパぁー!」

 攻撃範囲に入ったアーチャーに望さんの必殺アッパーが炸裂し、残り体力を全て削りきり。
 そして――――――。

「勝負あり!」
「いえ~い」

 審判のゲーム終了の判定がされた瞬間。
 望さんが忍さんとハイタッチを交わし、忍さんチームの勝利で幕を閉じました。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

意味がわかるとえろい話

山本みんみ
ホラー
意味が分かれば下ネタに感じるかもしれない話です(意味深)

超リアルなVRMMOのNPCに転生して年中無休働いていたら、社畜NPCと呼ばれていました

k-ing ★書籍発売中
ファンタジー
★お気に入り登録ポチリお願いします! 2024/3/4 男性向けホトラン1位獲得  難病で動くこともできず、食事も食べられない俺はただ死を待つだけだった。  次に生まれ変わったら元気な体に生まれ変わりたい。  そんな希望を持った俺は知らない世界の子どもの体に転生した。  見た目は浮浪者みたいだが、ある飲食店の店舗前で倒れていたおかげで、店主であるバビットが助けてくれた。  そんなバビットの店の手伝いを始めながら、住み込みでの生活が始まった。  元気に走れる体。  食事を摂取できる体。  前世ではできなかったことを俺は堪能する。  そんな俺に対して、周囲の人達は優しかった。  みんなが俺を多才だと褒めてくれる。  その結果、俺を弟子にしたいと言ってくれるようにもなった。  何でも弟子としてギルドに登録させると、お互いに特典があって一石二鳥らしい。  ただ、俺は決められた仕事をするのではなく、たくさんの職業体験をしてから仕事を決めたかった。  そんな俺にはデイリークエストという謎の特典が付いていた。  それをクリアするとステータスポイントがもらえるらしい。  ステータスポイントを振り分けると、効率よく動けることがわかった。  よし、たくさん職業体験をしよう!  世界で爆発的に売れたVRMMO。  一般職、戦闘職、生産職の中から二つの職業を選べるシステム。  様々なスキルで冒険をするのもよし!  まったりスローライフをするのもよし!  できなかったお仕事ライフをするのもよし!  自由度が高いそのゲームはすぐに大ヒットとなった。  一方、職業体験で様々な職業別デイリークエストをクリアして最強になっていく主人公。  そんな主人公は爆発的にヒットしたVRMMOのNPCだった。  なぜかNPCなのにプレイヤーだし、めちゃくちゃ強い。  あいつは何だと話題にならないはずがない。  当の本人はただただ職場体験をして、将来を悩むただの若者だった。  そんなことを知らない主人公の妹は、友達の勧めでゲームを始める。  最強で元気になった兄と前世の妹が繰り広げるファンタジー作品。 ※スローライフベースの作品になっています。 ※カクヨムで先行投稿してます。 文字数の関係上、タイトルが短くなっています。 元のタイトル 超リアルなVRMMOのNPCに転生してデイリークエストをクリアしまくったら、いつの間にか最強になってました~年中無休働いていたら、社畜NPCと呼ばれています〜

光速勇者ハイナイン・プラス

飛鳥弥生
SF
戦隊モノとか仮面ライダーとかが好きな人向け。

死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?

わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。 ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。 しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。 他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。 本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。 贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。 そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。 家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

PSY・サティスファクト

韋虹姫 響華
SF
超能力────。 それは人間の中に潜む第六感とも言われている能力の一つとも言えるだろう。 ある時、そんな超能力が犯罪に利用されてしまった事で警察や探偵等の一般の考えでは解決や対処の出来ない怪事件が勃発する。 PSYパッケージと呼ばれた自発的か誘発的か分からない超能力の発現によって行われる超能力犯罪───、それに対抗すべく政府が施策した対超能力捜査一課。 しかし、超能力には同じ超能力による対処をすべく一課配属された超能力者はPSYコードと呼ばれ、怪事件を数多く解決する者達であった。 これは、出生が不明であるPSYコード達と一人の少年が出会った事で動き出す物語である。 ※表紙イラストはAIイラストを使用しています。イラストレーターが決まり次第、変更・編集予定です

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

アラフォー料理人が始める異世界スローライフ

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
ある日突然、異世界転移してしまった料理人のタツマ。 わけもわからないまま、異世界で生活を送り……次第に自分のやりたいこと、したかったことを思い出す。 それは料理を通して皆を笑顔にすること、自分がしてもらったように貧しい子達にお腹いっぱいになって貰うことだった。 男は異世界にて、フェンリルや仲間たちと共に穏やかなに過ごしていく。 いずれ、最強の料理人と呼ばれるその日まで。

処理中です...