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人形列車 月の色6
しおりを挟む―――――そして数分後。
「なんで戻って来てるのよ!」
気付いたら忍さんの隣にいたのでした。
「望にそんな事いわれてもね~。そこはホワイトのぞみんに聞いてよ」
「にゃ~ん」
お散歩に満足したホワイトのぞみんは、足元で毛づくろいをしています。
かわいい猫の仕草にほんわかムードの2人ですが、そこに突然相手の攻撃が。
「わあああっ!? やられちゃう~!?」
「ちょっと! 望が戻ってきたから集中攻撃されちゃってるじゃない!」
忍さんが岩陰から狙撃しようと覗いた瞬間、矢の連射が襲ってきて反撃は少し難しそうです。
それにホワイトのぞみんも突然の出来事にビックリして、どこかに逃げ出しちゃいました。
「こうなったら強行突破よ!」
忍さんは銃を開いて、中に入っている火炎弾を投げ捨ててから徹甲弾をリロード。
外しても爆発で範囲攻撃が出来る火炎弾と違って、徹甲弾は特殊効果無しの銃弾です。
その代わり威力がとてつもなく高いので、命中させる事が出来たら火炎弾以上のダメージを与えて一気にゲームを決める事も。
「狙い撃ちぃ!!!!」
忍さんはダメージ覚悟で狙撃!
銃弾は相手を捉える事には成功しましたが―――――。
「ミスった!?」
ダメージを受けながらのエイムだったので、狙いが少しだけずれてしまいヘッドショットは失敗。
ある程度のダメージは与える事は出来たけど、さっきの狙撃中にかなり体力を削られてしまったので、もう1回同じ事をやるのは無理そうです。
「忍ちゃんが外したせいで、大ピンチじゃん!?」
「あ、あれは仕方ないでしょ!」
実際攻撃を受けながらの狙撃はプロゲーマーでも難しく、当てられただけでも凄いレベルなんですが、さっきの場面では一撃必殺しないと状況は変わらなかったのでかなり厳しい状態でした。
そして、相手は少しずつ距離を詰めてきて、やられるのも時間の問題に。
数秒後。
ついには忍さん達は完全に包囲されて、相手の攻撃でバリケードにしている岩も崩れそうな状況になっちゃってます。
「さあ、これで貴方達も終わりよ!」
「それはどうかしら?」
「なにっ!?」
勝利を確認した相手に忍さん達は反撃に出ます。
「行くよっ! 忍ちゃん!」
「まかせた!」
「にゃ~ん」
はるか遠くの樹の上から猫の鳴き声が聞こえてきました。
どうやら逃げたホワイトのぞみんが樹の上に登っているみたいです。
「望はホワイトのぞみんの気まぐれ効果発動ぅ!」
猫ちゃんの行動は気まぐれ。
――――――そして、能力も気まぐれ!
「この効果で他のプレイヤーの位置とホワイトのぞみんの位置を入れ替えるっ!」
ホワイトのぞみんが天高くジャンプして最高到達点になった瞬間、ホワイトのぞみんの位置と忍さんの位置が入れ替わりました。
「上からなら障害物を無視して攻撃出来る!」
「それはこっちも同じ!」
アーチャーは上空で防御する事が出来ない忍さんに向かって矢を発射。
忍さんは避ける素振りを見せず、銃を構えます。
アーチャーの放った矢が忍さんに直撃すると思った瞬間。
矢の勢いが無くなり、そのまま下へと落下していきました。
「ふっふ~。ここから先はあたしだけの距離!」
ここは中距離クラスでは決して届かない遠距離クラスだけの場所。
「マジックガンナーのスキル。イーグルアイ発動! この効果で超・長距離でも精密狙撃が可能になる!」
そしてスキルを発動してスコープのズーム倍率を上げる事によって狙いをより正確な物に。
「狙い撃ちっ!」
空中から放たれた徹甲弾はターゲットを貫き、まずは1人撃破。
「やられた!?」
そして、相方がやられて動揺している隙に。
「もっかいホワイトのぞみんの効果発動! 対戦相手の位置とホワイトのぞみんの位置を入れ替える!」
アーチャーを最初に忍さんがいた位置。
つまり、望さんの真横に転移。
「のぞみんアッパぁー!」
攻撃範囲に入ったアーチャーに望さんの必殺アッパーが炸裂し、残り体力を全て削りきり。
そして――――――。
「勝負あり!」
「いえ~い」
審判のゲーム終了の判定がされた瞬間。
望さんが忍さんとハイタッチを交わし、忍さんチームの勝利で幕を閉じました。
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