ゲームキャスターさくら

てんつゆ

文字の大きさ
上 下
41 / 128

リベンジマッチ 完

しおりを挟む



 私は飛んでいく炎の挙動に全神経を集中しました。

「賭けは――――」

 和希さんは誘導する火の玉を難なく避けて。

「――――こっちの勝ちみたいだな。チップは全部もらって行くぞ?」
「まだルーレットは回ってます!」
 
 私は杖の先からビームを放ちました。
 狙いはもちろん――――――火の玉の飛んで無い場所っ!

 そう。私は和希さんが攻撃を避けてくれると信じて、魔法を放ったのです。
 
 ただ、和希さんが左右どっちに避けるのかは完全に運でしたが――――。
 私は2分の1の択を通すことに成功したのです。

「チィっ!?」

 防御力の低い和希さんは、私の放った攻撃で体力の全てを奪われました。


「桜、相手の移動スキルが回復しちゃったよ!?」

 シャンティが警告を発しました。
 どうやら和希さんのスキルのクールタイムが終わって、私が最初にやっつけられた行動をもう一度やって来る可能性が高いのですから。

 ――――――――けどっ!

「私の勝ちですっ!!!!」

 和希さんが超高速で私に向かってきた瞬間、私が最初に唱えた隕石がフィールドを埋め尽くしました。

 
「勝者。風宮 桜!!!!」

 そして、私の勝利を告げるジャッジ杉田さんの声が、フィールド上に響き渡りました。


「―――――――あっ」

 現実に戻った瞬間。
 緊張の糸が切れた私は地面に倒れそうになりましたが、いつの間にか隣に来ていた和希さんに支えられました。

「まったく。もう少し緊張感を持ったらどうだ?」
「す、すみません」

 私達はお互いにスーツを脱いで改めて向かい合うと、突然杉田さんのデバイスからアラートが鳴り始めました。

「おっと。どうやら近くて他の試合が始まるみたいだ。では、さらばっ!」
「お疲れ様です」

 そして、河川敷には私と和希さんだけが残りました。

「私の最初のライフを取ったレーザー、外したら負けだったんじゃないのか?」
「あそこは運にかけるしか方法がありませんでしたので。それに、最初から右に撃つって決めてましたから」
「どうしてだ?」
「友達だったら、右手で握手するのが基本ですっ!」
「…………まったく。とんだ挨拶だったな」

 私達は2人で笑いあいました。
 
「あの、それで約束なんですが……」
「――――ふぅ。わかってる。チーム戦をやればいいんだろ?」
「はいっ!」


 ――――――そして、今日の夜。
 
 私は、るんるん気分で和希さんと一緒にバトルフィールドに降り立ったのですが……………。


「ま、待ってください!?」

 私はひたすら突っ走る和希さんの後ろをついて走っていました。

 和希さんは2人チームなのにまるでソロプレイの様な動きをして、相手が2人でも持ち前の実力で圧倒しているおかげで私の戦闘は今の所ゼロ。

「欲しいのがあったら取ったらどうだ?」
「わかりました…………って、あっ、ちょっと!?」


 装備も下手に重い物を取ったら置いていかれてしまうので、最低限の防具と短剣のみ。

「ひゃうっ!?」

 スピード重視の装備だと突然飛んでくる石ころでも致命傷になりかねないので、緊張感は常にマックス。


 ―――――そのまま和希さんは1人で最後まで突き進み、私は後ろをついて行っただけで1位を取ってしまいました。


「なんとか1位を取れたな」
「……………もう全部、和希さん1人でいいのでは」

 チームを組むことは出来ましたが、チームプレイが出来るようになるにはまだちょっと先みたいです。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

御手洗くんの紛うことなき現代社会での滑稽な非日常について。

されど電波おやぢは妄想を騙る
SF
【改稿版】  高校時代からのとあるバイト先で、卒業と同時にそのまま社員登用されたオレ――御手洗そーぢ。  実姉の華奈子と取り巻くヒト達のお陰で、不幸な生い立ちの幼少期からは考えられない、俗に言うシンデレラ・ストーリーに乗っかってしまうこととなった今現在。  ひょんなことから現代社会では、到底、有り得ないような、摩訶不思議と言うか常識ハズレと言うかな、とっても滑稽な体験を次々とさせられることとなるわけで。  と言うかさ、次々と巻き込まれていくだけなんですけど? どーしてこーなった⁉︎  斗家と伏木家に所縁のある御手洗姉弟を中心に、摩訶不思議なモノ騙りが始まるのだった――。  ◇◇◇  ※このモノ騙りは『紛うことなき〜』のスピンオフ、或いはクロスオーバー、はたまたサブストーリー、間違って背景だけ同じのオリジナルに成るか為らざるか⁉︎  執筆してる筆者にしても現時点ではどーなっていくか、全く予想だにしていないと言う驚愕の事実。  つまり、知らない。解らない。  更に言うと、予定は未定(笑)

『天燃ゆ。地燃ゆ。命燃ゆ。』中篇小説

九頭龍一鬼(くずりゅう かずき)
SF
 武士たちが『魂結び』によって『神神』を操縦し戦っている平安時代。  源氏側は平家側の隠匿している安徳天皇および『第四の神器』を奪おうとしている。  斯様なる状況で壇ノ浦の戦いにおよび平知盛の操縦する毘沙門天が源義経の操縦する持国天に敗北し平家側は劣勢となる。  平家の敗衄をさとった二位の尼は安徳天皇に『第四の神器』を発動させるように指嗾し『第四の神器』=『魂魄=こんそうる』によって宇宙空間に浮游する草薙の剱から御自らをレーザー攻撃させる。  安徳天皇の肉体は量子論的にデコヒーレンスされ『第四の神器』は行方不明となる。  戦国時代。わかき織田信長は琵琶法師による『平曲』にうたわれた『第四の神器』を掌握して天下統一せんと蹶起する。――。

異世界日本軍と手を組んでアメリカ相手に奇跡の勝利❕

naosi
歴史・時代
大日本帝国海軍のほぼすべての戦力を出撃させ、挑んだレイテ沖海戦、それは日本最後の空母機動部隊を囮にアメリカ軍の輸送部隊を攻撃するというものだった。この海戦で主力艦艇のほぼすべてを失った。これにより、日本軍首脳部は本土決戦へと移っていく。日本艦隊を敗北させたアメリカ軍は本土攻撃の中継地点の為に硫黄島を攻略を開始した。しかし、アメリカ海兵隊が上陸を始めた時、支援と輸送船を護衛していたアメリカ第五艦隊が攻撃を受けった。それをしたのは、アメリカ軍が沈めたはずの艦艇ばかりの日本の連合艦隊だった。   この作品は個人的に日本がアメリカ軍に負けなかったらどうなっていたか、はたまた、別の世界から来た日本が敗北寸前の日本を救うと言う架空の戦記です。

アルファポリス収益報告書 初心者の1ヶ月の収入 お小遣い稼ぎ(投稿インセンティブ)スコアの換金&アクセス数を増やす方法 表紙作成について

黒川蓮
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスさんで素人が投稿を始めて約2ヶ月。書いたらいくら稼げたか?24hポイントと獲得したスコアの換金方法について。アルファポリスを利用しようか迷っている方の参考になればと思い書いてみました。その後1ヶ月経過、実践してみてアクセスが増えたこと、やると増えそうなことの予想も書いています。ついでに、小説家になるためという話や表紙作成方法も書いてみましたm(__)m

海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~

海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。 再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた― これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。 史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。 不定期更新です。 SFとなっていますが、歴史物です。 小説家になろうでも掲載しています。

おしっこ我慢が趣味の彼女と、女子の尿意が見えるようになった僕。

赤髪命
青春
~ある日目が覚めると、なぜか周りの女子に黄色い尻尾のようなものが見えるようになっていた~ 高校一年生の小林雄太は、ある日突然女子の尿意が見えるようになった。 (特にその尿意に干渉できるわけでもないし、そんなに意味を感じないな……) そう考えていた雄太だったが、クラスのアイドル的存在の鈴木彩音が実はおしっこを我慢することが趣味だと知り……?

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~

アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」 中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。 ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。 『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。 宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。 大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。 『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。 修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。

意味がわかると下ネタにしかならない話

黒猫
ホラー
意味がわかると怖い話に影響されて作成した作品意味がわかると下ネタにしかならない話(ちなみに作者ががんばって考えているの更新遅れるっす)

処理中です...