ゲームキャスターさくら

てんつゆ

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飛行機墜落 高度1万メートル、フライトeスポーツ5

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 私達は道を少しだけ進むと吊橋のかけられている崖まで辿り着きました。
 向こう側を見てみると多分200メートルくらいここから離れています。
 当然ジャンプして向こうまで一気に飛んでいく事は無理なので、向こうに行くにはこの橋を渡るしか選択肢はありません。


 橋を見てみると風が強いのかギシギシと音を立てながらちょっとだけ左右に揺らされていて渡るのが少し怖いでが、ここまで来てわざわざ遠回りするのも時間がもったいなので覚悟を決めて進む事にします。

 ゲームのオブジェクトなので自然にロープが切れて落下する心配は無いのですが、橋の上で戦闘になって橋にダメージを与え続けると壊れてしまうので、そこだけは注意しないといけません。

 ちなみに普段のゲームでは炎魔法で橋を一気に燃やしてしまったり、穴を開けて落とし穴をしかけるみたいな事も出来たりします。

「ではNPCが来る前に早く渡ってしまいましょう」
「…………少し遅かったかもな」
「――――えっ?」


 なんと私達が橋を渡ろうとした瞬間、崖の反対側から2人組のNPCが出てきてこっちに向かって橋を渡ってきたのでした。

「橋の上で戦うのは足場が不安定なので、こっちまで来るまで待ちますか? もう少し距離が近づけば私の弓で狙撃する事も出来ますけど――――」

 橋を渡って来るのを狙う場合ぐらぐらと不安定に揺れているのを狙う事になるので少し命中精度が下がるのが難点ではあるのですが。

「相手は両方とも弓使いみたいだな。近づけば大したことはない、正面突破で行くぞ!」
「あの。弓相手はその近づくまでが大変なのですが―――――って、もう向かってる!?」


 パーカーさんは武器を構えたと思った瞬間に相手に向かって橋を駆けて行きました。
 この場所からだと私の弓も射程距離外なので、私もすぐに追いかけないと。

「――――っ、ととっ」

 吊橋に足を乗っけた瞬間、私はバランスを崩して落っこちそうになったのを必死の思いでロープにしがみついて何とか落下を回避します。

 ――――どうやら予想以上に不安定な足場みたいです。

 こんな足場でまともに戦えるのかな? とパーカーさんを見てみると、まるで平地を走っているかのような感覚でグラグラと揺れる足場を走り抜けていました。 

「――――急がないと」 

 パーカーさんが吊橋の半分くらいの場所に到達した辺りでNPC側の射程範囲に入ったみたいで、弓を構えてパーカーさん目掛けて矢を撃ち放ったのですが。

「遅いな」

 と、武器で弾くまでも無く体を横にステップさせると、シュッと音を鳴らしながらパーカーさんの真横を矢が突き抜けていきました。

 そして、予想通りパーカーさんのかわした矢はそのまま真っ直ぐ後ろにいる私の方へと直進してきたので、私も同じように横ステップでかわ―――――――。

「わわっ!?」 

 避けようとした私は不安定な吊橋に足を取られて、その場に尻もちをついてしまいました。
 直後、動けなくなった私のちょうど真上を矢が2本過ぎ去って行き、矢の1本が私の髪の毛をちょっとだけかすってしまいました。

 も、もうちょっと上に頭があったらヘッドショットで、ゲームオーバーになってました。

「――――この辺りがギリギリ矢の射程範囲みたいですね」

 私は体制を立て直して弓を構えるとNPCに標的を合わせます。
 不安定な足場で、更に標的も不安定に動いているので狙いを定めるのはかなり大変なのですが、頑張って当てないと――――。

 パーカーさんはもうNPCの目の前に到着していて、相手が反応するより早いスピードで回し蹴りをクリーンヒットさせ1人を吊橋の下へと叩き落としていました。

 けれど、NPCが落下する時に体が吊橋のロープに当たって橋が大きく揺れてしまい、その衝撃で私の構えた矢が少しだけ照準がずれて発射されてしまったのです。 

「ああっ!?」 

 誤射された矢はそのままパーカーさんの真後ろへと飛んでいってます。
 パーカーさんは後ろを向いているので誤射に気が付いていません。
 ここままだとパーカーさんに当たってしまいます。 

「危な―――――」

 私が言い終わる前にパーカーさんはまるで後ろにも目が付いているかのように危険を察知し、瞬時にNPCの後ろに回り込んでNPCを蹴り飛ばすと、パーカーさんが元いた場所とNPCが立っていた場所が入れ替わり、私の誤射した矢がNPCを貫きました。

 威力重視にしていた事と相手の防具が軽装だった事、それにパーカーさんの蹴りダメージもちょっとだけ加わった事でヘッドショットにはならなかったのですが、なんとか一撃でやっつける事が出来たみたいです。

 ――――それにしても後ろを向いていたのに私の誤射に一瞬で気がついてかわすなんて。

 もしパーカーさんと対戦する事になって後ろから攻撃するチャンスがあったとしても、当てる事は難しいかもしれません。 

「――――すみません。手元が少し狂ってしまいました」

 私は注意されるかと思ったのですが、パーカーさんの口から出た言葉は罵声などでは無く、落ち着いた口調でした。

「誤射は誰でもするから気にするな。それに半分はすぐ倒せなかったこっちの責任だ」
「私の方を見てたんですか?」
「そっちは見てないが、矢の音が聞こえたからな。それに足元が不安定だと狙うのが難しいんじゃないのか?」
「確かに難しいですが、次はNPCを頑張って狙うので安心してください!」

 私は頑張るぞ!のポーズをして決意を表明します。

「期待してる」
「あの。ちょっとだけアイテムの補充をしたいのですが――――」 


 吊橋の上にはNPCを倒した時に出現した宝箱が2つ置かれていました。
 ちなみに落下ダメージでやっつけた場合は落下する前にいた地点に宝箱が出現するので、どんどん突き落としても大丈夫です。

「そっちは補充しなくてもいいんですか?」
「ああ。今の装備で問題無い」
「では遠慮なく私が全部もらいますね」 

 これまで回復アイテムを多めに持ってきていましたが少し減らしてもいいかもしれません。
 それより矢の威力か命中精度を上げる物が何か……………あっ!?

 ――――私は宝箱の中に鳥の羽を見つけたので、何個か持っていくことにしました。鳥の羽を矢尻につけると矢が撃ちやすくなり、命中精度が上がって当てやすくなるからです。

「――――終わりました」
「目標まで後少しだ。急ぐぞ」
「はい。了解です」 

 私はメニュー画面を開きクラフトを実行して矢を改良しながらパーカーさんの後に続いて目的地への道を進む事にしました。 
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