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<大正:氷の迷宮事件>

巫 vs ゴーレム

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「また、雪のゴーレムですわね。仕方有りませんわ。ノワール、ブラン、さっさと片付けて銀ブラですわ♪」
「ニャー♪」
「にゃー♪」

ノワールがレイピアとマンゴーシュを構え、ブランがメイスを構える。
そして私が氷柱つららを練ろうと両手を合わせた時、諏訪さんに制止される。
如何どうされたのかしら?

「小町ちゃん。このデカブツ、私が始末するわ。この後の掃討作戦の為に強さを見ておきたいの」
「フフ♪そう言う事でしたら、勿論お譲り致しますわ」

と言う事で、私は諏訪さんの後ろに下がる。
でも、一応いざと言う時の為に、ケットシー達には武器を構えさせたまま控えさせておく。
諏訪さんが、不覚を取るとも思えないけれど、念の為ですわ。

諏訪さんが薙ぎ鎌を八双に構え、ゴーレムと対峙。
そして、「ハッ!」と気合を入れ、切り掛かる。
ゴーレムもまた、その腕を鞭の様に振るって、諏訪さんに襲い掛かる。

カーン!

ゴーレムのハンマーの様な氷の腕に、諏訪さんの薙ぎ鎌が弾かれる。
ん!でも、上手いわ。
その弾かれた勢いを駆って、流れる様に石突きをゴーレムの頭部に叩き込む。

パン!と、その石突きに込められた諏訪さんの霊力が弾ける。
その衝撃波で、ゴーレムの頭部の右側三分の一が吹き飛ぶ。

でも、コレでは浅いわ!

刹那、ゴーレムのもう片方の腕が、横薙ぎに諏訪さんを襲う。
それを、薙ぎ鎌の柄で受け止めつつ、同時に後方に飛びずさり、その力を受け流す。

一見やや、諏訪さんが押されている様に見えますけれど、その動きに全くの迷いが無い。
ゴーレムの強さを見ておきたいと仰っていましたけれど、その言葉の通り、試していらっしゃるのだわ。

まだ、諏訪さんは建御名方神タケミナカタを降ろされてはいませんけれど、それでも、これ程の動き。
諏訪さん自身も、その身に降ろす武神の名に劣らない程の達人でいらっしゃると言うこと。

諏訪さんが、薙ぎ鎌の構えを変える。
今度は、石突きの方を前に、中段に。
そして、再び「ハッ!」と掛け声を上げ、ゴーレムの懐に飛込み突きの連打。

諏訪さんの霊力を込めたその連打が、ゴーレムの腹部に何度も突き刺さり、削る様にその構成する雪を弾き飛ばす。
凄まじい突きですわ。
でも、ゴーレムの巨体は揺るぎもしない。

ゴーレムは動じること無く、諏訪さん目掛けて腕を振り下ろす。
その動きを見切った、諏訪さんが瞬時に、流れるような動作で薙ぎ鎌の前後を入れ替える。
そして、掬い上げる様に振るわれる薙ぎ鎌の刃と、振り下ろされるゴーレムの腕が交差する。

ゴーレムの腕は、幾つかの雪の玉が連なって構成されている。
その先から二つ目の玉が、薙ぎ鎌の刃で両断され切り飛ばされる。

諏訪さんの、一見無駄とも思えるあの突きの連打は、ゴーレムのこの攻撃を誘うモノだったのだわ。
振り下ろされる、ゴーレム自身の腕の重さを利用して、薙ぎ鎌の刃で見事に切り飛ばしたと言うことよ。

「ふぅ~、大体の強さは判ったわ。小町ちゃん待たせちゃって御免なさいね。そろそろ、トドメを刺すわね」
そう言いながら、軽くバックステップを踏んで、ゴーレムとの距離を取り、左手を拝む様に胸に当てる。

「わがみ まもりたまえ さきわえたまえ!」
諏訪さんが、祝詞の一節を読む。

次の瞬間、諏訪さんの霊力が爆発的に高まる。
建御名方神タケミナカタを降ろされたのだわ!

「ハッ!」
その掛け声と共に、諏訪さんの姿が消える。
刹那、瞬間移動の様にゴーレムの懐に現れ、薙ぎ鎌を見えない程の速さで振るう。

ゴーレムの腕が、足が、胴がその一瞬で切断される。
そして、ゴーレムは、そのまま崩れる様に雪の山へと変わる。
諏訪さんは、一閃しただけに見えましたけれど、そうでは無く一瞬で切り刻んだのだわ。
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