95 / 173
<大正:英国大使館の悪魔事件 解決編>
より一層、疲れた気分だわ!
しおりを挟む
先ず、例の地獄の門の銘文、わざわざイタリア語で書かれていたわ。
現代の世界でも、イタリア語を読める日本人なんて滅多に居ないわ。
まして大正の世界では尚更よ。
つまり、語学に堪能な私宛のメッセージ。
そして、その銘文の元に私を導いたのは、海狸香の香水……でも。
あの香水が私達を導いた人物は二人いるわ。
一人は一太郎さん、そしてもう一人は、玉藻堂の玉山さん。
ここで、重要なのは、私宛のメッセージである銘文に導いたのは玉山さんの情報だと言う事よ。
つまり、香水を使って私を導きたかったのは、玉山さんの方と言うことに成るわ。
香水は土手瓦商会から納品されたのだから、一太郎さんに繋がるのは当然ですけれど、普通なら、そこから玉山さんに導けるなんて、誰も考えたりし無いわ。
それが出来るのは、一つに、品質の悪く、しかも男性用の香水が納品されたことを、お母様が、私に愚痴る事を予測……いいえ、確信を持てる人物。
そして、もう一つに、お母様なら香水一つで、土手瓦さんの話、同郷の玉山さんの話しへと話題が飛ぶだろう事も確信できる人物。
つまりは、お母様の性格を良く御存じの身近な人物と言うことに成るわね。
では、その身近な人物とは誰?
先ず、お父様では、無いわ。
お父様なら、その様なまどろっこしい事をしないで、普通に教えて下さる筈だもの。
同様に、蘆屋家の使用人と言う事も考えられないわ。
そうなると……叔父様……でも無いわね。
叔父様は、当然お母様の性格は良く御存じだけれど、叔父様は憲兵司令官よ。
御自分の手足と成る魔技取締分隊に、こそこそと裏から手を回して情報を与える必要は無いわ。
それに、そもそも叔父様は、そんな面倒な事をする御性格でも無いわ。
と、成ると……。
今、私の隣に座って、御自分で淹れたアールグレイを優雅に味わっている人物……。
元日の朝、私を憲兵司令部まで送って下さった時に、一お兄様は、それと無く、行方不明事件のお話しをされましたけれど……今、思い返せば、これも偶然と言う事では無さそうね。
と、言う事はこの時点で、既に一お兄様は、英国大使館の事件と一連の行方不明事件の関係性に、気付いていらっしゃったと言う事に成るわね……。
「ん?小町ちゃん、俺の顔に米粒か何か付いているのかい?」
「いいえ何でも有りませんわ。唯、一お兄様はさぞ御モテに。と思いましたの♪」
謎の多い男性は、とかくね♪
「あら、あら、小町ちゃん、やっぱり一ちゃんとの縁談を考え直してくれたのね♪お母様は賛成ですわよ♪」
また……変な方向にお話しが……。
「そもそも、お母様、一お兄様との縁談なんて、その様なお話は何処にも有りませんでしたわ」
「あら?そうだったかしら……?」
「それに、仮にその様な話が有ったとしても、お断りいたしますわ♪」
「ハハハ♪それは傷つくな~。どうしてだい?」
一お兄様が、ふざけた調子でお聞きに。
「フフ♪何だか、面倒臭さそうな人だもの、一お兄様は♪」
一お兄様を御見送りして、二階の自室に。
お嬢様モードOFF。
で、いつもの様にベッドへダイブ。
「ハァー、疲れたわ……」
結局、事件の最初から最後まで、一お兄様の掌の上だったと言う事ね……。
そう思うと……より一層、疲れた気分だわ!
それにしても、一お兄様って一体どう云うお仕事をしてるのかしら?
確か、東部第33部隊とか云う部隊に所属しているって言ってたけれど……。
そうだわ!
今度、現代の世界に行ったら、ネットで検索してやるわ。
案外、こう言うのって、ネットに情報が転がっていたりするものよ♪
二つの世界は、歴史的には繋がってい無い異世界同士だけれど、似た歴史を共有する世界だもの、一お兄様の正体を探るヒントぐらいには成るわ♪
「さて……明日は学校。朝は早いわ。そろそろ寝ましょ」
二つ結ひのリボンを解いて、机に置く。
「ノワール、ブランお休み♪また明日ね♪」
そして、パジャマに着替え終わったその時……。
クラッ!
眩暈だわ!
パラレルリープの予兆……。
でも、丁度良いわ。
現代だと、まだ四日冬休みが残っているもの。
今度こそ、誰にも邪魔されず、ゴロゴロしてやるのよ!!
「あっ!忘れていたわ」
あれを持って行かないと、いけませんわ~♪
机の引き出しに仕舞っていた、ポチ袋。
大晦日の夜、叔父様から頂いたお年玉の二十円札。
これを現代で換金すれば……確か六十万円♪
ゴロゴロ、食っちゃ寝の軍資金♪
ベットに潜って、二十円札を胸元に抱いて、準備万端よ♪
現代に行ったら、何をしましょ♪
先ずは、ゴロゴロして♪二十円札を換金して♪そのお金で……Zzz……。
現代の世界でも、イタリア語を読める日本人なんて滅多に居ないわ。
まして大正の世界では尚更よ。
つまり、語学に堪能な私宛のメッセージ。
そして、その銘文の元に私を導いたのは、海狸香の香水……でも。
あの香水が私達を導いた人物は二人いるわ。
一人は一太郎さん、そしてもう一人は、玉藻堂の玉山さん。
ここで、重要なのは、私宛のメッセージである銘文に導いたのは玉山さんの情報だと言う事よ。
つまり、香水を使って私を導きたかったのは、玉山さんの方と言うことに成るわ。
香水は土手瓦商会から納品されたのだから、一太郎さんに繋がるのは当然ですけれど、普通なら、そこから玉山さんに導けるなんて、誰も考えたりし無いわ。
それが出来るのは、一つに、品質の悪く、しかも男性用の香水が納品されたことを、お母様が、私に愚痴る事を予測……いいえ、確信を持てる人物。
そして、もう一つに、お母様なら香水一つで、土手瓦さんの話、同郷の玉山さんの話しへと話題が飛ぶだろう事も確信できる人物。
つまりは、お母様の性格を良く御存じの身近な人物と言うことに成るわね。
では、その身近な人物とは誰?
先ず、お父様では、無いわ。
お父様なら、その様なまどろっこしい事をしないで、普通に教えて下さる筈だもの。
同様に、蘆屋家の使用人と言う事も考えられないわ。
そうなると……叔父様……でも無いわね。
叔父様は、当然お母様の性格は良く御存じだけれど、叔父様は憲兵司令官よ。
御自分の手足と成る魔技取締分隊に、こそこそと裏から手を回して情報を与える必要は無いわ。
それに、そもそも叔父様は、そんな面倒な事をする御性格でも無いわ。
と、成ると……。
今、私の隣に座って、御自分で淹れたアールグレイを優雅に味わっている人物……。
元日の朝、私を憲兵司令部まで送って下さった時に、一お兄様は、それと無く、行方不明事件のお話しをされましたけれど……今、思い返せば、これも偶然と言う事では無さそうね。
と、言う事はこの時点で、既に一お兄様は、英国大使館の事件と一連の行方不明事件の関係性に、気付いていらっしゃったと言う事に成るわね……。
「ん?小町ちゃん、俺の顔に米粒か何か付いているのかい?」
「いいえ何でも有りませんわ。唯、一お兄様はさぞ御モテに。と思いましたの♪」
謎の多い男性は、とかくね♪
「あら、あら、小町ちゃん、やっぱり一ちゃんとの縁談を考え直してくれたのね♪お母様は賛成ですわよ♪」
また……変な方向にお話しが……。
「そもそも、お母様、一お兄様との縁談なんて、その様なお話は何処にも有りませんでしたわ」
「あら?そうだったかしら……?」
「それに、仮にその様な話が有ったとしても、お断りいたしますわ♪」
「ハハハ♪それは傷つくな~。どうしてだい?」
一お兄様が、ふざけた調子でお聞きに。
「フフ♪何だか、面倒臭さそうな人だもの、一お兄様は♪」
一お兄様を御見送りして、二階の自室に。
お嬢様モードOFF。
で、いつもの様にベッドへダイブ。
「ハァー、疲れたわ……」
結局、事件の最初から最後まで、一お兄様の掌の上だったと言う事ね……。
そう思うと……より一層、疲れた気分だわ!
それにしても、一お兄様って一体どう云うお仕事をしてるのかしら?
確か、東部第33部隊とか云う部隊に所属しているって言ってたけれど……。
そうだわ!
今度、現代の世界に行ったら、ネットで検索してやるわ。
案外、こう言うのって、ネットに情報が転がっていたりするものよ♪
二つの世界は、歴史的には繋がってい無い異世界同士だけれど、似た歴史を共有する世界だもの、一お兄様の正体を探るヒントぐらいには成るわ♪
「さて……明日は学校。朝は早いわ。そろそろ寝ましょ」
二つ結ひのリボンを解いて、机に置く。
「ノワール、ブランお休み♪また明日ね♪」
そして、パジャマに着替え終わったその時……。
クラッ!
眩暈だわ!
パラレルリープの予兆……。
でも、丁度良いわ。
現代だと、まだ四日冬休みが残っているもの。
今度こそ、誰にも邪魔されず、ゴロゴロしてやるのよ!!
「あっ!忘れていたわ」
あれを持って行かないと、いけませんわ~♪
机の引き出しに仕舞っていた、ポチ袋。
大晦日の夜、叔父様から頂いたお年玉の二十円札。
これを現代で換金すれば……確か六十万円♪
ゴロゴロ、食っちゃ寝の軍資金♪
ベットに潜って、二十円札を胸元に抱いて、準備万端よ♪
現代に行ったら、何をしましょ♪
先ずは、ゴロゴロして♪二十円札を換金して♪そのお金で……Zzz……。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
【完結】嫌われている...母様の命を奪った私を
紫宛
ファンタジー
※素人作品です。ご都合主義。R15は保険です※
3話構成、ネリス視点、父・兄視点、未亡人視点。
2話、おまけを追加します(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)
いつも無言で、私に一切の興味が無いお父様。
いつも無言で、私に一切の興味が無いお兄様。
いつも暴言と暴力で、私を嫌っているお義母様
いつも暴言と暴力で、私の物を奪っていく義妹。
私は、血の繋がった父と兄に嫌われている……そう思っていたのに、違ったの?
【完結】番を監禁して早5年、愚かな獣王はようやく運命を知る
紺
恋愛
獣人国の王バレインは明日の婚儀に胸踊らせていた。相手は長年愛し合った美しい獣人の恋人、信頼する家臣たちに祝われながらある女の存在を思い出す。
父が他国より勝手に連れてきた自称"番(つがい)"である少女。
5年間、古びた離れに監禁していた彼女に最後の別れでも伝えようと出向くと、そこには誰よりも美しく成長した番が待ち構えていた。
基本ざまぁ対象目線。ほんのり恋愛。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる