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<ヌアザの攻防>
荒野に広がる紅蓮
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荷馬車を引く二頭の馬が、血の混じる赤い泡を飛ばしながら、速度を上げる。
そして、十字架の手前。
ガッタンッ!
荷馬車の車輪が外れ、馬も転倒し、ワシの体が宙に投げ出される。
その空中で、身を丸める様に体を捻り、上手く着地する。
フッ、どうもこの頃、猫の様な体捌きが上手く成って来たな……。
着地した足元にぬるっとした感触、それと、この匂い。
原油の撒かれた罠の真ん中だ。
荷馬車は横転し、それを引っ張っておった二頭の馬も、血を吐いて倒れている。
後方からは、ゴブリン共の大軍が打ち鳴らす足音が轟き、迫りくる。
「うむ、どうやら上手く誘導出来た様だ」
そして、この好機、あの男が見逃す筈は無い。
ズドーン!
聞き覚えのある銃声が轟き、撃ち抜かれた樽が爆炎を上げ、ゴブリン共を飲み込む。
更に炎は、地面に撒かれた原油に燃え移り、這う様に荒野に広がる。
それを、チラリと確認すると、ワシも走り出す。
まあ、此処で呆けておったら、ワシまでまる焼けだからな。
広がる炎が背後に迫る。
どうやら、アモンの術の効力も薄れてきておる様だ……。
ちと、不味いかもしれんが、今更術を掛け直す暇もない。
「ハァ~、已むを得んか……」
今一つ、ワシの矜持が許せん処も有るのだがな……背に腹は代えられん。
「まあ、誰ぞに見られてる分けでは無い」
已む無く、二本足で走る事を止め、両手も地に付け、獣の様に原油で滑る荒野を疾走する。
全身の筋肉を使って走る分、この方が格段に速く走れる。
まあ……だが……しかし……だからと言って、人としての矜持は忘れまい!
程無く、乾いた土を踏みしめる。
罠の外に抜けた様だ。
後ろを振り向くと、荒野が紅蓮に燃える火の海と化して居る。
その炎の中で、無数の小さな影がのた打ち回り、絶叫を上げている。
「うむ、戦果の方はまずまずと言ったところか」
だが、やはり撒かれた原油にはムラが有る。
運良く、炎に巻かれず、罠を抜けるゴブリン共も少なからず見て取れる。
ターン、ターン、ターン!
銃声と共に、ワシが錬成した壁の上から、オレンジ色の発火炎が時折光る。
炎を抜けたゴブリン共を、オーウェン達が掃討しておるのだ。
あの壁は高さはさほど無いが、あの小鬼共が容易く飛び越えると言う事も有るまい。
如何にか、ゴブリン共の襲撃を凌げそうだ……まあ、このままの話なら、と言う事では有るが。
突如、紅蓮の炎越しに見える壁の上を、ダスターコートを翻し疾走する、見覚えのある人影。
「うむ、やはり来たか」
そして、十字架の手前。
ガッタンッ!
荷馬車の車輪が外れ、馬も転倒し、ワシの体が宙に投げ出される。
その空中で、身を丸める様に体を捻り、上手く着地する。
フッ、どうもこの頃、猫の様な体捌きが上手く成って来たな……。
着地した足元にぬるっとした感触、それと、この匂い。
原油の撒かれた罠の真ん中だ。
荷馬車は横転し、それを引っ張っておった二頭の馬も、血を吐いて倒れている。
後方からは、ゴブリン共の大軍が打ち鳴らす足音が轟き、迫りくる。
「うむ、どうやら上手く誘導出来た様だ」
そして、この好機、あの男が見逃す筈は無い。
ズドーン!
聞き覚えのある銃声が轟き、撃ち抜かれた樽が爆炎を上げ、ゴブリン共を飲み込む。
更に炎は、地面に撒かれた原油に燃え移り、這う様に荒野に広がる。
それを、チラリと確認すると、ワシも走り出す。
まあ、此処で呆けておったら、ワシまでまる焼けだからな。
広がる炎が背後に迫る。
どうやら、アモンの術の効力も薄れてきておる様だ……。
ちと、不味いかもしれんが、今更術を掛け直す暇もない。
「ハァ~、已むを得んか……」
今一つ、ワシの矜持が許せん処も有るのだがな……背に腹は代えられん。
「まあ、誰ぞに見られてる分けでは無い」
已む無く、二本足で走る事を止め、両手も地に付け、獣の様に原油で滑る荒野を疾走する。
全身の筋肉を使って走る分、この方が格段に速く走れる。
まあ……だが……しかし……だからと言って、人としての矜持は忘れまい!
程無く、乾いた土を踏みしめる。
罠の外に抜けた様だ。
後ろを振り向くと、荒野が紅蓮に燃える火の海と化して居る。
その炎の中で、無数の小さな影がのた打ち回り、絶叫を上げている。
「うむ、戦果の方はまずまずと言ったところか」
だが、やはり撒かれた原油にはムラが有る。
運良く、炎に巻かれず、罠を抜けるゴブリン共も少なからず見て取れる。
ターン、ターン、ターン!
銃声と共に、ワシが錬成した壁の上から、オレンジ色の発火炎が時折光る。
炎を抜けたゴブリン共を、オーウェン達が掃討しておるのだ。
あの壁は高さはさほど無いが、あの小鬼共が容易く飛び越えると言う事も有るまい。
如何にか、ゴブリン共の襲撃を凌げそうだ……まあ、このままの話なら、と言う事では有るが。
突如、紅蓮の炎越しに見える壁の上を、ダスターコートを翻し疾走する、見覚えのある人影。
「うむ、やはり来たか」
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