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<狙われた町と黒い沼>
商談を掻っ攫う 後編
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「な、なんと、アンタが油田の経営をと!?し、しかし……」
「町長さん。猫の旦那でしたら、心配は御無用ですよ。短い間でしたが、一緒に旅して、そのお人柄は町長さんが心配為さる様な方では有りませんよ。それに、油田に付いても。旅の途中、私がお見せした石油ランプに驚かれておりませんでした。以前から御存じだった様子。それに昨夜、廃坑でお会いした時に、確信をもって油田と言い当てていらっしゃられた。石油や油田と言う物に深い造詣をお持ちでは有りませんかな?」
そう言いながらトマスはワシに視線を移す。
「造詣が深いかはともかく、その有用性に付いてはある程度、熟知はしておる積りだ」
まあ、前世においては、とかくな。
「そこで、今度はお前さん達と商談だ。あの廃坑、百万ドルでワシが買おう。これで、借金の半分が帳消しに成る。悪い話ではあるまい」
「あの廃坑を百万ドルでと……では、アンタは、儂らに出て行けとは言わんと云う事じゃな?」
「うむ、無論だ。油田開発に当たってはお前さん方の協力も必要に成る。そして、開発が進めば町も潤い、残りの百万ドルの返済など、そう何年も掛かるまい」
黒の魔力結晶の値が付けば、彼らの借金など、全て肩代わりしたとて余りある。
だが、それでは、彼らの矜持が許すまい。
逆に、ワシに全てを頼る事に甘んじる成らば、それもまた、彼らの為には成るまい。
ワシと彼ら、あくまで対等で有らねば成らん。
「チョ、チョ、チョット待った、テメエら!!」
リンドヴルムの魔力結晶に呆けていた、小男が我に返って喚き散らす。
「な、な、何勝手に話し進めてんだ!コラ!」
成りはともかく、さっき迄椅子にふんぞり返り、大物ぶっていた筈だが、何処へやらだな。
「フッ、見ての通りだ。もう、お前さん達の出る幕は無い。商談は成立した様なものだ。それともお前さん、この町の債権、ワシとせり合ってみるか?」
そう言いながら、これ見よがしにリンドヴルムの魔力結晶をポンポンと叩く。
「ふ、ふざけるな!テメエ、どうしても、この俺様の商売を邪魔しようてぇのか?」
「お前さんの商売かどうか何ぞ、ワシは知らん。コイツはワシの商売なんでな」
「クックック、忠告してやる。粋がるのもホドホドにして置くんだな。テメエ見てぇな何処の馬の骨とも知れ無ぇ奴は、何処でくたばろうが、誰も気に掛けちゃくれねぇんだぜ。これからは夜道に気を付けるんだな。クックック」
ん?
猫の姿のワシに夜道には気を付けろとは、何とも語彙力の無い脅しだ。
「フッ、ワシが馬の骨と……猫とは良く言われるが、さすがに、ウマ呼ばわりされたのは、産まれて初めてだ。ワシが馬に見えるようなら、お前さん相当に目が悪いらしい」
この手の輩は少々からかって見るに限る。
で、この手の輩のリアクションも大抵決まっている。
「ヘルマス一家をからかうとは良い度胸だ!此処で、くたばりやがれ!」
大男の方が立ち上がり、躊躇う事無く腰の銃を抜く。
ズドン!
「町長さん。猫の旦那でしたら、心配は御無用ですよ。短い間でしたが、一緒に旅して、そのお人柄は町長さんが心配為さる様な方では有りませんよ。それに、油田に付いても。旅の途中、私がお見せした石油ランプに驚かれておりませんでした。以前から御存じだった様子。それに昨夜、廃坑でお会いした時に、確信をもって油田と言い当てていらっしゃられた。石油や油田と言う物に深い造詣をお持ちでは有りませんかな?」
そう言いながらトマスはワシに視線を移す。
「造詣が深いかはともかく、その有用性に付いてはある程度、熟知はしておる積りだ」
まあ、前世においては、とかくな。
「そこで、今度はお前さん達と商談だ。あの廃坑、百万ドルでワシが買おう。これで、借金の半分が帳消しに成る。悪い話ではあるまい」
「あの廃坑を百万ドルでと……では、アンタは、儂らに出て行けとは言わんと云う事じゃな?」
「うむ、無論だ。油田開発に当たってはお前さん方の協力も必要に成る。そして、開発が進めば町も潤い、残りの百万ドルの返済など、そう何年も掛かるまい」
黒の魔力結晶の値が付けば、彼らの借金など、全て肩代わりしたとて余りある。
だが、それでは、彼らの矜持が許すまい。
逆に、ワシに全てを頼る事に甘んじる成らば、それもまた、彼らの為には成るまい。
ワシと彼ら、あくまで対等で有らねば成らん。
「チョ、チョ、チョット待った、テメエら!!」
リンドヴルムの魔力結晶に呆けていた、小男が我に返って喚き散らす。
「な、な、何勝手に話し進めてんだ!コラ!」
成りはともかく、さっき迄椅子にふんぞり返り、大物ぶっていた筈だが、何処へやらだな。
「フッ、見ての通りだ。もう、お前さん達の出る幕は無い。商談は成立した様なものだ。それともお前さん、この町の債権、ワシとせり合ってみるか?」
そう言いながら、これ見よがしにリンドヴルムの魔力結晶をポンポンと叩く。
「ふ、ふざけるな!テメエ、どうしても、この俺様の商売を邪魔しようてぇのか?」
「お前さんの商売かどうか何ぞ、ワシは知らん。コイツはワシの商売なんでな」
「クックック、忠告してやる。粋がるのもホドホドにして置くんだな。テメエ見てぇな何処の馬の骨とも知れ無ぇ奴は、何処でくたばろうが、誰も気に掛けちゃくれねぇんだぜ。これからは夜道に気を付けるんだな。クックック」
ん?
猫の姿のワシに夜道には気を付けろとは、何とも語彙力の無い脅しだ。
「フッ、ワシが馬の骨と……猫とは良く言われるが、さすがに、ウマ呼ばわりされたのは、産まれて初めてだ。ワシが馬に見えるようなら、お前さん相当に目が悪いらしい」
この手の輩は少々からかって見るに限る。
で、この手の輩のリアクションも大抵決まっている。
「ヘルマス一家をからかうとは良い度胸だ!此処で、くたばりやがれ!」
大男の方が立ち上がり、躊躇う事無く腰の銃を抜く。
ズドン!
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