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集団異世界召喚

異世界探険⑥

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「昨日のところまで戻ってきたか」

「ロックハーミットはやっぱりみないねー」

お前が狩りすぎたんだよ!とノエルとカレンが目で訴えていたが澪が気付く筈もなく、更に上へと登っていく。

「見てみて!もうこんなに高いところまで来たみたいよ」

「わぁ…綺麗ですね」

澪とカレンは神山のふもとに小さく見えるブランツェ王国を眺めて感動している。
確かに屋根がカラフルなのは神山から見たときの景色がいいからなのだろうか、とても芸術的だ。

「まだまだ神山の中腹にも到着してないよ」

「ひぇ~、まだまだですね…」

神山は上に行くほど魔物が強くなっていくらしく、それに加え足場も悪くなっていくそうだ。

「なんだ?石でできた…鳥?」

空で何かが飛んでいると気付き見つめてみると、全身が石でできた鳥が飛んでいた。

「俺も図書館でみたぞ、ロックイーグルだな」

「その通りです、あいつもロックバレットやその他の技も使います」

少しは手応えがありそうな奴だな、飛ばれるのは面倒だが魔法を使えば問題ないか。

「ワープ…はぁっ!月光水刃!」

時空間魔法の使い方を考えていたがこういうときにこそ使えるのでは?と思ったのだ。
数十メートル先にいるだけならばワープして相手の虚を衝くことができる、そしてまたワープして元の場所に戻ればいいんだ。

「よし、上手くいった」

「すごいわね…あんな使い方を対人でされちゃ為す術がないわ」

「さすがミナト様です」

「かっこよかったですよ!」

「わふふ!」

俺も初めて使ってみたが思ったより上手くいって俺自身も驚いている。

「まだ行けるな、先へ進もう」

ここらへんの魔物はカレンやノエルにとっても楽に倒せるくらいだ。

「こいつは手強いぞ」

“ロックドラゴンノーム”
それは表面が岩石で覆われており、自身のスキル〈装甲強化〉により岩石は更に頑丈になっている。
そして爪は鉄をも斬り裂くほど鋭い。

「俺が手を出してもいいけど練習にならないし、危なくなったら手伝うよ」

「湊斗はそこで休んでて!私達だけで十分よ!」

「ミナト様に手を焼かせるわけにはいきませんからね」

「更に強くなりたい!」

「わふっ!!」

この3人で一番の戦力は澪だ。
勇者ということもあるが、戦闘技術もいいと思う。
ノエルは最近急成長を果たし、ステータスが前とは比べ物にならない事になっている。
カレンもノエルと同じく急成長しているがやはり、ノエルには届かない。
シエルは個としての戦力は高くないが、素早さを活かして少しずつ体力を減らして倒している。

この4人が連携するとロックドラゴンノームも何とか倒せる筈だ。

「貫け!閃光突き!」

澪の高速で突く先制攻撃はロックドラゴンノームの岩石を砕き、無防備な皮が丸出しになっている。

「見逃しません、スピリットアロー」

ノエルが澪が露出させた皮をピンポイントで狙い打つ。精霊の力を持つ矢はじわじわと敵の体力を奪っていき、ノエルが回復するドレイン系魔法だ。

「GRAA!!」

咆哮というよりは悲鳴の声を上げて逃げようとするとーーー

「いっけぇ!ウィンドボール!」

カノンが日々鍛えてきた風属性魔法のウィンドボールはロックドラゴンノームの息の根を止めた。

「やったぁ!」

「ナイスよカレン」

「カレンさんすごいね!」

いい連携だった、澪が体制を崩し、遠距離からの追撃、そして魔法での止め。
この調子ならば、更に上位のモンスターをも斃せるようになるかもしれない。

「次はどんなやつが出てくるんだろうな」

「わからないわ、強敵になってきたから雑魚は近寄ることすらできないのね。さっきから弱いのが一匹足りともいないわ」

強者のテリトリーに自ら入る様な奴は流石の魔物でも居ないようだ。

丁度お昼になった位だろうか小腹が減ってきたのでノエルが作ってくれたお弁当を皆で食べる。
アイテムボックスから取り出した出来立ての蟹クリームパスタはロックハーミットの身と蟹味噌がふんだんに盛り付けられたパスタは匂いだけでも涎が出そうな程に美味しそうだ。

「おぉ、いただきます」
「「「いただきます」」」
「わふっ」

パスタに良く絡み付く蟹味噌は濃厚でクセになりそうだ。

「これは上手い!」
「頬っぺたが落ちそうだわ…」

「自信作ですから」

素材も良い上にノエルが作ったんだ、美味しいに決まっている。

「お蔭でやる気もでてきた!」
「そうね、どんどん行くわよー!」

蟹パワーにより先程よりも早く中腹を目指し、ひたすらに歩いた。
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