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風は知り吹き抜けてその中で。 (2019.6.18)
しおりを挟むわたしの知らない遠い過去 今は自然な流行りの文化
わたしの知らない深いところ 爪痕ばかり追ってみるけれど
わたしの知らない飢えた頃 銀数枚で買える常識
わたしの知らない焼けた花 ゆらゆら綻び日を浴びる
わたしの知らない荒れた肌 名誉名誉と遅れた抑圧
わたしの知らない溶けた土 吹き飛ぶ岩と濁った砂浜
わたしの知らない わたしの知らない わたしは知らない
スベテは スベテは 知ったつもりで 知れたつもりの
わたしは知らない呪いの言葉 わたしの知らない断たれた団欒
掃いて捨てた恵み 今ではありふれて
飽いて投げた温もり 当たり前にそこに
風は吹いて 揺れるガラス玉 夏の訪れ 汗が滲んで
蝉が鳴いて まだ鳴く季節
背を押されて炎 首を振り冷ややか さようなら日常
夏の歌はどこまでも 秋に向かってどこまでも 冬に眠り 春に咲くのか
画面の向こう 仮想世界に閉じる
風が吹いて 揺れる草原 夏の真中 まだ少し暑い
蝉が鳴いて 響いて消える
背を押されて蛍 首を振り烙印 ささやかな日常
夏の歌はどこまでも 秋に向かってどこまでも 冬に眠り 春に咲くのだろう
画面の手前 現実世界に開く
風は知っている 揺れた草原 夏の終わり 赤とんぼが舞う
風は知っている 静かに撫ぜていって 歌が続く
蝉が鳴いて 響いて 夕日に揺れる
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