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小松ン家は相変わらずだった。小松が自宅謹慎ってのは小松のクラスメイトから聞いた。色々大変だろうなって別に遠慮する仲でもないけどおばさんに悪いなって感じで2日経ってから来てみたわ。少しなんか暗げに思うのは息子の不祥事か。小松の母ちゃんも小松に似て少し変わってる人だなって思った。昔から世話になってるから慣れてきたけど。それにオレみたいなのがデキの良い息子に関わってるのもあまり気にしてないようだった。長いからかな、遠慮してるのかな。あまりそういうの気にしないのかな。まぁ今回ばっかりは相手がな。
来てくれてありがとうね染は2階にいるから、って今が普通に授業中の時間ってことも気にされなかったけどおばさんの顔は少し疲れてそうだった。小松にメッセージ入れたんだけど出迎えてはくれねぇワケね。小松の部屋に入って、真っ暗過ぎてビビった。外は明るいのに遮光カーテン開いてない。
「お前…病み期ってやつ?」
女子がよくいう病み期ってこういうことなのか?ベッドに座って、オレがドア開けても無言のまま背を向けてカーテンの方見てる。
「ビックリした?」
フツーだ。小松はフツー。病み期って感じでもない。
「すげぇビックリした」
「ごめんな」
びっくりさせたことに謝ってるんじゃねぇなってのはオレでも分かった。
「別に」
でも何のことだかな。思い当たる節はいくつもある。でもどれも、これだ!ってカンジじゃない。
「学校、どう?」
「特に何も変わんねぇ」
嘘。少し変わった。でもほんの少し。お前がいないと暇さに磨きがかかるからオレはアイツのところ行くしかねぇわけ。
「そう。暇でしょ、観月」
「小松怖ぇな」
「何となく分かるよ」
こいつなんで暴力事件起こしたんだよ?冷生チャンとも会ってないしな。オレに合わせてどっか行っちまうんだよな。アイツから話には聞くから休んではいないみたいだけど。
「いやぁ、俺も案外バカだったみたい。まっさか元カノの弟殴っちゃうなんてね」
「言わなきゃよかったろ。なんでわざわざ自分から言ったし」
こいつ職員室自分で行って、冷生チャンの担任に自己申告したからマジで謎。お前ら何してんだよ。
「冷生ちゃんを困らせたかったんだよ、可愛いから」
嘘くせ。カーテンを開き始めた小松の横顔はいつも見るのと変わらない。何だそりゃ。
「お前なぁ、おばさん結構疲れてるげだったぞ」
「う~ん、考えたけどね。でも殴った時は考えてなかった」
「あ~あ、抹茶プリン買って来たけどこれやっぱおばさんにあげよ」
はははいいなぁって小松は他人事でなんでか返答が全部ウソ臭くてなんだかな、って感じだ。もしかして一番キテんのこいつなんじゃねぇのか。
「大丈夫か」
「何が」
「色々とだよ、色々と大丈夫かよ。何か悩んでるとかか」
小松はいきなり首を横にして、そう見えてた?って笑った。
「殴られたから殴った、だけか?」
何があったんだよ小松。冷生チャンと何かなきゃこうならないだろ、お前暴力嫌いじゃん。
「まぁ、そんなトコロ。殴られっ放しムカついたから殴ったの…朝比奈知っちゃった?」
「知らないんじゃね。風邪っ引きで休んでるってコトになってるけど、まぁ噂次第じゃね。お前らが噂になるレベルなのかは知らんけど」
言えるワケねぇわな。間を置かず2回目とか。どんなカオさせちまうかも分からない。アイツが選んだそれなりの決心みたいなのも、なんだかなって。
「そっか。まぁ多分冷生ちゃんも言わないとは、思うけど」
小松はオレに勉強机のイスに座るようすすめてきた。でも小松はベッドの上でぼ~っとしていて、抜け殻みたいだった。いつもと同じな面構えだけど。
「冷生ちゃんに会った?」
「会ってねぇよ」
教室から出て行く姿なら見るけど。オレの顔を見ようともしない。いきなり潔くないか。
「先生にね、お前と観月はあいつに関わるなってさ、言われたよ」
ぼけーっとしながら静かに言った。先公そういうこと言いそうだもんな。小松も並べられてるの意外過ぎるけど。何もしかしてそれに傷付いてるとか?
「まぁ、相手は御家柄もよろしい優等生だしな」
って教えてくれたのお前なのにな。
「俺だって優等生だっての。学年2位だし。学年2位じゃ優等生じゃないってか。まぁ学年くらいじゃ狭い枠だもんな」
小松って学年2位なのかよ。すげぇのかすげくねぇのか分かんねぇけど。
「何、それで文句があると」
「別に?仕方ないよ。あそこン家はやっぱ、あの学校にいるのが変なんだから」
小松がいきなりドサって倒れてまじでびっくりして心臓跳ねた。いきなり死んだかと思った。
「そんなやつ、殴っちゃったんだよなぁ…」
「後悔中?」
「う~ん分かんない。でも手、痛いしさ、冷生ちゃんはもっと痛かったろうなって」
ジヒ深いこったな。
「色々、気、遣わせるっしょ」
重恋のことかな。小松は今おばさんと進路と手前のことだけ心配してろっつうの。
「いいよ、気にすんな」
首が美容室の頭洗う時みたいになってる。赤ちゃんとかが首ぐらんぐらんしてる時期みたいな。そのまま仰向けてオレを見て、前髪がベッドに落ちていく。
「なぁ小松」
「何」
大きめな目が開いたけど多分興味ないんだろうな、ってカンで分かる。
「いや…」
オレの知らないところで色々あるんだろうな。オレが関わってるかも分からないけどな、冷生チャンとのことじゃ。でも小松多分はぐらかすだろ。お前そういうのはそこそこ上手いし。
「後輩には優しくしろって」
いつか言われたこと。いつか言われたことをオレが小松に言うのかよ。言われなんよ、オレなんかに。
小松ン家は相変わらずだった。小松が自宅謹慎ってのは小松のクラスメイトから聞いた。色々大変だろうなって別に遠慮する仲でもないけどおばさんに悪いなって感じで2日経ってから来てみたわ。少しなんか暗げに思うのは息子の不祥事か。小松の母ちゃんも小松に似て少し変わってる人だなって思った。昔から世話になってるから慣れてきたけど。それにオレみたいなのがデキの良い息子に関わってるのもあまり気にしてないようだった。長いからかな、遠慮してるのかな。あまりそういうの気にしないのかな。まぁ今回ばっかりは相手がな。
来てくれてありがとうね染は2階にいるから、って今が普通に授業中の時間ってことも気にされなかったけどおばさんの顔は少し疲れてそうだった。小松にメッセージ入れたんだけど出迎えてはくれねぇワケね。小松の部屋に入って、真っ暗過ぎてビビった。外は明るいのに遮光カーテン開いてない。
「お前…病み期ってやつ?」
女子がよくいう病み期ってこういうことなのか?ベッドに座って、オレがドア開けても無言のまま背を向けてカーテンの方見てる。
「ビックリした?」
フツーだ。小松はフツー。病み期って感じでもない。
「すげぇビックリした」
「ごめんな」
びっくりさせたことに謝ってるんじゃねぇなってのはオレでも分かった。
「別に」
でも何のことだかな。思い当たる節はいくつもある。でもどれも、これだ!ってカンジじゃない。
「学校、どう?」
「特に何も変わんねぇ」
嘘。少し変わった。でもほんの少し。お前がいないと暇さに磨きがかかるからオレはアイツのところ行くしかねぇわけ。
「そう。暇でしょ、観月」
「小松怖ぇな」
「何となく分かるよ」
こいつなんで暴力事件起こしたんだよ?冷生チャンとも会ってないしな。オレに合わせてどっか行っちまうんだよな。アイツから話には聞くから休んではいないみたいだけど。
「いやぁ、俺も案外バカだったみたい。まっさか元カノの弟殴っちゃうなんてね」
「言わなきゃよかったろ。なんでわざわざ自分から言ったし」
こいつ職員室自分で行って、冷生チャンの担任に自己申告したからマジで謎。お前ら何してんだよ。
「冷生ちゃんを困らせたかったんだよ、可愛いから」
嘘くせ。カーテンを開き始めた小松の横顔はいつも見るのと変わらない。何だそりゃ。
「お前なぁ、おばさん結構疲れてるげだったぞ」
「う~ん、考えたけどね。でも殴った時は考えてなかった」
「あ~あ、抹茶プリン買って来たけどこれやっぱおばさんにあげよ」
はははいいなぁって小松は他人事でなんでか返答が全部ウソ臭くてなんだかな、って感じだ。もしかして一番キテんのこいつなんじゃねぇのか。
「大丈夫か」
「何が」
「色々とだよ、色々と大丈夫かよ。何か悩んでるとかか」
小松はいきなり首を横にして、そう見えてた?って笑った。
「殴られたから殴った、だけか?」
何があったんだよ小松。冷生チャンと何かなきゃこうならないだろ、お前暴力嫌いじゃん。
「まぁ、そんなトコロ。殴られっ放しムカついたから殴ったの…朝比奈知っちゃった?」
「知らないんじゃね。風邪っ引きで休んでるってコトになってるけど、まぁ噂次第じゃね。お前らが噂になるレベルなのかは知らんけど」
言えるワケねぇわな。間を置かず2回目とか。どんなカオさせちまうかも分からない。アイツが選んだそれなりの決心みたいなのも、なんだかなって。
「そっか。まぁ多分冷生ちゃんも言わないとは、思うけど」
小松はオレに勉強机のイスに座るようすすめてきた。でも小松はベッドの上でぼ~っとしていて、抜け殻みたいだった。いつもと同じな面構えだけど。
「冷生ちゃんに会った?」
「会ってねぇよ」
教室から出て行く姿なら見るけど。オレの顔を見ようともしない。いきなり潔くないか。
「先生にね、お前と観月はあいつに関わるなってさ、言われたよ」
ぼけーっとしながら静かに言った。先公そういうこと言いそうだもんな。小松も並べられてるの意外過ぎるけど。何もしかしてそれに傷付いてるとか?
「まぁ、相手は御家柄もよろしい優等生だしな」
って教えてくれたのお前なのにな。
「俺だって優等生だっての。学年2位だし。学年2位じゃ優等生じゃないってか。まぁ学年くらいじゃ狭い枠だもんな」
小松って学年2位なのかよ。すげぇのかすげくねぇのか分かんねぇけど。
「何、それで文句があると」
「別に?仕方ないよ。あそこン家はやっぱ、あの学校にいるのが変なんだから」
小松がいきなりドサって倒れてまじでびっくりして心臓跳ねた。いきなり死んだかと思った。
「そんなやつ、殴っちゃったんだよなぁ…」
「後悔中?」
「う~ん分かんない。でも手、痛いしさ、冷生ちゃんはもっと痛かったろうなって」
ジヒ深いこったな。
「色々、気、遣わせるっしょ」
重恋のことかな。小松は今おばさんと進路と手前のことだけ心配してろっつうの。
「いいよ、気にすんな」
首が美容室の頭洗う時みたいになってる。赤ちゃんとかが首ぐらんぐらんしてる時期みたいな。そのまま仰向けてオレを見て、前髪がベッドに落ちていく。
「なぁ小松」
「何」
大きめな目が開いたけど多分興味ないんだろうな、ってカンで分かる。
「いや…」
オレの知らないところで色々あるんだろうな。オレが関わってるかも分からないけどな、冷生チャンとのことじゃ。でも小松多分はぐらかすだろ。お前そういうのはそこそこ上手いし。
「後輩には優しくしろって」
いつか言われたこと。いつか言われたことをオレが小松に言うのかよ。言われなんよ、オレなんかに。
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