18禁ヘテロ恋愛短編集「色逢い色華」-2

結局は俗物( ◠‿◠ )

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熱帯魚の鱗を剥がす(改題前) 陰険美男子モラハラ甥/姉ガチ恋美少年異母弟/穏和ストーカー美青年

熱帯魚の鱗を剥がす 3

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 玄関扉が開いた。玄関ホールを窺うようにしてから踏み入る京美みやび朋夜ともよはリビングから見ていた。そしていつものように出迎えるのを忘れていたことに気付く。しかし彼の様子からして、出迎えないほうがいいようだった。今日から出迎えないのがいいだろう。ダイニングテーブルセットの椅子に座り、なかなか立ち上がる気が起きないが、甥の前で怠惰な姿を晒すのは躊躇われる。
 彼は靴を脱いで自室前に来てからリビングを気にした。
「おかえりなさい」
 遠くから言うと、義甥は無視して部屋に入った。コミニュケーション不足によって必要分は1人分か2人分かも分からないままとりあえず多めに夕食を作った。残りは明日の朝や昼に回る。
 ひとりで飯を食い、風呂に入り、寝間着になってからリビングで酒を飲む。夫の生前は、彼がテーブルを挟んで座り、2人で外を見ていた。夜景はただの夜の風景で、そこに夜の宝石だの人々の生活の輝きなどという感慨はない。
 明かりが点いて振り返った。暗かったことも忘れていた。
「ああ、ごめんね。今 退くよ」
 京美は突っ立って、グラスを置いた叔母を見下ろす。
「なんかあったの」
「ないよ、何も」
 酒瓶とグラスを持って朋夜は腰を上げた。義甥の脇をすり抜けたところで捕まる。
「誰か来た?」
 うんざりするような声音だった。朋夜は内心ぎくりとした。
「来てないよ……?」
 冷えた眼差しはすべて知っているみたいだった。べち、と首を軽くはたかれる。
「ふぅん」
 彼の触れたところを朋夜も無意識に摩った。
「別に俺には関係ない、か」
「関係ないっていうか、知っても………」
「知っても?やっぱり誰か来たんだな」
 いきなり腕を取られ、朋夜はグラスを転がした。幸い強化ガラスは中身をぶちまけただけで割れはしなかった。
「俺に嘘吐くの?」
「ごめんなさい。弟が来てたの。でも、」
「言い訳とか要らないから」
「ごめん…………なさい」
 酒瓶を引っ手繰られ、彼はそれをテーブルに音を立てて置いた。必要以上に大きな物音の伴う置き方に朋夜は身を竦めた。
「弟が来てたわけね、神流おぢさんが」
「うん……」
「ふぅん。本当は叔母さん、今すぐにでも実家帰りたいんじゃないの」
 京美は酒瓶の少し洒落た形状の蓋をもてあそぶ。彼は未成年だ。隙を見せれば呷ってしまいそうで、朋夜は遠慮がちに酒瓶を引いた。蓋を触っていた手が狩りでももするかのように酒瓶の首を鷲掴む。朋夜は咄嗟に手を引いた。彼女の視線が義甥に戻る。
「ねぇ、俺が出ていけって言ったら、出ていくんだろ?」
「うん。出ていくよ」
 掴まれたままの腕も取り戻そうとする。しかし彼は放そうとしなかった。
「じゃあ出ていくな。一生ここにいろ。叔母さん。ここがあんたの帰る場所だからな」
 その言葉はたとえば文面だったなら優しく入り込んだかも知れない。だがその声は低く、朋夜の前にある恐ろしいほどの美貌は侮蔑以外のものが見当たらない。掴まれた腕も拘束具を嵌められたようである。
「俺がカノジョ作って結婚して子供ができても、あんたはここで叔父貴の妻として暮らすんだ」
「う、うん……そのつもりだよ。ここに居てくれていいならよかった。ありがとう。でも、気が変わったらいつでも、痛……っ、痛い、」
 京美は朋夜の腕を潰すつもりのようだ。骨が軋む。
「痛いよ、京美くん」
 繋がれている腕がぶるぶる震えた。京美は怒っている。理由は明確だった。
「神流ちゃんのこと、怒ってる?嘘吐いてごめんなさい。謝るから……、痛くて」
「旦那いなくて、そのほうが却って都合が良いか」
 投げ捨てるみたいに腕を放られる。京美の手型がくっきりと残っている。
「どういう意味……?」
 痛む箇所を撫で摩りながら義甥に今の言葉の真意を問う。酒で火照っていたのが幻だったように冷えていく。大きな誤解があるような気がした。仁実は病没をまるで喜んでいるかのような物言いである。恋愛結婚ではなかったけれど、しかし婚姻関係にある相手でそう長い期間ではなかったけれど食卓を囲い、一つ屋根の下で暮らしていた。それなりの情は持ち合わせているつもりだった。ところが京美は、もうすっかり自分に対して叔父の遺産を食む悪女として映っているらしいことを彼女は察した。
「そのままの意味だよ、叔母さん。他に何か捉えようある?」
 翳った眸子ぼうしに秘められた力強い感情に朋夜は屈してしまった。目を逸らす。
「叔母さんは俺の熱帯魚みたいなものなんだよ。一生」
「そうかな。わたしはそうは思ってないよ」
 "俺の熱帯魚"というからには彼は飼主を気取るようだが、彼の望んだ"熱帯魚"は他に在るはずだ。自分で選んだものではない。強がりだ。
「言ってろよ」
 彼は自室に戻ってしまった。転がったグラスを拾い、酒を拭き取ってからもう一杯だけ部屋で飲んだ。弟に散々打ちのめされた腰が痛む。


 弟は姉の身体を暴いてから頻繁に家に来るようになった。京美は土日は家に居るため、神流は高校が終わるとやってきて姉を手籠にする。ソファーに押し倒され、激しく揺さぶられる。ぎゅむ、ぎゅむ、と軋んでいる。朋夜は弟の制服の皺ばかり気にしていた。保護者不在であることが多かったこの弟がいじめられたり揶揄われたりしないよう、特に身形には気を遣わせた。ぼうっとしている姉の手に神流は指を絡める。身体が前屈みになり、挿入が深まった。
「ぁ……っ、」
「身体は素直だね、姉さん。肉親セックス、気持ちいい?」
 固く手を握り、神流は姉の唇を吸う。数秒で離れていく。
「好き、姉さん。好き、好き」
 忌まわしい感情を吐露しながら神流は姉を抱き締めて彼女の肌を貪る。朋夜の嫌悪感は体温だけでなく意識レベルまで下げていった。朋夜ももう、身寄りといえば弟しかいないも同然であった。父は娘も息子も顧みず、偽装に等しい夫は死んだ。義甥には蛇蝎だかつの如く嫌われている。
「姉さん……」
 彼は何度も姉の唇を啄み、雛鳥に餌付けするみたいに舌先を挿し入れた。姉の口腔を荒らし回り、舌に巻き付く。思考ごと啜られていく。
「ぁん……っ、ふ……………ッん」
 片腕は強く握られている。胸に近付く弟の手を払った。すると今度は鷲掴みするような手付きで膨らみに触れる。しかし加減はされていた。柔らかく揉む手を剥がそうと滑らかな弟の肌を引っ掻いた。すると居座ったままの弟の手は朋夜の弱い部分に指を伸ばす。
「ぁ……っう、んんっ、!」
 纏わりつく舌を押し退ける。しかし逃げればまた捕まった。ふたたび縺れ合う。緊張ごと啜り取られ弛緩し、首が仰け反る。心地良い疲労感を伴って眠る時の感覚に似ていた。意識を手放しかけたところで腰を穿たれる。快感に変わった衝撃は脳天まで駆け抜けた。弟は唇を放し、姉の肉壁を削ることに集中した。
「あうっ!あっ……!」
 不意に甦った猛烈な快楽に彼女は果てた。弟の射精を促してしまう。片親違いの子種を乞うている。
「姉さん………っ、イく、」
 耳元で囁かれ、背筋を凍らせる悪寒もまたエクスタシーを深めていく―……


 アルコールが喉を焼く。嗄声させいの正体を上書きしていく。空いたグラスに酒瓶を傾けた。せせらぎめいた音が鳴った直後、後ろで舌打ちが聞こえる。朋夜はゆっくりと振り返った。酒気が回ると暢気なものだった。
「今片付けるよ。ごめんね」
 ぱちりと明かりが点けられた。京美が相変わらず嫌悪感を隠しもせず立っている。彼の分の夕飯も作ってあるが、これから自炊するのだろう。
「飲み過ぎじゃないの」
「そう?そうかも。もうやめておくね」
「別に」
 彼は少しの間、朋夜を見ていた。彼女はすぐに場を譲ろうとしてグラスを呷った。京美はテーブルを隔て、その隣に座った。艶めいたもののない夫婦の営みでは仁実の席だった。彼女は何か用かとばかりに義甥を見遣る。
「神流おぢさん、また来た?」
「…………うん」
「ここは、仁実叔父貴の家だろ」
「うん…………」
 京美から見れば神流は血の繋がらない叔母の弟に過ぎない。部外者である。相談もなく自分の家に好き勝手に上げられるのは気持ち良くないのだろう。
「ラブホじゃないの分かってるよな」
 この空間ごとひび割れていく感じだった。今まで飲んでいた酒は一体どこへ消えたのだろう。喉を通ったものは瞬く間に水に変わった。そして肉体は氷になる。否、本当に氷になってしまえたなら彼女はどれほど救われただろう。そのまま溶けるなり砕かれるなりしてしまいたかった。
血縁ほんとの弟なんだよね」
 このまま隕石でも落ちてきて世界が終わりはしないだろうか。テレビのコンセントを抜くみたいにぷつりと現実が途切れるのでもいい。
「何してんの?」
 彼女の頭の中は真っ白だった。皮膚を削がれた剥き出しの神経に釘を力任せに捩じ込まれていくみたいだ。
「わたしが…………訊きたいよ」
 自分の声、自分の喉の震え、口元の筋肉の動きによって朋夜は自身が何か言ったことに気付く。
姉弟きょうだいでセックスしていいと思ってるのかよ」
「思ってるわけ、ない」
「抵抗してなかったよな」
 テーブルの上に見慣れない機械を置かれる。小型だ。それが何なのか考える素振りもない。否、考えたくなかったのかも知れない。彼女はそれをただぼんやりと見ていた。
「サイテーだよ、あんた。サイテーだ」
 非難は耳をすり抜けていく。ただ呆然と得体の知れない機器を凝らす。
「ねぇ、叔母さん」
 彼女は眼球を落とそうとでもしているのか、ただ目を剥いて固まっている。
「おい!」
 テーブルががたりと叩かれた。彼女はやっと、自分の身体が自由であることを知ったみたいに吠えた義甥を見遣った。
「実の弟とデキるなら、おれともデキるよな」
 朋夜の反応は薄い。やはり京美を凝視するのみである。
「できるわけ…………ないでしょう」
 彼女の声はか細い。京美は叔母に視線を留めたままテーブルの上の小さな機器を操作した。その後にスマートフォンが滑るように差し出された。
『あんっあっ!あ、あっ……!』
『姉さん………姉さん、姉さん!』
 弟の声が曇りがちに粗くリビングに聞こえた。そこに混ざる浅ましい嬌声は何であろうか。
「止めて」
 望みどおりに音声が止まる。
「……これを撮って、どうするつもりだったの」
「別に。あんたが嘘吐くから」
「それは…………ごめんなさい」
 現実味がなかった。これは悪夢よりも或いは厄介な夢なのかも知れない。
「抱かせろよ」
「京美くん」
「抱かせろ」
 言葉が通じていなかった。
「どうして………」
 それは独りちているようだった。
「あんたがいる所為でカノジョとかセフレとかいても、連れ込めやしないんだよ。分かる?溜まってるってこと。―奏音さんだったなら、ひとりで処理もできたのに」
 彼は父代わりで兄代わりであった叔父の元交際相手に好意を抱いているらしかった。もしかしたら今頃は、彼女とひとつ屋根の下に居られたはずなのだ。たとえ横恋慕であろうとも。
「…………そう」
「こんないい家あるのに、ラブホとかバカでしょ?叔母さんは、ラブホ代わりにしてくれちゃったけど」
「やめて」
 朋夜は叫ぶ。
「やめて?やめて欲しい?やめてやるよ。抱かせろ!抱かせろよ!抱かせろ!」
 朋夜の耳はわんわんと音割れを起こす。リビングが破裂しそうなほどに京美は喉を涸らして怒声を上げた。彼は気が狂ってしまったのだ。気が触れてしまった。頭がおかしくなった。
 朋夜も訳が分からなくなっていた。
「い、いや………!」
「我慢して聞いてれば、どういうつもりなんだよ?」
 彼はダイニングテーブルを蹴った。瓶の中で酒が大きく揺らぐ。
「どういうつもりって……」
 足に突き飛ばされ、大きく傾いたテーブルによって拓かれた道から京美がやってくる。反射的に後退ってしまった。その半歩に罪悪感を覚える。彼女のおもてに走る動揺を京美は敏く悟った。
「もしかして俺が怖いの?保護者気取ろうとしてたくせに?」
 嘲笑が冷淡に整った顔に浮かんでいる。躙り寄る男と距離が詰まった。朋夜の中では恐怖と後ろめたさがせめぎ合っている。
「京美く、」
「俺の部屋、来いよ」
「みや、」
「来い」
 パジャマの胸元を握り締める。
「行けない…………よ………」
 溜息が聞こえる。彼の手が小さな箱形の機器に伸びる。悍ましい情事の記録が流れる。耳を塞いでしまった。唇を噛む。
「堕ちるところまで堕ちてんだ、覚悟決めたら」
 朋夜は首を振った。
「ふぅん」
 フローリングに小型の機械が叩きつけられた。それはただ単に落下しただけなのかも知れない。彼の指が開いたことによって。しかし確かに叩きつけられたような音だった。内部のことは分からないけれども、見たところの破損はないようだった。朋夜は転がった恐ろしい無機物を見下ろす。京美は部屋へと帰ってしまった。
 朋夜はテーブルを直した。そしてヘビの死体か何かでも摘むように軽量な無機物を拾う。外装はプラスチックらしい手触りのそれが今にも噛み付いてきそうだった。
 眼球が乾き切ってしまいそうだ。彼女は目瞬きすらも忘れている。長いこと硬直し、やがて動き出す。もう一杯、酒を入れた。仁実と臨んだ夜景を一瞥する。すでにこの世を去った夫に詫びる。義甥に誤った道を進ませてしまった。やっと夜の風景が煌めいて見えた。輪郭を失い、ただの光芒と化してその目に映る。酒気がいくらか頭を内側から叩く。部屋に戻ろうとしたところで京美の部屋が開き、彼女は粟立つ。上半身を裸にしたシャツを手に風呂場へ向かうところだった。彼は怯えている叔母に気付く。
「何」 
 先程のことなどなかったかのように日常の彼がいる。朋夜は首を振った。甥は鼻を鳴らして真横を通り抜けていく……と思われた。しかし彼女とすれ違うこともなく立ち止まる。
「これから実弟おとうとのカラダ思い出してオナニーでもするところだった?」
 彼は身体まで方向転換した。叔母を壁に追いやる。明るかった廊下が局所的に薄暗くなった。目の前に迫る鍛えられた半裸が恐怖と不安を煽る。弟よりも凹凸がある。弟の力にさえ敵わなかった。見るからに筋肉量のあるこの義甥に殴られでもしたら痣になるどころか骨を折るかも知れない。殺される。
「ご………め、なさ…………」
「何それ。認めてるの?俺がうざったくて躱してるだけ?」
 彼は鼻で嗤った。保護者失格だとその目は言っている。
「あ………」
「気が変わった。オナニーするんだろ?手伝ってやるよ」
 甥の手が肩に触れた。電流でも通されたみたいに彼女は戦慄いた。身を縮める。
「京美……くん……………」
「酒臭」
 嫌そうに言われた。それならば離れれば良い。しかし彼はそうしない。むしろさらに身を寄せた。壁に押し付けた叔母の背中に手を回す。
「なに、みやびく…………」
 撥ね退けるだけの力も入らない。彼の手は叔母の下半身を覆うパジャマに侵入していく。
「なにって何?オナニー、手伝ってやるって言ってるんだよ。弟のことでも想像してろよ。変態女」
 就寝用のショーツの下にも男の手が入っていく。素肌を撫でられ、その指先が茂みで遊ぶ。
「京美くん…………こん、なの…………」
「弟とセックスするほどヤバいことじゃないだろ。俺たち、血、繋がってないんだし」
 すでによく耳に慣れている声質は、あまり知らない低さを帯びていた。
「ごか………誤解で、」
「誤解?あれが?じゃああれは俺の誤解だとして、あの録れた音声モノは何?勝手に俺が編集したって言いたいわけ?」
「ち、が………」
「それとも、日常的に弟の前であんな声出してるの?」
 柔らかく遊び繰りつける手が異質の肌に潜む。
「あ、………っ」
「女って、ここでイくの?それとも奥?」
 厚みのある芽にとうとう指が辿り着いた。
「AVって演技でしょ。女ってどうやってイくの?そもそもイくの?父さんも母さんも叔父貴もいない俺に、性教育してよ、叔母さん」
 だがしかし、たとえ父母や叔父が健在であろうとも、彼は性教育など乞わなかっただろう。
 首を傾げ、覗き込むように彼は叔母の視界に割り入った。
「京美く、………でも、」
「ねぇ、ここ?」
 彼はまったくそれを知っているようだった。甥の指が肉芽を潰す。痛みにもならない鋭い感覚が起こる。朋夜は口を押さえた。
「あぁ……!」
「何?」
 冷めた眼差しが性感に悲鳴を上げた彼女を非難する。彼女はゆるゆると首を振る。もう一度、密やかな突起を弾かれた。
「や、ぁっ……」
「何、ここ。なんか腫れてない?痛い?」
 痛いのか問いながらその指は朋夜の弱い箇所を擂る。
「だ………め、」
「だめ?だめなの?じゃあやめる」
「あ………ぅ、」
 薄い唇が吊り上がり更に薄くなる。燃焼しきれない官能は粘こく朋夜の下腹部に纏わりついた。
「こっちは?あれ?なんかぬとぬとしてる」
 秘蕊を擦っていた指が離れ、蜜膜を張った密やかな窪みを探る。朋夜は膝を擦り合わせる。京美を撥ね退けようとする手は縋り付いているようにも見えた。
「あ………っ」
 き出たものを掻き回されながら内部へ義甥の指が入ってくる。弟が散々出入りした箇所に義甥までも迎えてしまった。
「い、や………!あぁんっ」
「きつ……ほんとに非処女?意地悪な甥っ子がいない間、実はヤりまくってたんじゃないの?」
 隘路を往復する皮膚の摩擦を感じた。そのうち浅く水を掻き鳴らすような音もする。
「あっ、ぁ……っ」
「叔父貴があんた抱くわけないもんな。叔父貴は奏音かのんさんがよかったに決まってる」
 叔父とその元交際相手に対する複雑な感情があるのだろう。苛立った様子である。朋夜を甚振る指の動きが速まった。
「やっ、あっ、あっんっ」
 くち、くち、くちゅっ、と卑猥な音と朋夜の嬌声が廊下を支配する。
「いいかよ、甥っ子の指が、そんなに?弟よりもいい?言えよ」
 乱暴な指遣いだ。しかしそれでいて的確に朋夜を責める。蕩けた肉壁が彼を捕らえようと引き絞る。
「言え」
 彼女は真っ赤に顔を染めて首を振った。
「じゃあ、イかせない。すごいぎゅうぎゅう締め付けてたのに。イきそうだったんでしょ」
 パジャマのズボンから手が抜かれた。無色透明な粘液を携え、糸を引いて弄ぶ。そして舐める様を見せつけた。朋夜は羞恥に目を逸らす。
「京美くん……お風呂入るんじゃ…………」
「あんたはひとり楽しくオナニーしたいんだもんな」
 二の腕を掴まれて引っ張られた。肩から腕をぎ取りたいのかと思うほどの荒々しい。朋夜は自分の部屋に連れ込まれ、ベッドに座らされた。ベッドに座らされたはずだ。しかし真後ろにはソファー然とした京美がいた。その膝の間に腰を下ろしている。背凭れが彼女の起立を許さない。
「京美くん………放し、て………」
「オナニーするんだろ?弟のカラダ思い出せよ」
 叔母は恐怖に震えた。このような嫌がらせと威圧を受けるほど自分は甥に何かしたであろうか。彼女は白く呑まれつつある頭の片隅で考えた。何かした。自分が"奏音さん"―仁実の元交際相手ではなかったことだ。
「弟にハメられたところ、自分でいじれよ」
 鬱血しそうな力で腕を掴まれ、朋夜は股に手を当てなければならなくなった。投げやりに彼女のポーズを決めて京美の手は胸の膨らみを触った。
「触れよ。俺は触らないからな」
 京美の手が乳房を揉みしだく。やはりそこに乱暴さはなかった。抱擁に似た拘束と共に寝間着のボタンを外されていく。
「待って、」
「待てばやらせてくれるんだ?」
 しかし彼の手は止まらずに朋夜の前を開いていく。着痩せするが大振りな胸が肌着で撓む。耳元で生唾を呑む喉の軋みがあった。彼女は顔を真っ赤にする。憎い叔母とはいえ、そこまで老いてはいない女の肌である。血の繋がりのない異性愛者の若い男にとっては艶やかな毒だ。
「やめ……て、」
 開かれた胸を押さえようと暴れたが京美に先手を打たれていた。両腕を奪われる。うなじに息吹を感じ、さらに力が抜けていく。直後に生温かく湿った。訳の分からない痺れが脳裏と下腹部を駆けていく。
「京美くん……っ」
 激しい密着に息苦しくなる。彼は胸を触り続け、胸と腕に閉じ込めた叔母が身動ぐと布越しに膨らみの先端を掻いた。
「い……や、ぁっ」
 敏感な箇所に指を走らせながら京美は叔母の後姿に頭を埋めた。快感と他者の体温と圧迫感に彼女は怯えでも寒さでもなく震え続ける。
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