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あの娘が火を点けたのではないか。三公子が火点けをしたのかも知れない。その動機はすぐに浮かばなかった。だが明確な理由があって……否、ない場合もある。三公子という身から逃れるためか。自暴自棄になったに違いない。彼女を止めなければ何をするか分からない。火点けなど、ただの死罪では済むまい。極彩は肝を潰した。現場に行こうとした。だが忌々しい人陰が視界の端に映った。日差しを避け、軒下で煙草を燻らせ、極彩を冷ややかに見つめている。翡翠だ。謀反を起こした叔父を売っただけでなく、弟を半殺しにして内側からも追い詰めた男である。煮え滾るものを抑え、彼女は見なかったことにした。
「行くのはおやめなさい」
柱に括り付けられた缶に彼は煙草を捨てた。喫煙所らしい。看板がでている。いやらしいほどに雅やかな仕草だった。
「根掘り葉掘り訊かれるだけです」
露骨に目を逸らした彼女のそれは十分に反応といえた。翡翠はゆっくりと近付いてくる。思わず後退ってしまう。
「私が憎いですか」
「とても……」
「ならば殴ればよろしい」
「わたしの手が痛くなります」
極彩は構おうとせず、色茶屋のほうに向かおうとした。
「ああいう店は潰れるに限ります」
何か知ったふうな口を利く青年を振り返る。
「子供を搾取して、最低ですよ。子供は大人の腹を満たす道具じゃないし、大人の遊び道具でもない。もちろん、心を満たすものでもない」
その口調はいくらか八つ当たりめいている。
「火点け人に心当たりがおありなんですか」
彼女は訊ねた。
「あります」
平然と青年は答える。極彩はそこに強い印象を受けた。しかし詳しく踏み込むつもりはない。
「あんな店は焼かれて当然だ。悪いものは燃やさなければ。そうでしょう?」
―姉さん。
距離は一気に詰められていた。いつの間にかその腕に囚われていた。巻き付く腕を振り払う。
「放してください」
知っている男ではないようだった。乱暴に極彩を捕まえようとする。
「あの穢らしい弟に会いに来たんですか。この地まで」
腕を力強く押さえられ、離れることができなくなった。
「関係ないでしょう!」
彼女はいくらか感情的に叫んだ。人通りはない。
「あの弟は、貴女を女としか見ていませんよ。身を清めるべきなんです、世を捨てて」
「貴方みたいなのが弟を語らないで」
彼女の身体は軽々と抱き上げられ、彼が煙草を吸っていた建物へ運ばれてしまった。食料品や日用品が並び、すぐ横は座敷になっていた。腰の曲がった老婆がそこにいる。翡翠はその前を通ると、媚びるような、普段の陰険な感じのする態度をがらりと変えた。
「お婆ちゃん、恋人を連れてきたよ」
老婆は深海は聞こえているようで、顔は彼を追っていたが、目は見えていないようだった。媼の返事も得ずに極彩は2階へと運ばれ、殺風景な部屋に放られる。
「どういうつもりなんですか」
「現場には行かないことですよ。あの店の……雇われ人が血眼になって貴女を探しています」
「わたしを……?」
「昨日、あの店の者と接触しましたね。内情を知ったくせにあちらの厚意に応じなかった。危険因子と見做されたのでしょう。そして店が燃やされた……心証からいって、貴女に疑いが向くのは仕方のないことです」
彼は得意げに微笑を浮かべた。
「そういうことなら、現場には行きません。そもそも用はありませんでしたから」
「夜に襲撃がありましたね」
身嗜みを整えて極彩は去ろうとした。
「尾けていたんですか」
思わず睨んでしまう。翡翠の眼鏡の奥が妖しく光る。彼の手には身に覚えのある封が2つ握られていた。昨晩、文机から消えていたものによく似ていた。
「貴女は見てはいけないものを見てしまったのではありませんか。信じれないようなものを……」
三公子のことを指しているに違いなかった。極彩の貌が険しくなるのを翡翠が見逃すはずもない。
「どうでしょうね」
「まだ動揺しているのではありませんか。自分の見たものが信じられず……」
極彩の記憶からいうと、この男は三公子よりも二公子をこの国の頂点に据えたほうが賢明であるとしていたはずだ。それを叔父の謀反を阻んだ理由として挙げていた。―暗愚な三公子にこの複雑な国が支えられると思いますか?―と
「別に、していません。もう理解しました」
「……そうですか。こちらはどうしますか」
翡翠は握っている2通の封を仰いで鳴らした。
「どうします、とは?存知ていないものです」
その2通が昨晩、自身で書いたものという確証がない。踊らされているのだ。
「そうですか。では私はある場所でこの怪しい書簡を手に入れたと、役人に報告しなければなりませんね。するとどうなりますか。この筆名の桔梗という人を探さねばならなくなりますね。童子売春の疑いが色濃い茶屋が焼けたのですから」
極彩は背伸びをすれば届くところにある。腕を伸ばすが、易々とそれを許す相手ではなかった。彼女は顎を掬われた。三公子に戯れに奪われた唇が温かく包まれる。昨晩は小娘からのものだった。隙を突くための、悪戯に似た、意図はあれども意味のないものだった。だが翡翠のこれはどうだろう。接吻されていることに気付いた直後、彼女は青年を突き飛ばす。それも見越されていた。さらに引き寄せられてしまう。深まる。足が後ろへ退がる。力が抜ける。
「誰にでも唇を許すな」
微かな距離ができた瞬間、極彩は彼の頬を打った。翡翠は敢えてそれを受け入れる。
「私に、叩くだけの価値ができたというわけですね」
「羽虫程度の価値ですけれど」
「十分です。こちらは私から投函しておきましょう」
彼女は翡翠の横を抉じ開け、家具ひとつもまともに置かれていない部屋を出た。下の階の老婆に一応の会釈をするが反応はなかった。山に向かって歩き続ける。水柿山には急な傾斜の石階段が伸びているのが離れていてもよく見えた。頂上に佇む建物に銀灰がいる。縹の乱心めいた遺言を片付けねばならない。
一度引き返してしまった傾斜の厳しい道を進む。石段が足の裏を研磨するようだった。すでに筋肉痛になっている脹脛に鈍く響く。今日も歩荷が規則正しい足取りで前を行く。
「お姉ちゃん」
背中に子供くらいの重量が貼り付いた。紅より少し大きいだろうか。栗色の長い髪と華美な着物を身に纏った可愛らしい少女だったが、極彩の眼差しは冷たい。
「何、その服装」
彼女は突き放すように言った。顔を見た途端にその正体が分かってしまった。背中に縋る子供は女子ではない。
「お姉ちゃんと一緒に行きたいです」
不自然な毛に触れた。そのまま持ち上げてしまうこともできたが、良心が咎める。柘榴で見慣れ、陰険な詰襟の町医者でも見覚えがある。叔父と永い別れになった時に二公子も用いていた。旋毛と艶に違和感のある髪だ。
「ついて来ないで」
極彩はなるべく声を抑えた。女性装をしている男児は首を振った。
「もう行くところがないんです。だから一緒に行きたいです。お姉ちゃん……」
「懐かれるの、嫌いなの」
小さな肩を押し退けた。狼狽した子供の表情にちくりと刺される。
「お姉ちゃんの知り合いのお兄ちゃんが、お姉ちゃんなら優しいから一緒に居てくれるって言ってましたです」
「眼鏡でカビの生えそうな雰囲気の、性格が悪そうで顔の怖い人?」
「そうです。こうやって女の子の服着ていれば、もう怖い人たちに見つからないって」
極彩はしがみつく子供を冷ややかに見下ろす。
「行くのはおやめなさい」
柱に括り付けられた缶に彼は煙草を捨てた。喫煙所らしい。看板がでている。いやらしいほどに雅やかな仕草だった。
「根掘り葉掘り訊かれるだけです」
露骨に目を逸らした彼女のそれは十分に反応といえた。翡翠はゆっくりと近付いてくる。思わず後退ってしまう。
「私が憎いですか」
「とても……」
「ならば殴ればよろしい」
「わたしの手が痛くなります」
極彩は構おうとせず、色茶屋のほうに向かおうとした。
「ああいう店は潰れるに限ります」
何か知ったふうな口を利く青年を振り返る。
「子供を搾取して、最低ですよ。子供は大人の腹を満たす道具じゃないし、大人の遊び道具でもない。もちろん、心を満たすものでもない」
その口調はいくらか八つ当たりめいている。
「火点け人に心当たりがおありなんですか」
彼女は訊ねた。
「あります」
平然と青年は答える。極彩はそこに強い印象を受けた。しかし詳しく踏み込むつもりはない。
「あんな店は焼かれて当然だ。悪いものは燃やさなければ。そうでしょう?」
―姉さん。
距離は一気に詰められていた。いつの間にかその腕に囚われていた。巻き付く腕を振り払う。
「放してください」
知っている男ではないようだった。乱暴に極彩を捕まえようとする。
「あの穢らしい弟に会いに来たんですか。この地まで」
腕を力強く押さえられ、離れることができなくなった。
「関係ないでしょう!」
彼女はいくらか感情的に叫んだ。人通りはない。
「あの弟は、貴女を女としか見ていませんよ。身を清めるべきなんです、世を捨てて」
「貴方みたいなのが弟を語らないで」
彼女の身体は軽々と抱き上げられ、彼が煙草を吸っていた建物へ運ばれてしまった。食料品や日用品が並び、すぐ横は座敷になっていた。腰の曲がった老婆がそこにいる。翡翠はその前を通ると、媚びるような、普段の陰険な感じのする態度をがらりと変えた。
「お婆ちゃん、恋人を連れてきたよ」
老婆は深海は聞こえているようで、顔は彼を追っていたが、目は見えていないようだった。媼の返事も得ずに極彩は2階へと運ばれ、殺風景な部屋に放られる。
「どういうつもりなんですか」
「現場には行かないことですよ。あの店の……雇われ人が血眼になって貴女を探しています」
「わたしを……?」
「昨日、あの店の者と接触しましたね。内情を知ったくせにあちらの厚意に応じなかった。危険因子と見做されたのでしょう。そして店が燃やされた……心証からいって、貴女に疑いが向くのは仕方のないことです」
彼は得意げに微笑を浮かべた。
「そういうことなら、現場には行きません。そもそも用はありませんでしたから」
「夜に襲撃がありましたね」
身嗜みを整えて極彩は去ろうとした。
「尾けていたんですか」
思わず睨んでしまう。翡翠の眼鏡の奥が妖しく光る。彼の手には身に覚えのある封が2つ握られていた。昨晩、文机から消えていたものによく似ていた。
「貴女は見てはいけないものを見てしまったのではありませんか。信じれないようなものを……」
三公子のことを指しているに違いなかった。極彩の貌が険しくなるのを翡翠が見逃すはずもない。
「どうでしょうね」
「まだ動揺しているのではありませんか。自分の見たものが信じられず……」
極彩の記憶からいうと、この男は三公子よりも二公子をこの国の頂点に据えたほうが賢明であるとしていたはずだ。それを叔父の謀反を阻んだ理由として挙げていた。―暗愚な三公子にこの複雑な国が支えられると思いますか?―と
「別に、していません。もう理解しました」
「……そうですか。こちらはどうしますか」
翡翠は握っている2通の封を仰いで鳴らした。
「どうします、とは?存知ていないものです」
その2通が昨晩、自身で書いたものという確証がない。踊らされているのだ。
「そうですか。では私はある場所でこの怪しい書簡を手に入れたと、役人に報告しなければなりませんね。するとどうなりますか。この筆名の桔梗という人を探さねばならなくなりますね。童子売春の疑いが色濃い茶屋が焼けたのですから」
極彩は背伸びをすれば届くところにある。腕を伸ばすが、易々とそれを許す相手ではなかった。彼女は顎を掬われた。三公子に戯れに奪われた唇が温かく包まれる。昨晩は小娘からのものだった。隙を突くための、悪戯に似た、意図はあれども意味のないものだった。だが翡翠のこれはどうだろう。接吻されていることに気付いた直後、彼女は青年を突き飛ばす。それも見越されていた。さらに引き寄せられてしまう。深まる。足が後ろへ退がる。力が抜ける。
「誰にでも唇を許すな」
微かな距離ができた瞬間、極彩は彼の頬を打った。翡翠は敢えてそれを受け入れる。
「私に、叩くだけの価値ができたというわけですね」
「羽虫程度の価値ですけれど」
「十分です。こちらは私から投函しておきましょう」
彼女は翡翠の横を抉じ開け、家具ひとつもまともに置かれていない部屋を出た。下の階の老婆に一応の会釈をするが反応はなかった。山に向かって歩き続ける。水柿山には急な傾斜の石階段が伸びているのが離れていてもよく見えた。頂上に佇む建物に銀灰がいる。縹の乱心めいた遺言を片付けねばならない。
一度引き返してしまった傾斜の厳しい道を進む。石段が足の裏を研磨するようだった。すでに筋肉痛になっている脹脛に鈍く響く。今日も歩荷が規則正しい足取りで前を行く。
「お姉ちゃん」
背中に子供くらいの重量が貼り付いた。紅より少し大きいだろうか。栗色の長い髪と華美な着物を身に纏った可愛らしい少女だったが、極彩の眼差しは冷たい。
「何、その服装」
彼女は突き放すように言った。顔を見た途端にその正体が分かってしまった。背中に縋る子供は女子ではない。
「お姉ちゃんと一緒に行きたいです」
不自然な毛に触れた。そのまま持ち上げてしまうこともできたが、良心が咎める。柘榴で見慣れ、陰険な詰襟の町医者でも見覚えがある。叔父と永い別れになった時に二公子も用いていた。旋毛と艶に違和感のある髪だ。
「ついて来ないで」
極彩はなるべく声を抑えた。女性装をしている男児は首を振った。
「もう行くところがないんです。だから一緒に行きたいです。お姉ちゃん……」
「懐かれるの、嫌いなの」
小さな肩を押し退けた。狼狽した子供の表情にちくりと刺される。
「お姉ちゃんの知り合いのお兄ちゃんが、お姉ちゃんなら優しいから一緒に居てくれるって言ってましたです」
「眼鏡でカビの生えそうな雰囲気の、性格が悪そうで顔の怖い人?」
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