304 / 338
304
しおりを挟む
「そうですね、話せそうですか」
返事はすぐにできなかった。花畑の悪夢に眩暈がする。しかし家族のことだ。
「話します」
「では段取りをします」
「お願いします」
彼はやっと花火から視線を外す。極彩は本音を言うと義弟に会いたくなかった。苦しめるに決まっている。互いに苦しめ合う。上手く躱せないことでさらに苦しめる。
「ろくな生き方をしてきませんでしたが、銀灰くんの前ではいい義姉でいたいんです」
「姉でないと、いけませんか」
静かに、花火の破裂音に消えそうな声で中年男は言った。普段の媚び諂った情けないものとは違った。含む意味が分からずに黙る。柘榴と同じ意図があるのなら簡単に返事はできない。
「どうしてもというのなら、弟の妻になることも辞しません」
―畜生のご関係でいるだなんて、背徳の味がしましたでしょう?
―禽獣の契りになっちまう。
極彩は顔面に大きく皺を寄せて俯いた。嘲笑と侮蔑の声、顔を思い出す。
「はい?いいや……そういうつもりではなくて……」
菖蒲は目を丸くした。
「わたしは一度間違いましたが、気持ちのない結婚は多分、互いに良くないと思います。……こんなお為倒しはやめて、わたしは良くありませんでした」
「良くありませんでしたか」
元・夫に扮していた青年を贔屓しているこの男と顔を見合わせる。
「わたしは…―」
花火が空に散った。返答が重なる。
「でも、ボクの言いたいのはそういうことではありません。半分はそうですが……極彩さん」
菖蒲はまた雰囲気に似合わないしかつめらしい顔をした。極彩も態度を改めてしまう。
「銀灰さんのために犠牲になれますか」
あっさりした目が鋭くなる。
「なれません」
彼女は即答した。紅には介護が必要だ。菖蒲は気が緩んだように仰け反った。
「そうですよ。そうでなくては。ではこの提案は無しにします」
いつものこの男に戻ったように見えた。無精髭に挟まれた唇がだらしなく弧を描いている。
◇
催事の翌日、桃花褐が屋敷を訪問した。曙弁当を土産にしていたが、彼は極度の偏食家らしく、極彩と紅が食べているのを愉快げに眺めていた。主催陣が会を中断したことなど知らないようで夜の部の話や花火の話をした。市井の者たちは市井の者たちで楽しんだらしかった。
「さすがに主催者さんたちがいきなり帰っちまったのは驚いたケドな~」
我が家のように脚を崩し、極彩も気を張らずにいられた。彼女は舌を失った紅が喉に物を詰まらせないかばかりに意識をとられ、桃花褐のほうも特に不満を示すふうでもない。
「酔っ払って暴れた参加者がいたんですって」
紅を監視しながら極彩は言った。男の垂れ目が悪戯っぽく眇められる。
「嬢ちゃんじゃねェよな?」
「わたしかもね」
「おお、おっかねェね」
桃花褐に本気にした様子はなかった。肩を竦めておどけている。しかし半分は事実だった。
「ま、ほどほどにするこったな。飲み過ぎていいことなんざ、何もねェもんよ」
「分かってはいるのだけれど…………分かってはいるのだけれど、つい」
曙弁当に入っている甘いたれのついた魚のすり身を齧る。臭みを消す生姜の風味が強い。
「話して楽になるのなら、酒に頼る前に俺に頼りなさいや。気狂い水に頼らねェとやっぱ話せねェもんかね」
呆れたような物言いでも口調は優しい。
「他人に話す前に、まず自分で聞くことになるのはつらいことだから」
「違ぇねェ」
桃花褐は姿勢を変えた。
「でも、溜めなさんな。そのつらさごとぶつけてこいや。俺ァ嬢ちゃんのぼでぃがーどだかんな」
「わたしの話をしていたの?」
「……嬢ちゃん含めて、だな」
彼は小首を捻った。その時ばかりは紅を看ていられなかった。
「桃花褐さん……」
義弟とのことをもう独りで留めておけない。菖蒲相手では言葉にできない感情がある。同時にまだ黙っておかねばならない気がした。不甲斐なさを晒すだけでなく、義弟のことまで辱めてしまいそうだ。桃花褐の軟派な顔が真面目なものに変わる。
「嬢ちゃん?どした」
「あ……、また、日を改めて話す。上手くまとまらなくて。ごめんなさい」
「いんや、謝りなさんな。いつまでも待ってるぜ。ただ、話す相手くらいはここにちゃんと居るって覚えておきやっせ」
極彩は頷いた。紅は黙々と喉に詰まらせることもなく器用に弁当を食った。食欲旺盛だ。
「ありがとう」
「節介が趣味なんでさ。気にすんな」
玄関まで見送ると桃花褐は三和土に降りてそれでも身長がやっと同じになるか、まだ彼のほうが大きいくらいだった。厚く大きな手が極彩の両腕を軽く掴んだ。元気付けるようでいてその空気感には弱っているようなところがある。
「例の店のあの娘……子供、堕ろすそうなんでさ」
癖毛が俯くと同時に簾のように落ちた。
「俺の子として育てるつもりだった。手を出したのは本当だったかんな。父親ももう分かってる。それが良くなかった。正直に言ってくれや。こんな俺をどう思う?」
「ろくでなしだとおもうけれど……」
ゆっくり手を外させる。しかし剥がれなかった。
「でもろくでなしでない真っ当な相手なら、わたしの愚かな話は相談できない」
布越しの体温が少しずつ離れる。
「変な話して悪かった。恩着せがましいこと言って、結局は俺が嬢ちゃんと話したかっただけかも知れねェわ」
「わたしばかりいつも話を聞いてもらっているのだし」
「嬢ちゃんの前ではかっこつけてたかったんだけどな」
「たまにはそういうこともあるでしょう?」
桃花褐は疲れたように笑った。背負われようとするかのように彼は筋肉質な両腕を極彩へ差し出した。そこに下心や艶めいたものは感じられなかった。彼女も同じようにして一歩近付く。互いに吸着するような安堵感と安定感がある。高い体温とぎっちりとした肉質が伝わる。
「弱味晒して付け入って、悪ィね」
「万事常に明るく前向きだなんて、それも病気だから。桃花褐さんが帰り道に反省してひとりまた抱え込むなんてことがないといいけれど」
「そこまで心配されちゃ俺ァ立場がねェよ」
大きな掌が彼女の背中を叩いた。
「銀灰くんのことで少しだけ……少しだけ悩んでいるの。でもまだ上手く話せないから。また機会があれば、聞いてくれる?」
「おっしゃ。俺ァいつでも機会ってやつは作れるからよ。ありがとな」
広い肩に顎を載せるとすべて話せてしまいそうな気がした。
「うん」
離れていく大男がわずかに惜しかった。彼は照れたような仕草で帰っていく。気配もなく極彩の手と乾いた指が絡む。
「紅?」
燃え滾るような炎のような目が訪問者を消した玄関扉を凝らしていた。
「お弁当美味しかった?」
彼に目線を合わせ、特に汚れてもいない口元を拭った。紅は素気無く彼女の手から逃れる。
銀灰の居場所は母親の実家ではなかったがすぐに特定された。河教の寺院にいるという。彼は俗世に背を向けてしまった。
報告に訪れた菖蒲は淡々としていた。反対に極彩は息を呑む。
「どうして……」
疑問を口にしてみても滲むようにゆっくりと理由が分かっていく。それを諾とできないでいるのだ。
「想定外ではありましたが、冷静に考えてみれば、そうおかしなことでもありません」
極彩は呆然と、取り澄ました中年男の姿を見つめていた。しかし本当におかしなことではなくよくある話なのだ。すべてを衝動的に捨てたくなった若者が宗教の道に安寧の魂を求めるのは。
返事はすぐにできなかった。花畑の悪夢に眩暈がする。しかし家族のことだ。
「話します」
「では段取りをします」
「お願いします」
彼はやっと花火から視線を外す。極彩は本音を言うと義弟に会いたくなかった。苦しめるに決まっている。互いに苦しめ合う。上手く躱せないことでさらに苦しめる。
「ろくな生き方をしてきませんでしたが、銀灰くんの前ではいい義姉でいたいんです」
「姉でないと、いけませんか」
静かに、花火の破裂音に消えそうな声で中年男は言った。普段の媚び諂った情けないものとは違った。含む意味が分からずに黙る。柘榴と同じ意図があるのなら簡単に返事はできない。
「どうしてもというのなら、弟の妻になることも辞しません」
―畜生のご関係でいるだなんて、背徳の味がしましたでしょう?
―禽獣の契りになっちまう。
極彩は顔面に大きく皺を寄せて俯いた。嘲笑と侮蔑の声、顔を思い出す。
「はい?いいや……そういうつもりではなくて……」
菖蒲は目を丸くした。
「わたしは一度間違いましたが、気持ちのない結婚は多分、互いに良くないと思います。……こんなお為倒しはやめて、わたしは良くありませんでした」
「良くありませんでしたか」
元・夫に扮していた青年を贔屓しているこの男と顔を見合わせる。
「わたしは…―」
花火が空に散った。返答が重なる。
「でも、ボクの言いたいのはそういうことではありません。半分はそうですが……極彩さん」
菖蒲はまた雰囲気に似合わないしかつめらしい顔をした。極彩も態度を改めてしまう。
「銀灰さんのために犠牲になれますか」
あっさりした目が鋭くなる。
「なれません」
彼女は即答した。紅には介護が必要だ。菖蒲は気が緩んだように仰け反った。
「そうですよ。そうでなくては。ではこの提案は無しにします」
いつものこの男に戻ったように見えた。無精髭に挟まれた唇がだらしなく弧を描いている。
◇
催事の翌日、桃花褐が屋敷を訪問した。曙弁当を土産にしていたが、彼は極度の偏食家らしく、極彩と紅が食べているのを愉快げに眺めていた。主催陣が会を中断したことなど知らないようで夜の部の話や花火の話をした。市井の者たちは市井の者たちで楽しんだらしかった。
「さすがに主催者さんたちがいきなり帰っちまったのは驚いたケドな~」
我が家のように脚を崩し、極彩も気を張らずにいられた。彼女は舌を失った紅が喉に物を詰まらせないかばかりに意識をとられ、桃花褐のほうも特に不満を示すふうでもない。
「酔っ払って暴れた参加者がいたんですって」
紅を監視しながら極彩は言った。男の垂れ目が悪戯っぽく眇められる。
「嬢ちゃんじゃねェよな?」
「わたしかもね」
「おお、おっかねェね」
桃花褐に本気にした様子はなかった。肩を竦めておどけている。しかし半分は事実だった。
「ま、ほどほどにするこったな。飲み過ぎていいことなんざ、何もねェもんよ」
「分かってはいるのだけれど…………分かってはいるのだけれど、つい」
曙弁当に入っている甘いたれのついた魚のすり身を齧る。臭みを消す生姜の風味が強い。
「話して楽になるのなら、酒に頼る前に俺に頼りなさいや。気狂い水に頼らねェとやっぱ話せねェもんかね」
呆れたような物言いでも口調は優しい。
「他人に話す前に、まず自分で聞くことになるのはつらいことだから」
「違ぇねェ」
桃花褐は姿勢を変えた。
「でも、溜めなさんな。そのつらさごとぶつけてこいや。俺ァ嬢ちゃんのぼでぃがーどだかんな」
「わたしの話をしていたの?」
「……嬢ちゃん含めて、だな」
彼は小首を捻った。その時ばかりは紅を看ていられなかった。
「桃花褐さん……」
義弟とのことをもう独りで留めておけない。菖蒲相手では言葉にできない感情がある。同時にまだ黙っておかねばならない気がした。不甲斐なさを晒すだけでなく、義弟のことまで辱めてしまいそうだ。桃花褐の軟派な顔が真面目なものに変わる。
「嬢ちゃん?どした」
「あ……、また、日を改めて話す。上手くまとまらなくて。ごめんなさい」
「いんや、謝りなさんな。いつまでも待ってるぜ。ただ、話す相手くらいはここにちゃんと居るって覚えておきやっせ」
極彩は頷いた。紅は黙々と喉に詰まらせることもなく器用に弁当を食った。食欲旺盛だ。
「ありがとう」
「節介が趣味なんでさ。気にすんな」
玄関まで見送ると桃花褐は三和土に降りてそれでも身長がやっと同じになるか、まだ彼のほうが大きいくらいだった。厚く大きな手が極彩の両腕を軽く掴んだ。元気付けるようでいてその空気感には弱っているようなところがある。
「例の店のあの娘……子供、堕ろすそうなんでさ」
癖毛が俯くと同時に簾のように落ちた。
「俺の子として育てるつもりだった。手を出したのは本当だったかんな。父親ももう分かってる。それが良くなかった。正直に言ってくれや。こんな俺をどう思う?」
「ろくでなしだとおもうけれど……」
ゆっくり手を外させる。しかし剥がれなかった。
「でもろくでなしでない真っ当な相手なら、わたしの愚かな話は相談できない」
布越しの体温が少しずつ離れる。
「変な話して悪かった。恩着せがましいこと言って、結局は俺が嬢ちゃんと話したかっただけかも知れねェわ」
「わたしばかりいつも話を聞いてもらっているのだし」
「嬢ちゃんの前ではかっこつけてたかったんだけどな」
「たまにはそういうこともあるでしょう?」
桃花褐は疲れたように笑った。背負われようとするかのように彼は筋肉質な両腕を極彩へ差し出した。そこに下心や艶めいたものは感じられなかった。彼女も同じようにして一歩近付く。互いに吸着するような安堵感と安定感がある。高い体温とぎっちりとした肉質が伝わる。
「弱味晒して付け入って、悪ィね」
「万事常に明るく前向きだなんて、それも病気だから。桃花褐さんが帰り道に反省してひとりまた抱え込むなんてことがないといいけれど」
「そこまで心配されちゃ俺ァ立場がねェよ」
大きな掌が彼女の背中を叩いた。
「銀灰くんのことで少しだけ……少しだけ悩んでいるの。でもまだ上手く話せないから。また機会があれば、聞いてくれる?」
「おっしゃ。俺ァいつでも機会ってやつは作れるからよ。ありがとな」
広い肩に顎を載せるとすべて話せてしまいそうな気がした。
「うん」
離れていく大男がわずかに惜しかった。彼は照れたような仕草で帰っていく。気配もなく極彩の手と乾いた指が絡む。
「紅?」
燃え滾るような炎のような目が訪問者を消した玄関扉を凝らしていた。
「お弁当美味しかった?」
彼に目線を合わせ、特に汚れてもいない口元を拭った。紅は素気無く彼女の手から逃れる。
銀灰の居場所は母親の実家ではなかったがすぐに特定された。河教の寺院にいるという。彼は俗世に背を向けてしまった。
報告に訪れた菖蒲は淡々としていた。反対に極彩は息を呑む。
「どうして……」
疑問を口にしてみても滲むようにゆっくりと理由が分かっていく。それを諾とできないでいるのだ。
「想定外ではありましたが、冷静に考えてみれば、そうおかしなことでもありません」
極彩は呆然と、取り澄ました中年男の姿を見つめていた。しかし本当におかしなことではなくよくある話なのだ。すべてを衝動的に捨てたくなった若者が宗教の道に安寧の魂を求めるのは。
0
登場人物・描像図画(外部サイト)
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

悪妃の愛娘
りーさん
恋愛
私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。
その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。
そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!
いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!
こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。
あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる