142 / 337
142
しおりを挟む
縹の部屋を訪れる。躊躇はあった。これという話す内容もなかった。答え合わせをするみたいに縹の傍にいたくなった。桜が帰ってしまうこと。桃花褐と話したこと。話すことはあるがどれも違う。言葉を交わさずともよかった。扉を叩いて名乗ると、快く入室を許された。部屋の主は机に向かっていた。その上には湯呑がある。縹へ近付くと、その中身は見えた。真っ赤な液体が注がれている。ぎょっとした姪に気付いたらしく叔父は控えめに笑った。
「鼈の生き血だよ。赤茄子の絞汁だったらよかったけれど。健康のためだからね」
飲もうとしたところで極彩が訪れたらしかった。
「あ、の…」
「すぐ飲むよ。あまり美味しくないからね。粗相をしても困る。あっちを向いていてくれないかな」
縹は冗談めかして笑い、極彩は言われた通りに扉を向いた。思っていたよりも早くに事が済んだことを告げられる。空になった湯呑が机に置かれる。
「生物があまり好きではなくて」
「…そういうところがあるんですね」
自身について語る縹が珍しく極彩はいつの間にか呟いていた。一拍置いてから縹はいつもより大きく口元を緩ませる。照れを隠しているのがすぐに分かった。
「今更だね。前からだけれど、君はボクを買い被りすぎだよ」
「そんなことは、ないはずです」
縹は椅子から立ち上がり、極彩へ勧めた。彼は整えられた寝台へ腰を下ろす。
「特に用はないんです。ただ…何となく叔父上のもとに寄りたくなって…」
長居はしないのだと背凭れの高い椅子に座らずに言った。縹は微笑み、再び椅子を勧める。
「君が来てくれて嬉しいよ。用がなかったなら尚更。これというおもてなしも出来ないけれど、ゆっくりしていくといい」
「ありがとうございます」
優しい微笑が怖かった。ここへ来るまでは、顔さえみれば安心できると思っていた。だがここに来てしまうと不安になった。
「桜は明日、杉染台へ戻るそうです」
「…そうかい。随分長いこと居てくれたものね」
桃花褐から聞いたことを縹に話した。叔父の相槌は美しく耳に響いた。紫雷教方式の葬儀であること、分骨の話、そしてそれを断ったこと、桜には何も話していないこと。縹は頷きながら相槌をうつ。
「彼等は…最期に毒を所望した。そう聞いたのかい」
桃花褐の話だとそうだった。
「桃花褐さんからはそう聞いています」
「だとしたら、少し語弊があるな。ボクも実際目にしてはいないけれど」
縹は極彩から顔を逸らす。まだ言うか言うまいか決めかねているようだった。
「何かご存知なんですか」
「君には知る権利があると思うから。真実というのは知った人間にしか現れない。ボクも人伝だから、真実か否かは分からないけれどある極めて高い可能性として留めておいてほしい。彼等が釈放前に所望したのは一杯の水だそうだよ。けれど届けられたのは毒だった…何かその前後でやりとりはあったみたいだけれど」
静かに縹の声が消えていく。
「じゃあ…」
「自害を選んだわけではないかも知れない、ということだよ」
「それは、誰から…」
伏せられた長い睫毛が何度か上下した。君の大好きな世話係の子。小さく呟いた。
「そうでしたか」
「深く問い質したらいけないよ。名前を出さなかったのは、ボクのこだわりだけれど…」
縹はゆっくりと顔を上げた。扉が開く。香木の匂いがした。色街の路地裏の腐臭のほうがまだ馨しいと感じられた。縹は寝台から腰を上げ、揖礼した。極彩も立ち上がることはできたが、緊縛されたように動けなかった。天藍は縹に一瞥することもなく手を掲げる。深く頭を下げ、縹は揖礼を解く。極彩は四肢が動かずただ二公子を見ていた。
「大丈夫?」
暴行した男とは思えないほど甘ったるい声で目の前に立った。声を聞くと姿勢が崩れる。弛緩した関節は動くことを許さない。縹が駆け寄ろうとして、護衛が長刀に手を掛ける。天藍は穏やかに、「いいよ」と言って護衛は手を下ろした。縹は極彩の元に膝を着く。肩を支えられた。二公子は麗らかに笑い、屈んだ。手を差し伸べられたが後退ってしまう。叔父の影が動いた。二公子の手がさらに迫る。肩に乗った薄い手を掴んだ。細い指が折れそうなほど力強く握った。
「立ち上がれるかい?」
返事も出来なかった。恥をかかせてしまう。口は開くが声が出ない。
「申し訳ございません、二公子。成婚憂鬱症でございまして。少し神経を病んでいるのです。御慈悲をいただきたく存じます」
縹は虚言を並べる。天藍の目の色が変わった。
「…何、彩ちゃん。結婚してるの」
声音と口元は朗らかだ。射殺すような眼光は極彩から側められることはない。
「おめでたいなぁ…旦那さんに御挨拶しなきゃ…?」
今にも骨を折ってしまいそうな叔父の指を何度か揉みしだく。手は震え、冷えているくせ嫌な汗をかいて乾燥した病人の指を包む。片手が極彩の背を摩る。
「おめでたいよ。本当に…放免前の罪人が自決して、それで君が結婚…記念日に制定したいくらいだ」
天藍は立ち上がり、威圧的な微笑で2人を見下ろす。
「一体君を射止めたのはどこの誰なんだろう?…会う気なんてないけどね。間違って無礼討ちなんてしちゃったら事でしょ?」
はははと高らかに笑った。
「もうすぐで群青が帰ってくるんだ。まっさか群青より先に結婚しちゃうなんてね、驚きだよ」
もう一度天藍は極彩の前に屈んだ。腹に手を当てられる。息を忘れ、叔父の手を抱き締めた。縹の影が動く。天藍を見ているに違いなかった。
「悪いことしちゃったかな…?」
腹を這う。力は籠っていないというのに圧迫されるように嘔吐感が込み上げた。肉感のない手を放してしまう。
「二公子」
縹が険を帯びた声で呼ぶ。
「叔父は寝取り、姪は寝取られ…また数奇な」
天藍の声は冷たかった。
「寝取ってなどおりません。しっかり彼女は私を拒絶し、私もそれに応じました。私のことは事実にせよ、彼女のことを悪罵なさるのはおやめいただきたい…それに―」
縹ははっきりした態度で二公子に対し、極彩の両肩に触れる。
「どういうことです。成婚間もない姪に対して虚実取り混ぜて吹聴するのはおやめください」
天藍は肩を竦める。怒りを滲ませるのも珍しかった。
「さっすが。温厚で、オレのことには肯定と同意ばかりしていればやり過ごせる縹も姪のことと…彼女のこと言われたら黙っていられないわけだ?」
彩ちゃん。二公子は愛しそうに目を眇め、女を瞳に映す。
「オレのとこにならいつでも来ていいんだから」
冷たい手が頬を撫でていく。
「縹。今回の件…君だけはオレのこと、批判なんて出来ないはずだ?」
「まったく、その通りです」
天藍は陰険に笑って部屋を出ていく。縹に支えられ、椅子に座らされる。
「本当に、成婚憂鬱症になってしまったかな。大丈夫だよ。新生活といったって、君はここに居たらいいのだからね」
病人は目の前に座り、極彩を見上げた。
「…申し訳ございません」
「気にすることはないよ。…少し、話をしようか」
縹はふらりと寝台へ戻った。極彩は眉を顰めてしまう。彼は苦笑した。
「君のことについてじゃないよ、ボクのこと」
叔父は大きく溜息を吐いて天井を仰ぐ。
「話す時期は考えていてね。話すか否かも結局決まっていなかったんだけれど、いい機会だから」
そう言って口を開く本人もまだ踏ん切りがつかないようだった。
「鼈の生き血だよ。赤茄子の絞汁だったらよかったけれど。健康のためだからね」
飲もうとしたところで極彩が訪れたらしかった。
「あ、の…」
「すぐ飲むよ。あまり美味しくないからね。粗相をしても困る。あっちを向いていてくれないかな」
縹は冗談めかして笑い、極彩は言われた通りに扉を向いた。思っていたよりも早くに事が済んだことを告げられる。空になった湯呑が机に置かれる。
「生物があまり好きではなくて」
「…そういうところがあるんですね」
自身について語る縹が珍しく極彩はいつの間にか呟いていた。一拍置いてから縹はいつもより大きく口元を緩ませる。照れを隠しているのがすぐに分かった。
「今更だね。前からだけれど、君はボクを買い被りすぎだよ」
「そんなことは、ないはずです」
縹は椅子から立ち上がり、極彩へ勧めた。彼は整えられた寝台へ腰を下ろす。
「特に用はないんです。ただ…何となく叔父上のもとに寄りたくなって…」
長居はしないのだと背凭れの高い椅子に座らずに言った。縹は微笑み、再び椅子を勧める。
「君が来てくれて嬉しいよ。用がなかったなら尚更。これというおもてなしも出来ないけれど、ゆっくりしていくといい」
「ありがとうございます」
優しい微笑が怖かった。ここへ来るまでは、顔さえみれば安心できると思っていた。だがここに来てしまうと不安になった。
「桜は明日、杉染台へ戻るそうです」
「…そうかい。随分長いこと居てくれたものね」
桃花褐から聞いたことを縹に話した。叔父の相槌は美しく耳に響いた。紫雷教方式の葬儀であること、分骨の話、そしてそれを断ったこと、桜には何も話していないこと。縹は頷きながら相槌をうつ。
「彼等は…最期に毒を所望した。そう聞いたのかい」
桃花褐の話だとそうだった。
「桃花褐さんからはそう聞いています」
「だとしたら、少し語弊があるな。ボクも実際目にしてはいないけれど」
縹は極彩から顔を逸らす。まだ言うか言うまいか決めかねているようだった。
「何かご存知なんですか」
「君には知る権利があると思うから。真実というのは知った人間にしか現れない。ボクも人伝だから、真実か否かは分からないけれどある極めて高い可能性として留めておいてほしい。彼等が釈放前に所望したのは一杯の水だそうだよ。けれど届けられたのは毒だった…何かその前後でやりとりはあったみたいだけれど」
静かに縹の声が消えていく。
「じゃあ…」
「自害を選んだわけではないかも知れない、ということだよ」
「それは、誰から…」
伏せられた長い睫毛が何度か上下した。君の大好きな世話係の子。小さく呟いた。
「そうでしたか」
「深く問い質したらいけないよ。名前を出さなかったのは、ボクのこだわりだけれど…」
縹はゆっくりと顔を上げた。扉が開く。香木の匂いがした。色街の路地裏の腐臭のほうがまだ馨しいと感じられた。縹は寝台から腰を上げ、揖礼した。極彩も立ち上がることはできたが、緊縛されたように動けなかった。天藍は縹に一瞥することもなく手を掲げる。深く頭を下げ、縹は揖礼を解く。極彩は四肢が動かずただ二公子を見ていた。
「大丈夫?」
暴行した男とは思えないほど甘ったるい声で目の前に立った。声を聞くと姿勢が崩れる。弛緩した関節は動くことを許さない。縹が駆け寄ろうとして、護衛が長刀に手を掛ける。天藍は穏やかに、「いいよ」と言って護衛は手を下ろした。縹は極彩の元に膝を着く。肩を支えられた。二公子は麗らかに笑い、屈んだ。手を差し伸べられたが後退ってしまう。叔父の影が動いた。二公子の手がさらに迫る。肩に乗った薄い手を掴んだ。細い指が折れそうなほど力強く握った。
「立ち上がれるかい?」
返事も出来なかった。恥をかかせてしまう。口は開くが声が出ない。
「申し訳ございません、二公子。成婚憂鬱症でございまして。少し神経を病んでいるのです。御慈悲をいただきたく存じます」
縹は虚言を並べる。天藍の目の色が変わった。
「…何、彩ちゃん。結婚してるの」
声音と口元は朗らかだ。射殺すような眼光は極彩から側められることはない。
「おめでたいなぁ…旦那さんに御挨拶しなきゃ…?」
今にも骨を折ってしまいそうな叔父の指を何度か揉みしだく。手は震え、冷えているくせ嫌な汗をかいて乾燥した病人の指を包む。片手が極彩の背を摩る。
「おめでたいよ。本当に…放免前の罪人が自決して、それで君が結婚…記念日に制定したいくらいだ」
天藍は立ち上がり、威圧的な微笑で2人を見下ろす。
「一体君を射止めたのはどこの誰なんだろう?…会う気なんてないけどね。間違って無礼討ちなんてしちゃったら事でしょ?」
はははと高らかに笑った。
「もうすぐで群青が帰ってくるんだ。まっさか群青より先に結婚しちゃうなんてね、驚きだよ」
もう一度天藍は極彩の前に屈んだ。腹に手を当てられる。息を忘れ、叔父の手を抱き締めた。縹の影が動く。天藍を見ているに違いなかった。
「悪いことしちゃったかな…?」
腹を這う。力は籠っていないというのに圧迫されるように嘔吐感が込み上げた。肉感のない手を放してしまう。
「二公子」
縹が険を帯びた声で呼ぶ。
「叔父は寝取り、姪は寝取られ…また数奇な」
天藍の声は冷たかった。
「寝取ってなどおりません。しっかり彼女は私を拒絶し、私もそれに応じました。私のことは事実にせよ、彼女のことを悪罵なさるのはおやめいただきたい…それに―」
縹ははっきりした態度で二公子に対し、極彩の両肩に触れる。
「どういうことです。成婚間もない姪に対して虚実取り混ぜて吹聴するのはおやめください」
天藍は肩を竦める。怒りを滲ませるのも珍しかった。
「さっすが。温厚で、オレのことには肯定と同意ばかりしていればやり過ごせる縹も姪のことと…彼女のこと言われたら黙っていられないわけだ?」
彩ちゃん。二公子は愛しそうに目を眇め、女を瞳に映す。
「オレのとこにならいつでも来ていいんだから」
冷たい手が頬を撫でていく。
「縹。今回の件…君だけはオレのこと、批判なんて出来ないはずだ?」
「まったく、その通りです」
天藍は陰険に笑って部屋を出ていく。縹に支えられ、椅子に座らされる。
「本当に、成婚憂鬱症になってしまったかな。大丈夫だよ。新生活といったって、君はここに居たらいいのだからね」
病人は目の前に座り、極彩を見上げた。
「…申し訳ございません」
「気にすることはないよ。…少し、話をしようか」
縹はふらりと寝台へ戻った。極彩は眉を顰めてしまう。彼は苦笑した。
「君のことについてじゃないよ、ボクのこと」
叔父は大きく溜息を吐いて天井を仰ぐ。
「話す時期は考えていてね。話すか否かも結局決まっていなかったんだけれど、いい機会だから」
そう言って口を開く本人もまだ踏ん切りがつかないようだった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
4人の王子に囲まれて
*YUA*
恋愛
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生の結衣は、母の再婚がきっかけとなり4人の義兄ができる。
4人の兄たちは結衣が気に食わず意地悪ばかりし、追い出そうとするが、段々と結衣の魅力に惹かれていって……
4人のイケメン義兄と1人の妹の共同生活を描いたストーリー!
鈴木結衣(Yui Suzuki)
高1 156cm 39kg
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生。
母の再婚によって4人の義兄ができる。
矢神 琉生(Ryusei yagami)
26歳 178cm
結衣の義兄の長男。
面倒見がよく優しい。
近くのクリニックの先生をしている。
矢神 秀(Shu yagami)
24歳 172cm
結衣の義兄の次男。
優しくて結衣の1番の頼れるお義兄さん。
結衣と大雅が通うS高の数学教師。
矢神 瑛斗(Eito yagami)
22歳 177cm
結衣の義兄の三男。
優しいけどちょっぴりSな一面も!?
今大人気若手俳優のエイトの顔を持つ。
矢神 大雅(Taiga yagami)
高3 182cm
結衣の義兄の四男。
学校からも目をつけられているヤンキー。
結衣と同じ高校に通うモテモテの先輩でもある。
*注 医療の知識等はございません。
ご了承くださいませ。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる