上 下
163 / 294
【BL】「そりは"えちぅど"」から 

お題「わくわく入浴剤」ドキしゅわポン

しおりを挟む

 お湯に溶けると、しゅわしゅわしながらポンッておもちゃ出てくる入浴剤があったから買ってみた。

 ソーダの匂いらしい。実家暮らしのアイツの家にお邪魔することになった。父ちゃん母ちゃんは妹と旅行らしい。家族仲はいいらしいケド、オレと遊ぶかもって残ってくれたんだって。嬉しいは嬉しい。でも家族旅行の思い出とかあるよなって。アイツは良くても、父ちゃん母ちゃんとか妹さんとか。
 ま、アイツはオレが幸せにするからいいんですケド……アイツと言わず、オレが存在するだけで世の中の貢献になってるワケだが……

―みたいなカンジのコトを、常日頃から思ってる素直で善良で儚い美少年薄命のオレは、酔っ払って喋っていた。

 アイツはへらへら笑って聞いてて、華奢で色白で陰気で優等生眼鏡なのに酒強いのかな。
 オレの買ってきた入浴剤のパッケージ裏を読んでた。
「何が出たら嬉しい?」
「Bのメガうさメカ。水色の……」
 眼鏡のうさちゃん型ロボットのやつ。なんとなく。
「俺はわがままネコがいいな」
「どれ……」
 水色のしか見てなかった。入浴剤の裏側のおもちゃの種類見てたら、うさメカかネコ当てたくなってきた。
「昔は風呂の時間まで我慢できなくてさ、袋の中で割ったっけ……」
 でも、なんか今は、まぁ風呂までの楽しみじゃね?って。

「今は?」
「いや、風呂まで待つだろ、フツー」
 だって何が出るんだろ?ってしゅわしゅわの湯船に浸かりながら待つのが楽しいんじゃん。しゅわしゅわに浸りながら。

「待て ができるようになったんだな」
 オレはイヌって気性ガラじゃない。どちらかってーとネコちゃんだ。かわいいし。まぁ、犬派なんですケド……
「バカにしやがって」
 アイツはへらへら笑って、風呂を沸かしに行った。

 オレは風呂が嫌いな子供だったんだよ。だからこういう入浴剤を親父がよく買ってきてくれた。なんか入浴剤にしてはぬるぬるするケド。懐かしいなって。あの頃には戻れないんだよな。それでもまだこのドキドキわくわくの入浴剤は売ってて。
 昔のコト思い出しながらオレはアルコールに負けてうとうとした。テーブルを枕に寝落ちそう。

「風呂、明日の朝入るか」
 風呂沸かしに行ったアイツが帰ってきた。
 お風呂入らなきゃイチャコラできないじゃん。神経質だもん、コイツ。
「やら」
「明日の朝、俺と入ろう。何が出るのか楽しみだな」
「……うん」
 オレは 待て ができるんでね。

<2022.11.9>
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

シカメツラ兎-短編集-

加藤
現代文学
日常に潜むささやかな不気味さ。人の心の闇が作り出す歪んだ心象風景。 短編集です。

道徳学院開校 ◆自由の中のルール◆

じゅラン 椿
現代文学
寺毛 亘は小3の時の担任の大杉先生に心を惹かれ 教員を目指す。4,5年生で挫折を目の前にするのだが、大杉先生に手紙を送り その返事を「ゆめへの栄養補給」として、支えにした。 中学も勉強に、部活に懸命になり、志望高校合格。高校時代に ルールやマナー秩序、規則、尊敬、敬い、感謝について 個人的に 問題を少しずつ感じていく。 各学校 専門学校、大学は、"小さな社会であり団体生活において学ぶ場"と位置付けている考えの持ち主。 大学受験では浪人を経て大学生となる。そして・・・・・

泥船

五月雨 雫
現代文学
小説家の彼は作品のためなら全てを投げ出す危うさを持っていたが一人の女性を懸命に愛そうとした。 けれど、永遠なんてこの世にはない。 この物語、閲覧注意

翼は人を魅せられる。

bluesky
現代文学
第6航空団第201飛行隊 通称ソニックアローズ。そこは古参が集う唯一のアクロバット飛行隊であった。 そこに配属された女性パイロット、秋本汐梨一等空尉。彼女は慣れないアクロバット飛行をこなせるようになるのだろうか!?そして女性に慣れない飛行隊の男達は、彼女を暖かく見守るつもりだったが…。 これはGunship Sequelというゲームのソニックアローズという部隊が舞台です。 飛燕に乗ってアクロバット飛行をしているチームです! パイロットの設定も実際に所属している人がモチーフになっています。

トレンド

春秋花壇
現代文学
語彙を増やしたい

★菊池昭仁・短歌集「ビター・チョコレート」

菊池昭仁
現代文学
愛についての現代短歌集です

【完結!】『山陰クライシス!202X年、出雲国独立~2024リライト版~』 【こども食堂応援企画参加作品】

のーの
現代文学
RBFCの「のーの」です。 この度、年末に向けての地元ボランティアの「こども食堂応援企画」に当作品で参加させていただきこととなりました! まあ、「鳥取出身」の「総理大臣」が誕生したこともあり、「プチタイムリーなネタ」です(笑)。 投稿インセンティブは「こども食堂」に寄付しますので、「こども食堂応援企画」に賛同いただける読者様は「エール」で応援いただけると嬉しいです! 当作の「原案」、「チャプター」は「赤井翼」先生によるものです。 ストーリーは。「島根県」が日本国中央政権から、「生産性の低い過疎の県」扱いを受け、国会議員一人当たりの有権者数等で議員定数変更で県からの独自の国会議員枠は削られ、蔑(ないがし)ろにされます。 じり貧の状況で「島根県」が選んだのは「議員定数の維持してもらえないなら、「出雲国」として日本から「独立」するという宣言でした。 「人口比シェア0.5%の島根県にいったい何ができるんだ?」と鼻で笑う中央政府に対し、島根県が反旗を挙げる。「神無月」に島根県が中央政府に突き付けた作戦とは? 「九州、四国を巻き込んだ日本からの独立計画」を阻止しようとする中央政府の非合法作戦に、出雲の国に残った八百万の神の鉄槌が下される。 69万4千人の島根県民と八百万柱の神々が出雲国を独立させるまでの物語です。 まあ、大げさに言うなら、「大阪独立」をテーマに映画化された「プリンセス・トヨトミ」や「さらば愛しの大統領」の「島根県版」です(笑)。 ゆるーくお読みいただければ幸いです。 それでは「面白かった」と思ってくださった読者さんで「こども食堂応援」に賛同下さる方からの「エール」も心待ちにしていまーす! よろしくお願いしまーす! °˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

詩集『刺繡』

新帯 繭
現代文学
箸休めに、つらつらと書いてみただけの、只何の意味も持たない詩を、集めてみます。 ただ、それでも、誰かの胸に刺されば、それは私や誰かと、その感情を共有出来るのかもしれません。 書き手と読者の箸休めになれば、嬉しい限りです。

処理中です...