上 下
159 / 294
【BL】「そりは"えちぅど"」から 

お題「ふわふら」眩暈ふわダンス

しおりを挟む

 ちゃんとごはん食べられなかったし、ちゃんと寝られなかったして足元ふらっふら。頭の中はふわっふわ。

 食べようと思ったケド、ムリだった。いつもはめっちゃ食べられるのに。アイツの3倍くらい。いかんいかん、なんでアイツ? 

 寝てるときも、もわぁって頭の中出てきて、まだ夢もみてないのになんなの。っていうかなんでアイツが夢に出てきてほしいみたいになってるんだ。


 あーやば、って、ちょっと気持ち悪くなってきた。オレが?違うよ、体調が!

 大学の人気(ひとけ)のない建物裏のベンチが最近のお気に入り。たまぁに友達付き合いダル……ってなるときがあんのよ、オレにも。あいつ等が悪いんじゃなくて、オレの気紛れで。



「大丈夫か」
 ちょっと足もふらっふらで、頭ふわっふわで、ちょっと横になりたいなぁみたいときに、オレは意識もふらっふらのふわっふわなのか?って。だってアイツの声聞こえるもん。

「具合が悪いのか?」
 オマエのせいだぞ!って言いたかったケド、言う元気もなかった。眼鏡のフレームが太陽の光でキラーンってして眩しい。眼鏡のフレームが、だからな。だってコイツは、優等生みたいに髪セットして、グレーのパーカー羽織ってさ、地味。
 コイツが眩しいワケないだろ!

 オレに触ろうとしてさ、リーマンのおっさんみたいな腕時計も銀ぎらぎんで眩しかった。コイツが眩しいんじゃないからな。

「熱はないみたいだ」
「熱なんかねぇよ」

 でもコイツが触るから熱出た。オマエのせいだぞ!ってまた言いたくなった。

「顔色が悪い」
「気のせい」

 違う、オマエのせい。

「大丈夫か?」

 大丈夫じゃないよ。頭の中はふわふわするし、膝とか首とかふらふらするもん。オマエのせいだぞ。

「うるさいな。なんで来たんだよ」
「お前が後から来たんだろ」
「はぁ?後から来たのはオマエだろ、どう見ても……」
「ここは俺の特等席だったんだが」

 くそくそ。そうだったかも知れない。ここでコイツ見つけたんだもん。

「頭ふわふらする」
「ふわふらってなんだ」
「うるせぇな」

 コイツのせいでなんかまたふわふわしてきた。

「ぐわんぐわん、だろ。水飲むか?買ってきてやる」
「要らね」
「チョコでも食っとけ」

 チョコの包紙握らされてさ、顔がば~って熱くなってまた頭の中ふわふわ!何もかもコイツのせいだ!


<2022.11.7>
お調子者✖️眼鏡
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『「稀世&三朗」のデートを尾行せよ!謎の追跡者の極秘ミッション』~「偽りのチャンピオン」アナザーストーリー~【こども食堂応援企画参加作品】

M‐赤井翼
現代文学
赤井です。 「偽りのチャンピオン 元女子プロレスラー新人記者「安稀世」のスクープ日誌VOL.3」をお読みいただきありがとうございました。 今回は「偽りのチャンピオン」の後日談で「稀世ちゃん&サブちゃん」の1泊2日の初デートのアナザーストーリーです。 もちろん、すんなりとはいきませんよ~! 赤井はそんなに甘くない(笑)! 「持ってる女」、「引き込む女」の「稀世ちゃん」ですから、せっかくのデートもいろんなトラブルに巻き込まれてしまいます。 伏見稲荷、京都競馬場、くずはモール、ひらかたパーク、そして大阪中之島の超高級ホテルのスイートへとデートの現場は移っていきます。 行く先々にサングラスの追手が…。 「シカゴアウトフィット」のマフィアなのか。はたまた新たな敵なのか? 敵か味方かわからないまま、稀世ちゃんとサブちゃんはスイートで一緒に「お風呂」!Σ(゚∀゚ノ)ノキャー そこでいったい何がこるのか? 「恋愛小説」を騙った「アクション活劇」(笑)! 「23歳の乙女処女」と「28歳の草食系童貞」カップルで中学生のように「純」な二人ですので「極端なエロ」や「ねっとりしたラブシーン」は期待しないでくださいね(笑)! RBFCの皆さんへの感謝の気持ちを込めての特別執筆作です! 思い切り読者さんに「忖度」しています(笑)。 11月1日からの緊急入院中に企画が立ち上がって、なんやかんやで病院で11月4日から8日の5日間で150ページ一気に頑張って書きあげました! ゆる~く、読んでいただけると嬉しいです! 今作の「エール」も地元の「こども食堂」に寄付しますので、ご虚力いただけるとありがたいです! それでは「よ~ろ~ひ~こ~!」 (⋈◍>◡<◍)。✧♡ 追伸 校正が進み次第公開させていただきます!

収集家

笹椰かな
現代文学
亡くなった叔父がこっそり集めていたもの。それは――。 表紙画像/ゆうぎり様

お題ショートショート2023年4月 テーマ「春」

虹倉きり
ライト文芸
お題.com様(https://twitter.com/odai_com_)より拝借したお題に沿って1000文字以内のショートショートを書いていきます。 4月のお題は「春」。早咲き桜が多い中、どんな物語が生まれるのでしょうか? お題.com様 ホームページ:https://xn--t8jz542a.com/ Twitter:https://twitter.com/odai_com_

かこちゃんの話

けろけろ
現代文学
「雨立 華子穂」を中心にその周囲を取り巻く人々の群像劇です。 華子穂は発達に障害がある女性であり、作品中では幼児期から成人期までのエピソードを扱う予定です。 抒情に欠けた現代社会への「パンク」であり、本物のファンタジー〈物語〉を目指しています。 これは僕を救うために書くものであって、僕と似たすべての人に捧げる物語です。

世捨て人の孤児

紅茶 螺鈿 (こうちゃ らでん)
現代文学
               事故と病で両親をなくした少女。             引き取られた先は、優しい伯父の家だった            だが、ここの生活から、彼女の人生は、狂って              いった。愛を求め、探し、生きる女の子               彼女は、どうなってしまうのか...

本日の思いつき「随筆」

すずりはさくらの本棚
現代文学
### 過去七年間の「病名」と「病巣」。医師による判断も掲載しました。 #### 手足の痺れと身体の不調 手足の痺れと身体がうまく動かない日々が続いています。この痺れから、日常の散文や随筆を書くこともままなりません。常に酔っ払っているような感覚があり、服薬の強さによって日常生活が定まらないのです。 #### 服薬と犯罪 医師が心配して投薬を弱くすれば、「犯罪に気がつけば加担している」ような事柄が日常的に起きています。書くことができる時間も限られてきており、読書さえもできなくなってきました。数週間前までは読書ができていたのに。医師は、これが薬物投与によるものだけではなく、犯罪に加担しているからではないかと言います。気が付かないうちに罪悪感を感じることはほとんどありませんが、全く心がないわけではありません。要するに、無感覚とは異なるが無頓着です。 #### 病歴と病巣 医師が交代してから少なくとも十数年が経ち、病歴と病巣が積み重なってきました。以下は私が抱えている病気の一覧です: - メニエール病 - 統合失調症 - 感情鈍磨 - 気分障害 - パニック症候群 - 方向感覚の鈍磨 - 感覚の衰退 - 発達障害 - 薬物依存症 - 放火による素行症 - 構音障害 - 神経疾患 - 精神的ストレス性障害 - 腎臓病(過去三十年間の服薬による臓器障害) - 慢性腎臓炎 - 高鬱病 - 鬱病 - ストレス性疾患 - 片頭痛 - 自立性疾患 - 過保護 - 過集中 - いじめ - 慢性胃腸炎 - 嚥下障害(ものがうまく飲み込めない、食べれない) - アルコール依存症 - 過度な緊張型 - 悪夢や幻聴幻覚による精神疾患 #### 幻覚と発作 幻覚には、うさぎがナイフを持って追いかけてくるものや、サメがぐるぐると回転し続けており、自分は海の中に住んでいるという錯覚、人から見られているという症状があります。14歳以前からこれらの幻覚が見られ、過度な過集中の最中に多く現れます。眠っている最中に覚醒し、嘔吐や平常感覚を失うこともあります。薬物処方で対処してきましたが、この患者の場合、薬物対処療法ではなく、心理と落ち着いた空間が必要であると判断されています。医師によれば、週に四から五回の発作があり、自分が何を望み、何をしたいのかがわからなくなることがあると言います。まさに「病気のデパート」と言えるでしょう。 #### 結び 手足の痺れと身体の不調、薬物依存や犯罪の加担、そして長年の病歴と病巣。これらすべてが私の生活苦を象徴しています。それでも、蝉の音がミンミンからジージーに変わり、雨が降ったかと思えばカラッと晴れる夏の空のように、私の心も揺れ動きながらも前に進んでいきます。

想い出写真館

結 励琉
現代文学
<第32回岐阜県文芸祭佳作受賞作品>  そのさほど大きくない私鉄の駅を降りて駅前の商店街を歩くこと数分、そろそろ商店街も尽きようかという少し寂しい場所に、その写真館は建っている。正面入口の上には福野写真館という看板がかかり、看板の下には昔は誰でもお世話になったカラーフィルムのロゴが今も残っている。  入口の左右のウインドウに所狭しと飾られているのは、七五三や入学記念、成人式といった家族の記念写真。もう使われなくなったのか、二眼レフのカメラも置かれている。   どこにでもある写真館、いや、どこにでもあった写真館と言った方が正しいか。  デジタルカメラ、そしてスマートフォンの普及により、写真は誰でも、いつでも、いくらでも撮れる、誰にとってもごくごく身近なものとなった。一方、フィルムで写真を撮り、写真館に現像や引き延ばしを頼むことは、趣味的なものとしては残ってはいるが、当たり前のものではなくなっている。  人生の節目節目に写真館で記念写真を撮って、引き延ばした写真を自宅に飾るということは根強く残っているものの、写真館として厳しい時代となったことは否めない。  それでも、この福野写真館はひっそりではあるが、三十年以上変わらず営業を続けている。店主は白髪交じりの小柄な男性。常に穏やかな笑顔を浮かべており、その確かな撮影技術とともに、客の評判はよい。ただ、この写真館に客が来るのはそれだけ故ではない。  この写真館は客の間で密かにこう呼ばれている。「想い出写真館」と。

SCRAP

都槻郁稀
ライト文芸
短編集です。

処理中です...