お題アリ掌編集。

その他ジャンル(架空取材、架空レポート)

お題「観葉植物」観用人物

嫌な夢みたんだ。

―嫌な夢？

うん。あんたン宅ち、観葉植物ある？三つ編みみたいになってるの。

―あるよ。なんで？

部屋の隅？窓際？

―そうだけど。怖いな。ははは、うちに来たコトあるっけぇ？

……そっか。ないよ！変なコト訊いてごめんね？でも、観葉植物置くところって大体そういうところだもんね。

―分かんないけど。オレの小さい頃からあるし。どうして？

絶体、引かないでくれる？絶対……

―うん。今更引かないよ。あれっ、なんで怒るのッ！

もう！……あのね、死んじゃう夢、みたの。どうせ夢だし、そういう
の怖がる歳じゃないけど、やっぱ引っ掛かって……今日、一緒にいてくれる？

―うん。別にそんなのなくても、オレ、一緒にいるよ？

嘘じゃないよ。嘘じゃないの。ホントに、わたし、怖い夢みて……

―怖い夢みなくても、一緒にいたらいいじゃんさ。どこ行こう？コンビニで飯買って公園デートしよ！

デ、デートって、そんなんじゃないんだけど……

―いいじゃん、いいじゃん。楽しくやろ！


……という想像をしました。そういうやり取りがあったのだろうと容易に想像できたからです。　2人は観葉植物の話で盛り上がっていましたから。作り物じゃないんだ、とかそんな感じのことを。私が潜んでいたのは観葉植物がよく見えるクローゼットで、ちょうど2人の背中をとれました。
　動機ですか？素朴そうなカップルて良くないですか。こう、仲睦まじく平穏に続いていた日々が突然終わる、みたいな。公園でいつも見ていたんですよねぇ。映画館とかラブホテルとかも、多分行ってるかも知れませんけど、こんな虫もいて不便な外でピクニックだなんてかわいいなって。それを、壊してみたいなって。この場合の壊したいっていうのは、むしろ保存だったのかも知れません。嫉妬じゃないですよ。美しさの追及です。木陰で蝶や花を戯れながら仲の良い2人を見ていて、美しさの極みを知ってしまったんです。だからほら、あの作り物みたいな植物の下でネムラセテあげたんです。世界樹の下で永遠なれ、ですよ。2人仲良くね。日向ぼっこをしているカップルにしか見えなかったでしょう？この事件を題材にドラマや映画なんか作られるといいですよ。ははは。