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未完結打切:ありがちなレクイエム 全3P/ストーカー受/年下攻/女性キャラ/攻女装プレイ

ありがちなレクイエム 1 姉に付き纏うストーカーみたいな男を構い倒す弟の話

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 美人姉弟で有名だった。温和だが心配性な両親は家の周りのセキュリティを強くしていた。田舎だが広い敷地ゆえのおしゃれな住宅地。コンクリートにシーグラスのような曇った表面の色味のある石が埋まった駐車場には2台停められる。ペールオレンジやコーラスピンクを基調とした低く小さな門までほんの数歩で辿り着けた。買い物を済ませ満足そうな姉のすぐ後ろをさらさらした黄色系ブラウンの髪の青年が辺りを見回しながら歩く。
礼信れの、どうしたの?」
 姉の礼那が忙しない弟を振り返る。
「いや…猫かなって思ったら土嚢だったみたい」
 海外のコーヒーやお菓子が揃った女性に人気の雑貨屋で欲しいものが買えたらしい姉は上機嫌だった。一度入荷したら売り切り商品なのだそうだ。本多ほんだ礼信れのは向かい合った同じような外観の家々を見渡す。
「先行ってて。僕は花に水あげてから行くから」
 本多は門を閉めて、玄関に行くまで姉の背を離れない。姉は不思議そうではあったが日頃から本多がガーデニングを趣味にしていることを知っている。玄関扉には鈴が付いているため開閉時に音が鳴る。遠い昔だがこの近くというよりはこの市内で女児の行方不明事件があった。数年後に県境の川に白骨死体が見つかった。まだ姉も産まれておらず、両親も出会っていない時代の話だ。それ以外は特に事件は起きていない。姉が木材のよく目立つ扉の奥へ消える。絵本の中の世界のような可愛らしさを押し出した住宅を挟む道。電柱。隠れられていると思っているなら、その頭もまた随分と可愛らしい。
「小牧原さん?」
 びくりと跳ねる肩。電柱から右半身が出でいる。偶然出くわしたていを装って本多は不審者が隠れた電柱へ近付いた。
「あっ、ッな、っあくッ!」
 黒髪を隠すチューリップ帽が落ちる。慌てて男は頭を押さえた。瓶底眼鏡の奥が見開いて、マスクが吹っ飛んだような気さえした。
「こんにちは。どなたかお待ちしているんですか?」
 小さい頃からよく知る姉の同級生だ。長い黒髪と髭が薄い白く滑らかな肌。長い睫毛とあっさりした二重瞼。見た目の良さに頓着しないのかいつでも時代遅れのチューリップ帽と半纏によく似た上着を身に付け、瓶底眼鏡を掛けている。
「あっ、こ、こんにちは…っ」
 小牧原は肩を縮こませて電柱へ隠れようとする。小牧原は男性にしては華奢だが電柱に完全に隠れるのは無理があった。
「最近この辺りで"不審者"が目撃されているので気を付けてくださいね」
 びくりと小牧原は大袈裟に身体を跳ねさせる。
「な、っあ、だ、大丈夫だよ、お、おれ、おれおれ、おれ男だし…っ」
「そうだったんですね、小牧原さんは男の人だったんですね…」
 ははは。本多は微笑む。小牧原が少しの間だけ本多を見て、ぼうっとして口角を持ち上げた。
「こんなぬいぐるみ送り付けてくるかわいい不審者がいても、小牧原さんのことは狙いませんよね」
 本多は車のキーに繋いだ大きなハリネズミのマスコットを小牧原の目の前で揺らした。瓶底眼鏡の奥の長い睫毛に囲われた切れ長の瞳が見開かれた。小牧原はマスクを咄嗟に下ろしてぱくぱく口を動かしている。
「っあ、ぃや、っあ、なんで、なんでそれ、っ」
「見覚えあるんですか?あまりにかわいいので付けてるんです。盗聴器とか入ってるんですかね。もしもーし」
 小牧原は桜色の唇をぽっかり開いたまま
本多の言っていることを両手を振って否定した。本多はハリネズミのマスコットを撫でる。肌触りの良い生地を使っている。小牧原の表情が曇った。
「不審者さん、聞こえますか~?」
 本多はハリネズミのマスコットに話し掛けている。
「配り歩いてるんですかね?かわいいなぁ」
 小牧原がハリネズミのマスコットに手を伸ばす。本多はちょうどよく身体を回して、小牧原の手は届かなかった。
「か、返しっ、あっ、ちがっ、ああ…」
 小牧原は口を押さえた。だが本多は見逃さない。
「あれ、もしかして小牧原さんのですか?」
 本多の微笑みが一瞬で真顔に変わり小牧原に迫る。小牧原は背が低い。
「ち、ちがっ、違うよ、違う!し、しら、しら知らない!」
 本多は目を眇めて小牧原を見つめた。
「僕、こう見えてかわいい物、結構好きなんですよ」
 本多はハリネズミのマスコットを弄びながら小牧原を見つめた。
「あっ、あっ、あ、そうなんですか。あは、あははは、あっ」
「手紙とハート型のキャンディまで入ってて…勘違いしちゃいますよねぇ?」
 ぎらりと本多の眼差しが冷ややかに、だが粘着質な光りを帯びて小牧原を見る。
「本多さんなんて…他人行儀だなぁ。礼信れのって呼んでくれてもいいのに…」
「ぁええ?!あっ!やぁ!ち、ちがっ!」
 香り付きなんですよ、この便箋。本多はハリネズミのマスコットと共にポストに入っていた手紙を鼻の近くに寄せる。花のような洗剤のような和やかで甘い香りがする。
「きっと控えめで優しいけど奥手な人なんだろうな」
 でも控えめな人がこんなコトしないですよね?どう思いますか、小牧原さんは。ハリネズミの後ろに隠れてわざとらしく本多はハリネズミを振った。このハリネズミも手紙と同じ香りがする。
「ぁぎっ、おお、おれ、おれおれおれおれは、っ!」
 本多はふふっと笑ってまたハリネズミのマスコットを撫でる。
礼信れの?…あら、小牧原さん?」
 姉の声がして、本多はけた。小牧原はすっと電柱の陰から出てきた。
「こんにちは!本多さん!」
 小牧原はチューリップ帽を外し、素早く髪を整えると本多を押し退け礼那の前へ歩み出る。
「え、」
「ちょうどクッキーを焼いていたところなの。小牧原さんも良かったら、お召し上がりになる?」
 本多は小牧原と姉を見比べる。手の中のハリネズミを2、3度揉んだ。
「よろこんで!」
「姉さん。小牧原さんは…」
 小牧原が本多の口を塞ぐ。ハリネズミや便箋と同じ甘く和やかな石鹸と花の香りがして、くらりと眩暈がした。


 小牧原はリビングでるんるんと音符を飛ばしているのが本多には見えた。ダイニングキッチンは家族4人掛けで、小牧原の対面に本多は座った。小牧原は渋い顔をしたが、カウンターキッチンでオーブンを見たり、食器を洗っている礼那に意識は行ってしまっていた。
 礼那はお菓子作りを趣味にしていた。だがあまり上手ではないのだ。本多は甘さどころか塩っ気のあるクッキーを口へ運ぶ。今回は甘さを控えめにしたらしいが、塩っ気がするためおそらく塩なのだろう。塩と砂糖はそれぞれピンクとイエローの蓋の入れ物にそれぞれ入れているのだがおそらく礼那は逆に覚えているのだろう。さっくり感だけが上等なクッキーだと本多は思ったが、小牧原は満面の笑みで、美味しいです、美味しいですと言いながら食べている。紅茶を淹れてテーブルに着こうとした礼那が小牧原の隣に座ろうとしたため本多は咄嗟に「姉さんはこっち」と隣の席を叩いてしまった。小牧原に睨まれるが気付かないふりをした。
「そこまで美味しそうに食べてもらえると作り甲斐があるな」
 礼那が笑って、小牧原は恍惚の表情だった。
「また食べにいらして」
「も、もちろんです!」
「姉さん。社交辞令に決まっているでしょう。普通ここで不味いだなんて言えませんて」
 礼那が、まぁ、と口元を押さえて本多を見た。小牧原はガチガチ歯を鳴らして本多を睨んでいる。
「どうしたの礼信れの…」
「本多さんの作るクッキーがあまりに美味しいから、独り占めしたかったんでしょう」
 こほんと咳払いし、小牧原は礼那にそう言った。本多の足が小牧原の足首を打つ。
「はははー。小牧原サン面白イコト言ウナー。姉さん。僕、小牧原さんのこと送っていくね」
「え?それならわたしも一緒に…」
「何かと物騒だから」
 小牧原の肩を抱いて、いかに仲良しかをアピールする。油の切れたブリキのようなぎこちなさで小牧原が本多を見たときは、愉快さにその場で大笑いしてしまいそうだった。礼那は玄関まで見送った。鐘を模した鈴の音を立てて玄関扉が閉まる。
「こ、こここ、ここでっ、だい、じょうぶだからっ!」
「そうは行きませんよ。姉さんだって怪しみますよ?何かあったんじゃないかって。弟をいじめたあなたをきっと姉さんは許さないだろうな~」
「あやややや、来て、来て来て、うちまで来て!」
 礼那と話していた時が嘘のように小牧原はまた吃る。
「そうですよ、こんな住宅地に変な手紙送ってくるような変質者がいるんですから、注意しないと…」
 びくぅ。小牧原は背をしならせた。震えている。
「震えていますよ。怖いですよね。ご安心ください、僕が守りますから」
 両肩を掴む。物凄い形相で小牧原が本多を見た。ハリネズミのマスコットを小牧原の頸へ押し付ける。鼻先がわずかに突き出ているため擽ったいのだろう。小牧原の身体がくねくねと捩られた。
「やめっ、やぁっ、やめてく、くれ!」
「気に入ってるんですよこれ。小牧原さんと同じ香りがして。一緒に寝てるんですよ」
「な、なんん、なんで、なんでっ」
「小牧原さんが好きなわけじゃないですよ?小牧原さんがいい匂いってだけです。自惚れないでくださいね。柔軟剤ですか?洗剤?メーカー教えてほしいですけど、小牧原さんとお揃いの匂いじゃあね…」
 白々しく肩を竦める。
「な、なん、なんなんなん、なんなんだ君は!もも、も、いいから、ひ、1人で、1人でかえ、帰れる!」
 小牧原の家が見えた。住宅地の奥にある。田園風景とソーラーパネル畑の中にある十数軒がまとまった住宅地で小牧原の家は行き止まりのフェンスと囲いを共有している。
「分かりませんよ?もしかしたら家の中にいるかも知れない。そうしたらあなたは1人で立ち向かえるんですか?」
 小牧原に迫る。小牧原は困惑していたが本多は構わなかった。
「もしここでみすみす逃して、姉さんにまで危害が加わったらどうします?」
 小牧原は顔面を蒼白にして、ぶんぶんと首を振る。その反応に拍子抜けしたのは本多のほうだった。
「お、おお、お願い、しましましま、す、い、一緒に、一緒に来て…」
 小牧原が弱々しく本多のシャツを掴んだ。鼻血を吹いてしまったのではないかと本多は鼻の下を何度か触ってみるものの鼻血が出ている様子はなかった。
「小牧原さん?」
「ほほ、ほん、本多さんにな、ななな、何かあったら、も、ももも、もうおれおれおれおれは、どうしていいか、わ、わわ、分からない」
 小牧原は無意識なのか本多の胸に寄り添うかのように歩み寄って本多を見上げている。
「小牧原さん、ご家族は今…?」
「い、いいい妹と、おおおおお出掛け」
「なるほど」
 小牧原が本多を門へ通した。大体の造りは同じだ。ただ本多が趣味で凝ったガーデニングをしているせいか本多家は少しファンシーに見えた。玄関に通される。小牧原の香りが強く鼻腔を擽った。
「小牧原さん鍵掛けてないんですね。無用心ですよ」
「え?」
 玄関を締め切った小牧原の小さな手を本多は乱暴に掴んだ。
「無用心な方だ」
 小牧原を引き寄せて、玄関脇の壁に押し付ける。抗議の声を聞く前に深く唇を塞いだ。
「ぁ、っふ」
 想像以上に柔らかい。ハリネズミのマスコットの毛並みも格別に柔らかく、良かったがそれを上回って小牧原の小さな唇美味だった。舌が窮屈に生温かい口腔で暴れ回る。本多は小牧原の逃げ回る舌を捕らえ、絡み付く。裏表の異なる質感を楽しんだ。小牧原が嚥下のために喉を動かす。
「んぁ、っんく…」
 胸と腰で小牧原の小柄な身体を壁に押し付けたまま、手は小牧原の脇腹や腰を撫でる。身動いだため小牧原の口から熱い吐息が漏れ、本多の頬にかかった。
「ぁン、ぁ、いやっぁ…」
 目元を染めて小牧原は本多を叩く。もう苦しい、という訴えらしかった。わずかに身体を離す。
「なぁ、んでぇ、なんで…」
 潤んだ瞳で睨まれ、小牧原は口を乱暴に拭った。
「小牧原さんがえっちだから」
「なっ、ぁ、あっあ!?」
「いつも喘いでるみたいな声上げて、姉さんの前では普通に話してるのに…」
 小牧原の腰を撫でていた手が股間に回る。少し固くなっている。
「これは今のキス?それとも姉さん見て?」
「っあ、ァあっ、んん、はぁ…ッ」
 上下に掌を動かす。小牧原の整えかかっていた呼吸がまた乱れた。白い顔がまた強い赤に染まる。
「感じやすいんですね、かわいい」
 小牧原の耳を唇で弱すぎるほど弱く噛む。小さな身体が跳ね、揺れている。
「ン、耳ぃやあ、」
「答えてください…?僕のキス?それとも姉さん?」
「ん、ぁ。そ、…そんな、そんなこと…」
 小牧原の古臭いが臭くはない半纏を脱がせる。肩から落ちていく。不釣合いなカスタードクリームのような色のシャツが半纏の下から現れた。本当に、服装には頓着しないらしい。
「言って?」
 シャツを押し上げる胸の2点に触れると、高い声が上がった。
「あ、ぁぁ、な、に、なんでぇ」
「僕だって驚きですよ。もしかしてさっきのクッキー、媚薬でも入ってたんですかね?」
 布を押し上げる突起の片方を親指で軽く潰す。触れ合っている腰が動く。小牧原が股間を本多に押し付ける。口の端から顎を伝って滴ったキスの名残がシャツを濡らした。
「そん、なっ、ぁ、だめ、乳首やァっ!」
 簡単すぎるモグラ叩きのように片方ずつ交互に突起を親指で押す。
「冗談に決まってますよ。作ったの姉さんですし、僕だって食べていたでしょう」
 嫌だと言っているが小牧原は胸を本多に突き出している。もっと、もっととねだっているようにしか思えなかった。腰に当たる小さかったはずの膨らみが目に見えて分かるほど大きくなっている。
「やぁ、そんな、されたら、ッあ、だめっンあ、だめ、」
「ちょっと小牧原さん?布の上からですよ?それに胸だ…下ならとにかく、まずくないですか?小牧原さんって男の人ですよね?」
 突起を押して、その根元に小さく広がっているだろう粘膜をシャツの上から想像し、指先で円形を描く。中心の突起へ渦巻きを描く。
「っぁああ、やめっ!はぁ、あんん、ぁんッ」
 本多の両脚の間に小牧原は股間部を擦り付けている。内腿に感触がある。本多は片手で小山になったボトムスの前を摩った。
「あん、あぁ、あっ、もぉ、もぉ、っあ!」
「ここ玄関ですよ?それに鍵は掛けていませんし。妹さんたち帰って来てしまうかも知れませんね?びっくりするだろうなぁ…」
 小牧原の脚がガクガクと震えている。それは恐怖からくるものではないのだろう。本多が姉とよく似た笑みを浮かべると、小牧原はだらしなく口を開けた。
「あひ、あァ、ぁんっ、ぁく、ンん…っ」
 片手で浮き出る棒状のものを撫で、片手で突起をいたぶった。小牧原はだらだら涎を垂らしている。
「玄関開けたらおっぱいイジられて、ここ、ギンギンにしてるお兄ちゃんがいたらびっくりしちゃうよなぁ…」
 光音みつねちゃんでしたっけ?
 強めにボトムスから浮き上がる棒状の陰を擦る。小牧原の首が片側の肩に預けられた。晒された首筋に本多は喰らいついく。汗が浮かぶ青白い肌に歯を立て、それから与えた痛みを悔いるかのように吸う。紅色の出来栄えに満足した。
「早くイってくれないと、僕のこと心配して姉さん来ちゃうかもな…」
「やぁ!ほんださっ、あぁん!あんっ、くぅ!」
 姉のことを出した途端に大きくなったものが気に入らず、本多は強めに親指と人差し指で浮き上がる粗末そうな棒を挟んだ。
「あれぇ?小牧原さんもしかして見らたいんですか?姉さん呼びます?」
 小牧原は頭を振る。姉には吃らず話し、ある程度身だしなみを気にするくせ本多の前ではこの有様だ。苛立つ。上3つボタンを外し、小牧原の素肌に触れた。ひい、っという声が小さく聞こえる。開ききっていないシャツと肌の間に手を入れるのはいけないことをしている気がして妙な甘美さが腰の奥で広がった。実際にいけないことなのかもしれない。
「っあ!、ちくびぃ、」
「あは、小牧原さんの生乳首」
 膨らみ、芯を持った小さな粒を指で磨り潰す。撫でて、引っ張り、捏ねる。薄い粘膜もなぞった。ひく、ひく、と小牧原の身体が波打った。
「ぃぃい、ぁくぅ、ぁう、ン、ちくびやぁ、ちくび、だめ、ジンジンすりゅ、いやっ!」
 ボトムスの膨らみがさらに大きさを増している。布の色が変わっているような気さえする。
「乳首だけでイけるんですか、小牧原さん」
 背筋を走った電撃に近いもの。感動だろう。そして驚きと、理解した後の興奮。素の声が出てしまった。煽るわけでも揶揄うわけでもない、家族にさえ聞かせない声だ。
「む、りぃ、むりぃ、だめっもぉさわ、んな…でぇッ」
「イけそうじゃないですか?イけますよね?」
 性器が胸に2点移ったかのように本多は執拗に小牧原の胸をまさぐる。親指の腹と乳輪との間で捏ね回す。
「んんんっ!んぁ、ゃらぁ、ちくびやらぁっ、ちくびぃ」
「『生乳首擦られただけでイっちゃいます』って言って」
 下唇を噛んで小牧原は頭を横に振る。人差し指と中指で粒の側面を固定すると親指の腹で何度も払うように刺激した。
「っあ、やあああ、それやだぁぁ、やぁ、あああっイく、なまちくびこしゅられてイクぅううっ!」
 ボトムスの下からシミが広がった。布越しに脈動している。小牧原は身を痙攣ひきつらせて玄関の天井を仰いでいる。田舎の広く安価な敷地のおしゃれかつ広い住宅を持て余した内装でシーリングが回っていた。力を失って壁からずり落ちていく小牧原を抱き止める。震える腕が本多を掴む。
「10点です」
 小牧原を座らせながらそう言うと安心した表情を見せられた。何か勘違いしている。
「100点満点中ですよ」
 そう言うと小牧原は肩を落とす。優等生でなければならなかった学生時代を終えてもまだ"良い子"でいようとするこの男が本多は昔から気に入らなかった。本当に"良い子"でいられるのは自身だと、本多は昔から"良い子"であろうとするくせ、頭脳や成績が追い付かず空回る小牧原が滑稽で仕方がない。仲の良い姉を慕い、同じ団地の者となれば歳は違えど付き合いはある。さらに言えばこの男が姉に積極的に接触を図ろうとするせいで顔を合わせる回数はさらに増した。
「赤点の者には追試が必要ですね。勃ちました。抜いてください」
 小牧原の手を取り、本多は頭を擡げた半身へ触れさせる。
「あっ、っそん、な…そんな…ぁむ、り…で…す…」
「無理?無理じゃないですよ。あなたが握って、手を動かせばいいんです」
 小牧原の手を取ったまま、ジーンズの前を寛げる。小牧原の瓶底眼鏡の奥の目が見開かれた。
「ぁう、っく、そんな…っはぅ」
「このまま帰ってもいいんですけどね。姉さんにこのこと訊かれたらうっかり言ってしまいそうです。小牧原さんが乳首だけでイくの見たら勃ってしまったのに小牧原さんは僕のことをイかせてくれなかった、って」
 小牧原は怒らない。徐ろに本多のボクサーパンツをジーンズごと下ろす。触れようとした掌を一度べろりと舐め上げてから本多の屹立を握る。新しい靴を履く時に裏に唾を掛けるという奇妙な迷信を聞いたことがあるが、小牧原はそれと勘違いしているのだろうか。愛らしさに小牧原が観察している間に質量がまた増えた。
「っあ、お、おっき…い…」
 小牧原の息がかかる。小さな手が本多の大きな陽根の根本から括れまでを往き来して、本多は息を詰めた。
「そのまま擦って…」
「っは、い!」
 小牧原が拙い手付きで本多のそれを擦りはじめる。ムードも色気もない。天井には小窓とシーリング。小牧原の息遣いが大きく聞こえる。ただ触られているだけだ。直接刺激されているにも関わらず、肝心なところで小牧原は部分、部分を外す。
「小牧原さんってオナニーしないんですか?」
 挑発のつもりだった。生き様も中途半端なら自慰までも中途半端なのかと。
「ぁっう、ぁ、そ、そそ、そ、そんなこと、言えるわけ…」
「なに本気で受け取ってるんですか…下手くそって言いたいんですよ。そのぶら下げてるものはなんなんですか?」
 少しきつい語調だった自覚はある。
「何恥ずかしがってるんです?陰気に姉さんのこと考えてシコシコシコシコ、都合のいい気持ち悪い妄想して、臭いザーメン撒き散らしてるんですよね?」
「な、な、なん、なんなんなん、なんてことを言うんん、だっぁ」
 顔を真っ赤にして、小牧原は涙目だった。
「ヘタクソなんですよ。もしかして乳首でしかオナニーしないんですかぁ?」
 小牧原が信じられないという顔で本多を見た。本多は肩を竦める。男であるなら分かるポイントを分かっていない。やることが変態なら、やはり変態的な嗜好だも持っているのかも知れない。
「教えて差し上げますよ」
 まだ自身の吐精は先らしい。本多は小牧原を床に押し付け、恥ずかしくも全面に小さなシミをつけたボトムスを力尽くで下ろした。
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