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未完結打切:跡 濁されたまま 5P打切/義兄弟/女性キャラあり/クール義弟攻/温厚義兄受/平凡大学生受

跡 濁されたまま 4

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 数日前と同じ感覚だ。牧島は布団から起き上がって、時計を確認する。大学に行く支度をしながら見るニュースは数日前に見たものと引き続いているものもあれば、新しいものもある。長い夢を見ていたような気分だ。双海という男がいた。日野という男がいた。だが夢の話だ。もう交わらない人間に罪悪感を覚える必要はない。良心の痛みを気に留める必要はない。夢の中の人間だ。泡沫のように消えた。寝癖のついた髪を乱暴に掻き乱す。どうせまた会うことになる。意識的に2人を消そうとしても、どこかで消えきらない確信がある。日野の支配的な言動がそうさせるのか、双海の穏和な執着心がそうさせるのか。牧島は思考を振り切って大学に向かう。
 講義が始まるまでの空き時間に自動販売機で買った缶ジュースを持って原田と昼食を摂ったお気に入りの場所に行けば、先客がいる。片寄かたより緋菜子と原田。2人で何か話している。女だということは分かったけれど原田と、その原田を混乱させている片寄かたよりだとまでは近付くまで判別できず、分かった途端に牧島は咄嗟に隠れた。隠れられる場所など限られていたが、原田たちのいる場所からは死角になりそうな、建物にそのまま造られた背の高い花壇の縁のレンガへ座る。缶のプルタブを起こして、炭酸飲料の弾ける音がした。何も隠れることはなかったかもしれない。微かな炭酸の音が耳をすり抜けていく。ただいつものように軽く挨拶を交わせばいい。ぐいっと缶ジュースを煽る。蛍光黄色の缶から牧島の喉へ酸味と甘みの強い液体が流し込まれた。原田と片寄かたよりの声は聞こえない。盗み聞きをするつもりもなかった。口内に広がる炭酸と人工的な甘味に集中する。脳裏にはまだ自身に迫ってくる双海や、双海を束縛する日野がこびりついている。原田は日野について知りたいというし、その理由は原田が好きかもしれないという片寄かたよりのため。妙な相関図が想像の中で出来上がって、その真ん中に自分がいる、と牧島は気が付くと、溜息が漏れた。遠目から見ても片寄(かたより
はかわいい。だが原田の言う好きは、牧島が思う片寄かたよりがかわいいと同じなのではないだろうか。日野が双海を抱いている空間が真横にあった。声が押入れの扉一枚を隔てて耳に入っていた。日野は牧島がいることを知っていた風な口ぶりで、それでも双海を抱くことをやめなかった。双海は牧島に迫って自慰に耽った。思考を振り払うように牧島は首を振る。考えるな、考えるなと思っているくせに、すぐに日野の傲慢な笑みと双海の影を落とす表情に気付けば掠め取られている。
 
―――おかしいだろ、やっぱ

 日野は誰とでも深いキスをするのだろうか。カラオケボックスで身体をまさぐられた。呼ばれた名前は牧島の名前と同じ響きで違う人へ向けている、そのような気がした。とすると日野が見ていたのは牧島であったけれど。

―――双海さんの息子と…

 辿り着くには躊躇いのある答えだった。
「まっき~くん」
 頭の中で結論が出る直前で声が掛かる。原田の声だ。考えていたことがすっと抜けていく。
「あれ、おはよう。片寄かたよりさんと一緒みたいだったけど」
「うん、次の授業別だから…」
 原田の話を聞きながら踵から脳天までを舐め回すように見た。
「あれからどぉすか?」
 原田はきょとんとして何の話か分からないという表情を一瞬してからすぐに察したらしい。
「特にどうってこともないよ。相変わらず」
「気持ちの整理はついたすか」
 気遣って親身になっているつもりで、違う。自覚はあった。けれど確認したかっただけだ。否定が欲しい。原田からただ、「やっぱり違った」という言葉が欲しい。原田の答えが、牧島の答えになるような気がしていた。次に出る言葉で決まる、そう思ったのに原田はとぼけたような口調で「気持ちの整理って?」と訊き返してきた。
片寄かたよりさんと、どうなりたいのかって話」
 ただひとこと、「やっぱり違った」それが欲しい。だが現実はそうもいかないらしい。原田は牧島の意にそぐわないことを言う。原田が口にするよりも雰囲気で理解した。
「気持ちの整理も何も、答えはもう…」
「やっぱりいいす。聞きたくないす。…変すよ」
 片寄緋菜子を好きという。女の身で。義理とはいえ兄弟で身体を貪り合うあの兄弟も、男の身で。
「オレはアンタらとは違う。オレは…オレはアンタらみたいに…だっておかしいでしょうが…」
 原田は困ったカオをして牧島を覗き込む。哀れまれている気がして牧島は原田を睨んだ。
「何の生産性があるんだよ」
「全ての恋愛に生産性が要るの?」
 首を傾げて訊ねる原田の声は低い。
「行き着くところはそこだろ。ソレを求めてるんじゃないの」
「男女の恋愛にだって生産性があるとは限らなくない?」
 怒気を孕んでの落ち着きなのか、牧島に哀れみを本当に抱いているのか。原田は相変わらず穏やかだが、どこか不穏でもある。
「でも普通は…」
「生産性がもし全体的に下がったら苦労はするかもね。でも生産性、生産性っていうなら別に誰だっていいよね。色んな段階とばして、牧島くんはその相手と結婚して、何を生産するかは分からないけど。それで牧島くんは幸せになるんだ」
 言いたいことはそういうことではなかったはずだ。尤もらしいことを言ったつもりで、それが牧島の思っていることと違う。けれどそうして盾を作らなければ、自分が自分ではない異質のものに呑み込まれそうで。原田に伝えなければ。けれど何を。何をどこまで。どこまで話して大丈夫なのだろうか。原田の中の自分が変わる。原田の中の自分が変われば、自分の中の原田が変わってしまう。それをイヤだ、とすぐに思った。
「違うんす、そういうことが言いたいんじゃないんす」
「別に牧島くんの人生観とか価値観とか恋愛観とか、そういうのって勝手だと思う。私がいちいち口出すことじゃ、ないもんね」
 口調は相変わらず穏やかで、綺麗な声をしている。原田に言いたいことはそういうことではない。それを言い出したけれど、全て裏目に出てしまうかもしれない、何をいまさら。牧島は黙ってしまう。
「私と緋菜子のことも変に映る?でも緋菜子は関係ないから。緋菜子はやっぱ、“フツーに”男の人、好きだから」
 原田の言いたかったことを原田が自ら否定する。牧島の眉間に皺が寄る。気を遣っているのか、それとも嫌味なのか。緋菜子が好きという原田。義理とはいえ兄で同性を抱く日野。息子に執着し嫁の弟に抱かれる双海。関係のない他人。けれど彼等の妙な世界に引き込まれている。自分の価値観が分からなくなっていく。だのに原田は普通だと思わなかったことを普通を知っているかのように話して、それすらも否定する。
「やめてくれよ!」
 底無しの汚泥のような思考に牧島は怒鳴った。裏切られた気分だ。淡い想いを寄せた原田に、一方的に理想を抱いた自分に、生きてきた中の経験も知識も覆し巻き込む年上の男たちに。
「どっちなんだよ、おかしいのか、おかしくないのか。はっきりしてくれよ、オレは…!」
 日野の欲望に濡れた瞳を思い出す。双海が自ら揺らす腰を思い出す。巻き込まれた。そして純でいられなくなった。原田の口から出る否定が怖い。拒否が怖い。肯定が怖い。
「牧島くんが何か気にしてることなら…別におかしくないよ」
 同情か気休めか。原田が他人を拒否するような言動をするとは思えない。牧島は目を瞑る。落ち着け、落ち着けとなんども言い聞かせる。双海に襲われた時のように、呼吸が乱れそうだ。原田に何を言ってもらいたかったのか、原田がどう言えば納得がいったのか分からない。
「緋菜子のこと好きじゃない。私はやっぱ明るくて頼もしくて、背が高くて頭も良くて顔も整った気の利いたお金持ちの男の人が好き」
 背後に立つ原田を振り返る。空を見上げている。今日は晴れだ。太陽を避けるように腕で目元を覆って。珍しくもない、建前もない、よく聞く女の怖いフレーズ。
「それが、フツーっす」
 肩から力が抜けて、弁解する気も失った。原田が譲ったから。
「まっき~くん」
 原田の顔を見られず、原田に背を向けたまま手を上げてひらひらと振る。



「双海さん」
 古い喫茶店で原田と向かい合うように双海が座る。時折眉間に深く皺が刻まれたり、身体を震わせて話が上の空になっている。調子が悪いのなら断ればよかったのだ。
「大丈夫ですか?体調優れませんか?」
 問えば双海は目を見開いて首を振る。潤んだ双眸を向けられ、熱があるようにも思えた。原田の指定した喫茶店は地下にあり、地元に根付いた、閉鎖的にも思える客層だ。暗い雰囲気でダウンライトだけ点いている。
「牧島くんのことなんです。知って…ますよね…?以前一緒にいらっしゃいましたもんね?」
 責めるような口調になってしまう。そして声音までも。双海はすぐに真剣な表情へと変わる。注意力散漫なのかすぐに意識が違うところへ向いているのを何度も目にしているため、いつまで続くのか、半ばまともに話し合うことは諦めている。
「牧島くんが、どうかした、のかい」
 短く息を漏らしたり、咳か何かを堪えるように息を詰まらせて双海は答える。話を聞く気はあるようだ。
「やはり知り合いでしたか。どうかしたのかっていうよりかは…何かなさいました?…双海さんに限らず…」
 言葉を選ぶが言い淀む。口にしたくないことは、察してもらうしかない。それが分からないのか否か、返答はすぐに来ない。俯き気味に双海の身体が小刻みに震えて、噛みしめられた唇から吐息が聞こえる。原田は黙って見つめていた。
「本当に大丈夫ですか?日を改めます?ムリに来て下さらなくても…」
 双海はまた首を横に振る。体調不良であることは否定する。それならこの様は何なのか。金魚鉢のようなグラスに注がれたローズヒップティーを飲みながら双海の挙動を見つめ続ける。
「大丈夫、ごめんね、病み上がりで」
 取り繕うような笑み。その顔をいつも誰に見せているのか、見せざるを得ないのか、連想された者への嫌悪感を赤い液体で嚥下する。
「それで、牧島くんの、ことだけど」
「はい」
 話し出したはいいものの、間を置くことなく再び双海のさりげない奇行と呼べるのかも分からない奇行がはじまり原田はグラスの氷をストローで掻き回す。
「実のところは双海さんの返答はどうでもいいんです」
 双海が頭痛か寒気か、何か内的葛藤から耐えるように身を縮こまらせながら原田を上目使いで見た。視線が合った瞬間に逸らされて、原田は双海を見つめたが双海は原田の目を見ようとはしなかった。双海が何を考えているのか分かってしまい、そしておそらく原田が何を言いたいのか双海も分かってしまったのだろう。うんざりした。非言語コミュニケーションを取れるほど慣れ親しんだ相手ではない。それほどに好感を抱いた相手でも。
「牧島くんの何なんですか、とは言えませんよ、私も。ただの大学の同期ですから。だから訊きたいんです、あまり根掘り葉掘り訊くつもりはないですけど」
 材木をそのまま使ったテーブルの木目をなぞる。ワックスと照明で反射して網膜に焼きつく。対して双海はテーブルに爪を立てている。爪の白くなった部分が少し長い。
「牧島くんに何か…しました?双海さんに限らず…何か知ってます?」
「どう、して」
 テーブルに立てられた爪が白くなる。喫茶店のテーブルだ。傷がついたらどうするのだろう。すでに傷だらけではあるけれど。
「変なこと言い出したものですから。それにこの前、明らかに怪しい人と一緒にいました。双海さんもよく知っているといいますか。むしろ知りすぎている人と」
 言葉を選ぶ。双海と会うのも決心が必要だった。
「変、な…こと?」
「人間って妙に不思議ですよね。芸能人や才能に溢れたすごい人と近い関係にあると、特に平々凡々とした自分もある種すごい人だと思うらしいです。…その逆は?って話でして」
 回りくどい説明を双海はどう受け取っただろう。双海からすぐに返事がないのはすでに慣れたが、無言を貫かれ原田にも説明を改める必要性が浮かぶ。あまりはっきりと言いたくはなかったのだ。
「その逆…」
「牧島くんが何をされたのか、別に言及するつもりはありませんよ。ただ…深く思い悩んでいる様子でしたから。何か頼まれたとかじゃないんです。私が個人的に。腹が立っているだけで」
 誰かの携帯電話が鳴っている。音はしないけれど、振動がする。すみません、と言って原田が自身の携帯電話を確認するが原田のではなかった。双海に確認を促せば、双海は真っ赤な顔をして俯いてしまう。
「似ているんですよね。分かります。何があったか知りませんけど。名前も同じですし。私も驚いています」
 双海がこくりこくりと何度も頷く。身体をうねらせて、まるでのたうちまわるように。
「…呼びましょうか?番号知りませんけど、知ってます?」
 確認したままテーブルの上に置いた携帯電話に手を伸ばす。携帯電話に触れた手の上から双海が手を重ねる。制止のつもりだったようだ。生温かい湿った手が原田の手の甲に重なったまま、引っ込める気もないようで、双海を見遣れば頭を振る。
「双海さん」
 呼べばすぐに手を引いた。原田の手の甲にまだ感触が残っている。
「いい、呼ばないで…お願い…」
「軽率でした。どういう人だか知っていて、それで貴方を呼び出してしまって・・・でもすみません、貴方たちのことはどうでもよくて…貴方がどうなろうが…ただ牧島くんのことはどうか」
 原田は立ち上がり伝票を取る。双海が僅かに遅れて手を伸ばすが及ばなかった。腹部を抱え込むように座り込み、耐えている。腹痛なのだろうか。振り返ろうとするが、原田は首を少し回したところで向き直る。
「すみません、あの人、まだ居ると思いますけど」
 原田は会計を済ませるが、まだ動こうとしない双海に溜息を吐いて、タクシーを呼んだ。
 

 誰もいないと思っていた双海宅には日野がいる。青い車が駐車スペースに停まっているのを見て原田はここで、とタクシーの運転手に言った。料金表に出された額を双海より先に払って、タクシーから降りた。
「ここまでしか、すみません。1人で帰れます、よね?」
 双海は何度も頷く。様子がおかしい双海に肩を貸しながらタクシーから降りるのを手伝った。降りる前にスラックスからそのまま万札を原田に差し出すが原田は拒否した。
「牧島くんのこと、そういうことで頼みます」
 タクシーが去っていく。双海の家は目と鼻の先。荘厳な囲いのおかげでまだ双海と居られるが、駐車スペースから見える深い青の車が牽制している。
「お…」
 原田は双海が何か言いかけるのを無視して歩いて行ってしまった。追いかけることも出来なかった。原田を避けさせる青い車を目指して双海は歩く。日野が来ているとは思わなかった。体内で暴れる無機物に意識をとられよろよろと玄関へ歩く。整えてある日野の靴。玄関へ上がろうとして眩暈がし、靴箱に身体を預ける。物音に日野が玄関までやって来た。
「どこ行ってた?」
 声が低い。怒っているのだろうか。表情が無いが、それはいつものことだ。機嫌の悪さは窺える。
「ちょっと用があって」
「だからそれが何かって訊いてる」
 運転免許証を没収され、通帳も印鑑も奪い取られ、1人で遠くへ行かないようにと管理されている。携帯電話も壊されている。
「…言えない用事?」
 肩を震わせながら身体を靴箱に預けたままの双海に気を遣うこともなく高圧的に日野は双海へ迫る。
「女のニオイがするな?」
 わざとらしく匂いを嗅ぐそぶりで問う。
「…違うから…取って…」
「嘘吐くなよ」
 笑いながら日野は双海の着ているシャツの胸ポケットに挿してあるボールペンを取り出した。日野の姉の、悪趣味なブランド趣味から派生したボールペン。双海に許される数少ない物。
「嘘だったら何してくれんの」
 日野の長い指が細身のボールペンに絡み付く。捻ったりして、解体している。抗議する気も起きず、ただ双海は解体されていくボールペンを見つめる。想像上の一般化された宇宙人が喋っているような高い声が聞こえ、それが落ち着いた。

『本当に大丈夫ですか?日を改めます?ムリに来て下さらなくても…』

 再生される女の声。双海よりも大きく日野が目を瞠る。何故よく見知っているボールペンが喋るのか。人語を話す機能などなかったはずだ。その疑問が真っ先に浮かんで、すぐに改造されていたのだと双海は理解した。姉の形見だからと持たせていたボールペンは善意などではなかったということ。ただの監視の役目のひとつに利用されていたに過ぎなかった。
「…義兄さん、嘘吐いたんだ?」
「っ…漣くんだって…それ…盗聴器だったんだ…?」
 善意に騙されていた。日野の姉、自身の妻を使って。体内で不規則に振動する異物の存在も忘れた。酷い、ただその言葉だけを日野に投げつけたくなって、けれどそれを身体が赦さない。冷たい眼差しを向けられ、大きな音がする。土塗りの壁、双海の耳元すれすれを日野の拳が通り抜けていく。
「まさか本当に女と会ってたんだ?俺に黙って?どういうつもりで?」
 土塗りの壁は目が粗くざらざらとしているせいで痛い。それを日野は力一杯殴った。痛みを感じさせはしないが怒りだけははっきりと露わにしている。
「誰だよ。どこの誰だ。言え」
 拒否権はない。もう片方の手が乱暴に双海の顎を掴む。機嫌を取るのが賢明だ。身体を蠢く物体が存在を主張する。けれど意思は違うところにある。双海は目を目の前に迫る日野から目を逸らす。
「女抱けるか心配にでもなった?安心しろよ、別に義兄さんはもう女なんて抱かなくていいんだから。それとも姉さんを裏切る?」
 双海の両肩を掴んだ。容赦のない力加減。慣れることのない束縛生活。従順になることが最も楽な道だとは何度も思ったけれど。
「殺してやろうか?姉さんを裏切るくらいなら」
「漣、くん…」
「姉さんを裏切るの?どこの女?義兄さんを誑かして喜んでるのは」
なぎさを盾にするの、もうやめてくれない、か」
 ばちん、と双海の顔に平手が飛ぶ。性的暴力は何度も振るわれたが、こういう暴力は初めてだった。
「なんで?俺の家族奪っておいて?もう俺には義兄さんしかいないのに?」
「それはっ…!」
「姉さん以外の女抱けるとか思ってるの?姉さんがいるのに?もときがいて、俺がいるのに?俺のこと1人にして楽しい?」
 被害者のフリをするのが上手い。はたかれた頬が熱を持ち始めた。すでに火照っている身体には別の疼きとして認識されている。
「殺してやるよ、その女。輪姦して孕ませて売り飛ばしてやる。バラして海に沈めてやる」
 タクシーの中で、原田がしきりに身を案じていたのを双海は思い出す。双海の身を。自分のためなら何でもする人です、と言っていた。双海がまだ知らない日野を原田はそう言った。
「彼女は…関係ないっ…!」
「何なんだ?その女にそんなに入れ込んでるのか?いつからだ?いつもならひんひん鳴いて縋って許し乞うよな?」
 日野はまた盗聴器と化したボールペンを弄る。

『本当に、何かあるようなら、逃げた方がいいと思います。余計なお世話かもしれないですけど、何かあってからだったら、気分悪いですから』
『生まれたばかりの弟も殺すような人ですから、自分のためならなんでもする人です』
『周りから囲って、洗脳状態になってるんだと思うんです、冷静になってくださいね』

 タクシー内の会話もしっかりと盗み聞かれている。日野の眉が動く。不味い、そう思った。意外にも日野は落ち着いた面持ちで双海を見た。
緒深おみか」
 日野は息を吐いて天井を仰ぐ。
「緒深ちゃんに…何すっ…」
「逃亡の手助けでもしてもらうつもりだったのか」
 突然切り替わって冷静になる日野に戸惑う。けれど言うなら今しかない。
「もう、解放してくれ。もういいだろう、もう彼もおれも…解放してくれ」
 静かに日野は双海の胸倉を掴む。首ごと締め上げるようだった。そのまま殺されるかもしれない。双海は首の据わらない赤子のように襟に頭を預けてしまう。
「緒深に毒されたな」
「彼女のことも、どうして」
 家族がいないと、1人にするのかと嘆いていたくせに、自らあっさり捨てているではないか、日野は。
「彼女?緒深か?どうしてってどういうことだ?俺が緒深に何かしたか?何もしなかった、それだけだろう」
 姉さんを奪っておいて、と何度も口にする。口癖だ。そうでしか縛っておけないのか。双海は目を瞑る。凪(なぎさ)と日野は大きくなってから姉弟になった。仲は悪くはなかったが、良くなる前に二人の間に入ってしまった。姉を奪われた、というのは強ち嘘ではない。けれどおそらく本音でもない。
「惑わされるな。弟は殺したんじゃない、死んだんだ」
「歩くのもやっとな子どもが熱湯の風呂に落ちてかい?」
「不運な事故だった」
 携帯電話のバイブレーションのような振動が響く。大きくはない。双海の身体の中に入っている。
なぎさを死なせてしまったことは悪かったと思ってる。一生償っても償いきれない」
 胸倉を掴む日野の手を力なく双海は握る。
「弟を失くして、妹を捨てて、姉と甥を見殺しにされて…でもおれには君を―」
「俺の意思で捨てたんじゃない。姉貴だって自分で死んだんだろうが。俺には義兄にいさんがいてくれれば、それで…!」
 玄関の引き戸の擦り硝子一面の光りをじっと見つめた。日野の顔を見ていられない。塗り固められた義弟はしっかりしているけれど脆い。
「それが君の本音なの?おれが傍にいればそれでいい?おれが傍にいたのに、どうして彼に手を出したの。どうしてもときのことまで構ったの」
 双海も思い出せなかった記憶が蘇る。なぎさの不審な目。息子と血の繋がらない弟へ向けた妙な意味を含んだ目。訝しんださりげない問い。そのようなこともあった。擦り硝子越しの真っ白い視界がスクリーンのように脳裏で再生される。どうして忘れていたのだろう。何故思い出さなかったのだろう。拒否していたのだろうか。二度と取り出すことのないようにしまっておいたのだろうか。
「手に入れたいんじゃないのかい。君は。おれは手に入れたい。手に入れたかったよ、彼を」
 ピィピィと黄色の鳥が鳴く。玄関を上がってすぐの和室にある鳥籠はここからは見えないのだ。




「ッはぁつ」
 双海の細い腰を掴んで穿つ。ゲル状のような双海の内部が日野に絡み付く。意識もソコも持っていかれそうな動きに息を呑む。和室の窓際に取り付けられた鳥籠の中の黄色の鳥が2人を見下ろす。何も知らない顔をしてこの部屋で行われていたことを見ていたはずだ。今までずっと。聞いていたはずだ。日野に真っ黒な濡れた目を向け、蔑む。人間の営みを。分かるはずがない。本能に従っているわけではない。ただ欲望と快楽に従って、逆らわず。この鳥は知らない。ずっと鳥籠に閉じ込められて、知らない衝動と知らない本能に苛まれるのだ。
「ぅんっ」
 捲り上げられたシャツの下の痩せた肌を撫でる。滑らかな感触を頼みながら指に引っ掛かる胸を指の腹で撫でると双海は背を反らす。
義兄にいさん」
 日野を見ようとしない双海の顔を向けさせて唇を貪る。果実を喰らうように深く、深く。
「漣、くっ」
 以前よりも軽くなった義兄の身体を持ち上げ、深く腰を落とさせる。短い悲鳴が漏れて日野の根元を何度も締め付けて、段々と緩慢な動きへと変わっていく。忌々しい男と甥と同じ名前を付けられて、ただ無償の愛を受ける小鳥が日野を見下ろている。小首を傾げて、黒い小さな目を日野へ向けて。蔑まれている。感情も思考もない哀れな鳥に。見せつけるように日野は双海を突き上げる。義弟の上で喘ぐ飼い主はあの鳥にどう映るのだろう。息子の代わりにされ、甥の代わりにされ、けれど餌を与えられ、安眠を与えられ、愛情を与えられ。気に入らない。気に入らない。気に入らない。日野は双海に腰を打ち付け続ける。何度も何度も。あの小鳥に何を求めているのだろう。日野自身にも分からなかった。ただ気に入らない。それだけがはっきりした答えで。消したはずだ。けれど形を変えて、種族を越えてまだいる。付き纏う。消したはずだ。多少の犠牲を伴っても。
「漣っくんっ、もぅ…!」
 腰骨辺りに添えた手を双海が剥がしたいようで引っ掻いた。血は繋がらないけれど、姉ができた。そして義理の兄ができた。そしてその血を半分ずつ受け継ぐ甥ができた。
「漣…っく…っ」
 テーブルに双海の状態を押し付け、奥へ奥へと叩きつける。自慰のための道具を使っているのと変わらない。好きな声で名前を呼んでくれる、生温かく固い自慰の道具。血の繋がった他人が日野を蔑む。日野の中にある姿よりも大きくなって。
「好きだよ、義兄にいさん」
 はひ、はひっ、と変な音を立てて呼吸を繰り返す双海の肩に歯を立てて、中へ白濁を注いでいく。
「彼と、緒深ちゃんには、何も…」
 呼吸を整えながら、けれど焦って双海は言う。
「それはあいつら次第だけど」
 条件は簡単だ。今よりも外部との接触を断つこと。そのために日野の契約しているアパートへ移り住むこと。
「もう用はないはずだろう…?どうして彼に構うんだ」
「俺のモノになってくれるんだろ?それならもう隠し事は要らないな?」
 双海は顔を顰めて日野を睨む。
「忌々しいんだよ。義兄にいさんが女とガキ作ったってだけで頭がおかしくなりそうだ」
 日野は笑う。愉快そうに笑って双海を舐めるように見る。
「ガキ仕込む時の親のセックス見たことある?義兄にいさん一人っ子だし、ないか?」
 笑いを呑み込みながら日野は問う。下品な表現に双海は返す言葉を失った。
「産まれたガキみて鳥肌が立った。これかよ、って。これ作ってたのかよ、って。気持ち悪かったな。弟だとは思えなかった。ただの親父の精液にしか見えなかったよ、俺には」
 けれど妹はそれを可愛がった。双海の表情が嫌悪に染まっていくのを見つめながら日野は続ける。
「妹は可愛かったが弟は可愛くなかった。それだけだ。可愛くない弟にそれなりの情を向けなきゃならないのが邪魔だった、それだけ。それと同じ理由で、デカくなった姿で現れられたら、余計邪魔だろ」
 双海はゆるゆる首を振る。
「嘘、だ…」
「俺が俺のこと嘘ついてどうするのさ」
 双海は信じられないという顔をして、ゆっくり立ち上がる。何をするのか。日野は横目で双海の姿を追う。
「じゃあ、殺した…?」
「殺意が起こることなんて誰にでもあるだろう。だが殺意だけなら殺人じゃない。たまたま事故が重なった、それは不運だ」
 双海が鳥籠を、鳥籠を掛けていたスタンドから外す。
「でも、もときのこと、漣くん、かわいがってくれてた…」
 運動会にも行った。ビデオ撮影もした。場所取りも進んでやった。料理下手な姉に変わり弁当も作った。親子で参加する競技にも参加した。授業参観にも行った。遠足の弁当も作った。誕生日会も開いた。そのための花も活けた。飾り付けも惜しまなかった。本格的な手作りケーキを作ることも厭わなかった。姉を手伝いながら夕飯も作っていた。幼い頃は仕事で遅い父親に代わりごはんを食べさせてもいた。家族を顧みず仕事に打ち込む父親に代わって、家事が苦手で育児にも追われる母親をずっと手伝ってもいた。小学校の時分だが学業成績を気にする姉のためにと勉強も教えた。休日は子どもが伸び伸びと過ごせるよう甥の要望に出来るだけ応えた。自然と触れ合いたいというのなら然るべきイベントに連れ出し、海に行きたいといえば連れて行った。バーベキューやキャンプがしたいというのならそれにも付き合った。甥の父は甥に興味を示さないのだから。
「かわいがってたように見えたのか」
 双海は鳥籠を抱き締める。呆然としている。日野はそのような様子を見せる双海を訝る。そういう顔をされる内容は話していないはずだ。
「まぁ多少の情はあった。義兄にいさんの遺伝子を受け継いでいるってことに、感心したよ。感動もした。あの小さい身体の半分は義兄にいさんで出来ているんだと思うと」
 鳥籠の中の黄色の鳥が忙しなく動く。ただならない空気を感じているようだ。
義兄にいさんはむしろ、もときが憎いんじゃないかと俺は思ったよ」
 目を眇めて、今とは似つかない双海を思い返す。一に仕事、二に仕事、三に仕事、その次にやっと家庭が入るかどうか怪しいくらいに、家庭を放置していた。寝に帰るどころか、着替えを取りに帰ってくるだけの生活だったようにも思う。姉はそのことについて何も言いはしなかった。愚痴を溢すこともなかったように思う。甥も父について悪くいうことはなかった。父の日の作文で父の仕事を誇りに思うだのと書き連ねるくらいには。おそらくは添削はされているだろう、それが本心なのかは定かではないけれど。
「失ってから気付くなんてのは錯覚だ。強欲な人間の業でしょ。よせよ、後悔なんて聞こえはいいだけ。誤魔化すなよ。もときはそもそも要らなかった。違う?」
 双海が叫ぶ。咆哮のように。鳥籠を抱いたまま和室を出ていく。逃げるように去っていく。日野は溜息を吐きながら双海を追う。
「可愛がってたわけじゃない。“不運にも”死んだ弟への償いでもない」
 がちゃがちゃと音を立てて引き戸の鍵を開けようとする双海を見つめる。焦って上手く回せていない。
「多少の同情はあったけど。でも義兄にいさんが自分を責めることじゃないんじゃない。要らなかった子でも俺は飢えさせたつもりはないし身形にも気を付けさせてた。友達もいっぱい作るように言ったし、実際クラスでも人気者だった。学級委員もやってたし。それも全部経済的余裕があったから」
 双海は知らないだろう。息子がクラスの学級委員だったことなど、おそらく。友達がいっぱいいて、いつでも家に遊びに来ていたことなども、おそらく。小学校低学年にしては英語がよく出来たことも、おそらくは。いや、息子が死んだ後になら知っているかもしれない。
「おれは、もときが…」
 目を見開いて、色素の薄い目が泳ぐのがよく分かる。鳥籠を抱き締める力が強まる。幼い子どもがお気に入りのぬいぐるみを離さないような。
「邪魔だったかどうかはどうでもいいよ。子どもなんて大概邪魔だしね。カワイイのなんて生まれて少しの間。俺はかわいいとか思わなかったけど。でもま、人の記憶も随分脆いな。もしかして忘れてた?」
 仕事、仕事、仕事。ずっと仕事。息子にどれだけ構っていたのか忘れているのだろうか。そしてどういう態度で接していたかも。
「でも仕方ないさ。妻と子を養うため。経済的貧困は精神的貧困にも繋がるっていうしね。でも安心してよ、もときはきちんとイイ子だった。都合の良い子。文句は言わない、ワガママも言わない。嫌いなピーマンも梅干しもきちんと残さず食べられた、手間の掛からない聞き分けの良い子」
 息子の嫌いな食べ物も、好きな食べ物さえ双海はおそらく知らないだろう。左利きだということは知っているだろうか。
「どう、して…そこまで…ただの、甥じゃないか…」
義兄にいさんの息子だから。義兄にいさんになれる素質があるってこと。半分は違うけど、でも“俺の双海暁人”にはなれる可能性がある」
 いつの間にかぼろぼろと泣き出している双海へ手を伸ばす。裸足のまま玄関へ出て、引き戸に背を預けて座り込んでしまっている。日野の手から逃れるように身動ぎ、双海は怯えた。
「でもそれも潰えた。だからもう俺には、義兄にいさん、あんたしかいないんだよ。あのガキのことは、諦めればいいんだろ」
 欲しいのは義兄で、甥ではない。そしてその甥によく似た、これからも似ていくであろう青年でもない。双海の頬から涙が滴っていく。双海の腕に抱かれた鳥籠を奪い取る。
「置いていけるよな」
 黄色の鳥は首を傾げる。とぼけているようにも思えた。双海が首を振る。
「これがもときの代わりなら、あんたはずっと父親だ。父親できなかった、父親のあんたになるだろう」
 鳥籠を掴む日野の両腕を双海が縋るように掴む。批難するような目で見て、鳥へと視線を移す。放置するとは飼い鳥にとっての死を意味する。
「そ…んな」
「茶番に付き合うのも疲れるな。やめちまえ、父親。向いてなかったんだ」
 日野の腕に爪を立てる、指が白くなるほど。長年同居していた鳥を飢え死にさせろと言っている。縦にも横にも触れない首。そのまま日野を凝視してしまう。
「逃がすか?飼われていた鳥が野生でどれくらい生き残れると思う?」
 双海は肩を落として下を向いた。
「どうする。選べ。この鳥か、あのガキか」
 双海の肩に手を置く。身代わりの鳥だ。空に抱かれて死んだ妻と息子の。けれど日野は嫌いだという。憎いという。疎ましいという。
「いや」
 日野は否定の言葉を口にする。この鳥のことは選べない。最初はなから選んでいない。身代わりでしかなかったのだから。
 



 遠慮がちに牧島は呼ばれて振り向いた。原田だ。何事もなかったようにいつも通り。気不味さを一瞬覚えたがすぐに消え去った。
「え、なに、どうしたの」
 原田が牧島の反応に笑う。
「いや、何か。原田さんに嫌われたかと思って」
「なんで?私も感じ悪かったし」
 消化不良の腹の滞りを溶かしてくれる原田の声に牧島にも笑みが戻る。
「いや…その…」
 ふと口角を上げた原田に嫌な面影を見て牧島は咄嗟に顔を逸らす。
「どうか、した?」
 原田の表情が曇る。見間違いだ。気のせいだ。牧島は否定の意を込めて頭を振った。どうもしていない。何も見ていない。原田は似ていない。日野に会った時も原田は何の反応も示さなかったではないか。
「何でもない!ごめん、原田さん、ちょっと1人で考えたいことあって」
 原田に僅かながら他の異性とは違う意識を向けてはいたが、平生ではいられた。けれど一瞬だけ見た面影が原田に貼りついたまま。気のせいだ、意識のしすぎだ。顔立ちの系統も似ていない。
「まっき~くん?」
 原田が呼ぶが牧島は原田に背を向けたまま足を止められない。牧島の背中を原田は見つめた。


 ごめん、原田さん。すぐに振り向いて謝れと命令する頭に意地とやる気が妥協を許す。原田は素直で優しい人だ。だが一度だけ重なってしまった残像の一部が牧島の胸に靄をかける。
 講義室のある棟へ向かう途中で肩に何か乗る。軽いけれど僅かな質量がある。驚くことはなかった。知っている感覚だ。
「お前」
 季節外れの向日葵。視界に端に黄色が映る。首を斜めに傾け何の遠慮もなさそうに乗っている。
「双海さん?」
 近くにいるのだろうか。この鳥がいるということは。双海を呼ぶが返事はない。
「逃げてきたんじゃないよな?」
 指で小さな頭を撫でる。自ら牧島の指へ身体を寄せる。
「双海さ~ん?」
 近くにいるのだろうか。それともいないのか。
「お前自分で帰れる?」
 鳥は牧島の言葉を解するように首を振る。だが偶然だ。双海は近くにいないようで、肩に鳥を乗せたまま講義室へ入っていく。通りすがる友人にイケたファッションだの、新しいカノジョかだの、よくできた置物だのと揶揄されながらいつもの席へ座る。早く帰した方がいい。後から来た友人に突然焼き鳥の話を振られ、帰りに焼き鳥屋に誘われたときにそう思い、溜息を吐いた。
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